かっちゃんTSもっと流行れ。
目が覚めたら緑谷出久になってた。
なんで?
かっちゃんが女の子になってた。
…なんで??
普通に個性が発現した。
……なんで???
ドーモ=ミナサン、ヒロアカ世界にて主人公に憑依転生したオリ主です。
……いやほんと、どうしようね。
現在4歳、個性が発現すると同時に前世の記憶が蘇って絶賛混乱中。
……えーと、整理しよう。
まず、ここは「僕のヒーローアカデミア」の世界だ。前世の記憶はあまりないけど、ヒロアカを視聴していた記憶は残っているし、原作の展開もある程度覚えている。
……原作通りの展開になればかなりヤバいけど、一旦置いておこう。
そして、僕はヒロアカの主人公、デクこと緑谷出久だ。
もうこの時点でヤバい。シナリオブレイクもいいところだ。原作の展開どうしようとかOFAの継承者どうなるんだろうかとかいろいろ考えちゃうけど後回し。
それから、僕以外の原作との相違点。
……かっちゃんが女の子になってた。
彼女の名前は爆豪樺月。読みは同じだけど字が女の子っぽくなってる。個性とかは変わってなくて、性格も大体同じだから原作との相違点はそんなにない……かもしれない。
最後に、最も重要な改変。
……普通に個性が目覚めた。
原作の僕……緑谷出久は無個性で、そのことが物語の根幹に関わってくる。
だけど僕には個性がある。それも結構強い個性が。
個性の名前は【
……うーんこのチート。でももっとチート臭い個性いっぱいあるしセーフっちゃセーフ? 両親が物を引き寄せる個性と火を噴く個性だから、かっちゃんみたいな突然変異と考えればまぁありえなくはない感じなのかな?
僕には前世の記憶と原作知識があるけど、その人格は緑谷出久にかなり引っ張られている。
つまり僕はヒーローにすごく強く憧れていて、オールマイトのことが大好きだ。
そんな僕が個性を得られず、齢4つにして挫折するところから物語は始まるんだけど……。
うーん……普通にヒーロー目指せそうな個性……。
っていうかこの世界の人間って個性と名前が密接に関係してた記憶があるんだけど、名前「緑谷出久」のままでいいのかな……?
なんにせよ、この世界は、というかこの国は、このままだとすごく大変なことになる。
できることならその未来は回避したいけど……。
一人でできることは限られるし、下手にシナリオに手を出すと正史より悪くなる可能性がある。
少年漫画というものは、基本的にハッピーエンドを迎えるようにできている。
ただでさえシナリオの根幹に罅が入っている現状、余計なことをして事態を悪化させることは避けたい。
せっかく強そうな個性が発現したんだし、原作の流れを守るためにも、ここは無難に個性を鍛えてヒーローを目指すのが吉だろう。
何より、僕はヒーローになりたい。
正直、いろいろ理屈をこねたけど、僕の人格は基本的に緑谷出久だ。
ヒーローを目指せそうな個性が目覚めて、正直もう辛抱たまらない。
……一応、原作に則って。
これは、僕が最高のヒーローになるまでの物語だ。
「出久ー?どうしたの?」
「なっ、なんでもないよ!」
……多分!
〇
窓から流れ込む春のそよ風が、レースのカーテンを優しく揺らす。
ベッドに寝転がっていると、風がいい感じに撫でてくれて、このまま一眠りしてしまいたくなる。
……平和だ。
前世の死に際とかは覚えていないんだけど、少なくとも成人はしていたはず。
その記憶に照らせば、今の生活はあまりにものんびりとしていて、平和で、あくびが出てしまう。ふわぁ。
この世界は前世より未来って設定だったはずだけど、地球温暖化はあんまり進行していない。
どころか、前世の亜熱帯になりかけな気候よりもよほど四季がはっきりしているように感じる。
住み心地がよくて大変ありがたい。
とはいえ、平和ボケしているわけにもいかない。
“将来”のことを考えれば、いくら準備したって足りやしないのだ。
というわけで、大きくおくちを開けて、訓練の再開。
個性を発動すると、周囲の空気が口に勢いよく飛び込んでくる。
さっきまで優しく揺らめいていたカーテンがばっさばっさと翻る。
数秒すると、満腹になったような感覚に襲われ、それを無視して吸い続けると吐き気を覚え、それでも吸い続けるととうとう吸い込めなくなった。ここまで十秒。
「うっぷ、おぇ……うぅ、きょようりょうちいさすぎ……」
うーんこのザコっぷり、とっても将来が不安になりますねぇ。
公には個性の使用が禁じられているこの世界において、個性を鍛えることは簡単じゃない。
特に僕みたいな子供は、部屋に一人でいて、こっそりできるような訓練しかこなせない。
つまりあんまり激しいことも厳しいこともできなくて、訓練としてはかなりぬるめのメニューのはずなんだけど……。
個性が目覚めたばかりだしそんなに悲観はしてないけど、これ最悪非力な一般市民ルートあるか……?
正史じゃ主人公な僕がこんな有様だし、正直どんな未来が訪れたっておかしくない。
……けど、せっかく強個性で、主人公の立ち位置で、原作知識を持っていて……。
個性と原作知識に目覚めてから、改めてオールマイトのデビュー動画を見返してみた。
原作知識がどうとか、個性のあるなしとか、関係ない。
僕はオールマイトに憧れている。オールマイトのような最高のヒーローに成りたいと、心の底から願っている。
「はぁ、ふぅ、……すぅ――――」
少し回復してきたので、訓練を再開する。
またすぐに続けられなくなって、しんどさばかりが残る。
けれどやはりというか幸いというべきか、緑谷出久の精神は頑強で、ちょっとやそっとの苦痛じゃへこたれない。
将来訪れるであろう苦難と、オールマイトの無敵の笑顔を思い浮かべれば、いくらでも頑張れてしまうのだ。
……やっぱり僕は、ヒーローになりたい。
ヒーローになって、よりよい未来を掴みたい。
正直、シナリオを壊してしまうのはすごく怖い。けど、僕がいる時点で、シナリオなんかとっくに台無しだ。
僕は僕のできる最大の努力として、ヒーローを目指して邁進する。それしかできないんだ。
この世界の性格を思えば、ヒーロー目指して必死に努力した人はきっと報われるはずだから。
……だから、僕はヒーローを目指したっていいんだ。そのはずだ。
「出久ー、ごはんよー!」
「あ、はーい!」
考え事をしているうちに、お昼時になっていたらしい。
気づけばいい匂いも漂っている。今日は唐揚げかな。
部屋を出ると、若くて美人なままのお母さんが笑顔で迎えてくれる。
「出久、手を洗ってきて、それから食器を並べてね」
「はーい!」
元気よく返事をして、軽い足音を響かせる。
前世で大人だった記憶があるから、こういう子供の仕草は恥ずかしく感じると思っていたんだけど、意外や意外。これがなかなかに楽しい。
正直、僕は子供に生まれ変わるという体験を、かなり楽しんでいる。
考えるべきことはたくさんあるけど、不必要にくよくよしてしまうのは僕の悪い癖だ。
今は吹っ切れて、子供としての生活を楽しもう。
“将来”のことを考えると、親孝行は早いうちからしておきたいしね。
「いっただきま~す!!!」
うーん、お母さんのから揚げは絶品だ。何度だって食べたくなる。
え?おかわりあるの?やったね!
〇
さて、個性の訓練について。
いくつか実験してみていろいろと分かったので、それも踏まえながら計画を立てていく。
僕の個性は、何かを吸い込んでエネルギーに変換し、放出する。
具体的なステップとしては、吸引→消化→吸収→変換→貯蓄→放出 といった感じ。
原作の描写を参考に、これら一つ一つのステップについて鍛えていくことにする。
まずは吸引のステップ。
僕の個性は物質だけでなく光や熱も吸引できる。だから個性を使っているとき僕の前方はちょっと暗くなって、口の中は真っ暗で何も見えない。試したことないけど多分電気もいける。でも口より大きな物質は吸引できない。
感覚としては、個性を使うと口の奥に別の入り口ができて、その中に諸々が放り込まれる感じ。結構楽しい。
強化ポイントとしては
・吸引できる対象の拡張
・吸引力の強化と一度に吸引できる量の増大
・吸引範囲の拡大
……といったところだろうか。
遠距離から敵の生命エネルギーを吸引だとか、もしできたならめっちゃ強いと思うので、がんばりたい。
次に消化。
光や熱はほとんど消化の必要がないけど、物質はその質量に比例して消化に時間がかかる。試した範囲だと、レンガ一個で一時間くらいかかった。
これについては、シンプルに消化時間の短縮を目指せばいいだろう。
吸収は……なんか鍛える要素あるかな。吸収スピードとか?
まぁ個性使いまくってたら勝手に鍛えられるだろう。
変換も似たようなもんかな。
貯蓄については、できるだけ大量のエネルギーを保持し続ければ鍛えられるだろう。現状、3㎏も吸収すれば限界になってしまうので、早急に鍛えていきたい。
貯蓄許容量増大以外に鍛えるべき要素あるかな?……まぁ思いついたらなんかやろう。
適当すぎるかな? いや、こういうのはちょっと適当なくらいがいいのだ、きっと。
最後に放出。
これが一番工夫の余地がある。
まず、熱や炎、電気、光などを放出できる。
父さんの遺伝子か、口からの放出が一番やりやすいけど、やろうと思えば全身から放出できる。ただ、エネルギー消費のわりに効果は地味め。
以前全力で火を噴いてみたけど、ライターよりちょっとマシ程度のレベルだった。
それから、バリアみたいな不可視の斥力場を生成できる。
普通にやると、自分を中心に半径2mくらいの力場が生成されて、内外を遮断する。長時間展開し続けると普通に酸欠になる。
この時地面も切断されてて、その切断力は結構強め。
ちょっと気合を入れると力場に触れたものが弾き飛ばされるようになって、切断力も上がる。でもバリアごとぴょんぴょん飛び跳ねたりはできなくて、どんなにふんばっても切断力が上がるだけ。
そしてこの力場、見えないのでわかりにくいけど、形を変えられる。今は球をちょっとだけ撓ませるくらいしかできないけど、がんばればもっといろいろできそう。
しかも、斥力場展開中は移動できなくなって力場自体も動かせないんだけど、なんかめっちゃ頑張ればなんとかなりそうな感触があるのだ。……全部主観なので、曖昧なのは許してほしい。
将来的には斥力場の刃を振り回して、インビジブルブレイド!とかやりたい。
この斥力場、扱いはかなり難しいんだけど、エネルギー効率は一番いい。
身を守るためにも、これについては優先的に鍛えていきたいところ。
最後に、エネルギーを使った身体強化。
これが一番期待してたんだけど、やってみると燃費が悪すぎて使い物にならない。
現時点だと、エネルギーを限界まで貯めた状態から5分でガス欠になる。
しかも強化倍率が微妙で、体感だけど3倍にもなってない感じ。
一応自己治癒とかもできるんだけど、ちょっとした擦り傷を治そうとしただけでぶっ倒れてしまった。
鍛えるとしたらエネルギー効率の改善からなんだけど、これ鍛えてどうにかなるのかな……?
期待してただけにショックだけど、まだ将来どうなるかはわからない。気長に鍛えていこう。
個性の強化プランに関してはこんな感じかな?まぁ追々思いつき次第追加していこう。
訓練場所は近くの海が適してるかな。原作に沿って、ごみ掃除とかしてみてもいいかもしれない。単にごみを捨てるのでなく、僕の個性で全部を吸収してしまうのだ。
個性だけでなく体も鍛えて、怪しまれないように子供らしく振る舞いつつかっちゃんとかとも仲良くして……。
考えてたらワクワクしてきたな。
原作開始まであと10年と少し。
時間はそれなりにあるけど、将来のことを考えれば力はいくらあっても足りない。いくら修行してもし足りないくらいだけど、とはいえ焦りすぎても却ってよくないし、かっちゃんとの関係改善にも注力したい。無茶しすぎない程度の全速力でじっくりやっていく所存だ。
決して明るいばかりの世界ではないけれど、それはそれ。
せっかく生まれ変わったんだし、全力で今世を楽しもう。
本作において、緑谷出久の好物は唐揚げです。
理由?執筆時に筆者が食べたかったからです。
主人公の個性のバリア(斥力場)は「ブラック・ブレット」の蛭子影胤をイメージしてます。
知らない方は見てみてね。