「おぉ〜♪」
アビドス高等学校、砂に囲まれた街中の大きな学校。その中の一室、シルはその教室の中を見渡し目を輝かせていた。
なんの変哲もない学校、それどころか砂に囲まれた環境で全校生徒僅か5人なのもあり殆ど使われず掃除も行き届いてなく、砂が入り込んでしまっているような部屋すらある、そんな学校。
使用頻度の高い教室や会議室はみんなで力を合わせ掃除をしていっているのでそれなりに綺麗ではあるが、当然特別なものは置いてない。
そんな学校の教室ですら、シルにとっては新鮮な場所に感じられていた。
「何にもないところだけどねぇ〜」
「ぴかぴかなお部屋〜♪」
目を輝かせているシルに対して『何もない所』と言うホシノだが、シルにはその言葉も耳に入らず教室の中を歩き回る。
そもそも、シルが目覚めてから薄暗い部屋の中だったり洞窟の中だったり廃墟の中だったり、そんな場所の記憶しかシルの中にはないために、ここが現状一番綺麗な場所と認識していた。
そんな様子をホシノは少し微笑ましく眺めていると、ガラガラッと教室の扉が開かれた。
「おはよ〜……ってホシノ先輩が起きてる!?」
「おはようございます」
「失礼な〜、おじさんだって起きてる時くらいあるよ〜」
教室に入ってきたのは黒髪のツインテールにその猫耳が特徴的な『黒見セリカ』。尖った耳に眼鏡をかけ、その姿からは真面目そうな印象を受ける『奥空アヤネ』。アビドス1年組の二人だった。
「あはは……でも確かにこの時間は寝ていることが多いですから、珍しいですね。それに、そちらの方は?」
アヤネは目を輝かせながら教室内を見渡してるシルを見つめて聞いた。その視線に気づいたシルは元気よくは自己紹介を始める。
「私はシルだよ〜! それで、この子はシプルちゃん!」
「シルさんにシプルちゃん? ですね、奥空アヤネです。 よろしくお願いしますね」
「黒見セリカ、よろしくねシルさん」
と、元気よく自己紹介するシルに対してセリカとアヤネも自己紹介を返す。
そして二人はシルのことを見つめる。その容姿はホシノに比べてもかなり小柄でその元気な性格は幼さまでもを感じさせる。服装はアビドスの制服、これは砂で汚れた白いワンピースをずっと着させるのも、と考えたホシノが自らの制服を着させている。
ホシノ自身も小柄な方だが、それよりもさらに小柄のシルにとってはホシノの制服でも少し大きめ、それでも日常生活には問題ないレベルにはなっていた。
しかし、そんな裏事情を知らない二人からすれば、どうしてアビドスの制服を着た生徒がここにいるのか、疑問に思ってしまうことは仕方がなかった。
当然シルは校章まではつけていないし、アビドスの全校生徒は5人だけ、その事実は変わらないので何かしら事情があるのだろうと薄々感じてはいる。また、ホシノがこの時間に起きていることが珍しいとは言えど、何かがあれば基本的に起きている。それはまさにこの状況のことではあるが、ホシノはこの状況を普通に受け入れている。だからこそ、この状況に詳しいであろう
当のホシノは、説明を求める二人に対して「みんなが集まったら説明する」と返した。
そして、少し時間が経ち、残りの二人も合流した。
『十六夜ノノミ』に『砂狼シロコ』。
この二人も、教室に入ってきた時はアヤネやセリカと同じような反応を返した。シロコにいたっては何処か別の学校から拉致してきたのかと勘違いしてしまい、それで一騒動あったのはまた別の話。
そして、アビドスの五人が揃い、ホシノはこれまでのことを説明した。
シルがヘルメット団に襲われ、それを助けたこと。そこからホシノの家に招き、アビドス高等学校にまで連れてきたこと。目覚める以前の記憶がなく、行く当てもないことまで。
その説明による反応は様々だった。その中でも特に大きく反応を見せたのはノノミとシロコの二人。
その理由は、シルの境遇が
シロコも今ではアビドスの生徒としてずっと過ごしているが、その1年程前、シルと同じように拾われた。
アビドスの廃墟、行く当てもなく凍える世界の中で
シロコは記憶のない中二人と出会い、ホシノに勝負を挑むも、敗北。事情を知ったホシノとノノミはシロコをアビドスに迎え入れ、紆余曲折を得て正式にアビドスの生徒となった。
そんなシロコとシルの境遇は似ている。いや、名前だけでも覚えている分シロコのほうがマシなのかもしれない。
「ん、じゃあシルもアビドスの生徒になろう」
「「シロコ先輩!?」」
故に、事情を聞きシルに対して仲間意識を持っていたシロコは既にアビドスに迎え入れる気満々であった。
「うへ、シロコちゃんならそう言うよね〜。ま、そんなすぐ決めることでもないし、お互いのこともっと知ってからでもいいんじゃない〜?」
「そうですね、行く当てのない子を放っておくのもかわいそうですし、大丈夫そうなら私はいいと思いますよ♪」
そして、ホシノとノノミも賛成よりの意見だった。シロコの件の当事者である二人であれば当然の反応とも言える。
「ま、まぁ、先輩方がこう言ってますし……本人が大丈夫なら私はいいと思いますけど……」
「う、うん……私も」
その中、シロコの過去を知らない一年組は身寄りのない少女を拾ってきた話から急にアビドスの生徒に迎え入れるなんて展開の変化に置いていかれ気味であった。
しかし、シルの事情を知ってしまった今、異論という異論は出てこなかった。
「うへ、シルちゃんはどう〜? 私達の学校に来たいと思う〜?」
「ホシノちゃんと一緒の学校? いきたい!」
当の本人も乗り気であった。
アビドスは元はかなり大きな自治区であったが大規模な砂嵐の影響により砂漠化も進み、今ではその大半が砂に埋もれてしまっている。
そんな現状が続きアビドスの人口はどんどんと減少していき、アビドス高等学校の生徒もこの教室にいる5人のみとなってしまった。
それでも5人にとっては大切な自分たちの街であることは間違いないが、良い場所とは言えない環境であることもまた事実であった。
そんな環境であってもシルにとっては初めての学校、そしてホシノが通っている学校でもある。シルにとって即決するのに充分な理由であった。
「じゃあここで過ごしてみてから考えよっか〜。そんなすぐ決めるようなことでもないしね〜」
「ん、じゃあまだ仮だけど」
―――ようこそ、アビドス対策委員会へ―――
お久しぶりです
更新止まってたことをお許しください
仕事だったり交通事故に巻き込まれたりといろいろバタバタしてて更新できてませんでした
まぁ、あとはワイルズだとかワイルズだとかワイルズも要因ですね
はい
ここからまた少しずつ更新していこうかと思うのでよろしくお願いします
ところで文章の書き方忘れました(こら)