お楽しみ下さい。
「ありがとう、これでまた、立ち上がることができる!」
どうも、兵藤七海です、正直、今の気分は大変よろしくない、なんせ、はじめて、人の命を奪ったのだから、ULTRAMANSUITを作ろうとした時から覚悟はしていた。
けど、実際にやってみるものと大きく違うことを実感し、今は少し落ち着いてきたが、思い出すと、気分が悪くなってくる。
最近は、呂布の最後の言葉が耳に残って、夢に見て、眠れなくなってしまい、スーツの開発がとどこってしまった。
アライアンスのみんなや両親には事件のことは話してあり、今は休めと気を使われて、ますます、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
ここは、ただの病院ではなく、冥界にあるメディカルケア専門の病院だ。
もちろん、両親も一緒だ、あれから、両親は私のために三大勢力の情勢だけでなく、多くの情報を学び、私のサポートをしてくれている、とても、ありがたいし、助かっていた。
師匠や姫島さんたちもお見舞いに来てくれてうれしかった。
でも、この心にこびり付いたもやもやが取れなくて、とても、つらかった。
このもやもやを取り払うにはどうすればいいか、そればっかり考えて、負の連鎖にはまり込んでしまった。
ある日、珍しいお客様が来た。
「申し訳ないね、七海君、体調はどうだい?」
なんと、四大魔王の一人である、サーゼクス・ルシファーさんがメイドであり、女王であるグレイフィアさんも連れてお見舞いに来てくださった。
私は、同じ魔王のアジュカさんとは同じ研究者ということで、よく、連絡を取り合っていた。
この前も、忙しいのにお見舞いに来てくださった。
この時、美味しそうな果物も一生にお見上げでいただいた。
今回は小さい客人もつれてきてくださった。
「アトム?元気にしていたかい?」
「うん・・・、この前は、いきなり、攻撃して、ごめんなさい、それと、命を助けてくれただけじゃなく、新しい生活もできるようにしてくれてありがとう。」
実は、アライアンス関係者だけでなく、リュディガーさんから魔王様へアトムの窮状を伝えて、何とかできないかと相談させていただいたのだ、それから、サーゼクスのご実家のグレモリー家に話が伝わり、グレモリー家で引き取れないかと交渉をされたが、交渉はかなり難航した。
交渉材料として大王派が要求したものは、ULTRAMANSUITだった、たしかに、向こうは信用できない。でも、これひとつでアトムが救われるなら上げてもいいと思った、もちろん、私の意志だけじゃなく、アライアンスのみんなとも相談した結果だ。
「交渉の際は申し訳なかった、まだ、子供である君たちも巻き込んで、本当に申し訳ない。」
サーゼクスさんとグレイフィアさんが腰を折って謝罪した。
「いつか、こうなることは予想できていました、それに、根幹部分に関する情報は提示していないので、只の頑丈な甲冑を上げたのと同じです。」
「君もなかなか、喰えないな。」
そういって、サーゼクスさんは少し苦笑した。
「まぁ、成りは子供ですけど、人生経験豊富ですから。」
私も少し微笑みながら答えた。
サーゼクスさんは個人的に話がしたいのか、グレイフィアさんにも声をかけて、私の方からも両親にサーゼクスさんとお話があると言って、退出してもらった、両親は心配そうだったがグレイフィアが安心させるよう伝え、退出した。
「眠れないんだって?」
気遣うように尋ねてきた。
「はい、今も、呂布の言葉が耳に残って、あの時の感覚が、へばりつくような感覚がして取れないんです。」
気を張ろうとしたが、元気な声が出せなかった。
「フラッシュバック・・・、PTSDだね。」
「はい、本当は一刻も早く開発なり、訓練なりしなきゃいけないんですけど、心と体がかみ合っていない感覚がするんです。」
苦しそうに私は答えた。
「少し・・・、私の話を聞いてくれるかい?」
ベッドの近くにあった椅子に座り、静かに語りかけてくれた。
「はい・・・。」
私は静かに答えた。
「三大勢力で戦争があったのは知っているかい?」
「はい、仲間に詳しいものがいるので、伺いました。それで、断絶したお家も出たとも伺っております。」
「そうだね、あのときは生き残ることで必死だった、大勢仲間も失った、でも、得るものもあった・・・。」
「グレイフィアさんですね、確か、敵対勢力だったと伺っております。」
「あの時は、グレイフィアと添い遂げることを考えていてね、必死だったよ、でも、あの選択が本当に正しかったのか、もっと、うまくできたんじゃないかってね、今でも自分でもわかっていないんだ。」
「なぜですか、今も幸せそうに見えますが・・?」
私は不思議に思い尋ねてみた。
「もちろん、とても、幸せだよ、でもね、悪魔は欲深いから、もっと、幸せになりたいんだ、それにね、他の人にも幸せになってもらいたいとも思っている、君もその一人だよ。」
サーゼクスさんがゆっくりと自分の思いを話してくれた。
「そうですね、そうだといいって思っていたんです・・・、でも、あいつも・・・、もしかしたら・・・、ただ、幸せになりたかったんじゃないかと思うと他に方法があったんじゃないかと思うと、俺・・・、力も心も足りないって思えるんです。」
私は涙をこぼして、自分の思いを発露した。
「僕たちは不完全なんだ、天使も堕天使も悪魔も他種族も、もちろん君たちULTRAMANもだ、だから、間違いながらも間違いを正しながら進んでいけるのではないかと思うんだ。100%の存在なんて神や魔王でもいないよ。」
そう言ってサーゼクスは私の頭をなでてくれた。
「ただ、たくさん困っている人を救えばいい手物でもないと思うんだ、生けるものは未来へ向かって変わっていかないといけないんだ、失ったものはもう帰ってこない、でも、救った者たちは新たな未来と可能性を秘めている、数だけ救ったって意味はないんだよ、それに、数ばかりにとらわれていたら本当に救えたものを見落としてしまう、申し訳ないね、僕も」
っ!!
「失ったものは帰ってこない、ないものはない、俺に・・、今あるのは。」
サーゼクスさんの言葉は私の好きだった漫画のセリフに似ていた。
吹っ切ることは一生できないだろう、でも、自分が何をやりたくて、何をすべきなのか、改めて再確認できた。
それから、少しずつ症状が落ち着いた。
そして、皆には申し訳なかったが、半年ほど休暇をもらうことにした。