これからも頑張ります。
僕の名前は早田進、神様とかには会っていない転生者だ。なぜ、そんなことが言えるかって僕には前世があって、その時は自衛官の教導官をしていた。
人にものを教えることにとてもやりがいを感じていた。家族もいて、妻を置いて先に逝ってしまったことは少し心残りだが、妻や子供たちにも蓄えを残すことができて少しは暮らしが楽になると思う。
僕が前世の記憶に覚醒したというより、僕はもとから記憶をもって生まれた。生まれた世界は剣と魔法のファンタジーという感じではなく、僕が生きていた現代の80年代くらいの昭和時代に似た世界だった。
なぜ、似たと言ったのかというと、5歳ごろ情報収集でテレビを見ていたとき、アニメのドラゴ・ソボールが放送されていたからだ。
僕が生きていたころはドラ〇ンボールというアニメが放送されていたので、これは別の世界だとあたりを付けることができた。
もう一つの根拠として、7歳の時、買い物をしていたとき、突然、賑わっていた公園で誰もいなくなった。僕は不思議に思ったが、突然、2メートルほどのカニの化け物が現れ、僕を食べようとしたのだ。
こんな、命がけなファンタジーは勘弁してほしいと思ったよ、でも、これは現実だ。
やすやすと食べられてなるものかと抗った。
「なんで、結界のなかに子供がいるの?でも、ラッキー子供はやわらかくて、おいしいから食べちゃおう。」
「冗談じゃないやい、そんな、簡単に食べられると思うな!」
走って僕は逃げた。
「鬼ごっこかい?」
カニの化け物は僕を追いかけてきた!
(落ち着け、相手は油断している、こんな時こそ冷静になり、周囲のものを利用するんだ、相手からしたら、話を聞くと僕がいるのはイレギュラー、この結界が張ったのはあの化け物じゃなく、別の人が張ったとすると、僕の勝利条件はこの結界を張った人に会い助けてもらうこと。)
僕は隠れながら、体力を温存しつつ、周囲を探った。
しかし、僕は体がまだ出来上がっていない子供だ、ただ、逃げるだけでは、無駄に体力を使い、やがて底をつきゲームオーバーになる。こんな奴に、食べられて家族を泣かせたくない。
何が何でも生き延びてやる。
「みぃつけたぁー、あれ、いないや?さぁて、メインディッシュちゃんはどこかな~。」
カニの化け物が僕の隠れている廃屋に入ってきた。
(もう来たのか!完全じゃないけど罠は設置できた。これで、なんとか、足止めできたら、時間が稼げるぞ。)
この廃屋には地下室がある、そこに、隠れているように見せかけ、僕は視界が開け、なおかつ、すぐに逃げられるよう用具室に隠れた。
(無駄だ、足跡でどこにいるか丸わかりだぜ!)
「どこかな~、坊やでておいで~。」
(この地下室だ。)
「ほぉら、みぃつけた・・あれ?」
どごっ!
ドアを開けた瞬間、上から土嚢が落ちてきた。
「痛っ、どこにいやがるクソガキぃ、ってなんだ、この匂いは?」
地下室に買い物で買ったハイターとトイレ用酸性洗剤を混ぜて塩素ガスを発生させた。
これで、効果があったらいいのだが、ふらついているが、まだ、意識はあるようだ。
次の段階では地下室のロッカーまで来たところで、扉をロックして、僕は一目散に逃げだした。
商店街のほうに向かっても人っ子一人いないと思ったが、近所では見慣れない銀髪で長髪の男性を見つけたので大声で助けを求めた。
(どうして、子供が!)
「助けてください!カニの化け物に追われているんです。」
「どうして、ここに?いや、それは、後でいい、怪我はないかい?後始末は任せてくれ、それで、どこにそのカニの化け物はいるんだい?」
結界を張ったからと言って人的被害が出ないと思っていたら、この体たらくだ、
日本ではこういう時、確か、穴があったら入りたいと言うのだったな。
まさしく、その通りだ、最悪、この子、早田君が死んでいたと思うとぞっとした。
私は彼、早田君が言っていた、廃屋まで行くと、そこには、はぐれ悪魔ギースいた。
しかし、ギースはすでに弱っていた。もともとは研究者肌の転生悪魔で自身に慢心し遺伝子組み換えにより自分を化け物に替えたという情報があった。
人的被害はなく、はぐれ悪魔ギースをとらえることができた。
なんと、早田君にいきさつを聞いて驚愕した。
7歳の少年が自分の足跡を偽装して誘導し、さらに、手元にある道具を使い、はぐれ悪魔を撃退した。勇敢で、とても知的だと思った、そして、彼のような子を死なせるのは未来にとっての損失だとも思った。
「ところで、お兄さんはなんて言うお名前ですか?」
「緊急事態で挨拶どころじゃなかったね、私はリュディガー、リュディガー・ローゼンクロイツだよ。」
その時の早田君は大層驚いていた。
この表情からするともしかしたら、私が悪魔ということを知っているのかもしれない。
ここは、情報収集する必要があるな。
「日本語とてもお上手ですね、それと、もしかして偉い方ですか?それでしたら、粗相をしてしまい、申し訳ありませんでした。」
「それはかまわないよ、それより、どうして、私のことを偉い人だと思ったのかな。」
「身なりもそうですが、話し方がとても丁寧で、何よりお名前のローゼンクロイツとは魔術結社薔薇十字団(ローゼン・クロイツァー)と関係あるのかなと思いました、そして、西洋の魔術結社は世襲制だと聞いたので、お名前を受け継いだすごい魔法使いなのかなと思いました。」
驚いた、まさか、こんな幼い子供が魔術結社について詳しいなんて、しかし、なぜ、こうも詳しいのか?
私は興味を持ったが、その前に、彼の肉体だけでなくメンタルのケアのほうが先だな。
「助けてくださり、ありがとうございました!また、お話したいです。」
検査の結果、肉体的には問題が無かったため、冥界のメンタルクリニックに通院できるように手配して、早田君は元気に笑って病院を後にした。
あれから、すぐご両親も交えて謝罪と説明を行った。
早田君が遭遇した存在、私たち悪魔のこと、悪魔のシステムや現状について、はぐれ悪魔やそれを出してしまった上級悪魔の処罰について、早田君の心身両方のケアについても話させていただいた。
それから、幾度か交流を経て早田君からとてつもない情報をもたらされることになる。
曰く、早田君は転生者であること。
曰く、ここは前世で読んでいた物語に近い世界だということ。
曰く、未来で三大勢力は和平の道を進むがテロリストが現れ、大きな戦いが起きるということ。
曰く、未来で魔王お三方が邪竜を封印するため、特殊な結界を張り、何年も戦い続けるということ。
曰く、その中心が悪魔陣営に転生悪魔として転生した、赤龍帝兵藤一誠という人物が主人公となるとのことだった。
これは、うかつに漏らせない情報だ。
下手をすれば、再度、戦争が起きて、三大勢力どころか世界が滅亡しかねない。
だが、早田君に何をしたいか聞かないといけないな。
「話は理解したよ、それを前提に君に聞きたいことがある、君はこの知識を使って何をしたいのかな?」
話していたときは早田君の表情はどんよりとしていたが、私の質問を聞き覚悟を決めた表情をしていた。
「助けられる人を助けて、幸せに暮らしたいです、僕だけで、すべての人を助けられるとは思っていないです、ただ、僕はできることがあるのにやらないで後悔はしたくないです、自分だけ幸せじゃあだめなんです。」
「ご家族はどうする、それに、どのようにして、どうやって、いつ、何をもって目的達成とするんだい?」
「それについて提案があります、こちらをご覧ください。」
そこにあったのは、提案書だった、手書きで大まかながらきれいにまとめられていた。
人間側でもはぐれ悪魔や異能者に対抗手段として、SSSP(科学特捜隊)の設立、法制度の制定、ULTRAMANSUITの作成、ULTRAMANSUITの使用者についても記載があった。
そして、ULTRAMANSUITの作成提案者として兵藤七海という名前があった。
「もしかして?」
「はい、一誠君のお父さんになる方で七海君も転生者です、最初は独力だけで何とかしようともがいて、心が疲弊していたため、信頼関係を築くため、会話を重ね、僕から転生者であることを明かし、転生者集団、ウルトラアライアンスに誘いました。元は研究者だったため、スーツも作成に携わってもらっています。そして、みんなの家族にも自分たちが転生者であることを明かし協力していただいています。」
ここまで、用意していたとは、唖然とした。
だが、ここまで、できているんだ、だったら力を貸さないとな。