逃げ上手の転生記 〜かぶき町のちゃらんぽらん侍と〜   作:虹武者

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第十訓 占いなんて結局は自己暗示

 銀時達が開覚を見る。

 

「は、初めまして。開覚と言います。」

「未来が見えるとは大層なこと言うじゃねぇか。じゃあ、俺の未来を占ってもらおうか。」

 

 銀時が開覚の前に立つ。開覚はローブで顔を隠したまま占い始めた。

 

「その…あまり顔を見ないでもらえますか?恥ずかしいので。」

「なんだ?初めて合コンにきた女子かおめぇは?」

 

 銀時が睨む。開覚が早速占った。

 

「え、えっと…5秒後にあなたの頭に鳥のフンが落ちます。」

 

 開覚が占った瞬間、本当に銀時の頭に鳥のフンが落ちた。

 

「なんでだぁ!?ここテントだろうが!なんで鳥のフンが落ちてくるんだ!?」

 

 銀時は駆け回り暴れる。時行が慌てて銀時を落ち着かせる。開覚は続いて土方を見る。

 

「あなたは…マヨネーズが爆散します。」

「なんだその占い!?」

 

 土方がツッコミしていると暴れていた銀時が転け土方に当たる。→弧次郎があげたマヨネーズが懐から飛び出す。→時行も転けてマヨネーズの上に倒れる。→結果、マヨネーズが爆散し時行がマヨネーズまみれになった。

 

「てめぇ!何しやがんだ!」

 

 土方が刀を振り回す。弧次郎が時行のマヨネーズを舐めて取っている。

 

「弧次郎…」

「土方副長からマヨネーズは絶対に無駄にするなと言われましたッス。」

 

 地面に落ちたマヨネーズみで舐めて取ろうとする弧次郎を慌てて止める時行。そこに近藤が来た。まだ、ケツにロケット花火が刺さっている。

 

「おい。マジでロケット花火が世界一汚い穴に刺さってるぞ。」

「だから、言っただろうが。」

 

 近藤が占い師達の前に立つ。

 

「え、え~と…」

「あなた達の中に天人はいますか?」

「天人ですか?」

「私ではありませんよ。」

「私も違いますわ。」

「え!?な、なんのこと…ですか!?」

 

 近藤が聞く。すると、開覚だけが分かりやすく汗を流しガクガク震えていた。

 

「分かりやすっ!」

「最初からそう聞いとけばよかった。」

 

 土方が開覚の前に立つ。

 

「てめぇか。徳川定々と手を組み敵派閥の幕府の要人達を暗殺していたのは。」

 

 その言葉に霊仙達が驚く。

 

「そ、そんなつもりでは…」

 

 開覚が弁明しようとするとフードが取れた。すると、額にもある目が露になった。

 

「てめぇ…」

 

 銀時が反応した。

 

「天津飯か!」

「ちげぇだろ!」

「おでこに落書きかよ~。確かに天津飯はカッコいいよ。でも、俺は天津飯よりピッコロが好きだなぁ。」

「何の話だ!?」

 

 銀時が開覚の目にハンカチを当て拭き取ろうとする。しかし、痛がるだけで全然取れない。

 

「しつこい落書きだな。」

「落書きじゃないです!」

 

 開覚が銀時から離れる。

 

「僕は覚という種族でこの第3の目は特殊な物が見えるのです。」

「特殊ですか?」

「はい。ある者は相手の心を視認し、ある者は透明なものが見えると言われてます。僕の場合は相手の未来が見えるのです。」

 

 質問した時行に答える開覚。

 

「なるほど。その目で見た未来を定々に密告し暗殺に手を貸したと。」

「違います!その時は知らなかったんです!僕はただ、定々さんの未来を読んだだけです。自分の将来が気になると。天人に対しても友好的な方でしたので僕も協力することが出来たらと…」

「それで定々に利用されていたというわけか。」

「はい。そして、2年前、定々さんが暗殺されたと聞き僕は怖くなりました。その暗殺した人が僕も暗殺するのではないかと。だから、逃げるように地下へ…」

「つまり、監禁じゃなく立て籠りって感じか。」

 

 開覚が話す内容に近藤が付け足す。

 

「そして、2年前。大きな戦争が起こり幕府が混乱している間に僕は逃げました。そこからは帰る宛もなくただ彷徨いながら占い師として過ごしていました。」

 

 開覚が語る。

 

「そうか。」

「でも、これで終わりですね。」

 

 突然、開覚が逃走した。それを追う土方達。開覚はテントを出てターミナルに逃げる。

 

「待てぇ!」

「今、そこに行くと鳥のフンが落ちます!」

 

 開覚が叫ぶと土方の頭に鳥のフンが落ちた。

 

「なんでだぁ!」

「待て!聞きたいことがあるだけだ!」

 

 近藤が追いかける。

 

「あなたはゴリラに告白されたます!」

「ウホッ♡」

 

 開覚が叫んだ瞬間、近藤に一目惚れしたゴリラが追いかけてきた。

 

「待ってぇ!今、それどころじゃないから!」

「おい。くそどうでもいい未来しか見てねぇぞ。」

 

 追いかけている銀時が呆れていた。時行と弧次郎もあとを追いかける。ターミナルに着くも開覚は入っていないようだ。銀時達が捜していると野次馬が上を見ていた。銀時達も上を向くと開覚がターミナルの外壁に隣接している非常階段にいた。

 

「あいつ、あんなところに…」

 

 開覚はかぶき町を眺めながら思い出していた。

 

 

「売国奴と蔑まれながらもここまで江戸を建て直したのだ。そこには確かに君達天人の助力もあった。だが、私が居なければ今の江戸はなかった。」

 

 開覚の前には徳川定々がいる。宇宙船が飛び交う空を見ながら開覚に話しかける。

 

「そんな私に仇なす者がいるとは不届きだと思わんかね?」

「は、はぁ…」

「君の未来を見る力には大変興味ある。」

 

 定々が開覚の前に座る。

 

「是非、私の未来を占ってもらいたい。特に私の危機に関することだ。」

「わ、分かりました。」

 

 開覚は言われた通りに占った。それが暗殺に繋がることになるとはその時は思ってもみなかった。

 

「…という方とあなたが争っている未来が見えます。」

「ふむ。今度、そいつを鈴蘭のところに行かせよう。」

 

「明日、あなたの頭に鳥のフンが落ちます。」

「ふむ。」

 

「あなたが斬られる未来が見えました。」

「それは大変だね。」

 

「あなたの頭に鳥のフンが落ちる未来が見えました。」

「そうか。」

 

 

 開覚は空を見上げる。まだ、宇宙船が飛び交っている。

 

「あの時、僕が占っていなければこの国はまた違う姿になっていたのでしょうか?」

「まずいな。あれ、飛び降りるつもりか?」

 

 下から銀時達が見上げていると近藤達も合流した。

 

「あんなところにいたのか。」

「どうする?今から上がっても間に合うかどうか…」

 

 弧次郎が呼び掛けるも聞こえていない。銀時は考えていると近藤のケツに刺さっているロケット花火を見つめた。

 

「あれ、使えるな。」

「どうした万事屋?」

 

 銀時は聞いてきた近藤の肩に時行を乗せた。

 

「よ、万事屋?」

「よし。ゴリラロケット発射準備よ―し。」

 

 銀時はロケット花火に火を着けた。シューという音が近藤のケツへと近づいていく。

 

「待て万事屋、マジで何やってんの?」

「動くな。こうするしかあいつを助ける方法はない。」

「いや、まだ他に…」

 

 近藤が言い切る前にロケット花火に点火、轟音とともに飛んでいく近藤。それに気付いて叫ぶ土方。悲鳴をあげる近藤。

 

「何してんだてめぇ!」

「今だ時行!飛べぇ!」

 

 銀時が叫ぶ。時行は意を決して近藤からジャンプした。近藤は失速しターミナルに激突した。時行は開覚の前に着地する。それを見て開覚は驚いていた。

 

「あ、あなたは…」

「北条時行と申します。開覚さん、自殺なんてダメですよ。」「うん。分かってる。けど、僕の占いで不幸になる人がいる。そう思うと僕に意味なんて...」

 

 開覚は下を向く。霊仙達が心配そうに見ていた。

 

「開覚さんは何故占い師になったのですか?」

「それは…」

 

 それ以上言えなかった。もう忘れてしまっていたのだ。

 

「ははっ。もう思い出せないや。」

「私が思うに喜ぶ人が見たいからではないでしょうか?」

 

 その言葉に開覚は思い出した。

 

 

 まだ、定々の元で占い師をしていた頃。本当にこれでいいのかと思いながら歩いていると左腕のない老人がいた。老人は月を見て寂しそうな目をしている。

 

「どうかされたのですか?」

「おお、占い師殿。」

 

 自分が天人だということは定々以外知られていない。開覚は軽くお辞儀をして隣に座った。彼から話を聞く。どうやら、会いたい人がいるがなかなか会えずにいるらしい。

 開覚はちょっとした好奇心から彼の未来を占ってみた。すると、彼が女性と一緒にいる未来が見えた。開覚はそれを見て微笑んだ。

 

「あなたはその思い人にきっと会えます。そう未来が見えました。」

「そうですか。ありがとうございます。」

 

 彼は微笑むとお辞儀した。

 

 

「…そうだ。僕はこの能力をみんなの笑顔のために使いたかったんだ。」

 

 開覚は涙を流す。

 

「ありがとう、時行君。」

「いえ。私は大したことは…」

「あ、そこ踏むと…」

 

 開覚が慌てる。時行が踏んだ瞬間、階段が崩れて時行が落下しそうになる。そこに開覚が手を差し伸べるも一緒に落ちてしまった。その時、ターミナルにめり込んでいた近藤が飛び出し2人わ助けた。そのまま落下する3人。

 

「時行!」

「若!近藤局長!」

「近藤さん!」

 

 駆け寄る銀時達。そこには近藤を下敷きにしている時行と開覚がいた。

 

「私は大丈夫です!」

「いや、近藤さんが大丈夫じゃない!」

 

 土方が近藤を引き上げる。

 

「死ぬかと思った。」

「普通は死んでるだろ。」

 

 近藤は立ち上がると開覚を見た。開覚はビクッとして時行の後ろに下がる。しかし、近藤は怒っている感じはしなかった。

 

「1つ聞きたいことがある。」

「な、なんでしょうか?」

「パスポートは持っているか?」

 

 近藤の質問に開覚は首を傾げた。

 

「も、持ってます。」

「ちゃんとした手続きで入国したと判断していいんだな。」

「は、はい。」

 

 近藤は頷いた。

 

「ならよし。」

「え?」

「俺が聞きたかったことはそれだけだ。」

 

 開覚は目を丸くさせた。

 

「えっと…」

「何も天人だからと言う理由で処罰するつもりはない。大方、定々公が秘密裏に招いたのだろう。」

 

 てっきり捕まえに来たと思っていた開覚は近藤の言葉を聞いて安心した。

 

「あんたは自由に生きればいい。」

「は、はい。でも、僕の占いは…」

「占いなんて結局は自己暗示だろ。」

「身も蓋もないこと言わないでください。」

 

 銀時の発言にツッコミする霊仙。安心した開覚は笑顔を取り戻した。

 

「ありがとうございます。」

 

 開覚は銀時達にお辞儀した。

 

「これからはこの能力を存分に使って占っていきたいと思います。」

 

 元気を取り戻した開覚に時行達が良かったと頷く。

 

「お礼に皆様の未来を占ってみます!」

「おっ。いいじゃないか。」

 

 開覚が額の目を見開き銀時達の未来を占った。

 

「…5秒後に皆様の頭に鳥のフンが落ちます。」

 

 そう言った瞬間、咄嗟に避けた時行以外の頭に鳥のフンが落ちた。

 

「「「…結局このオチかァァァ!!」」」

 

 叫ぶ銀時達だった。

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