【完結】俺が通う高校は人外魔境だった   作:はるゆめ

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ep.74 予定外の

 昭和のいつか。どこかの街にある高校。季節は春。

 

「おい」

「何だよ」

「何だよじゃねぇよ。黒瀬、何でまだいるんだ」

「変なこと言うな。いちゃいけないのか」

「昨日お前、いかにもどこかへ行くみたいなこと言ってたじゃねぇか」

 

 (みどり)の正体が猫、つまり妖怪みたいな存在だったとわかった昨日の出来事。

 よく眠れないまま、それでも起こしに来た(みどり)と一緒に登校してみれば、俺の後ろの席に黒瀬が座ってやがった。

 

『またこの街に来ることもあるかもしれん。その時にはまた会ってくれよ?さっきも言ったが、お前のことは友人だと思ってるから』

 

 黒瀬は昨日俺にこう言ってたんだが。

 

「あー悪いな。予定外のことが見つかってな。もうしばらくはお前とクラスメイトだ」

「……何だよ、紛らわしい言い方しやがって」

 

 黒瀬はどこか嬉しそうに笑うと

 

「寂しがってくれるのか」

 

 と聞いてきた。

 

「そんなんじゃ……ねぇよ」

「隆晴……素直になろう?」

「ばっ! 翠(みどり)、変なこと言うなよ」

 

 工藤(みどり)。俺が子どもの頃に助けた子猫がその正体で、そう言う意味では幼馴染かもしれない女子。

 

 昨夜、黒瀬の戸籍上は妹である黒瀬瑛子が、(みどり)のかけた術(?)周囲にかけ直して、違和感なく女子生徒として過ごせるようにしてくれたそうだ。

 

「黒瀬君、昨日はありがとう」

「俺の仕事だ。気にしなくていいよ」

「予定外のことって何だ?」

「山下は知らなくていいことだ。お前は工藤とイチャイチャしてりゃいい」

「なっ! なんつうこと言うんだよっ」

 

 急に真顔になる黒瀬。

 

「真面目な話、そうしてくれ。巻き込んですまないが、お前と工藤には囮をやってもらう」

「囮?」

「工藤だけじゃなかったってこと。そいつらを炙り出す」

 

 異界の神だったか?

 そいつを召喚しようって奴らがまだいるのか。

 

「もちろんお前たち二人の安全は保証する」

「物騒なこと言うな……。本当に大丈夫なのか?」

「護衛をつけるから」

「護衛?」

 

 ついと黒瀬が振り向いた先。

 佐藤 優子と目があった。

 吸血鬼だそうだな。

 

「彼女は頼りになる」

 

 それはわかる。

 昨日双眼鏡で見ていた限りじゃ、十人のクラスメイトをあっという間にのしていたし、目にも止まらぬ動きで翠(みどり)を拘束していたからな。

 

「いっそあちらさんを煽ってみようと思うんでな、放課後付き合え」

「どこへ?」

「タティだ」

 

 地元にある県最大のショッピングモール。

 それがタティだ。

 

「いいけど、なんか奢れよ」

「おう。任せとけ」

 

 黒瀬よ。

 俺は確かにお前の言う囮になるって了承したけどな?

 

 あんなに恐ろしい目に遭うなんて思わなかったぞ。

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