MCU in DarkMatter   作:爪楊G

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ちょいと時間は経ったけど投稿。


2話

 

 

 

「やっぱりな」

 

 空母にあるラボの一室。とある確認作業を終えた垣根は天井を見上げながら呟いた。それと同時に、部屋に近づいてくる二人の人間。

 

「バナー博士、ここがラボよ。先客がいるみたいだけど」

 

「構わない。分光計の件だけ頼むよ。僕は探知アルゴリズムを組んでおく」

 

 男の言葉に頷いた女が垣根に一瞬だけ視線送り去って行く。バナー博士と呼ばれた男に垣根は歩み寄る。

 

「よぉ、バナーって呼ばれてたな。ってことは、アンタがブルース・バナーで合ってるか?」

 

 差し出された手を握り返すバナー。

 

「そうだ。君は?」

 

「俺は垣根。……そうだな、アルバイトとでも思ってくれりゃいい。こうして見るとマジで普通の人間だな」

 

 バナーは垣根の言葉を誤魔化すように苦笑する。

 

「まぁね。ラボを使っても?」

 

「あぁ、俺の用事はもう終わったからな。分光計……四次元キューブのガンマ線光量を設定して範囲を絞り込む訳か」

 

 先程の会話から何をするのかを察した垣根に、バナーは感心した様子を見せる。

 

「良く分かったね。君も研究者かい?それにしては若いな」

 

「近からずも遠からずって所か。まぁ俺の事はいいだろ。アンタには色々聞いてみたいと……」

 

 ガンマ線光量の計算を始めたバナーに垣根が話し掛けるが、それをラボの通信装置がブザーを鳴らしながら起動される事で阻む。

 

『バナー博士、ロキを発見しました。既にキャプテンとエージェント・ロマノフが確保に向かっていますが、念の為キューブ捜索の作業は引き続きお願いします』

 

「分かった。他にする事もないからね。進展があったら教えてくれ」

 

 スピーカーから流れる職員の報告に垣根が勢いよく立ち上がると、椅子に掛けていたジャケットを羽織る。

 

「悪いなバナー。色々と聞きたかったが別の要件が出来ちまった」

 

「あー、気にしてないよ。早く行くといい。どうせ僕はここにいるから」

 

 

 

 

 

 操縦室にやって来た垣根は長官席に立つフューリーの下へ向かう。

 

「ロキが見つかったって?」

 

「キャプテンとロマノフならもう出発したわよ」

 

 ヒルの言葉に肩を竦めた垣根はフューリーの傍で立ち止まる。

 

「面白そうな事があったら呼べっつったろ」

 

「それは悪かったな。こちらとしては面白いという認識ではなかったもんで」

 

「詭弁だな。で?場所は?」

 

 特に責める事もなく、端的に場所を尋ねる。フューリーも素直に返した。

 

「ドイツのシュツットガルト。言っておくが相手は神だぞ」

 

「だから面白いんじゃねぇか。お手並み拝見と行くか」

 

「ヘリを手配しましょうか?」

 

 操縦室から去ろうとする垣根に声をかけるヒルだが後ろ手に拒否される。

 

「端末にキャプテン野郎の乗ってるヘリとロキの場所をマークしといてくれるだけでいい」

 

 そう言って場を後にする垣根に溜息をつくヒル。職員に垣根の端末に座標を送り続けるよう指示して、フューリーの後方に控える。

 

「好きにさせておけ。少なくとも今は少しでも戦力があった方がいい」

 

「分かっています。だから行かせたんです」

 

「それでいい。我々は我々のすべき事をするぞ」

 

 

 

 

 

 

 ロキを確保したロジャース一行は、ロキを連れ帰るべく現れたソーの襲撃に遭う。飛行能力を持たないスティーブを置いてソーと対峙するスターク。

 

「邪魔をするな!ロキはアスガルドで裁く」

 

「キューブを取り返せてないんでな。悪いがロキは渡せない。引っ込んでろサーファー」

 

 その言葉にハンマーを投擲するソー。攻撃を受けたスタークはそのままソーとの戦闘に入る。入り乱れる雷撃とリパルサーレイ。肉弾戦にてスタークが徐々に押され始めた時にその乱入者はやって来た。

 

「おいおい。まさかこれが神だってのか?冗談も程々にしろよ」

 

 天使のような六枚の翼を持つ少年が場に降り立つ。突然の事に戦闘を中断する二人。

 

「神の次は天使か?どうせならかわい子ちゃんにしてくれればいいのに」

 

「言ってろ。スーツ野郎、選手交代だ。こいつの相手は俺がする。てめぇはロキを見てろ」

 

「それは助かるけど、君がどこの馬の骨かくらい教えて欲しいね」

 

 右手をソーに左手を垣根に向け、警戒を解かないスターク。

 

「S.H.I.E.L.D.のアルバイトだよ。詳しい事はフューリーにでも聞け」

 

「アルバイトだって?そんなの雇う程にS.H.I.E.L.D.も人手が足りてないのか?言ってくれれば良かったのに。……なんだよロマノフ。……はぁ、分かった。そう言うのは先に言っとくようフューリーに言っとけ」

 

 茶化すようにような態度で誰かと会話するスタークは垣根へ向けていた手を下ろした。

 

「じゃあ選手交代だ。お手並み拝見と行こうか。天使君」

 

 そう言ってロキの下へ向かうスターク。ソーは乱入者である垣根を警戒するように睨みつける。

 

「急に現れたと思えばお前も邪魔をしに来たのか。ロキはアスガルドで裁く。四次元キューブは取り戻してやる。それでいいだろう。だから邪魔をするな」

 

「そんなもんどうでもいいんだよ。今、俺とお前は敵だ。神なんだろ?だったら押し通してみせろよ」

 

 ニヤリと笑みを浮かべ。退く気配を見せない垣根にソーはハンマーを回し始める。

 

「ほら、来いよ」

 

「後悔するなよ。天使の男よ!」

 

 そのやりとりをきっかけにソーがハンマーを投げる。飛んできたソレを翼で叩き落そうとするが拮抗。そのまま受け流すようにハンマーを後方に逸らした垣根はソーに翼を叩きつけた。

ハンマーを簡単に対処されてしまったソーは動揺して攻撃を喰らってしまう。常人ならばそのままちぎれ飛ぶ威力を持つ未元物質の翼を受け、吹っ飛びはしたものの軽傷程度のソー。

 

「ただのハンマーじゃねぇな、アレ。質量と重量が釣り合ってねぇ。魔法のハンマーってか?」

 

 立ち上がったソーはハンマーを引き寄せる。垣根は追撃をせずに観察するようにソーを見ている。

 

「ムジョルニアは選ばれし者にのみ持つことを許される神の武器だ。魔法のハンマーなどではない!」

 

 怒るように叫んだソーはハンマーを天に向け雷を落とすと電撃を打ち放った。しかし、翼で防御した垣根には届かない。電撃を防ぎ切った垣根が翼を振るい烈風を起こす。吹き飛ばされない様に持ちこたえるソーだが、その体には薄い切り傷が増えていく。

 

 何とか耐えきったソーは投擲も雷も効かないとみるや直接殴りに来る。ハンマーを回して飛ぶように垣根に肉薄したソーは何度もハンマーを垣根に叩きつけるが翼に阻まれる。時折、電撃を織り交ぜるもどれも有効打にはならない。

 

 しばらくそんなソーの相手をしていた垣根は、大きく溜息を吐いたと同時に翼を振るった。押し退けられて後退するソー。

 

「精度や応用性は疎か、出力すら第三位に劣る電撃に変なハンマーを振り回すだけ。後は精々身体が頑丈なくらいだ」

 

 翼をもう一度振るいながら呟く垣根。その顔は明らかに失望の色が滲んでいた。辺りを舞う羽が白い鳥型のナニカに変化してソーに襲い掛かる。

 

 次々と襲い来る鳥をハンマーで叩き落していくソー。

 

「このような小鳥で俺をどうにか出来ると思ったか!」

 

 ついに最後の一匹を落としたソーは挑発的な笑みを浮かべる。

 

 

「こんなのが”天上”だってのか?笑わせんなよ。神がこの程度の訳がねぇ」

 

 そう言ったと同時に地面に落ちていた鳥達がその形を崩しソーに絡みついた。突然の事に対応が遅れたソーは拘束されてしまう。

 

「クソっ。何だこれは……動けん!」

 

 振りほどこうと力を入れるがビクともしない拘束。垣根はそんなソーを小突き転倒させる。苛立ちを見せながらソーを足蹴にした垣根は翼を顔に突きつけた。

 

「期待外れもいいとこだお前。時間の無駄だったな」

 

 息を呑むソーを冷めた目で見降ろす垣根だったが、何処からか飛来してきた盾が翼とソーの顔面の間に突き刺さる。

 

「そこまでだ。彼はもう戦えない状態だ。これ以上痛めつける必要はない」

 

 垣根が振り返ると、そこには星条旗を模ったような恰好の男。

 

「その恰好。お前がキャプテン・アメリカって奴か。今更現れやがった上に命令とはな。随分と偉そうじゃねぇか」

 

「僕は君達みたいに飛べないんだ。それに命令という訳じゃない。ただ、徒に痛めつける必要はないと思っただけだ」

 

「あぁ、いかにもな発言どうも。流石はキャプテン様だ」

 

 そこへ、ロキを連れてやってきたスタークが垣根の肩を軽く叩き笑った。

 

「いやお見事、やるね君。遅れてやってきた口だけの老人とは違うな」

 

 その言葉に一瞬睨み合うスタークとロジャースはしかし、言葉をかわす事なく視線を外した。そんな二人を余所にロキは倒れているソーを見下ろして楽しそうにしている。

 

「随分と愉快な姿になっているじゃないか兄上。オーディンの息子が聞いて呆れるな」

 

「うるさいぞロキ!地球にこのような存在がいたとは……」

 

 一切疲弊した様子を見せない垣根に表情を硬くするソー。そこに歩み寄ったロジャースは盾を回収する。

 

「ロキにはキューブを奪われたままだ。悪いがまだ引き渡せない。大人しく着いてきてくれるなら、拘束を解こう」

 

 少しの間沈黙していたソーだが、最終的にはロジャースの提案を了承。一行はヘリで空母に帰投するのだった。

 

 

 

 

 

 帰投中のヘリ内、急いで戻る必要のない垣根は一行と共にヘリに搭乗していた。そこへスタークが隣に腰掛けて来た。

 

「やぁアルバイト君」

 

「てめぇは……トニー・スタークだったか」

 

 声をかけて来たスタークのパワードスーツを改めて観察する垣根。性能だけなら学園都市の駆動鎧を上回るだろうスーツ。駆動鎧は量産可能という強みはあるがそれはそれとして個人がここまでの科学力を擁している事に感心する。

 

「おっと、知ってたのか。有名人は自己紹介要らずで楽だな。……僕の自己紹介は必要ないみたいだから、君の事を教えてもらいたいね」

 

「垣根帝督。それで?何の用だ」

 

「おいおいそれだけか?もっとあるだろう。女のタイプとか、君の素敵な翼の事とか」

 

 興味を抑えきれていない表情で垣根を見つめるスタークに息を吐く。

 

「聞けば答えが返ってくるなら科学者なんざ要らねぇな。あの自称神様モドキとやりあってる時に散々鬱陶しいの飛ばしてきてたろ」

 

「気づいてたのか?悪かったよ、気になったら放っておけない性分なんだ。君の翼や操っていた物質をスキャンしたが、分かったのは正体不明の元素で構成されている事だけだった」

 

 スタークの言葉に肩を竦めるだけの垣根。その様子に質問を諦めた彼は世間話に切り替えた。

 

「分かったよ降参だ。……S.H.I.E.L.D.にはいつから?」

 

「まだ1週間程度だ。こっちも色々と複雑でな」

 

「僕も良く言われるよ、複雑な男だって。アルバイトって言ってたよな?もしS.H.I.E.L.D.の労働環境に不満があるなら僕に相談してくれ。ウチは超ホワイト企業で有名なんだ」

 

 即座にヘッドハンティングに走るスタークを呆れるような、感心するような目で見る。

 

「ああ、経営者は全員そう言うよな」

 

「嘘じゃない、疑うなら一度見に来ればいい。少なくともフューリーに比べればオープンな社長だぞ?」

 

「それは言えてるな」

 

 他の面々が思い思いに休息を取る中、垣根はスタークの会話に付き合うのだった。

 

 

 

 




VSソー
まぁ覚醒前ならこんなもんじゃなかろうかと考えながら書きました。

カタログスペックだけならみこっちゃんも相当ヤバい事言ってるんだよなぁ。でもソーと戦わせたら何だかんだソーが勝ちそうではある。

ソーはラブサンダーでまじで神染みた真似してて笑った。個人的にソーの一番の強みは肉体の頑強さだと思ってる。他のアスガルド人と比べても明らかに抜けてる。

次話は速めに投稿する予定です。
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