オレサマメシアンマルカジリ   作:森の翁

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【追憶】前編

 ここはガイア連合本部、その地下深くにあるとある一室。

 

 そこに丸かじりニキとショタオジ、そして霊視ニキの3人が集まっていた。

 

「丸かじりニキ、本当にやるんだな?」

 

『あぁ、我もこれが必要であると判断した』

 

「何が起こるかもわからん、思い出したくないものを見てしまうかもしれないぞ」

 

『それでも、これは我に必要なことなのだ』

 

 丸かじりニキがこれからやろうとしていることはまさに前代未聞。

 

 これまで理論はあれど実行した者はいない、そういう類いの話だ。

 

「丸かじりニキ、準備は良いかい?」

 

『あぁ、できている』

 

「それじゃもう一度説明するね、今から君の魂に干渉して、過去の記憶を想起させる...それにより君の"人間としての名前"を取り戻す」

 

 名前、それは名は体を表すという言葉の通り、その存在を定めるもの。

 

 人としての名を失って悪魔に寄り過ぎたのなら、名を取り戻すことで存在を人間側に寄らせようという魂胆だ。

 

「う~ん、これはかなり難しいね」

 

「どうしたショタオジ?」

 

「丸かじりニキの魂に相当強いプロテクトがかかってる...これはかなり手強いぞ」

 

 どうやらそう簡単にはいかないらしい。

 

「深層心理に深く刻まれたトラウマによって、丸かじりニキ自身が2度と過去を思い出さないために自分の記憶と魂に鍵をかけてるみたいだね」

 

「それじゃどうすれば良いんだ?」

 

『鍵か、なるほど...どうにかしてみよう』

 

「丸かじりニキ、何をするつもりだ?」

 

 丸かじりニキの声から、なにか不穏なものを感じ取った霊視ニキが丸かじりニキに近寄ろうとした次の瞬間。

 

『虚空爪激』

 

 丸かじりニキが己にスキルを放ったのだ。

 

「丸かじりニキ!?」

 

「霊視ニキ」

 

 慌てて駆け寄ろうとする霊視ニキを、ショタオジが制止した。

 

「このままだと丸かじりニキが!」

 

「大丈夫、彼は今フェンリルに変身しているんだよ?伝承通りなら絶対に死にはしない」

 

 伝承においてフェンリルはとある神に倒されるが、それまでいかなる方法でも死ななかったという伝説がある。

 

 丸かじりニキにもその不死性がきちんと反映されているのだ。

 

『我が弱れば、魂の守りも弱る...今のうちに』

 

「丸かじりニキ、君の覚悟は無駄にしないよ」

 

 ショタオジが丸かじりニキに近づき、その手をかざした。

 

「それじゃ、始めようか」

 

 その瞬間、丸かじりニキから大量の光が溢れた。

 

「うおっ!なんだこれは」

 

「記憶の潮流、丸かじりニキの過去の記憶が僕たちに流れこんでいるみたいだね」

 

『始まるぞ』

 

 

 

 

 あの日、俺と家族は初めての海外旅行に受かれていた。

 

「父さん!母さん!見て見て!!!」

 

「おぉ、綺麗な街だなぁ」

 

「ふふふっ来て正解だったわね、あなた」

 

 妹は空港から出てすぐ街の景色に夢中になってさ、父さんと母さんも町並みに見とれてて、俺以外の家族は揃って大はしゃぎでさ。

 

 凄く楽しかったんだよ、妹はお土産屋に飛び付いて、父さんはすぐに酒飲んで母さんに叱られてたっけ。

 

 でも、そんな楽しい時間も長くは続かなかったんだ。

 

「■、あんまり遠くに行くなよぉー!!!」

 

「お兄ちゃんも早くおいでよー!」

 

 妹のところに行こうとした時だ...何か物凄く嫌なものを感じたのは、そしてそれは正しかった。

 

「■!危ない!!!」

 

「えっ?キャアァァァァァ!!!」

 

 目の前で、妹がいきなり空中に浮かび上がったと思ったら、そのまままっ逆さまに落ちてきたんだ。

 

 小さい体が地面に打ち付けられるその瞬間、妹は助けを求めて俺に手を伸ばしていたよ。

 

 でも、その手は届かなかった。

 

「嘘だ...こんなのありえない」

 

 目の前に広がる光景は、残酷な事実を嫌でも脳に理解させてくる。

 

「■?...あぁ、うわぁぁぁぁぁ!!!」

 

 首や手足があらぬ方向に曲がり、体のあちらこちらから中身が見えた無惨な姿になった妹を抱き締めながら、俺は泣き叫んだ。

 

 泣きわめいても妹はもう戻らぬとわかっていたが、どうしても認めることができなかった。

 

 だが、さらに絶望は続いた。

 

「父さん?母さん?」

 

 さっきまで後ろにいたはずの父さんと母さんが血溜まりの中に沈んでいた。

 

 その目に、もう光はなかった。

 

「愚かなる人の子よ、せめて我らが糧となりなさい」

 

 亡骸となった両親のそばに、その羽虫は降り立った。

 

「幾度となく我らからの誘いを断り、祝福を拒絶した異端者たち、もはや差しのべられる手はあらず、惨めに死んで行くが良い」

 

 耳障りで人間のことをなんとも思っていないようなその戯れ言を聞き、俺は今にも狂ってしまいそうになって...だからやった。

 

「..けるな」

 

「むぅ?」

 

「ふざけるな!俺の...俺の家族を返せぇぇぇ!!!」

 

 それは荒ぶる力の奔流、全てを引き裂き食らい尽くす大いなる獣。

 

『アオォォォォォーーーン!!!』

 

 俺が、フェンリルに成った日だ。




・丸かじりニキの家族を襲った天使
大戦犯、藪をつついて蛇どころか神食らいの獣を呼び覚ましちゃったアホ、だから滅びる。

どうも皆さん、再びのアンケートです。今回のアンケートですが、この先の展開に大きく関わるものになります。内容ですが、私としてはこの先かなり暗い展開を想定しており、何人かオリキャラを死亡させる予定があったのですが、作者仲間と相談した結果、まず読者の皆様の意見を聞くべきというアドバイスを受けましたので今回のアンケートを取るに至りました。どうか皆様のご意見をお聞かせください。

  • 暗い展開(オリキャラ死亡あり)
  • 明るめの展開(オリキャラ死亡なし)
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