逃げ上手の転生記 〜かぶき町のちゃらんぽらん侍と〜   作:虹武者

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第十一訓 現実逃避は逃げれないからしても無駄

 ある日、銀時が酔っ払った状態で万事屋に帰ってきた。

 

「おい〜!家主のご帰還だぞ〜!誰も居ないのか〜!」

「おかえりなさいです銀さん。」

 

 時行が迎えに来てくれた。その時行の後ろに誰かいた。銀時はその誰かを見て固まった。

 

「…時行。」

「はい?」

「後ろにいるの誰?」

「後ろですか?…誰も居ませんよ。」

 

 時行が振り向いて見るも見えていないらしい。銀時は酔いが覚め汗をダラダラ掻いていた。よく観察する。武士みたいな格好で厳つい顔をしていて髭が猫みたいに生えている。そして、透けて見える。

 

「いやいや。そんなはずはない。」

 

 銀時は目を擦ってもう一度見る。やっぱり変わらない。銀時のの汗がさらに多くなる。

 

(これはあれだ。…時行の幽波紋(スタンド)だ。もう〜。時行の奴、いつの間にスタンド使いになったんだよ。あれか?矢に刺されたか?)

 

 銀時は無理矢理納得しようとするもやっぱり無理だった。銀時は恐る恐る時行に聞いてみる。

 

「と、時行く~ん。君の知り合いにこんな感じのヒゲが生えてる人いる?」

「保科殿ですね。」

 

 銀時がジェスチャーで特徴を伝えると時行が答えてくれた。それに反応する誰か。

 

「えっと…どんな人?」

「保科殿は凄く頼りになります。勇敢でカッコよくて強い方です!」

 

 時行の自慢が止まらない。その度にだれかは誇らしげに頷いていた。それを見た銀時は確信した。

 

(ほ~しなーくぅぅぅん!)

 

 目ほ見開き血走りガクガク震えていた。

 

(あれ、絶対保科君じやん!時行のスタンドじゃん!なんで見えてるの!?俺、何かヤバいことした!?)

「あの、銀さん?」

 

 時行が心配して聞く。

 

「どうしました?」

「い、いやぁ…なんでもない。」

 

 銀時は保科を見ないように目を反らす。しかし、保科は銀時をガン見していた。

 

(なんかむっちゃこっち見てんだけど!暇なカレー屋の店主ぐらい見てくるんだけど!)

 

 銀時はガクガク震えながら隣の部屋に行く。

 

「お、俺ちょっと寝るから静かにな。」

「分かりました。」

 

 銀時が襖を開ける。すると、顔の濃い半透明の男達がこちらを睨んできた。銀時の汗が尋常じゃないぐらい流れている。

 

「と、時行君…君のお知り合いに顔の濃いおじさんとかいる?」

「う~ん。保科党の皆さんでしょうか?」

(おいィィィ!何お仲間引き連れて占拠してんだ!?凄い見てくるんだけど!あっちもこっちも凄い睨んでくるんだけど!)

 

 寝ることすら出来なくなった銀時は台所に行こうとした。

 

「や、やっぱり寝るの止めようかな?台所でイチゴ牛乳でも…」

 

 銀時が台所に向かおうとした時、台所からヒョコッと半透明の男が顔を出した。その顔は穏やかで濃くなかった。銀時は震えながらも保科達よりはマシだと判断する。

 

「ほっ。怖くねぇ奴もいるんだな。」

 

 台所から男が出て来る。その手には包丁と落武者の生首があった。

 

「おいィィィ!こいつが一番怖いんだけど!」

「銀さん!?」

 

 遂に声に出してツッコミする銀時。

 

「どうなってんだこいつら!?台所で何があった!?もしかして料理してた!?そいつらを具材にして料理してた!?」

「どうしたのですか!?」

「時行!保科党の中で一番ヤバいのだれ!?」

「え、えっと…結城殿でしょうか。あの方は人を殺すのが好きで生首を見ないと落ち着かず戦場でも敵の死体を食べるような人でしたから。」

「お前の仲間とんでもなさすぎるぞ!」

「ですよね。」

 

 銀時は再び結城を見る。左手に生首6つ持って血塗れだ。

 

「なんかあの生首見てるとタマタマに見えてきた。」

 

 銀時が呟くと結城は台所の奥へと消えて行った。そして、死体の胴体に生首を3つくっつけて出してきた。

 

「おいィィィ!タマタマからナッシーに進化させたァァァ!そんなグロいポケモンみたくねぇよ!ってか死体でポケモン作るってどんだけサイコパスなんだあいつ!?」

「銀さんには何が見えているのですか!?」

 

 銀時の奇行に驚く時行。銀時が振り向くと時行の後ろに保科党が集結していた。全然濃い顔でこっちを見ている。

 

「こっち見るなぁ!テメーら全員顔がうるさいんだよ!」

 

 銀時が叫んだ瞬間、保科党の顔がシュンとなった。

 

「ギャップゥゥゥ!変わりすぎだろテメーら!」

 

 銀時のツッコミに時行は驚いている。

 

「え、え~と…どうかされました?」

「いやいやなんでもない。」

 

 銀時はもう酔いが完全に覚めたためまた飲んで忘れようと出て行った。銀時は早歩きしている。後ろには心配した時行が追いかけていた。その後ろを保科党も追いかけいる。銀時が走る。時行も走る。保科党も走る。

 

「時行ィィィ!帰ってくれ!」

「どうしたのですか銀さん!?」

「頼む!300円あげるから!」

 

 銀時はパチンコに逃げ込む。そこで現実逃避しようと回しまくった。

 

「いいぞいいぞ…もう少しで…」

「両さんもよくやってましたね。」

「想像出来る…時行!?」

 

 銀時が振り向く。時行がいた。その後ろには保科党はいない。銀時はホッとしてパチンコを再開しようとした。しかし、隣のパチンコ台をしている人の後ろに保科がいた。パチンコ台を睨んでいる。

 

「やっぱりいたぁ!」

 

 銀時が台パンする。それを見た保科が隣で台パンした。そこでパチンコしていたオッサンがパチンコ台にめり込む。それを見た銀時は目が血走っていた。

 

(やっちまったぁ!物理現象無視したパンチしたぁ!定食屋の親父とやってること一緒だよ!)

 

 保科はやらかしたと分かっているようで心配しているが銀時以外に分かるはずもなく怪奇現象が起きたとパニックになっている。銀時もパニックになっている。

 

「もう無理だぁ~!」

 

 銀時がパチンコ店から逃げる。そこから逃げ続けどこかの河原に着いた。土手に座り夕日を見ながら現実逃避する。そこに誰か来た。保科だった。銀時はまた逃げようとするも保科は銀時の隣で座るだけで何もしない。

 

「おい。お前、時行の家来だったのか?」

 

 銀時の質問に保科は頷く。

 

「時行はどんな人生を歩んでいたんだ?」

 

 銀時の質問に保科は夕日を眺めながら寂しい表情をした。それを見て察する銀時。

 

「俺も守りたいもののために戦ってきた。一度は失って何も守るものもなく無意味に生きてきた。」

 

 銀時の話を保科は黙って聞いている。

 

「けど、あいつらがいたから。あいつらがいてくれたから俺はまた意味ある人生を歩いていけた。そこに今度は時行が加わっただけだ。だから、安心して成仏しろ。俺はもう逃げねぇ。」

 

 保科ほ微笑んでいた。銀時が立ち上がる。振り向くと保科はもういなかった。銀時は微笑み万事屋に戻った。

 

「ただいま~。」

「お帰りなさいです銀さん!」

「銀さん、どこに行ってたんですか?」

「どうせまたパチンコネ!」

「ワンッ!」

 

 銀時は時行、新八、神楽、定春を見る。そして、彼らの後ろにいる保科党を見た。

 

「まだいるかいお前らァァァ!」

 

 銀時の叫びが万事屋に響いた。

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