オレサマメシアンマルカジリ   作:森の翁

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アンケートの結果、今回から丸かじりニキの台詞を全て普通の文に変更します。
それに合わせて設定が少し変わりますが内容は変わりませんのでご安心ください。


【大規模異界『大狼飢獣域』】中編

異界の最奥、大狼が座すは血潮の海。    

 

「よぉ丸かじりニキ、ずいぶんと派手にやらかしたな」

 

『...』

 

 異界の中心たる緋色の大地に、丸かじりニキは無言で佇んでいた。

 

「まぁそこは置いといて、早くこの異界を解いてくれないか?ショタオジや巴も心配しているはずだ」

 

『...まだ終わっていない』

 

「丸かじりニキ?」

 

『すでに100人殺した...なのにメシアンの匂いは一向に減らない』

 

「メシアンの匂いが減らない?」

 

 それはおかしな話だった。

 

 ここに到達するまでの道で、5人は数十人分はくだらないであろう血の海を見てきた。

 

 死体も残さず食い尽くす、それが丸かじりニキの殺し方だ。

 

『食ったはずだった...だが口の中で味と匂いが消えた』

 

「いったいどういうことだ?」

 

『からくりは既にわかっている...だが、それを止めるには...』

 

「更なる力の解放が必要か、悪いがそれは許可できない」

 

 霊視ニキは知っている、丸かじりニキにはまだ隠している力がある。

 

『肉体ではなく魂を食らう力、それを解放すれば奴らを殺せる』

 

「絶対にダメだ...お前のその力で食われた魂は、腹の中で永遠に苦しみ続け、2度と生まれ変わることができなくなる」

 

『それのどこに問題がある?メシアンなど最早人ではあるまい』

 

「気づいてるか丸かじりニキ?自分の口調が今までと別物になってることに」

 

 この最奥についてから、霊視ニキはずっと疑問に思っていた。

 

 丸かじりニキはフェンリルに変身するといつもカタコトになるが、何故か今回はそうなっていない。

 

「お前、前よりフェンリルに近づいているんじゃないか?」

 

『...なぜわかった』

 

「そりゃわかるさ、期間は短いとはいえ出会ってからずっと一緒にいるんだぜ?異変があれば嫌でも気づくさ』

 

 霊視ニキは、養子として引き取った丸かじりニキが再び人間社会に馴染めるようにと、可能な限りその側にいた。

 

 だからこそ気づけたのだ。

 

 丸かじりニキの体に、何か異変が起こっていると。  

 

『まったく、汝には敵わぬな』

 

「当たっているんだな?」

 

『如何にも、我は最早馴染み過ぎた』

 

 馴染み過ぎた...それが意味するのはただ1つ、完全なる悪魔化が近いということ。

 

『我は、俺にはもう自分が何者なのかわからないんだ...』

 

「丸かじりニキ、今すぐに変身を解いて人間に戻れ、そうすればまだ手立てはある!」

 

『悪いがそれは無理そうだ...招かれざる者たちが来たようだな』

 

 丸かじりニキの視線の先には、食い尽くされたはずのメシアンたちが立ち並んでいた。

 

「やぁゴミクズ諸君、随分と景気の悪い顔をしているではないか、薄汚い虫けらにはお似合いだな」

 

「おいおい、道中あんだけ血の後があったのにどいつもこいつも無傷じゃないか、どうなってやがる」

 

『あれらは最早人にあらず、天の徒を名乗る羽虫どもによって弄ばれた成り果てよ』

 

・外道メシアン(LV40)

 

「異界に巻き込まれる前はわからなかったが、あいつら悪魔だったのか!」

 

『少し違う、元々悪魔だったわけではなく...この異界に入ってから変異したのだ』

 

「何?」

 

『天使による人間の改造実験、その一環として人間の天使化計画というものが存在した...だがそれはあまりにも不安定、中には己の存在を維持できずスライムにまで堕ちる者までいたという』

 

 北欧でメシアン狩りをしていた時に目に入った資料、その中に答えはあった。

 

『だが奴らはその不安定さを逆に利用したのだ』

 

「どういうことだ?」

 

『奴らは素質のある人間を改造し、その存在をわざと不安定にすることで悪魔に傾き易くした...例えば悪魔の力に満ちた地に入った瞬間悪魔になるように、言うなれば使い捨ての駒よ』

 

「メシア教ならやりかねませんね、トラピスチヌ修道院の時も彼らは人を人ならざる異形に変え、数を増やしていましたから」

 

 魔人ネキは顔を伏せながら言葉を発した。

 

 その体は静かな怒りで震えていた。

 

『奴らは殺される瞬間に魂だけが肉体を離れ、その後魂を核として肉体を再構築しているのだ』

 

「つまり魂をなんとかしない限り奴らは無限にリスポーンするってことか!」

 

『魂の領域は羽虫どもの最も得意とする分野故な、己が信徒であれば尚更やり易いのだろう』

 

「丸かじりニキ、つまりは魂をどうにかすれば良いってことっしょ?」

 

『そうだが?』

 

 ここで、今まで黙っていたカス子ネキが口を開いた。

 

「皆忘れてね?ここに誰よりも魂に詳しくて扱いに慣れてる専門家がいるってことをさぁ!」

 

『カス子ネキ、あれらの魂は幾重もの防壁に守られている、いくら汝の腕前とて...』

 

「丸かじりニキ、カス子ネキを...命子を信じてやってくれねぇか?」

 

『...良かろう、そちらは頼んだぞ』

 

「「援護は私たちにお任せを!」」

 

 皆の心が1つに交わり束になった。

 

 覚悟せよメシアンども、これより始まるは戦いではない。

 

 蹂躙である。




・外道メシアン
メシア教の人体改造実験の一環で作られたクソみたいな産物、悪魔の多くいる場所や異界に入ると即座に悪魔へ変異するが、それまでは普通の人間とまったく変わらないため見抜くことは不可能、例えば人混みに紛れ込ませてマグネタイトなんかをばらまいてやれば大量殺戮テロの一丁上がりである。

どうも皆さん、再びのアンケートです。今回のアンケートですが、この先の展開に大きく関わるものになります。内容ですが、私としてはこの先かなり暗い展開を想定しており、何人かオリキャラを死亡させる予定があったのですが、作者仲間と相談した結果、まず読者の皆様の意見を聞くべきというアドバイスを受けましたので今回のアンケートを取るに至りました。どうか皆様のご意見をお聞かせください。

  • 暗い展開(オリキャラ死亡あり)
  • 明るめの展開(オリキャラ死亡なし)
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