ネットミーム・アーカイブ 作:一酒の過ち
別棟にて、遂に補習授業部の合宿が始まった。
昨日は掃除だけで終わってしまったから、今日から遂に勉強をする事になる訳だ。
掃除で皆気持ちをリフレッシュ出来たのか、集中して勉強に取り組めている。
・・・1人以外は。
「酷い隈ですけど、アズサちゃん寝不足ですか?」
「あ、ああヒフミか。大丈夫だ、これくらいの事は慣れている。」
「大分重症みたいですね、今日は休んだ方が良いんじゃ・・・?」
「そういう訳にはいかない、遅れを取り戻さないと。」
そういっては私の方をしきりに見つめては、首を横に張るアズサ。
もしかして・・・私に気があるんじゃ!?
『いやぁ、アズサ?私にはもう心に決めた人が・・・!』
「あらまあ♡アズサちゃんは先生みたいな子が好きなんですね?」
「待ってくれハナコ、先生・・・誤解だ。」
『自分の気持ちに嘘をつく必要なんてないんだよ・・・!』
「私、お赤飯の用意してきます♡」
「分かった、休む。休むからその生暖かい視線で見るのをやめてほしい。」
どうやら違ったらしい、だかこれで計画通り。(ガバチャー)
必死に目元を擦っていたアズサを、休ませる事に成功したのだった。
四人分のベッドが並ぶ、寝室に使っているらしい部屋へアズサを送る。
移動する最中も、私の方をしきりに気にしていたが。
結局、私に何かを尋ねる事はなかった。
『ゆっくり休んでね?』
「あっ、ああ・・・ありがとう、先生。」
部屋を出て行こうと、踵を返そうとした所で・・・袖を掴まれた。
非力な私では、例えベットに押し倒されたりしたら抵抗も出来ないだろう。
『その、そういうのは然るべき手順を踏んで・・・』
「少し話したい事が・・・あるんだ。」
そう言った彼女の表情は何時もより真剣で。
『それじゃアズサが寝付けるまでお話ししよっか。』
彼女の話を聞くことにしたのだった。
「今までは葛藤のようなモノを背負って、ずっと生きてきたんだ。」
そう言ってポツリポツリと話し始めたアズサ。
「先生は知っているだろうけど・・・それが昨日急に無くなった。それも綺麗さっぱりと。」
『えっ?あぁ・・・うん!』
待って待って、何の話だ?
知っている
アズサは私が悩みを知っていると確信しているようだが、全く分からない。
「それ自体はとても良い事なんだ。」
昨日の善行・・・?
アズサとヒフミをペアで掃除させたことくらいしか、アズサに何かした覚えがない。
「だけど、私はこれからどうすれば良いのか分からなくなって・・・」
待ってくれ、私が部屋の掃除をしていた内にそんなとんでもないハプニングが外では起こっていたというのか?
しょうがないだろ、私に外の草むしりなんて文字通り自殺行為だ。
「先生、私はこのままトリニティに居ても良いんだろうか。」
『勿論だよ!?誰と何があっても私が・・・あなたの先生が保証するよ。』
「・・・例え陽だまりに似つかわない、私のような人間でも?」
考えろよ私・・・陽だまりとは何を指している?
特定の個人を指した話か?
ハナコ・・・は違うだろう、コハルも陽だまりと表現するには違うな。
ヒフミは・・・ヒフミか?確かに一言で評するならそんなイメージだ。
つまりお前、”ヒフミの事が好きだったんだよ”って言う事か!?
えっ、でもヒフミのことを好きというか愛してるナギサが居る訳で・・・はわわ。
でもナギサのそれは親愛って言うより、崇拝に近い気がするんだよな。
推しのアイドルが動いているだけで嬉しいみたいな、それ。
でも、誰かが好きとかそういうので挑む前に諦めるのは・・・もったいないと思った。
『誰かの隣に立ちたいと思うのに、立場や理由なんて必要ないと私は思うよ。』
「・・・そうか。ありがとう、先生。今なら少しだけ眠れそうだ。」
アズサの助けになったなら良かった、ああでもこれだけは伝えておかないと。
『キヴォトスでは本当にキャベツ畑からコウノトリが運んでくるらしいよ。』
「・・・・・・?よく分からないが覚えておく、ありがとう先生。」
『うん、お休みアズサ。』
お昼を過ぎた頃、顔色の良くなったアズサも補習に合流して勉強をしている。
今日は良い日だ、花が咲いていて小鳥がさえずっている。
そして玄関では元気に爆発音が・・・爆発音?
「表玄関のIED*1が作動した、侵入者だ。」
あっぶねぇ!?裏口から出入りしていて本当に良かった。
いや、そのせいで発覚が遅れた訳でもあるんだけど。
『侵入者じゃなくてお客さんかもしれないでしょ!?早く見に行かないと!』
煤けた煙の中から出てきたのは、シスター服を着た・・・すっごい睨まれてる?
チ、チガウヨ?爆弾を仕掛けたのはアズサだから私は悪くな・・・いや、監督責任と言われればそうなんだけど?そんな無表情で見つめられると心とかが苦しい・・・!
「・・・きゅう。」
パタリとその場で倒れたシスター服の彼女。
どうやら、気絶寸前だったらしい。
は、早く介抱しないと。
ゴクゴクと水を飲み干す、オレンジ色の髪の彼女。
いやほんと・・・うちのアズサがご迷惑をおかけいたしました。
「取り乱してしまいました・・・すみません。」
『あっ、謝らないで!?全面的にこちらの落ち度です・・・』
まるで聖女の様な対応をしてくれたのは、シスターフッドという組織に所属している伊落マリーちゃんというらしい。
シスターの鑑やでほんま。
「それで、伊落
「あっ、ハナコさん。実はですね・・・」
『二人は知り合いだったんだ?あれ?ちょっと待って、今伊落
「見てわかるでしょう!?
学生証には確かに、男性である旨の記載があった。
どう見ても可憐な少女だが・・・男だ。
フンと胸を張って自信満々に応えた、彼の姿はどう見ても可愛い女の子にしか見えなかった。
だが、男だ。
その辺の女の子よりよっぽど女の子してるよね?
だが男なのだ。
『キヴォトスに人型の男性って居たんだね・・・』
「そりゃ、男の一人や二人いるに決まってるじゃないですか。」
「でも、私は伊落君以外には見たことありませんけど・・・」
「うっ、それはきっと皆隠してて・・・」
しどろもどろになりながらも、頑張って言い訳を探していた彼だったが。
結局、説得力のある答えは出てはこなかった。
「僕の事はどうでもよくてですね!今日は白洲アズサさんに用があって来たんです。」
「・・・私?」
正直、どうでもよくはない。
かなり伊落君の事が気になる所ではある。
でも、用事があるのにあまり邪魔するのも良くないよな。
「先日アズサさんが助けてくださった生徒の方から、お手紙を預かってきてるんです。」
話によると先日の学園内で起きたテロ行為。
その顛末は学園内のいじめから生徒を助けようとしたアズサが逆恨みによって、治安組織にある事無い事を吹聴された結果起こったものだったらしい。
疑惑を払拭するのではなく、徹底抗戦の構えを取るあたりがアズサらしいが。
「それってあの時の爆発騒動・・・!?」
「感謝されるような事じゃない。弱者を食い物にするようなやり方を、私が気に入らなかっただけだから。」
「それでも、その行いで救われた人がいるのも事実ですから。」
「・・・それに、厳しい事を言うけど何時までも虐げられてるだけじゃダメだ。例え虚しくても、抵抗する事を止めるべきじゃない。」
「・・・そうかもしれませんね、僕の方からも少しあの方に伝えておきます。」
教員である以上は必ず直面する問題だ。
私の方でも少し調べてみる必要があるな・・・
「それにしても、どうしてハナコさんが―――」
「伊落君が元気そうでよかったです、玄関まで送りますから一緒に行きましょうか。」
「・・・はい。それではみなさん、お邪魔しました。それではまた。」
『うん、またね。』
部屋を去って行く、伊落君とハナコ。
彼が最後に何を言いかけたのかは分からないが・・・
久しぶりに、情報収集に本腰を入れないといけないだろう。
その日の夕方、私はとある少女に呼び出されてトリニティ自治区のとある場所に来ていた。
『本当に・・・ここにいるの?』
呼び出し人である”彼女”と実際にあったことは無かったが、噂で聞くイメージとは随分とかけ離れた場所に呼び出されたことに若干の疑問を覚えつつも建物の中に入る。
「やっほ、待ってたよ☆」
『ミカ、どうして
「ここに来た目的なんて決まってるじゃんね。」
回る方のお寿司屋さん、生粋のお嬢様らしい彼女のイメージからかけ離れた場所で。
「私がお寿司を食べたい気分だったから!それ以上に理由なんてなくない?」
密会?が始まった・・・・なんで寿司?
もしかしてそろそろ寿司を食わないと死ぬような気がしたとか?
それとも今日がこの世の終わりの日だったのか?
「先生は何頼む~?あ、茶碗蒸し食べる?」
『もらおっかな。お寿司は光物でなんか美味しそうなのがあれば。』
何故寿司屋なのかは分からないけど、まあ可愛い生徒と一緒に寿司を食べれるのは嬉しいな。
彼女は注文した寿司が届くまで待ちきれなかったのかガリを食べ・・・取り過ぎじゃない!?
『ガ、ガリが好きなの?』
「うん、私お寿司屋さんでガリが一番好きかも☆」
『そっ、そっか・・・』
まあ、人の趣味にとやかく言うつもりは無いが中々珍しい趣味をしている。
いや、それにしても盛り過ぎじゃない?本当に食べきるの?この量を?
「どうして呼ばれたのかって顔してるね?」
『えっ?いや・・・まあそれも気になるけど・・・』
まだ盛るの?話してる最中に?そろそろ一箱無くなるけど?
「本題が気になって仕方ないかぁ、先生ってせっかちさんだね☆」
『ガリ・・・いや、うん。話したいことがあるなら聞くよ。』
ガリについて聞きたいところではあるものの、生徒が話したいことがあるならそっちが優先だ。
物凄く聞きたいところではあるんだけど・・・・・・!
「先生は、ナギちゃんに頼まれて人探ししてるんでしょ?」
『なんで・・・それを。』
「あはは、ティーパーティの情報網はすっごいんだよ?」
不味い、この件を知っているのがナギサだけなら何とか説得できると思っていたが。
他に複数人知っているとなると、話が変わってくる。
このままではヒフミの日常生活が危ない。
「結論から言うと、トリニティの裏切り者は―――」
淡々と、それでいで確証を持って言い放たれたその名前は。
「―――白洲アズサ。彼女の事だよ。」
あまりにも、信じられない人物の名前だった。
『トリニティの裏切り者(ヒフミをファウストだって噂を流した人物)が・・・?』
「そう、トリニティの裏切り者(アリウスからのスパイ)は彼女だよ。」
『いや、そんな筈が・・・』
今朝からずっと悩んでいた様子のアズサ。
もしかしてこれが原因だったのだろうか。
『今までその事を隠して(ヒフミの)隣を歩いてきたって言うの?』
「うん、皆には(自分がアリウスのスパイだって)ず~っと黙ってね。酷いと思わない?」
『それは―――』
きっと優しいアズサの事だ、偶々噂を聞いて友達に話してしまったのだろう。
なにせ、ヒフミがブラックマーケットで銀行強盗をしたのは事実だし。
『―――辛かっただろうね。』
正体を隠すのに最大限努力はしたが、何処かから正体に感づいた人が居てもおかしくはない。
どうしてファウストと言う名前まで知っているのかは分からないが・・・
そんな噂を流してしまった原因が自分だと知って、きっと今までずっと後悔してきたのだろう。
噂の内容は半分事実だというのに。
「あれ、そう言う反応になるんだ?意外だな~?」
『きっとアズサだって自ら望んでそんな事をした訳じゃないと思うんだ。』
「まあ、確かに(アリウスは)そういう環境じゃ無いけどさ。」
『それに今は彼女だってその事に葛藤して・・・悩んでるんだ。だから許されるべきだって私は思うよ。』
それこそ眠れないほどに。
それに当人同士が気にしてないなら、外部がとやかく言う必要も無い。
「へぇ・・・随分とお人好しなんだね?先生は意外とロマンチストなんだ。」
『まあ理想論は好きだけど、足元は見てるつもりだよ。』
夢はでっかく、根は深く。
つまり夢も太もももデカければデカいだけ良い。
ん?足元を見るってそう言う意味じゃないような気がする。
「そっか~もし・・・さ。」
「間違いを犯したのが、私だったとしても・・・先生は許してくれるの?」
ミカも何か悪いことをしたのだろうか。
あえて言えば無料だからと言ってそんなにガリを食べたら店員さんも困ると思う。
善意で無料なんだぞ、それ。
『当たり前でしょ?でも、反省はしなきゃダメだからね?』
「・・・わーお。先生って人たらしってよく言われない?」
『言われたことないや、お世辞でも嬉しいよ。』
「・・・お寿司来たみたいだから食べよっか☆」
最終的に、もう一箱ガリをおかわりしたミカと一緒に店員さんに謝りに行ったが・・・店員さんは笑って許してくれた。でも少しは自重して欲しい。
この寿司屋のガリがティーパーティーのお墨付きとして売りに出されるのはまた別の話。
伊落君に彼女がが居たっていい
作中のミームってどこまで把握してますか・・・?
-
0-19%そのままの君で居て欲しい
-
20-39%一般人の範疇
-
40-59%オタク君さぁ・・・
-
60-79%マジで危機感持った方が良い
-
80-100%キッショなんで分かるんだよ