僕らのヒーローアカデミア―One For Allを完遂せよ― 作:眼鏡熊@ヒロアカ完走
それから、色々変わった。
僕は寝ても起きても身体を鍛えた。鍛え続けた。
皆が個性を磨く間も、身体を鍛えた。
師匠―――――元No.6。拳聖ヒーロー『スクラップフィスト』こと、拳崎豪太。
師匠の流派『鉄拳流』の、個性を含まない要訣を、10の時に全て取り込んだ。その折に師匠から色々紹介を貰った。
ガンヘッド先生の、
ガンヘッド先生の他にも、武闘家ヒーローとされる方々から様々な要訣を叩き込まれ、僕の格闘技術は5歳の頃よりもより強くなった。
師匠含む先生方からは『そこらの増強系や異形系なら軽くいなせるだろう』というお墨付きまで貰えた。
先生方にはヒーローになりたい。という願望はバレバレだったし、苦言も挺された。
それでも、彼らは明確には否定しなかった。
そこで、よく覚えた。
身体の使い方。力の使い方。
力の受け方、流し方。
脚から腰へ。腰から肩へ、肩から拳への力の伝達。
踏み込み、引き、受け、回し。
ありとあらゆる身体の使い方を叩き込んだ。
出来ることは、全てした。
その中で、色々な子達に出会った。
例えば、燈矢君。“個性“と体質が噛み合わず、火力の出し方に苦心していた。
だから、2人で考えた。
――――――――――
「ね。燈矢君は火力ずっと上げっぱなしなの?」
「そうだよ?その方が強いし」
「でも、体質的に難しいんだよね?」
「分かってるよ……!でも、そうしないと、父さんみたいになれない……!!」
「うん。それもわかる。だからさ」
瞬間的、局所的に温度を上げながら、逐次冷却すればいいんじゃない?
「逐次、冷却……?」
「うん。エンデヴァーだって川で冷やしたりしてるじゃん?」
「あっ」
そう。エンデヴァーも定期的に川で冷やしながら活動している。それがより短いスパンになるだけだ。
「だから、瞬間的な火力を確保しながら、低温に耐えうる体で即冷却する」
ないしは、局所的に集めた熱を体全体に広げて納める。
「そうすれば、火傷もしにくくなるんじゃないかな?」
「……成程」
「つまり……こういう事だろ???」
赫灼熱拳――――――
「スパイディ・バーン」
青く、蒼い炎が糸状に掌から発射され、クモの巣状のように広がる。
そして、使用後直ぐに、全体に熱を行き渡らせ、川にダイブした
「……うん。これなら大丈夫だ」
「だよね!!!今でもこんな感じでできるからサポートアイテムとか、冷却に秀でたサイドキックが出来ればもっと強くなれるよ!!!」
「……凄いな、出久は。俺は狭い視野でしか見れてなかった。お前は広い、すげえ広い視点で見れてる」
「えへへ。ここら辺は結構褒められるんだ」
その過程で、エンデヴァーとも出会った。
「お前か……!燈矢を誑かした小僧は!!!!」
「貴方は……燈矢君を『見て』いますか。燈矢君だけじゃない。ほかの皆も、『見て』いますか?」
「……なにを」
「燈矢君はあなたのようになりたくて、貴方をめざして進んできた」
「……知っている。だが、それで!!!体質のせいであんな怪我をする身体で!!!どうヒーローになるんだ……!それで、努力が無駄になったら……それでも届かなかったら」
どうするんだ。
「……それでも諦めなかったのは、貴方でしょう」
「……何?」
「No.2ヒーローエンデヴァー。あなたの事は、少しは知っている。事件解決数ナンバーワン。ファンサもせずヒーロー活動に当たる姿から、ストイックなヒーローである。という評価と取っ付きにくいマイナスを共存させている。そして―――――」
ずっと、オールマイトを追いかけ、ライバル視してきた人。
「貴方は自分では届かないと分かっていても努力をやめなかった。
そんな貴方を。
「ずっと近くで見ていて、ずっと憧れた燈矢君が、どうして諦められるんですか」
「……おれは」
おれは……間違っていたのか……?
「あなたがしたことは許されることじゃない。オールマイトを越えることを子供に押付けて、あんなことをした。
これからは変えられる。
「たとえ過去が変えられなくても、これからの貴方は変えられる」
だから―――――――
「貴方はこれから家族を見て、家族に見てもらってください」
それがきっと、贖罪だから。
――――――――――
父は、母を、家族を傷つけた。
許せないやつだった。
ある日、燈矢にいが俺と同い年の子供を連れてきた。
オヤジは本気でキレて、その子供に怒鳴りつけた。
怖かった、あいつも、殴られるんじゃないかと。
でも、そいつは―――――――
―――――
俺の絶望を、容易く滅ぼしてしまった。
それから、全て変わった。
父は俺らを省みるようになっていた。鍛えるのは変わらずとも、俺の憧れを否定しなかった。兄の憧れも否定しなかった。
稽古の後に母さんが作ってくれる冷たい蕎麦を、燈矢にいと食べるのが、大好きになった。
なあ、出久。俺のヒーロー。
お前に“個性“が無くても、お前は俺のヒーローなんだ。
だから、お前が困ったら、俺が助けるよ。
俺の、全てをかけて。
それが俺のもうひとつの
おれの、最高のヒーロー。