ネットミーム・アーカイブ 作:一酒の過ち
たとえばちょっとした色遣いの差にも気づく
周囲と溶け合わない影を見つけ出し
あるいはあるべき場所にない形に気づく
違いは危険が伴うこと
大きな危険が
・・・でもこの前アバンギャルド君に無断でグラフィティ描いた時は、流石に命の危険を感じたよ
「ナイス閃光です、先生♡」
「あっ、逆鱗出た。」
「ずるいよユズ〜!私まだ0枚なんだけど!」
だらり
なんて効果音が流れそうな程に、緩み切った空気が流れるゲーム開発部の室内。
このゲーム開発部に来てから、2週間近くが経った訳だが・・・
このゲーム開発部には問題がある。
というのも、ここまでゲーム開発の”ゲ”の字すらも見ていないのだ。
彼女達がゲーム開発部を立ち上げるまでには、涙なしで語れないストーリーがあったというのに。
そんな感動のストーリーは是非本編で見てくれよな!
うちでは尺とかの都合で取り扱ってないので!
『モモイ~?本当にゲーム作りたいんだよね?それなら、時間があるのは良い事だけど目標すら決めずに先延ばしにするのは良くないよ。』
「それはそうなんだけどさぁ・・・」
あくまで生徒の自主性に任せたかったのだが、流石にこのままというのも良くないと思う。
私もだらけてしまっていたが、一応ユウカも部としての実績が必要だとも言ってたし。
それに彼女達の良いゲームを作りたいという気持ちは間違いなくホンモノだ。
それなら貴重な時間を無駄にしてしまうのは、何より彼女達の為にならない。
あっ、凄い先生っぽい事言ってない!?私!
『今度やる”ミレニアムプライズ”なんて、部としての実績作りにはピッタリじゃない?』
どうやらミレニアムで一番大きい品評会らしいし、部としての成果物をアピールするのならこれ以上の場は無いだろう。当然敷居は高くなるが、彼女達の情熱があればそう悪い結果にはならないと思う。
「うっ、それはそうなんだけど。創作って切羽詰まらないとモチベが沸かないというか・・・」
『良いからまずはデスクの前に座ろう?まずは5分だけで良いからさ。』
私の心の中のサークライさんも、<まずは手を付けろ>とおっしゃっていた。
作業に意欲がわかなくても、まずは手を付けてしまえば何とかなってしまうことは確かに多い。
そんな訳で遂に始まったゲーム制作。
今回はテイルズ・サガ・クロニクルの続編・・・
つまり
モモイがシナリオライターで、ミドリがイラストを担当しているみたいだ。
ユズは一人でTSCのプロトタイプを作ったらしく、全般の事が出来るとみていいだろう。
アリスは出自からかやはり、プログラム関係や模写と言った分野では目を見張るものがある。
そして・・・
「やはりモモイのやる気などと言う不確定要素に左右されるべきではありません!この私がこのゲーム開発部を管理します!」
スマホの画面越しに何故かしれっとマネージャー面をしているのは、ケイちゃんだ。
そもそも何者なんだお前は・・・
そんなメンバーでついに始まったゲーム開発だったが・・・
作業に一区切りついたところで、モモイが思い出したかのように口を開く。
「でもさ~折角だからこのG.Bibleの中身も気になるよね。」
「折角も何も、本来の目的はそっちだったでしょお姉ちゃん。」
「な・・・王女の事はどうでも良かったって言うんですか!?あくまでG.BiBleのおまけだと・・・!?」
「どうしようお姉ちゃん。アリスちゃんの事になると、この子すっごく面倒くさい・・・」
「で、でもパスワードが分からないから開けない・・・よ?」
そんな時、いつもより3倍マシのキメ顔で立ち上がったのはこの女だった。
「私の力が・・・必要なようね。」
セミナーの傑物、ビッグシスターこと調月リオ。
このミレニアムを束ねる生徒会長のはず・・・なのだが。
『リオは静かに座っててくれればいいから。』
「・・・解せないわ。」
『生徒の自主性は尊重したいけど、リオがお昼に作った黒い炭のような何かを忘れてないからね?』
「あれは・・・そう。レシピに改善の余地があるわね。」
「レシピに問題はなかったと思いますが・・・」
偉い人なのはわかっているつもりなのだが、どうしてもポンコツ風味がしてならない。
G.Bibleは何もしてないのに壊れちゃいました!では、替えが効かないので。
というか、しれーっと居座ってるけど・・・ここはゲーム開発部の部室だよね?
さも、いつものメンバーですよ?みたいな顔をしているが。
「当然よ、私にはAL-1Sを見定める義務があるもの。(建前)」
『そ、そっか・・・』
「それに、ミレニアムに新しく入ったのなら分からない事も多いでしょうし。ミレニアムの事にはそれなりに詳しい自信があるわ。(本音)」
ミレニアムに詳しいのは、そりゃあ会長なんだから当たり前田のクラッカーって奴だろう。
まあ、何でもできるからって何でも一人でやってしまったら・・・
周りの成長の機会を奪っているの同義でもあると思う。
「・・・そう言う事なら、ヴェリタスの子達が適任だわ。」
「アポイントメントはとっておくから、1時間後くらいに向かって頂戴。」
『あれ、ヴェリタスについてはこないんだ?』
意外だった。てっきり監視(建前)の名目でついてくると思ってたんだけど。
「そろそろ戻らないと・・・」
『戻らないと?』
「・・・・・・ユウカに叱られるわ。」
・・・上下関係はユウカが上なんだ。
それからおおよそ一時間後。
モモイもあぁは言っていたもののゲームにかける情熱は本物のようで、パソコンと睨めっこをしていた。
だからヴェリタスに向かうのは私だけ、そう伝えただけだったのだが・・・
「先生、大丈夫ですか?一人でいけますか?何かあったら躊躇わずに呼んでくださいね、すぐに駆けつけますから!」
形相を変えて部室にやって来たのは、書類の山に溺れている筈のユウカだった。
何故ここに?逃げたのか?自力で脱出を!?
「いや、先生が心配で抜け出しに来ただけですよ。」
『ユウカ?私を何だと思ってるの?まさか、部活を訪れるだけで何か起きる訳ないでしょ?』
「・・・そう言って他学園に行くって言って、道半ばで倒れてたじゃないですか。」
『それを言われると反論できないね・・・』
思い起こされる、先日のアビドスでの一件。
駅にすらつけずに、倒れ伏したのは紛れもなく私だ。
ふふ、ままならないね。
「本当に心配したんですからね?先生はもっと私を頼ってください!」
『うん、気をつけるね・・・』
今でも少し頼りすぎているとは思っているが、倒れられる方が迷惑か。
とは言え今回は室内で、目的地は同じ学園内の部室だから問題は無いだろう。
それに弱いって事は・・・もっと強くなれるってコトやん?
「お前の場合、もう伸びしろは無えようなもんだと思うけどな・・・」
なんだァ?テメェ・・・
そう言う訳でゲーム開発部を置いて部室を出た私。
ヴェリタスと呼ばれる部活は、非公認のホワイトハッカーグループらしい。
部員数は現在5名で、本来の部長はあの”全痴”ことヒマリちゃん・・・
今は”特異現象捜査部”とやらの部長をしているらしいけど。
特異現象と言えば、今のキヴォトスの状況が特異に当たるんじゃ?と思ったけど。
「ここではこれが”普通”だぜ。残念だが諦めるんだな。」
・・・ということらしい。
まあ、そんな特異な存在にはそうそう出会わないだろうから気にする必要も無さそうだ。
辿り着いた部室の前にはヘッドフォンをつけた少女が、探るように廊下を練り歩いていた。
「ああ、先生。そろそろ来ると聴いて・・・いや、聞いていましたよ。」
『うん?えっと、出迎えてくれてありがとうね。』
何処か含みがあったけど・・・まあ気のせいか。
「これお近づきの印に差し上げます。」
そう言って手渡されたのは、可愛らしい赤いお団子に不釣り合いな虚無顔の人形。
『こ・・・この人形は?』
ヴェリタスの部員の誰かを模したものなのだろうが・・・
「謎マキちゃん人形です。」
何で人形を渡したのかが聞きたいのであって、人形の名前は訊いてないんですけど?
しかもなんだよ謎マキって・・・
とはいえ、生徒からの折角の好意だ。受け取っておくことにしよう。
『あ、ありがとね?そう言えば名前は・・・』
「自己紹介がまだでしたね。ミレニアムガクエンオトセコタマです。他の部員も待ってるので、話は室内でしましょう。」
『そ、それじゃあお邪魔します。』
それじゃあ早速お邪魔して・・・
待って、なんでミレニアムなのにわざわざ学園を名乗ったの???
最近の若い娘の考えることは良く分からないよ・・・
如何にもハイテク~と言った様子の部室へと歩を進める。
壁には所狭しとモニターやサーバーらしきものとエナジードリンクの箱が並べられている。
『こんにちは~私がアリサ先生だよ。あれ、四人しかいないけど。』
「副部長は今は外に出払っているので。」
「私は
「私は
「ぼ・・・僕はビナーだよ。よろしくね!」
・・・この子は!
「頓珍漢なお前でも流石に気づくか。何を隠そう彼女はデカグラ・・・」
珍しいな、僕っ娘だ!
「ああ、まあそうなんだけどよ・・・まあいいか。」
何かを言いかけたアロナちゃん。
ギザ歯がチャーミングな彼女に何か特別な事情でもあったというのだろうか?
パッと見は他の部員と変わらないように見えるが・・・
まあアロナちゃんがだんまりを決め込んだあたり、説明してくれる気はないのだろう。
それなら特に気にする必要もなさそうだ。
これでヴェリタスのメンバーの確認・・・ヨシ!*1
『それにしても随分と個性的な制服だね?』
デカデカとBINAH!とグラフィティが描かれた制服は、最早元のデザインが分からない程に改造されている。
流石は最新の学校と言うだけあって、校風も自由なのだろう。
この前なんて制服の上からスカジャンを羽織った生徒までいたし。
制服って・・・自由ですか?
「マキちゃんが描いてくれたんだ~!僕の一番のお気に入りだよ!」
「私も今年一の出来だと思うよ、ビナー君!」
あれを制服と呼んでいいのかは怪しい所だが・・・本人たちが幸せそうならそれで良いだろう。
可愛い生徒たちともう少し雑談に興じたい気持ちもあるが、モモイ達も待っているから早急に本題に移らないと。
『このG.Bibleの中身を何とかして見たいんだけど・・・どうにかならないかな?』
「そう言う事ならうちを訪れたのは正解です。あらゆるセキュリティを突破できると噂されるOptimus Mirror System。通称
「そう言えば鏡は・・・」
「没収されてたね。」
そんなセキュリティにおけるマスターキーを作れるなんて、製作者はさぞ凄い人なんだろう。*2
『確かに使い方によってはかなり危険な代物だよね。それで没収・・・というと誰に?』
パッと思いつくだけでも、悪用方法は沢山ある。
だからこそ、没収されたんだろうけど。
「このミレニアムサイエンススクールのトップ。つまりは・・・」
「セミナー・・・だね。」
セミナーというとユウカ達のいる?
どうしよう、凄いどうとでもなる気しかしない。
という訳でセミナーの部室にやって来た私。
どうやら鏡を押収したのはユウカらしいので、彼女に聞けば良いだろう。
そういえば、なんだかんだセミナーの部屋を訪れるのは初めてかもしれない。
ユウカとリオの他には誰が居るんだろうか?
「あら、先生。ユウカは残念ながら外出中よ。30分ほどすれば戻ってくると思うけれど。」
『リオじゃん。うん、ありが・・・ん?なんで私がユウカを探してるって分かったの?』
「鏡を探してここに来たのでしょう?こうなる事は想定していたわ。言わなかったかしら?」
『聞いてないけど?』
「・・・言ってなかったわ。」
・・・うーん、この。
「あら、ユウカちゃんがよく話していた・・・」
誰だろうか、この妙に強キャラ感のある少女は。
「貴方がアリサ先生ですね?」
『うん、私がシャーレから来た先生だよ。君は?』
「自己紹介がまだでしたね、私の名前は
そう言ってこちらへ歩いて来た彼女は・・・キメ顔のまま何もない所で転んだ。
ズテンって音が室内に響き渡る。うっわ、顔からいったよ・・・大丈夫かな?
『だ、大丈夫・・・?』
「
「大丈夫ですよ、何時もの事なので。」
そう言って鼻頭を押さえながら何も無かったかのように立ち上がった彼女。
いや、本人は何もなかったように取り繕おうとしているがぶつけたたらい箇所が赤くなっている。
第一印象は訂正しよう、この子もそういうタイプか・・・
「お恥ずかしい所を見せてしまいました、私・・・少しばかり運動が苦手でして。」
少し・・・少し?
椅子から立ち上がって、私の横に来るだけで転んだのに?
何だろう、凄い親近感を感じる・・・!
『私達、仲良くなれると思うんだ・・・!』
「え、えぇ?よろしくお願いします?」
「はっちゃ~!」
そして、もうマスコットが居る事に一切疑問を覚えなくなっていた自分に驚いたんだよね。
なんなんだよ、はっちゃ~って。
「あっちゃ~・・・」
やかまわしいわ。
そんな訳でセミナーでユウカの同僚にあたる彼女達と親交を深めていたところユウカが帰って来た。規則的に正攻法では押収品を一応部外者である私に使わせてはくれないだろう。
だからこそ、私には秘策があった。
それは・・・
『・・・という訳でこそっと鏡を使わせてほしいんだよ、ユウカ~!』
泣き落としだ。
自身のビジュアルとニーズを完璧に理解したこの作戦・・・もろたで工藤!
「いくら先生の頼みでもダメです。」
『そ、そこをなんとか!』
「うっ・・・いや、ダメです!セミナーとして何処かの部活を優遇する訳にはいきません!」
「今ちょっと揺らぎましたねユウカちゃん・・・」
なっ、私の計算ではユウカにこの泣き落としが成功する確率は100%だというのに・・・!
馬鹿な!?こんな状況僕のデータに無いぞッ!!
「大の大人が生徒に泣き落としってのも、まあ大概終わってやがんな・・・」
それは自分でもちょっと思ったから、あんまり言わないでほしいな?アロナちゃん。
『そ、そんなぁ・・・』
「ゲーム開発部への援助は
『うっ、うん・・・』
こうなると手詰まりだが・・・
それとは別に安心した自分もいた。
ミレニアムプライズを作品の出来関係なく、身内票なんかで受賞しても価値がない。
審査や運営側があくまで公平に判断してくれるという情報が知れただけでも価値がある。
・・・まあ、言い訳をしても有用な成果が得られなかったのは事実なんだけどね!へけ!
『ふふっ、私・・・おつかいすらままならないなんて・・・』
「お、落ち込まないでください先生・・・話はまだ終わってないんですから。」
『えっ、どういうこと?』
まさかこの状況を打開する神の一手があるというのだろうか。
さすユウ・・・さすユウだ・・・!
「確かに先生達を特別扱いすることは出来ません。」
「・・・ですが、正規の手順で押収品を取り戻したいのなら話は別です。」
「今回の押収品はヴェリタスでの度重なる盗聴や不正アクセスへの罰として盗聴器と一緒に押収したものですが・・・そもそもこの鏡は他の人の所有物なので、本来の持ち主の許可さえあれば使うことは出来ますよ。」
盗聴?不正アクセス??盗聴器???聞いてないが・・・?*4
『ユ、ユウカ・・・!信じてたよ!それで本来の持ち主って?』
「鍵の作成者であり、元ヴェリタスの部長。つまりは・・・」
やけに勿体ぶるじゃん、アゼルバイジャン。
そんなに厄介な相手なのだろうか?
「明星ヒマリ・・・その人です。」
・・・うっわ。
ちょこっと人物紹介
■ビナー君
好きなものはマキちゃんのグラフィティ。趣味は砂漠を散歩すること。
先生はアビドス砂漠にすら行ってないので、BINAHを知らないのも無理はない。
■コタマ
聞 コ 会
か タ 話
れ マ は
て に
い
る
メインで手掛けてる作品がひと段落したので、少しだけ投稿頻度が上がるかもしれません。
次回、ミレニアム編最終回(予定)
作中のミームってどこまで把握してますか・・・?
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0-19%そのままの君で居て欲しい
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20-39%一般人の範疇
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40-59%オタク君さぁ・・・
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60-79%マジで危機感持った方が良い
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80-100%キッショなんで分かるんだよ