逃げ上手の転生記 〜かぶき町のちゃらんぽらん侍と〜 作:虹武者
「侍の国」僕らの国がそう呼ばれていたのは今は昔の話
かつて侍達が仰ぎ夢を馳せた江戸の空には今は異郷の船が飛び交う
かつて侍達が肩で風を切り歩いた街には今は異人達がふんぞり歩く
そして、今から約半年前。虚によるアルタナの暴走、地球の危機が訪れた。それは今でも昨日のように思い出す。あの時、誰か1人でも欠けていたら今の地球はなかったと思います。
そんな町、かぶき町から物語は始まった。
初めまして。僕は志村新八といいます。今は道場の復興を目指しながら銀さんが営む万事屋で働いています。今日も万事屋に行くと銀さんが寝ています。
「…はぁ。やっぱりこの人はだらしない。」
新八は布団で寝ている銀髪の天然パーマの男を見て呆れる。
この男が坂田銀時。万事屋のリーダーであり嘗て攘夷戦争に参加し攘夷四天王と呼ばれた男である。
「銀さん!起きてください!もう朝ですよ!」
新八が掛け布団を捲る。そこには銀時の隣で眠っている時行がいた。一瞬、時間が止まる。そして、時は動き出す。
「何してだてめぇぇぇぇ!」
「ガボラッ!」
新八が銀時を蹴り飛ばす。
「なんだ!?いきなり乱暴な起こし方しやがって!」
「なんだはこっちの台詞ですよ!何なんですかこの子!?」
銀時が時行を見る。全く身に覚えがないのか首を傾げる。
「誰?」
「あんたが連れて来たんでしょうが!?」
「待って!銀さん、いつの間にかお持ち帰りしてたの!?全然記憶に無いよ!」
「うるさいアルな。」
押入れから少女が出てくる。彼女は神楽。夜兎族という種族で今は万事屋の一員としてここにいる。
神楽は銀時を見た後に時行を見る。時行は何かに魘されているようだ。また時間が止まる。そして、もう一度時は動き出す。
「何してるアルかぁ!」
「ゲスラッ!」
「銀ちゃん!私は誘拐するような子に育てた覚えはないネ!」
「こっちもお前に育てられた覚えねぇよ!」
神楽が銀時を蹴り飛ばす。銀時と神楽が言い合いする。そこに時行がやっと起きた。新八は時行の両肩を掴む。
「大丈夫だよ!僕がいるから!」
「そうネ!これ以上変態の好きにはさせないネ!」
「待って!誤解だって!」
必死に弁明する銀時。
「そもそもお前誰!?」
「え…あ、北条時行と申します。」
「昨日何かあったか覚えている?」
「え、えっと…」
「ちょっと待って。俺が思い出しそう。」
そう言って銀時が昨日のことを話し始めた。
場所は平賀源外がいる工場。そこに酔った銀時がいた。
「銀の字、朝から酒飲んでたのか?」
「仕方ないだろ。朝起きたら長谷川とラブホテルにいたんだぞ。飲みたくもなる。」
相当酔っているようで千鳥足になっている。銀時は源外の発明品を見ていた。
「何作ってんだ?」
「これか?こいつはな…」
そう言って源外は3つあるカプセルのうち左に梅とシーチキン、右にご飯と海苔をセットした。
「こうやってAのカプセルに梅とシーチキン、Bのカプセルにご飯と海苔を入れてボタンを押すと…Cのカプセルから梅とシーチキンが入ったおにぎりが出来る。」
「ただのゴミじゃねぇかあぁぁ!」
銀時が叫ぶ。
「これあれだよね!?前卵かけご飯の時にやったよね!?俺達の
「それの改良版だ。」
「劣化版だろうがぁぁ!」
源外がおにぎりを食べる。
「銀の字、お前に分かるか?昆布だと思って買ったら紫蘇だった時の俺の気持ちが分かるか?」
「少し分かるのが悔しい!」
「だろ?だから、これを作った。…ちょっとトイレ行ってくる。」
「おい!完全におにぎり腐ってただろ!」
源外が去って行く。銀時はツッコミ過ぎてさらに気分が悪くなる。そして我慢出来ずにカプセルの中に吐いてしまった。さらに、トイレにも行きたくなった。
「くそっ。今は源外が使ってる。…イケるか?」
銀時は何を思ったのかもう片方のカプセルに大をした。両方のカプセルにモザイクが入る。銀時はスッキリした手を着いた。そのは例のボタンがあるところだった。ボタンを押してしまい機械が作動する。銀時はあ…と小声で言う。すると、カプセルから時行が飛び出して来た。目と目が合う瞬間、時行と銀時の頭がぶつかった。
「痛てて…なんだこいつ?」
気絶してしまう時行。銀時はそこで何故か時行を抱えて万事屋へと帰って行ったのだ。
「…とまぁ…こんな感じだ。」
「…なんでだぁ!?なんで
「それが本当ならエルリック兄弟も苦労しなかったアルな。」
「嫌だろ!そんなモザイクの錬金術師!」
「私はそんなものから出て来たのですか?」
新八がツッコミ、時行は自分を見て信じられない顔をして頭を抱える。銀時は北条時行がどんな奴かジャンプで調べる。
「なるほど…逃げ上手の若君か。」
「なんですか銀さん?」
「これは所謂クロスオーバーというやつだ。銀魂と逃げ若のクロスオーバーだ。」
銀時が新八と神楽に説明する。後ろで時行が聞いているが全く分からない。そこに銀時が来る。
「いいか。お前はジャンプでいうところの新参者だ。新参者は俺達先輩に全てを貢ぐのがジャンプの決まりだ。」
「そんな決まりねぇだろ!あんた、何子供からたかろうとしているんですか!?」
銀時が指でお金を作り要求する。
「現在18巻程度しか出版されてないお前らなど77巻出版された俺達に敵うわけないだろ。ネウロや暗殺教室と合わせても構わんぞ。」
「え、えっと…」
「とりあえずいちご牛乳とパフェ1年分な。」
「あっ。私、酢昆布1年分ヨロシ。」
「何神楽ちゃんもたかってんの!?」
「両さんに相談してもよろしいでしょうか?」
時行がビビリながらも話す。銀時が聞く。
「両さん?」
「はい。両津勘吉さんです。」
「あれ?両津勘吉さんって…」
新八が銀時を見ると銀時と神楽が時行に土下座していた。
「銀さん!?」
「新八!今すぐありったけのいちご牛乳を持って来い!」
「酢昆布もネ!」
「ええ!?いきなりなんですか!?」
「分からんのか!?こいつ、あのギネスにも載った伝説のジャンプ漫画と同盟組んでやがった!くそ〜松井優征め!秋本治と裏で手ぇ組んでたとは〜!」
「そんなブラックなこと松井先生がするわけねぇだろ!」
こち亀の後ろ盾があると分かった瞬間、掌をぐるぐる返して時行に優しくなる銀時。時行はそこで自分がここに来た経緯を思い出したと話し始めた。
時行と両津は絵崎に呼ばれてやって来た。
「何の用だ?」
「実は時空を超えるマシンを発明した。」
「はぁ?」
両津が嫌な顔をする。時行は首を傾げている。
「なんだそれ?」
「マルチバース理論というものがある。この世界は複数あるもしもの世界の1つでありもし他の世界に干渉出来たら…そう考え開発したのだ。」
絵崎は2人に球体状の機械を見せる。ごちゃごちゃしたパイプや装置が周りに着いている。
「これがマルチバース転移装置。名付けてどこでも行ける君!」
「名前がダサい。」
両津が呆れる。絵崎がどこでも行ける君の扉を開ける。そこには子供用の椅子があった。
「おい絵崎。なんだこれ?」
「実を言うと転送装置の部分が大半を占めてしまった結果、コックピットがこれぐらいしか空けれなかった。」
「欠陥品じゃねぇか!」
時行は嫌な予感がすると逃げようとした。それを絵崎が止めた。
「それで北条君に試乗してもらいたい。」
「あ、あの…それ大丈夫なのですか?」
「問題無い。林檎を使っての実験は成功している。」
「なんで林檎の次が時行なんだよ!?宇宙に行くのも犬や猿を通してから人間だっただろ!」
両津が文句を言うも絵崎は無視して時行をコックピットに乗せる。時行は椅子に座りシートベルトを締める。
「絵崎。これどこの世界に行くとか分かるのか?」
「知らない。条件として向こうに時空を超える何かがないと行けない。」
「不安しかないぞ。」
両津が止めようとするも既に扉はしまっていた。時行は冷や汗を搔いている。絵崎が起動させる。どこでも行ける君のコックピットが光る。時行を光が包む。そして気付いたらここで寝ていたらしい。
「なんで向こうの凄い発明とこっちのダサい発明がリンクしたんですか?」
「発明って便利アルな。」
「私もまさか最初に見たのが死んだ魚の目みたいな人で驚きました。」
「誰の目が死んだ魚の目だコノヤロー。」
銀時が否定する。時行は銀時達の前に正座してお願いする。
「しばらくの間、私をここで奉公させてください。掃除でもなんでもやります。」
「どうします銀さん?」
「…いいぞ。」
「本当ですか!?」
「但し給料は出ないし有給もないし残業する時も定時退社扱いにするからな。」
「どんなブラック企業だ!?」
新八がツッコむ。それでもいいと時行はお礼を言った。
「これからよろしくお願いします。改めて自己紹介します。北条時行。鎌倉幕府第14代執権、北条氏得宗家当主・北条高時の次男で亡き後、亀有に転生し両津勘吉さんの息子となりました。」
「重いよ。その自己紹介重いって。」
銀時は怖気づくも時行を万事屋の新メンバーとして歓迎した。時行はこの世界で何を成してしていくのか?それはまだ誰も分からない。
時行が入った後、どこでも行ける君のコックピットが光る。両津は大丈夫なのかと心配する。しばらくして光が消えた。
「成功…なのか…?」
「林檎の実験では仏像と交換されていた。」
2人がコックピットを開けて見る。そこにはモザイクとモザイクが合体したモザイクがあった。その異様な臭いに2人は鼻を摘む。
「臭っ!時行、どこと交換したんだ!?」
「さすがにこれは私も予想外だね。」
「時行ー!」
どこに行ったのか分からない時行を心配して叫ぶ両津であった。