ボーダー本部にて草太が案内された場所は「訓練室」という場所だった。そこに集まっている人数は自分を入れると四人。モサモサした髪の人と、なんかめっちゃ背が低い人と、ロン毛の人と、草太。みんな男だ。
草太の方を見るなり、モサモサした髪の人がフランクに声をかけてくる。
「おー、若い奴が来た。風間さんより若いんじゃね?」
「……俺はお前より年上だと言ったはずだが?」
「あーそうだっけ?」
「二人とも、あまり騒ぐなよ。彼はまだ中学生くらいだ。威圧的にはしないでやってくれ」
なんて話が聞こえてくるが、特に何も思っていない。黙って輪の中に入る。どういう人達なのかは知らないが……こういうのは、第一印象。すなわち、礼儀を叩き付ける。
「初めまして。本日よりお世話になる、香取草太、中学一年生です。今後とも、よろしくお願い申し上げます」
「ああ、そんな硬くならなくて良いから、よろしくな」
「太刀川、あの中学生はお前より礼儀正しいぞ」
「はっはっはっ、あの中学生は風間さんと同じくらいの身長だけどな」
「……」
……なんかあんまり効いている感じがしない。いや、というかスルーされている気がする。なんだこの人達。
「俺は東春秋、大学生だ」
「俺は太刀川慶。高校二年」
「……俺は風間蒼也。高校三年だ」
なんかみんな仲良さそうだ。というか、あの小さい人は高三なのか、と思ってしまうが、まぁ成長は人それぞれということでスルーしておく。
すると、その場に忍田が現れたことで空気は一変した。
「すまない、遅くなった」
全員、ピリッと黙って前を向く。これから訓練なのだからなのだろうが、さっきまで少し浮ついていた空気が嘘のようだ。
「それでは、本日の訓練を始める。……それと、香取くんは今日が初めての訓練だな?」
「はい。よろしくお願いします」
「足の具合は大丈夫か?」
「大丈夫です」
まぁ、走れはしないんだから大丈夫もクソもないが、悪化していないという意味では大丈夫だ。
そのこちらの返事に小さく頷いた後、忍田は全員に声を掛けた。
「では、早速各々訓練開始。香取くんは私について来てくれ」
「あ、はーい」
言われて、とりあえずその後をついて行く。せっかく集まった訓練室を出て行って、その先の何処に向かっているのかは分からないが、その間に忍田が声を掛けてくる。
「これから君にはトリガーを選んでもらう」
「トリガー……って、そんなに種類があるんですか?」
「この前、少しだけ貸したトリガーとは少し違った意味のトリガーだ。あの中にはいくつか種類があり、ブレードやバッグワーム、シールドなどのトリガーが搭載されている」
どうやら名称的に「トリガーの中にトリガーが入っている」という表現になってしまっているらしい。あの小さなグリップ本体もトリガーだし、その中に入っている武器とかもトリガー。
まぁ、わざわざ分けてものを言う必要もないし問題ないだろう。
「その中でも、訓練生にはまず武器のトリガー一種だけをトリガーに入れ、腕を磨いてもらう」
シールドはともかく、バッグワームとかいう聞き慣れない単語は武器の名前ではないらしい。虫か何かだと予想してみたりする。
「その武器だが、今ボーダーは三種類のポジションを考案中だ。アタッカー、ガンナー、スナイパーだ」
「考案中ってことは、今までなかったんですか?」
「今まではアタッカーとガンナーのみだったものを、さらに幅を広げる。その為にガンナートリガーと狙撃トリガーを開発し、既に試作品は出来ている」
「へぇ〜……ちなみにガンナーって、やっぱり銃とかですか?」
「二口に分けると2種類だな。銃型トリガーでトリオンの弾を飛ばすか、シューターといってトリオンキューブを飛ばすか。……後者の方は見た方が早い。開発室で説明しよう。とにかく、これらの中でどれにするか、考えておいてくれ。もっとも、後からポジションを変えることも可能だし、アタッカーでもガンナートリガーを入れることもできる」
なるほどねーとか思いながら、そのまま忍田の後に続いた。
考えとくも何も、やはりまだピンと来ていない。トリオン兵を間近で見た身としては、あの巨体をブレードで斬るとか本当に出来るのかと気になるくらいだ。まぁ斬っている人はいたし、斬れなくもないのだろう。
それよりもこちらが相手にしたいと思うのは、あの遠距離から砲撃をぶっ放したブラキオザウルス。あれほど遠くから撃って来る相手に対応するには、こちらも遠くから撃つしかないだろう。
「着いたぞ」
そう言われて顔を上げると、中はなんかラボっぽいところだった。というか、ラボなのだろう。少し小太りで背が低いおじさんと、若い大人のお兄さんと、その他数名が何やら忙しなく手を動かしている。
「ここで、とりあえずトリガーを決めてから、今日一日訓練に入ってもらう。失礼します。鬼怒田さん、冬島」
声を掛けられて顔を上げた小太りの男の人が、軽く手を上げた。なんとなく、この人が鬼怒田って呼ばれた人っぽい。根拠はないけど。
「忍田本部長。彼か?」
「はい。お願いします」
「わかっとる」
もう話は通っているらしい。というか、今更ながらボーダーという組織にはどれだけの人数がいるのだろうか?
いや、それよりも今はあいさつだ。
「初めまして。本日より入隊の……」
「名前くらい知っとる。ワシは鬼怒田。ここでのトリガーの開発などを行なっとる」
「まず君は、ここで自分が使うトリガーを決めることだ。鬼怒田さんは開発室室長で、ボーダーのトリガーに関してはこの本部の誰よりも詳しい。いろいろと聞きながら、君に合うものを選んでくれ」
「分かりました」
「では、私はここで失礼する」
忙しい人なのだろう。部屋から出ていってしまった。
残された草太は、鬼怒田を前にして改めて頭を下げる。
「よろしくお願いします」
「ふんっ、そういうのはいらん」
礼儀で何とか対抗してみているのだが、何一つ彼の中では響いていない。いや「無礼な奴より良い」とは思われているっぽいが、その程度だ。
その鬼怒田とやらは、近くに置いてある書類の束に目を通す。
「ほう……中々のトリオン量じゃな。これだけあれば、どのポジションでもやれそうだわい」
「トリオン量って人によってそんなに差があるんですか?」
「勿論。背が高い奴低い奴、太っている奴痩せている奴がいるように、トリオン量にも差がある。そして、体型と違ってそれは後から増えたりするもんでもない。だから、お主には才能がある。ご両親にありがたく思っておくことじゃな」
「はい。そうします」
それはありがたい。ぶっちゃけ人生を賭けるつもりできているので、才能はあるに越したことはないから。
本当に感謝していると、鬼怒田が話の先を促した。
「それより、もう決めてあるのか?」
「あ、はい。まだ二択ですけど、スナイパーかガンナーを考えてます」
「ほう……何故そう考えた?」
「大規模侵攻の時、俺の友達の両親を殺したのが、首の長い白い奴でしてね。それが砲撃する瞬間が見えたんですよ」
あの時の光景は割と鮮明に覚えている。何せ、そのすぐ後に華の父親の腕を見つけて、母親の遺言を聞いたから。
「スナイパーなら、遠くにいるトリオン兵が行動を起こす前に仕留められる。そう思ったからです」
「なるほど……」
「けど……あー、素人考えで恐縮ですけど、スナイパーって基本寄られたら弱そうじゃないですか? あの虫みたいな奴と戦うには銃のが良いかなって」
そう言うと、不思議なことに少し鬼怒田は鼻息を漏らした。その割に、感情は少し好意的なものに変化している。
「よし、分かった。なら、まずお主はガンナーから始めるのが良かろう」
「え、そっち? てっきりスナイパーかと……」
むしろメインはスナイパーのつもりだったのに。何か技術者なりの意見があるのだろうか?
「良いか? 基本的にトリオン兵というのは生き物のように見えてロボットみたいなものだ。だから当然、その動きには理に適っている理屈がある。ならばスナイパーとして遠距離から撃って味方と連携する場合、その動きを知っとらんと誤射をしたり、味方の援護が出来んこともあるぞ。……だから、それなりに動きが近くで見れるガンナーを推奨しとる」
「……なるほど」
エンジニアらしい意見だ。確かに、動画でトリオン兵の動きを叩き込むのと実戦で見るのとでは頭の理解が違うだろう。
なんか他にも意図がありそうなものだが、今の理由で概ね納得出来たので、乗っておいた方が良いだろう。
「分かりました。じゃあ、ガンナーで」
「分かった。シューターと二種ある……という話は聞いとるな?」
「聞いてますけど……シューターってそもそもなんですか?」
「それは、俺から説明するよ」
そう言って口を挟んだのは、冬島と呼ばれた男だった。立ち上がりながら、トリオン体なのか手元からキューブのようなものを出す。
「こいつが、シューターが飛ばす弾丸だ」
「このキューブが?」
「そう。こいつはこのまま高威力で使えもするし、バラバラに細かく分割して散らして撃ったりも出来て、弾速も調節出来る……が、撃つ際にそれらを設定する必要がある為、攻撃に時間がかかる」
「でも、便利そうですねー。射撃一発の間に緩急とか付けられんのは」
「まぁ、その通りだ。どちらにする?」
「ガンナーで」
「そ、そうか……」
スナイパーメインで戦う予定なので、ガンナーでの戦いに余計な頭を割きたくない。でも即決だったからか、冬島には悪いことをしたかもしれない。
すると、鬼怒田はトリガーを一つ、こちらに手渡してきた。
「ほれ、訓練用トリガーじゃ」
「ありがとうございます」
「この部屋にも、試作トリガー用の訓練室がある。そこで少し撃っていっても構わん。冬島、面倒を見てやれ」
「了解っす。香取、訓練室の使い方教えてやる。あの部屋の中に入って待ってろ」
「あ、はい」
とのことで、訓練室とやらに入った。中は外から見るよりもやたらと広い空間に感じる白く簡素な室内。ぼんやり周囲を見上げていると、部屋の奥に的が浮かび上がった。
『うっし、じゃあまずはトリガー起動してみろ〜』
「はい。トリガー起動」
そう言った直後、草太の身体を白いボーダーの隊服が包んで行く。この前、使った時と違い腰にホルスターがついていて、そこに銃が入っている。
『腰に銃があるのは分かるな? それで、的を撃ってみろ』
「はい」
言われて、銃を抜いた。拳銃の使い方は予習しておいた。銃口の上側についているフロントサイトを敵がいる方向に向け、銃のお尻についている凹みのリアサイトの間に、フロントサイトが入るように合わせるのだ。
当然、覗き込むようにサイトを見る必要があるので、必然的に両腕のラインと視線を合わせる必要が出てくる。よく映画とかで見る撃ち方も、当然と言えるポーズだ。
それで、浮かんでいる人の上半身と頭だけを模った的を……撃つ。
「ありゃ」
だが、なんか肩辺りに穴を空けて終わってしまった。思ったより難しい。頭を狙ったのに。
『筋良いな。普通、最初から的には当たんねーぞ?』
「あ、そういうもんですか?」
『いや、トリオンの銃だしそんなもんか。まぁ、もう少し撃ってて良いから。的は自動で色んなところに出る。お前さんのトリオン量は無限に設定しておいたから、飽きるまで撃ってて良いぞ』
「分かりました」
そんなわけで、しばらく撃ち続けた。
×××
「失礼します。鬼怒田さんいますか?」
「東、どうした?」
草太を開発室の訓練室に放り込んでから四時間ほど経過し、鬼怒田がそろそろ存在を忘れかけた頃、東が開発室に入って来た。
「スナイパーのトリガーなんですが、もう少し威力が欲しいと思いまして……あれ、訓練室誰か使ってます?」
「ああ。あの新人じゃ。お前さんと同じスナイパー志望じゃったぞ。けど、最初はガンナーを勧めておいた」
「へぇ、それは嬉しい……え、なんでですか?」
「スナイパーというポジションはお前さんが初めてで本当に機能するかも分からんのに、四人の訓練生の内、二人も割り振れるわけがないだろう。本人もスナイパー志望だがガンナートリガーも持ちたがっておったしな」
「なるほど……」
少し東は小さな笑みを浮かべた。それにしても、あの歳でブレードではなく銃を好むとは、少し変わった子供だと思わないでもない。
「にしても、随分と長くやっとるな。あ奴が来たのは、もう4〜5時間くらい前のはずじゃが」
「え?」
それを聞いて、少し東も気になった。少なくとも知らない間に出て来た、なんて事はないだろう。
「俺、様子見てきますよ」
「すまん。冬島が面倒を見ているはずじゃが」
「了解です」
それだけ聞いたので、まずは制御室に向かった。中に入ると、冬島慎次は……爆睡していた。
「……」
「ぐかー」
なんか寝ているので、無視して訓練室内を観察すると……草太は、一心不乱にハンドガンで的を撃ち続けていた。
その精度はまばらだが、5発に3発は当てているし、そのうちの3発に1発は頭に当てている。多くもないが、少なくもないと言えるだろう。
だが……驚くべきなのは、この持続力。鬼怒田の話だと、少なくとも4時間前には撃ち始めていたらしい。
それを、一度も出てくることなく飽きもせずに続けていたというのだろうか?
「……面白い奴だな」
みんな個性的な奴らが集まったものだ、と少し感心してしまう。13歳の子供がボーダーに所属するとか最初は少し心配だったが、やはりこういう子か、と少し呆れたような笑みさえ溢してしまう。
だからこそ仲良くしておきたい。風間、太刀川、東はひと足先に入隊して、もうすぐ正隊員になりそうだから、今のうちに気を利かせてやれるところでもあれば利かしてやるべきだろう。いや、まぁ他の隊員もいるわけだが、今日はいないみたいだし。
そう思い、制御室から出て訓練室に入った。
「よう、香取」
「あれ、東さん?」
「そろそろ休憩にしないか? もう四時間は続けてるって?」
「? まだ40分くらいでしょ?」
「時計見ろ時計」
「いやこの部屋時計ないし……」
仕方なさそうに、一度草太はトリガーを解除してスマホの画面を見る。直後「げっ」と声を漏らした。
「マジじゃん……結構やってたな俺」
「一緒に休憩にしないか? ラウンジで何か奢るよ」
「え、ここラウンジなんてあるんですか?」
「あるある。今後も隊員は増えていくと思うし」
「じゃあ、すみません。ご馳走になります」
「おう」
自分の要件は後にして、草太と一緒にラウンジへ向かった。
歩きながら、東は草太に改めて声をかける。
「どうだ、ボーダーは? やっていけそうか?」
「今の所、射撃訓練場って感じですね」
「本当なら、トリガーが決まって試運転も済ませたら忍田さんに報告して次の訓練だからな……ま、楽しかったなら良い」
「東さんは何のトリガーを使われてるんですか?」
「俺か? 俺はスナイパーだ。イーグレットっていう奴」
「へぇ……」
あ、少し嬉しそうにしている。そういえば、彼もスナイパー志望だったはずだ。
「お前もスナイパー志望だったんだって?」
「今でもそうです。基本はやっぱ遠くから危険が危険じゃないうちに仕留めたいと思ってるので」
「それで、近距離にも対応できるようにガンナーか……中々、周到だな」
「いえ別にそうでもないですよ」
「はははっ、まぁもし何かあれば、何でも言ってくれ。スナイパーの先輩として、なんでも教えてやる」
「ありがとうございます」
中々、素直な奴で可愛い後輩かもしれない。いや……前例が太刀川と風間しかいないからそう感じるだけかもしれないが。
さて、そうこうしている間にラウンジに到着した。すると、そこでちょうど太刀川と風間が食事にしようとしていたのか、うどんとパスタを頼んでいた。
「お、なんだ。お前らもか」
「東さんと新人。二人も飯か」
「どうも。太刀川さんと、風間さん」
「ああ、香取」
適当な挨拶をしてから、このままこの二人と一緒に食べてしまおう、と決めた。その方が草太も早く馴染めるだろう。
「これから飯なんだが……一緒にどうだ?」
「良いよ。なぁ、風間さん」
「ああ、構わん」
「香取はどうだ?」
「はい。ありがとうございます」
と、いうわけで、そのまま四人で食事となった。
×××
食事が終わった後も談笑していたら、忍田が通りかかった事により、草太は訓練室に向かうハメになった。
で、残された三人は顔を見合わせると、何となく気になったのでその訓練の様子を見に行く事にした。
「中々、面白い奴でしたね」
風間がそう東に声を掛ける。すると、物珍しそうに太刀川が「おっ」と声を漏らした。
「風間さんからの高評価とか珍しいな。俺の時なんてほぼシカトされてたのに」
「お前の場合は無礼の極みだっただけだ」
何せ、太刀川は1つ年上の風間どころか4つ年上の東にも余裕でタメ口をきいていたりする、かなりヤバい奴でもある。その性格から分かるように成績もヤバいので、風間は基本的に嫌いだった。
だが、才能と実力があるので今ではそれなりに認めざるを得ないとは感じているが。
その高評価を出した風間に、東が声を掛けた。
「どの辺がそう思ったんだ?」
「一番、歳が近くて4歳年上の男3人に囲まれても、何一つ臆することなく、かと言って礼儀を忘れることもなく普通に会話出来る点です。そういう意味では普通じゃない」
「確かにな。鬼怒田さんとも普通に話してたらしいし」
肝の据わり方が違うというか、誰に対しても何に対しても同じような対応が出来そうだ。接客業とか向いてそう。
そんな中、今度は太刀川が声を漏らした。
「へー。そういやあいつ、迅が勧誘したって聞いたけど、ほんとかね」
「ああ……忍田さんと一緒に、だったっけか?」
「ほう、そんなこともあったのか」
「こりゃ、確かに色々と楽しみだな」
なんて話している時だった。ちょうど良く訓練室で近界民戦闘訓練が開始。相手はバムスターで、草太はそれを前にハンドガンを抜いた。
先手必勝、と言わんばかりに足を狙って撃つ……が、バムスターの装甲は硬い。弾かれた上に大きな損傷は見られない。
「撃ち続ければ壊せるが、時間が掛かるぞ」
「さぁ、どうする?」
考えているのか、草太は少しその場で足を止め、今度はバムスターの顔に銃を向けた。
照準を合わせて何発か撃つが、弱点である口の中の目には当たらない。
「射手と違って、銃手は弾を散らさない。下手な鉄砲は当たらん」
「拳銃だと連射もできないしな」
その草太の方にバムスターはゆっくりと迫る。このままでは食われる、と判断したのか草太は逃げようとしたが、何かに気が付いたようにバムスターの方へ走り出した。
「! 速い」
「だが、距離を詰めるのか?」
「……」
遠くから撃てることがガンナーの利点なのに何故? とも思ったが、その狙いはすぐにわかった。草太が近付けば、バムスターは噛みつこうとする。
つまり、弱点を自ら差し出して来るのだ。もちろん、タイミングと狙いを外せば喰われる。故に、外せば終わりとも言える。
だが、そうはならなかった。しっかりと喰われる直前まで近寄った草太は、的確に5〜6発の弾丸でバムスターを穿ち、見事勝利を収めた。
作戦を決める頭もあれば、それをこなす度胸もある。そして何より、何故ガンナーを選んだのか分からなくなるほどの足の速さ。これらが彼の武器だろう。
「俺達も、負けてられないかもな」
「もう少し鍛えておくか」
「俺、餅食ってこよう」
ヒゲは無視して、他のメンバーは鍛錬に勤しんだ。