私の人生はものすごくつまらなかった!
小・中・高・大と順風満帆な学生生活を送れたとは言えず、社会に出てからも疲れるだけの毎日!
特に就職先がブラックだったのが運の尽き!
家に帰れないのは当たり前! 帰れたとしても数時間後には出勤だから、もはや家の存在意義は無いに等しい!
とどのつまりだ!
私の人生は、疲れるだけのものだっということだ⋯⋯。
縛られることが嫌いだから一人を好むし、疲れることが嫌いだから連まないし動かない。
流れに身を任せるのが生きる上で最も楽な方法だと解っているから、毎日をテキトーに過ごしてきた。
そのツケが、今の私だ。
「何やってんだよ私。まさか、無意識に──」
──心臓を刺すなんて⋯⋯。
その言葉が続くことはなかった。
体に力が入らない。
動くともできない。
息をすることも段々と難しくなっている。
こうなった原因の見当はついている。
いつも通り仕事で無理をして、何日も眠らず頑張り続けた結果、帰宅と同時にナイフで心臓を刺してしまった。
しかも無意識でだ。
「こんな事になるなら、努力しとけば良かった⋯⋯」
努力──私の大嫌いな言葉。
努力は私を縛る。努力は私を疲れさせる。
だから嫌いだ。
でも、社会に出てからは努力しておけば良かったと常に後悔していた。
努力していれば楽ができたかもしれない。
努力していれば死ななかったかもしれない。
生きることに疲れて死を待ち望んでいた私が、いざ死を前にしたら生きたいと思ってしまうのは人の性か。
「でも、これで楽になれる、よね⋯⋯」
意識が遠のいていく。
視界が暗くなって何も見えなくなる。
次第に感覚も無くなって、私は──
「起きて! 起きてよ! これからが大変なのに!」
死ぬ⋯⋯と思っていたけど、おや?
「誰、君? ここは何処? 私は
目を開けたら見知らぬ場所に立っていた。
しかも目の前には白髪金眼の美少女がいる。
「それって自己紹介? まあ、どっちでもいいけど。ボクはヘルエル! 天国の天使ヘルエルだよ!」
そう言って自信満々に胸を張るヘルエルちゃん。
大きな果実がたぷんと揺れて何ともけしからん。
「えっと、説明をいただいても?」
「OK! じゃ、まずはこの場所から説明するね!」
何処からともなくホワイトボードを取り出したヘルエルちゃんは、懇切丁寧に説明をしてくれた。
要約すると、ここは天国で、天国には今までに死んだ全ての人間が集まっている。
天国の存在意義は死者に来世を与えることだけど、もし天国で死んでしまったら完全に消滅してしまう。
死者が来世を得るには天国で流通しているエンジェル・ポイント──通称APという通貨を使うしかない。
APさえ支払れば天国では何でも手に入れられる。
「なるほどねぇ。ヘルエルちゃん、一つ質問」
「どうぞ!」
「一生を楽して過ごせる来世ってある?」
「あるよ!」
即答。
そんな都合の良い来世も取り扱ってるんだ。
「でもね、結構お高いの!」
「⋯⋯そっか」
かつての流されるだけの私なら、まず間違いなく適当な来世を見繕って即行で次の生を授かっていただろう。
でも、社会に出て努力しなかった結果を嫌というほど味わった。あんな苦渋を味わうのは二度と御免だ。
だから私は決めた。
努力しないために努力することを。
「ヘルエルちゃん、その来世っていくら?」
「10京AP!」
「⋯⋯」
やっぱ努力すんのやめようかな。いやでも千里の道も一歩からって言うし、まずはバイトから──