逃げ上手の転生記 〜かぶき町のちゃらんぽらん侍と〜 作:虹武者
ある日、時行は長谷川からチラシを貰っていた。
「ワンちゃん…」
「ワンちゃんNo.1決定戦。俺も出たかったが俺、犬なんて飼ってないから出れなくてな。銀さんならと思ってな。」
「分かりました!」
時行は銀時達にチラシを見せた。
「なるほどねぇ。いいんじゃない?優勝賞品がペットフード一年分なんて。優勝すればしばらくメシには困らんぞ。」
「それって定春さんのですよね?」
時行が一応聞くも銀時と神楽はよだれを垂らしていた。
「やるネ!私と定春なら優勝間違いなしネ!」
「よし!やるぞ!」
「おぉー!」
盛り上がる銀時と神楽。
そして、当日。
会場には多くの参加者がいた。新八は観客席から神楽と定春を応援している。
「神楽ちゃんと定春なら大丈夫だよね。それよりも銀さんと時行君はどこに行ったんだろう?」
「おっ。新八君。」
「長谷川さん!」
「やっぱり参加してたんだ。」
「ええ。でも、銀さん達が…」
新八が周りをキョロキョロ見回して捜すもいない。すると、参加者達の中に銀時を見つけた。
「あれ?銀さん?なんであんなところに?もしかして、参加するつもりなのかな?でも、定春以外に犬なんていないしまさか野良犬を連れて…」
新八が銀時をよ~く見るとリードを持っていた。その先には首輪を着け犬のコスプレをしている時行がいた。
「時行くぅぅぅん!?」
新八が目を血走らせ叫ぶ。マダオはバイバイして去っていく。時行はドヤ顔で尻尾を振っている。
「何やってんだあの人!?他の漫画の主人公になんてプレイしてんだ!?」
新八がツッコミしていると神楽が銀時に気付いた。
「銀ちゃん!どうしたのネ!?」
「俺とお前がいれば優勝する確率はかなりあがるぞ。」
「さすが銀ちゃん!天才ネ!」
「天才じゃねぇよ!明らかにバカだろ!」
新八がツッコミするも銀時達には聞こえていない。すると、今度は沖田が銀時達に近付いてきた。
「あれ?旦那とチャイナ娘じゃねぇか。」
「なんだ沖田君?お前も出るのか?」
「優勝は私と銀ちゃんネ!」
「いえ。俺は優勝なんてサラサラ興味無いんですがね。折角なんでウチの新しい警察犬の御披露目にしようかと思いましてねぇ。」
「え?真選組が警察犬?」
新八がジーと目をこらして見るとリードに繋がれ犬のコスプレをしている弧次郎がいた。
「
時行と同じように犬になっている弧次郎も何故か誇らしげだ。
「何やってんだあのドSコンビ!?」
「おいおい沖田君。うちの血統書付きのトッキーにオタクの犬が勝てるとでも?」
「血統書もくそもねぇよ!」
「旦那、悪いけどここは綺麗だけじゃ勝てねぇでっせ。うちのコジローは調教して立派な犬にしてまっせ。」
「なんてことしてんだあのドS!」
新八のツッコミが止まらない。そんなこと気にせず時行と弧次郎は笑い合いながら睨んでいた。
「フッフッフッ。弧次郎、悪いけど今回はいくら弧次郎でも勝ちは譲れないよ。」
「犬になってる時点で人として負けてるよ!」
「若こそ俺の誇りにかけて負けるわけにはいかないッスよ!」
「犬になってる時点で誇りなんてねぇよ!」
フッフッフッと笑う時行と弧次郎。それを見て呆れる新八。すると、今度は桂が銀時達のところに来た。
「銀時!リーダー!それに真選組か。」
「なんだヅラ?お前も来てたか。」
「ヅラじゃない。桂だ!優勝賞品を攘夷資金にしようと思ってな。」
「無理ですよ桂さん。ペットフードは軍資金にはなりませんよ。」
冷静にツッコミする新八。そこで気付く。桂も犬なんて飼ってなかったはずだ。
「まさか桂さん。玄蕃君を…」
「そういえばヅラ。お前、犬飼ってたか?」
「もちろんだ。紹介しよう。エリーだ。」
『よろしく』
「
プラカードで挨拶するエリザベスにツッコミする新八。
「そこは玄蕃君じゃないのかよ!いや、玄蕃君でもおかしいけど!」
「おいヅラ。それは反則だろ。」
「あんたも反則だよ!それよりなんで誰もあの状況にツッコまないの!?おかしいと思ってるの僕だけ!?」
新八がツッコミしていると開会式が始まった。
「これからワンちゃんNo.1決定戦を開催致します。ルールは簡単。これから行われる競技の合計点が一番高い者が優勝です。」
参加者達が横に並ぶ。
「まずはボール投げでございます。飼い主がボールを投げペットがボールを咥え飼い主に渡し一芸をする。これのスピードや美しさを競っていただきます。」
審判の合図で銀時達が一斉にボールを投げる。その瞬間、時行と弧次郎が走り出した。普通に。
「全然犬になってねぇ!ただのかけっこだよ!」
新八がツッコミする中、時行と弧次郎はボールを拾い銀時と沖田に渡した。すると、審判が笛を鳴らした。
「やっぱり犬じゃないからアウトですよ。」
「咥えてないのでやり直し!」
「そこォォォ!?そもそも犬じゃないところにツッコミしろ!」
新八が叫ぶ。審判の注意を受けた銀時と沖田は再びボールを投げた。それを見てお互い、銀時と沖田の顔を見る時行と弧次郎。
「え、えっと...」
「取りにいけー。」
「お前なら出来る。」
「「はいー!」」
銀時と沖田のドSな顔を見て汗だくで必死に犬のように走る時行と弧次郎。震えながら必死にボールを咥え戻って来る。新たな性癖の扉を開いた瞬間だったのか顔が紅く染まっている。
「おいィィィ!なんかヤバイ性癖に目覚めてるよあの2人!」
定春に抱きついて喜ぶ神楽の隣でボールを受け取る銀時と沖田。
「「次はチンチンだ。」」
凄い量の汗を流す時行と弧次郎。
「どうしたぁトッキー。犬は飼い主の言うことを聞くもんだぞ。」
「コジロー。お前なら出来る。恥も外聞も全て捨てろ。」
2人は迷うもとうとうチンチンのポーズをとった。
「ダメェェェ!時行君も弧次郎君もしちゃダメェェェ!」
「定春!こっちはお手ネ!」
「ワンッ!」
「エリー。俺達もお手だ。」
銀時と沖田に続き神楽と桂も一芸を披露させる。新八がチラッと見るとエリザベスの口の中から玄蕃の腕が伸びお手やおかわりをした。
「玄蕃君そこォォォ!?」
「よくやったエリー。」
「桂さん。この中凄い臭い。」
新八がツッコミを続けている間に最初の競技が終わった。そこからも競技は続きとうとう最後の競技に進むメンバーが発表された。そこには銀時、神楽、沖田、桂がいた。
「なんでだァァァ!なんで犬じゃないのもまで通っているんだァァァ!」
新八がツッコミするも大会は進んでいく。天下一武闘会にありそうな円状のステージが設置された。
「最後は残った50名のペット達でバトルロワイヤルしてもらいます!」
「おいィィィ!なんで最後はバトルなんだ!」
「いけるのトッキー。今こそ特訓の成果を見せる時だ。」
「コジロー。お前なら相手全員血祭りに出来るだろ。」
「そして、なんでお前らはサラッと受け入れているんだ!?」
やる気満々の銀時達。時行達がステージに上がる。
「では、最後まで残ったペットが優勝となります。」
「だったら今までの競技はなんだったんだぁ!?」
最後の競技の合図が鳴る。その瞬間、一斉に犬達がバトルを始めた。時行は犬達を避け逃げる。弧次郎は犬達を次々と殴り飛ばしていく。
「もうこれただの暴力だよ!絶対訴えられるよ!」
新八がツッコミする。定春が視界に入る。馬乗りになってエリザベスを玄蕃ごと殴っていた。
「まだ、人気投票のこと根に持ってるよ。」
ステージでは次々と犬達が吹き飛ばされていく。
「いくアル定春!」
「トッキー、逃げろ!逃げ切れ!」
「いけーコジロー。お前なら出来るー。」
「エリザベスー!」
銀時達が応援する。
「弧次郎!私は負けるわけにはいかない!」
「俺もッスよ若!」
追いかけっこする時行と弧次郎。殴り合いをする定春とエリザベス。もうステージはカオス状態だ。そんな中でも時行は楽しそうに逃げていた。
「弧次郎!こっちだよ!」
「待つッス若!」
「ああやって見ると普通の子供だな。」
「そうアルな。」
「微笑ましいもんだ。」
「銀さん。皆さん。その普通の子供が犬とそて出場していることに違和感持ってください。」
ステージの中央で殴り合う定春とエリザベス。その中から玄蕃が出てくる。
「悪いが勝つのは俺達だ。」
玄蕃は爆弾を定春に投げる。それを定春が弾く。そこに時行と弧次郎が走ってくる。
「「「あっ。」」」
大爆発が起きステージを爆煙が包む。
「ど、どうなった!」
爆煙の中に影が写る。そして、爆煙が晴れると倒れている時行達と両手を広げ号泣しているマダオがいた。
「優勝は…太郎君のマダオー!」
「やったー!!」
真顔になる銀時達。
「あんたも犬になってたんかいィィィ!」
新八のツッコミの叫びが大会に響くのであった。