鳩原未来と一緒に訓練するようになり、二ヶ月弱が経過した。草太の提案通りに東に師匠になってもらうように頼み込み、未来はようやく正隊員になることが出来た。
……そして、今日は未来の卒業式の日でもある。
「草太くーん……! もうお別れなんて早すぎるよー!」
「いや学校での話ですよねそれ」
なんかやたらと号泣しながら抱き締めて来て、こちらも少しリアクションに困る。ちなみに胸もガッツリ当たっていたりするのだが、それにリアクションしないのは単純にまだ思春期が来ていないことと、それ以上に遠くでコチラを見ていると思われる華の殺意がヤバいことに起因している。
「あの、とりあえず離れましょう。どうせしばらくはボーダーで一緒なんですから」
「良い? 学校でいじめられそうになったらお姉ちゃんに言うんだよ?」
「いや葉子に言っても何も解決しませんし、騒ぎが広がるだけ……」
「違う違う。私私」
「何でですか」
何で卒業した先輩にわざわざ相談する必要があるのか。そもそも、虐められるほど弱くもない。
最近、この人も中々変わってきて、やたらと姉っぽさをアピールされるようになってしまった。まぁ、何となく前々から弟のように扱われているな、とは思っていたが、おそらく弟の代わりにすることで少しでも精神の安定を図ろうとしているんだろうと理解したので、何も言わないでおいている。
さて、それよりも、そもそも華や葉子と離れて未来と合流したのには理由がある。
「それより、そろそろ行きましょう。ボーダー本部で集合受けてるんですから」
今日は、珍しくボーダーに招集が掛かっている。それも、その間の防衛任務のメンバーを除き、正隊員全員だ。
前々から告知は受けていたので、みんなこの日に予定は入れていないことだろう。
「そうだね……でも、何の集合なんだろうね?」
「メールに書いてありましたよ。特別演習って」
「そうだっけ……内容は?」
「それは分かりません」
まぁ、特別演習といえば聞こえは良いが、要するに新たな訓練の試験運用ということだろう。
ボーダーの人数が増えてきたこのタイミングで行われているので、連携などの練習なのかもしれない。
「とにかく、遅れられませんし、急ぎましょう」
「でも、まだ時間あるよ? 後二時間もあるし、お昼くらい食べに行っても……」
「ボーダーの食堂で良いでしょう」
残念ながら、草太は走ることが出来ない。なので、近くギリギリの時間に行くくらいなら、なるべく余裕を持って行きたいものだ。
「分かった。じゃあ行こっか」
「はい」
とのことで、とりあえずボーダー本部に向かった。
×××
本部の集合場所である大型会議室では、もう草太も割と見覚えのある顔ぶれが席に座っていた。ボーダーの正隊員達なわけだが、こうして見ると本当に増えたものだと実感させられる。また、
だが、よくよく見ると木崎や小南、迅などのメンバーはいない。もしかすると、今日は防衛任務なのかもしれない。
逆に、戦闘員だけでなくオペレーターも何人かいる。
「……すごい人だね。20人くらい?」
隣の未来がそんなことを呟くが、実際それくらいいる。こんな人数で一体何が始まると言うのか?
さて、とりあえず草太と未来も席に座る。その後、ステージの脇から忍田が出て来た。
『ご苦労、諸君。これより、特別演習のガイダンスを始める』
そう話しながら、忍田はモニターの画面をつけた。そこには「特別演習〜部隊ごとのチーム戦〜」の文字が浮かんでいた。
『これから行うのは、書いてある通り部隊ごとのチーム戦。これからここにいるメンバーの何人は3チームに分かれてもらい、各々で戦闘を行ってもらう』
対人戦か、と思いつつも「何人か」という所に引っかかる。全員がやるわけではないのだろうか?
『訓練室を使った実戦を想定したものだ。5人一部隊で三つ巴の戦闘とし、相手部隊の敵を落とせばポイントが入る。そして最後まで残った部隊には「生存点」として2点が加算され、多く点をとったチームの勝利とする』
三つ巴……しかも、点を取れば取るほど相手に差をつけられるというルール。少なくとも、外で普段よくやる防衛任務とは違いそうだ。
つまり、この訓練で想定しているのは普段の任務とは全く違う相手との戦闘らしい。
『部隊の隊長、またオペレーターはこちらで選考した。これからその隊長達は、今この場にいるメンバーから戦闘員を3人選んでもらう。では、その隊長は名前を呼ばれたら前へ来るように』
「同じチームになれると良いね」
「そ、そうですね……」
隣の未来がそんなことを言って来る。まぁ確かにそうなると気は楽だ。なるべくなら知っている人が同じチームに来てくれるとありがたい。
『1番隊、東春秋。オペレーター月見蓮』
「はい」
「はい」
『2番隊、風間蒼也。オペレーター宇佐美栞』
「はい」
「はーい」
『3番隊、嵐山准。綾辻遥』
「はい!」
「! はい」
なんとなく「まぁそうだよね」と言わんばかりのメンバーが揃っている。確かに部隊を率いるのにもってこいのイメージだ。
その後、後ろのスクリーンが三人の隊長とオペレーターに切り替わる。
『君達にはこれからくじを引き、1番から順番に隊員を選んでもらう。メンバーの後からの変更は出来ないため、時間をかけて選んでくれて構わない』
時間を掛けて……とのことらしいが、何か意図があるのだろうか? まぁ何にしても、選ばれる側の草太はしばらく待機だ。のんびりと様子を眺める。
その後、くじが始まり、まず1番を引いたのは風間だった。
『1番は誰だ?』
「自分です」
『名簿はここにある。時間を使って構わない』
忍田に言われてパソコンを見せられた風間は、無言のままリストを眺める。小さく「ふむ……」と唸った後、すぐに指名した相手を告げた。
「香取草太を指名します」
えっ、いきなり? と少しギョッとする。まさか一番最初に選ばれるとは、とちょっとだけ狼狽えてしまった。
「おおー、すごい草太くん。一番最初だね」
「そ、そうですね……?」
何が起こったのかイマイチわからないが……まぁ、出れるだけマシだろう。とりあえず喜んでいると、二番手の嵐山が次の指名をした。
「じゃあ、鳩原未来で」
「えっ」
「未来さんもじゃん」
というか、いきなりこの場にいるスナイパーは全員売り切れた。何でだろう、と少し考えてみたが……よくよく考えれば当たり前なのかもしれない。
何せ、スナイパーは隠れて撃つのが仕事。他のアタッカーやガンナーと違って、姿を見せずに戦うので各部隊一人は押さえておきたいところなのかもしれない。
「てことは、私は草太くんと別のチームかー……撃ちたくないなー」
「なんで俺を撃てる前提なんですか」
さて、続いて東の選択。少しリストを眺めて迷った後、すぐに答えを出した。
「では、二宮でお願いします」
そんなわけで、次の選択に移った。次のトップは嵐山。今度は即決ではなく少し考え込む。今度こそ連携などを考える必要があるポジションなので、思考も長くなるのだろう。
「そうだな……出水で」
出水公平は、確か草太の一個上だ。天才射手であり、二宮とさえバチバチにやり合える。
さて、次の選択は東だ。
「三輪を選びます」
その次は風間。
「太刀川を指名します」
そして三巡目。今度は東がトップだ。
「加古を取ります」
その次は風間。
「……では、諏訪で」
柿崎が選ばれ、そして最後に嵐山の番。
「柿崎でお願いします」
これで部隊のメンバーは決まった。それに伴い、スライドに分けられたチームが表示される。
1番隊
・東春秋
・月見蓮
・二宮匡貴
・三輪秀次
・加古望
2番隊
・風間蒼也
・宇佐美栞
・香取草太
・太刀川慶
・諏訪洸太郎
3番隊
・嵐山准
・綾辻遥
・鳩原未来
・出水公平
・柿崎国治
となった。草太が所属した2番隊はアタッカーに寄せられており、近接戦闘メインで戦う事になるのだろう。
『準備期間は二週間とする。二週間後、個人ランク戦の会場を使い、ステージを市街地Aと設定して行う。詳細は各隊長に後程、データで送信するため確認するように。今回、選ばれなかった隊員も観戦は出来るので、興味があれば見学することを許可する。何か質問はあるか?』
草太としては特にない。というか、まぁぶっちゃけこれで何か評価が変わるという話も聞いていないので、とりあえず普通にやれば良いだろう。
そんな中、手を挙げたのは風間だった。
「今後、部隊が運用されていくとして、今回決められた部隊がそのまま使われていくということでしょうか?」
『そのような事はない。今回はあくまで特別訓練として行われ、部隊として運用されるとしたらその時にまた隊員を選び直すことになる』
つまり、確定ではないらしい。それは少し助かった。将来、葉子や華と組む予定の草太としては、今は部隊を組む気はないから。
すると、今度は二宮が手を上げた。
「この戦闘で選ばれた隊長の基準はなんでしょうか?」
『我々が適性があると精査した結果だ。詳細は答えられない』
「……」
相変わらず二宮はプライドが高い。本来なら自分が隊長をやりたいとさえ思っていたのだろう。
しかも、年下の嵐山が隊長に選ばれていて、何か気に入らなかったのかもしれない。
だが、忍田の返事はそれだけで説明はなかった。
質問か……と、少し考え込んだ草太は、一つだけ気になったことがあったので聞いてみた。
「あの、防衛任務では現状、トリオン兵しか来ていないのにこう言った訓練を実施するってことは、人と戦うことがあるかもしれない、ということですか?」
その質問をすると、一気にその場の空気が冷え切った気がした。ほんの1〜2秒で数多くの人間の感情が入って来て、少し酔いそうになってしまったほどだ。
少し、踏み込み過ぎただろうか? あんまり訓練に関係もないし、なかったことにした方が……と、思ったのも束の間、すぐに忍田は答えた。
『そういうこともあるかもしれない、と理解して構わない。この訓練をどう理解するも、君達の自由だ』
「……」
煙に巻くような答えではあったが、概ね答えでもあっただろう。つまり、トリオン兵を操っているのも自分たちと同じような人間なのかもしれない。
まぁトリオン体なのでそいつらと戦っても殺人を強いられるような事があるとは限らないが、そのつもりで臨んだほうが良いのだろう。
『以上でガイダンスを終了する。それでは、解散』
との事で、解散することになった……が、まぁ座っていた隊員達の中で、演習に参加することになった面々は一度合流しに行っている。
草太も風間に挨拶した方が良いかも、と思ったので、席を立とうとした時だ。隣の未来が声を掛けてきた。
「ね、草太くん」
「はい?」
「トリオン体って、叩かれたり撃たれたりしても生身は傷つかないんだよね?」
「そうですね?」
実際、個人ランク戦で何回か戦闘をして勝ったり負けたりもしたが、特に痛みも何もなかった。もっとも、スナイパーである未来にはあまり実感はないのかもしれないが。
そんな中、ふと未来の感情が自身の中に入ってくる。何かに、少し怯えているような、そんな感情だ。
何に怯えているのか分からないが、もしかしたら緊急脱出とかするのが怖かったりするのかもしれない。とりあえず元気づけてあげることにした。
「未来さん、大丈夫ですよ。本当に身体に穴とか空いても痛くないし、血も出ません。まだ公園で転んで膝を擦りむいたとかの方が痛かったりしますから」
「……そっか、そうだよね」
……少し違ったかもしれない。思ったよりこの暗い感情は晴れなかったが、まぁマシになった。
そろそろ風間達に合流しないとと思い、一先ず席を立った。
「じゃあ、俺もう風間さん達と合流しないといけないので」
「うん。じゃあまたあとでね」
それだけ話して、そのまま草太は移動した。
×××
一先ずラウンジに集まった2番隊のメンバーは、飲み物だけ買って椅子に座った。
「さて、まぁ集まってもらったのはほぼいつものメンバーだが……全員、顔馴染みであってるな?」
「そうだな。大体」
「あれ? 諏訪先輩と香取くんも知り合い?」
「銃手同士だしな」
「たまに顔合わせてましたよね」
とのことで、自己紹介はいらない感じだ。それよりも問題は、これからどうするのかだろう。二週間後の訓練。やるからにはやはり勝ちたいものだ。
一先ず、草太は風間に聞いてみる。
「風間さんはもう作戦とか考えてるんですか?」
「そうだな。ざっくりとだが、俺と太刀川で前に出て、諏訪はその間に相手の他の銃手を牽制する。間合いさえ詰めれば負けるようなことはないだろう」
「あの、俺は?」
「お前はスナイパーだろう。いつも通りの動きで良い……が、そうだな。撃つ相手はきっちり選べ」
選べとはどういう意味だろうか? 撃って当たる相手なら片っ端から吹っ飛ばせば良い気もするのだが。
その草太の疑問に答えるように風間は言った。
「二宮や出水のようなトリオン量の多い相手はシールドが硬い。そんな相手に隠れて撃つのが仕事のお前が撃っても防がれて居場所がバレるだけだ」
「あー……確かに?」
そう言われるとその通りな気もする。実際、ゲームでも狙撃をするなら最初の一発目は確実に当てないと奇襲にならない。
そんな中、太刀川が呑気な声で会話に混ざってくる。
「まぁまぁ、風間さん。その辺の細かいことは置いといてよ。とりあえず特訓しようぜ。ランク戦のブース空いてるし」
「お前は勝負がしたいだけだろう」
「だってチーム戦だろうとなんだろうと、結局強い奴が勝つじゃん。そんなわざわざ身構えなくても平気だろ」
「どうだかな。お前がいくら強くても、距離を置かれてドカドカ撃たれたら厳しいだろう。東さんも嵐山も、みんな射程持ちを意図的に揃えていた。俺や太刀川では近付く前にシールドごと削られて負けかねないぞ」
それはその通り。よく「達人は銃より剣の方が強い」とか聞くが、そんなことはない。条件次第とは言え、基本的には遠くから攻撃できるほうが強い。
「じゃあどうするんですか?」
宇佐美が聞くと、風間はすぐに答えた。
「シンプルだ。序盤はバッグワームを着込み潜伏し、他の二部隊が始めたところに乱入する。諏訪と香取、お前らは俺と太刀川が逃した相手を先回りするか、もう一部隊の足を止めろ」
「良いけどよ、そんなに上手くいくかぁ?」
「分からん。だが、ノープランよりマシだ」
それは草太もそう思う。なので特に異論はない。だが、太刀川は不満げな様子でため息をついている。
「えー、せっかく二宮とかボコボコに出来んのに、そんなこっすい真似すんのー?」
「文句を言うな。隊長は俺だ」
「へいへい」
……なんか少し険悪になった。実際、風間よりも太刀川の方が個人ランクは高いし、おそらくかなり勝ち越している事だろう。
とはいえ、草太としてはあまり険悪になるのはやめてほしい。理由を一言で言うなら、風間のイライラが中に入ってきてしんどいからだ。
太刀川も太刀川で、競争相手のチームにライバルの迅がいないから少し不満そうにしている。まぁ高校生ならそれくらい隠せよと思わないでもないが。
まぁ、こういう時ほど草太の出番だろう。
「太刀川さん、普通にやったら太刀川さんが一人で全員倒しちゃうかもーなんての、風間さんは分かってますよ」
「だろ? ならその方が話が……」
「そんな勝って当たり前の敵なんかに無双して楽しいですか? 今回の演習の目的は連携です。なら、太刀川さんも連携を主軸にして戦ってみれば、さらに強くなるのでは?」
「いや、既に強いのにさらに強くなっても……」
「迅さんなら連携も個人も両方器用にこなせそうですし」
「よし、風間さん。みんなで協力して頑張ろう」
この人簡単だ。ていうかそんなにちょろくて良いの? と心配になってしまうレベル。
すると、内部通信で風間の声が聞こえてくる。
『悪い、助かった』
『いえいえ』
お礼なんていらない。自分のサイドエフェクトはこういう時のために役に立つ。……というか、太刀川も思った以上に尖っている。この前、二宮と賭けをして暴れていたときも思ったが、随分とブイブイ言うようになったものだ。
風間が飲み物を飲み干して立ち上がる。
「とりあえず、細かい作戦は本部からデータが届いたら改めてする。じゃあ、今日は解散だ」
「うーっし、この後またランク行くか」
「お疲れさん」
と、諏訪と太刀川がいなくなる。草太と宇佐美も顔を見合わせて退散しようとしたが、その二人に風間が待ったをかけた。
「二人とも、少し良いか?」
「「?」」
なんだろう、と足を止める。宇佐美が小首をかしげる。
「なんですか?」
「……まぁ、なんだ。見ての通り、太刀川はああいう奴だし、諏訪も割と大雑把だ。今後しばらく二人には苦労かけるだろう」
「あー……」
それはそうだろう。まぁ一番苦労を被るのは風間なのだろうが。そんな事、わざわざ事前に言ってもらわなくても大丈夫だ。
「俺は平気ですよ。ああいう人もいるってだけでしょ」
「ああ……だが、太刀川が乗れば、この部隊には確実に勝てる力がある」
それもそう。太刀川は個人ランク戦でもバリバリ暴れているし、観覧席の人が太刀川対迅を見ると大体引く。
「だから、二人はなるべく太刀川を乗せてやって欲しい。俺と諏訪はあいつに合わせる」
「なるほど……そういう」
まぁ要するに、太刀川の好きにさせるということだろう。そういうのは得意だ。似たような姉がいるし。
「分かりました」
「任せて!」
「なら……今度こそ解散だ」
とのことで、とりあえず今度こそ帰宅することにした。なんだか面倒な部隊に入ってしまったが、まぁ普段から似たような人を相手にしているし、問題ない。
そんなことをぼんやり考えながら、トリガーを解除してスナイパーの訓練場に向かった。もしかしたら未来がいるかも、と思って顔を出しておきたかったからだ。後自主練のために。
で、中に入ってみるが、未来の姿はない。仕方ないので一人で訓練を始めた。
「……」
しばらく撃ち続ける。今回のシチュエーションは、対人戦。目の前の的を人の頭だと思ってぶっ放す。
的の大きさ的に……中心が鼻の真ん中あたりだ想定すれば、真ん中に当たらなくても顔は吹き飛ばせる。
「よし……!」
そんなことを呟きながら、とりあえず狙撃を続ける。だが……何故か乗ってこない。普段ならこの辺で周囲の雑音が消えて的にしか目が開かなくなったりするのだが、どうにも今日はスイッチが入らなかった。
「……ふぅ」
なんか気疲れして、少し気を休める。久しぶりに一人での訓練だからだろうか? 考えてみれば、ここ最近はずっと未来と東とたまに木崎と訓練していたので、一人というのは本当に久しぶりだ。
……やはり、なんか乗れない。少し休もうかなと思い、早くもライフルを置こうとした時だった。
ふと入って来たのは「後ろから脅かしたらどんなリアクションするかな」なんていうガキっぽいワクワクした感情。
そして、それと同時に両目を隠される。
「だーれ……」
「未来さん」
「早いよ! 少しは戸惑ってよ!」
無理である。サイドエフェクト的に。余程離れた地点からでないと、草太に不意打ちは効かない。
「すみません。バレバレだったので」
「うう……弟の癖に……」
いやあなたの弟ではありませんよ、と思いつつも、一先ずスルー。それよりも、わざわざここに来るとは狙撃の練習でもしにきたのだろう。
「未来さんも練習しにきたんですか?」
「うん。まだ草太くんいるかなーと思って来た」
「……そうすか」
この人、なんか姉を自称してくるがこちらとしてはむしろ年下を相手にしている気分だ。どこまで構って欲しがりなのか。
「……じゃ、俺練習するんで」
「うん。私もする」
とのことで練習を再開した。その後は早かった。ようやく集中して銃を撃つことができた。
高校生の頃の太刀川さんは尖ってそう何でこんな感じかなって。違ったらごめんなさい。