昭和のいつか。どこかにある街。季節は冬。
◼️十六時五分
それなら何もできない状況を作ればいい。
どうやって集めたらいいんだ。
あ!
警察のお偉いさん方に俺は説明をした。
「町ごとに避難所へ集まってもらうようにすればいいんです。公会堂なり学校の体育館、グランドに。テロ対策だって。それに加わらないのは怪しいやつらだけだと思うんです」
しばらく話し合った後、お偉いさんがゴーサインを出した。
一斉避難が告知され、街の人たちはそれぞれ指定された場所に集まり始めた。
色々と苦情が出たようだが『テロリストから身を躱すため』という説明に渋々従うしかなかった。
あれだけ爆発騒ぎがあったんだ。誰だって危機感は覚える。
アンネさんはまだ気を失ったままで、トーマスさんがずっと付き添っている。
瑛子が手を当てて『もう大丈夫』と言った。
パトカーや消防車、市役所の車があちこちを回り、まだ避難していない人を促していく。従わないのはすぐに拘束だ。
◼️十七時十五分
俺たちは
夕闇が迫る街。
「いた!」
中年の男が人間とは思えないスピードで走り出す。俺たちを見るやすぐに逃げ出すのは奴ら、
みさえさんの姿が消えたかと思うと、次の瞬間には男を地面にねじ伏せている。
みさえさんの腕がブレて男の首が胴体から離れて飛んでいく。
転がった首はすぐに醜悪な
「監視衛星で引っかかる動きをする人を全て追跡しています。怪しい動きをしたら麻酔弾を撃ち込んで無力化しますね」
「柚木、それで頼む」
「こいつらってエレボスの眷属ってことだよな」
「うん。人の遺伝子から情報を読み取って作り出した分身みたいなもの」
エレボスが君臨し、
その時、大きな音とともに空を飛ぶパトカーを見た。
「なんだ?!」
道路の真ん中に大きな影。
またあれだ。
地下で見たやつ。
阿修羅像みたいに顔が三つ。
触手の腕が……六本。
今度は
「瑛子、柚木、下がってくれ」
「◯◯君に怪我させないよ〜」
デアソードを構える。
「これで終わりにしてくれよな」
重く大きな音。
みさえさんが吹き飛ぶが、すぐ回転して、ブロック塀を足場に上へ跳ぶ。
こっちに伸びてくる触手を弾く。
本体に比べたら手が痺れないだけマシだ。
阿修羅野郎が姿勢を崩す。
アスファルトを削りながら急停止する人影。
飯田だ!
手が槍のようになってる。
次に触手が二本、瑛子と柚木の方へ向かうがみさおさんが切断。
また姿勢を崩す阿修羅野郎。
王戸ちゃんだ!
やつの足、アキレス腱あたりが切れている。
その隙に近づく。
狙うは頭。
よろめきながら後ろへ退がる阿修羅野郎。
バランスが上手くとれないようだ。
俺に向かう触手は飯田と佐藤優子が掴み、みさえさんが別の触手を押さえつける。
走る。
あと二メートル。
「くらえっ」
フルスイング。
バットより軽いのでずっと速く振れる!
顔が三つの首は地面へ落ちたらすぐに、黒い粉となって霧散した。
これで終わってくれ!
◼️十八時五十ニ分
見回りを交代制にして、俺たちは瑛子の謎家にて夕食をとることになった。
疲れた。
あの阿修羅野郎が奴らの最後の悪あがきだと思いたい。