戦闘訓練回。原作ママだと書いてて楽だけどつまんないし、オリ展開は書いてて楽しいけど疲れるし……。儘ならないですね。
原作漫画、よく見たら模擬核爆弾に「テドポン(TAEDOPONG)」って書いてあってウケる。やりますねぇ!
国立 雄英高等学校 ヒーロー科。
「んじゃ次の英文の内間違っているのは?」
全国最高峰といえども、その日常風景は平凡だ。
「(普通だ)」
「(普通だ)」
「(普通だ)」
「(つまんないです)」
「(つまんないのって落ち着くんだな)」
ちなみに、この問題の答えは関係詞の場所が違うから4番。
授業自体は教科書とかを見る限りかなり高度かつハイペースなんだけど、まだ序盤だし、予習してたので結構余裕。
昼は大食堂で、一流の料理を安価で頂ける。
「白米に落ち着くよね、最終的に‼」
「落ち着く~」
「ランチラッシュ!何をどうやったらこんなにおいしい唐揚げが!?」
「企業秘密さ!」
「……おいヒミコ、野菜をアタシに押し付けんじゃねぇ。好き嫌いすんなよ小学生か」
「これキライです」
「キライでも食うんだよ、それが“普通”だ。大きくなれねえぞ」
「私もう十分大きいのです。樺月ちゃんほどじゃないけど……」
「何の話をしてるんだバカ。ほら、いいから食べな。キレイになれねーぞ」
「んあー」
「ヒミコちゃん、どうしても無理そうだったら私食べるからね」
「甘やかすなお茶子、図に乗るだろ。っつーか自分が食べたいだけだなさては」
「えへへ、バレた?」
「お茶子ちゃん好き!ちうちうさせて!」
「わっ、ち、ちうちう?」
「トガさん、公共の場で騒ぐのは良くないよ。麗日さん、ちうちうっていうのは吸血行為のことで、トガさんなりの愛情表現なんだ。トガさんは好きな相手への吸血衝動を抑えるのが難しくて、そこら辺の関係で泥花市にいたんだよ。だよね?」
「……合ってますけど、なんでそんなに知ってるんです?」
「コイツが変態だからだ。あんま近づいちゃダメだぞ、危ねーから」
「そんなぁ、僕はただ」
「黙ってろクソナード」
「吸血衝動か……なるほど、我慢しろと言って解決する問題でもないのだろう。しかし、うーむ、血液か……。難しい問題だな」
「私は構わないよ?」
「やったあ!」
「トガさん、抱き着かないの。噛みつこうとしない。そういうプライベートな行為は公の場でしちゃいけません。それと麗日さん、飯田君の言う通り、そう単純な話でもないんだ。吸血行為を重ねればどうしたってダメージは蓄積するし、行為に際して感染症なんかのリスクもある。あんまり許しすぎるのはお互いのためにならないんだよ」
「むー……まぁ、はい。【模範的市民の会】にいたときも、週イチくらいでしかちうちうできなかったです。それで何回か思いっきりちうちうしちゃって、怒られたりしてました」
「もは……?」
「【模範的市民の会】、ダークヒーローの正式名称だよ。それでまぁ、そこらへん融通の利く僕が、『よかったら血液要りますか?』って話しかけてたのが、昨日の帰り際ってわけさ。だからトガさん、好きな人へのちうちうは今まで通り週に一回くらいで我慢して、どうしても我慢できなくなった時は、悪いけど僕で我慢してほしいな」
「悪いだなんて!とってもありがたいです!」
「緑谷君、それは、大丈夫なのか?」
「うん、僕は個性で回復力が強いから、何リットル吸われても大丈夫。ほとんど再生能力みたいなもんだからね」
「そうは言ってもな。ヒーローを志す者として、『再生するから大丈夫』と言われて納得するわけにもいかん。単に持ち回りですればいいのではないか?」
「トガさんの気分もあるし、体質とか体格とか個性にもよりけりだからね。持ち回り制にしたとして、結局は少人数で回すことになるんじゃないかな?」
「うーむ、難しいな……。渡我君はそのあたりどう思っているんだ?」
「う~ん。私としては、大人数でローテーションっていうのはイヤです。ホントを言うと、好きな子に好きな時にちうちうしたいのです。そもそも、ちうちうするのって食事とかじゃなくて親愛表現なのです。ギューしたりチューしたりと同じなのですよ」
「なるほど、そもそも多人数に分散させるものではないのだな」
「そういうことです。その点、イズク君ならイヤじゃないし、好きなだけさせてくれるし、私的にはバッチ来いなのです」
「むぅ、しかしな。再生するといってもダメージは負うのだろう?」
「そりゃあね。でも、『困っている友達のために自分のできる事をやる』って、すごくヒーロー的じゃない?」
「そう言われると、そのような気も……。これ以上は俺の個人的なこだわりになってしまうだろうか……?」
「二人とも、話し合う所そこなん?」
「無駄だぞお茶子、こういう男は言ってもわからん。特にイズクは筋金入りだぞ。こいつな、マジでただの親切心でやってんだ。そうやって何人もの女をカマして、何度も泣かせては恨まれてた。ま、アタシに言わせりゃこんなのに引っかかる女がバカなんだがな」
「? あ、樺月ちゃん、そういう感じです?イヤなら緑谷君は、まぁ、諦めますよ?略奪趣味はないのです。できれば、樺月ちゃんにもちうちうさせてほしいですけど……」
「あー、気にすんな。好きなだけ吸いな、アタシのも、アイツのも。どうせ大丈夫さ」
「樺月ちゃん……。なんていうか、それでええの?」
「いいもなにもな。今までにも何度となく似たようなことがあったんだ、どうせ靡きやしないよ」
「緑谷君、多くの女子を泣かせてきたのか!?よくないぞ!」
「誤解だよ!」
そして午後の授業。
「わーたーしーがー‼」
いよいよだ。
「普通にドアから来た‼‼」
「オールマイトだ……‼すげえや、本当に先生やってるんだな……!」
「
ヒーロー基礎学。
ヒーローの素地をつくる為、様々な訓練を行う科目。単位数も最も多い。
今日は早速、戦闘訓練がある。
わかっていたけど原作イベントが目白押しだ。
うまくできるように気を引き締めないとね。
〇
「恰好から入るってのも大切なことだぜ少年少女‼」
ネクタイの締まり具合を確認する。
「自覚するのだ‼‼今日から自分は……」
すごく着心地のいいコスチュームだ。さすが専門会社のプロは違うや。
「ヒーローなんだと‼」
さてさて、原作イベントとはいえまだ序盤。
「さあ‼始めようか有精卵共‼」
リラックスしていこう。
訓練の想定は実にアメリカン。
「敵」がアジトに「核兵器」を隠していて、「ヒーロー」はそれを処理しようとしている、という設定。
僕ら生徒は「敵組」と「ヒーロー組」に分かれて2対2の屋内戦を行う。
「ヒーロー」は制限時間内に「敵」を捕まえるか「核兵器」を回収すれば勝ち、「敵」は制限時間まで「核兵器」を守るか「ヒーロー」を捕まえれば勝ちだ。
初回でいきなり対人戦闘訓練ってのは少し性急に感じるけど……まぁ、昨日の体力テスト同様、今後の方針を決めるための試金石的な側面があるのだろう。
「先生!2対2と仰いますが、このクラスは21名おります!一人余ってしまいますが?」
「いい質問だ飯田少年!今回はどこかのチームを3人にして、一試合だけ2対3で戦ってもらうことになる!」
「それはちょっとフェアじゃなくないっすか?」
「実際の現場じゃヒーローと敵の数が同じって方が珍しいさ!ちょっと早いけど、実戦において人数差というのがどういう意味を持つか実感してみよう!!勝敗は成績に影響しないから、ノビノビやってくれ! もちろん、人数差があるからって油断したり手を抜いたりしたら減点だけどね!」
なるほど、原作と違ってA組が21人だからどうなるんだろうと思ってたけど、こうなるのか。まぁ合理的かな。
他にも、原作と違ってオールマイトがカンペを読んでなかったりするんだけど……なんか、変なところに原作との相違が生じるよね。
しかし、チーム分けは原作と同じで、僕と麗日さんがAチーム、かっちゃんと飯田君がDチームで、最初の対戦カードになった。
だけどDチームにはトガさんも振り分けられていて、なんというか、世界の修正力って言えばいいのかな、判定が謎だ。
「いきなり人数差アリかよ!アツいぜ!」
「緑谷不利じゃん!ザマァ!」
「さっきも言ったけど、現場じゃ人数差があるのは当たり前!人数差があるとして、これをどう活かすか、あるいは覆すか!自分ならどうするかをよく考えように! では、敵チームは先に入ってセッティングを!5分後にヒーローチームが潜入でスタートするぞ!他の皆はモニターで観察だ!」
〇
「訓練とはいえ敵になるのは心苦しいな……。これを守ればいいのか」
「樺月ちゃん、イズク君とは幼馴染なんですよね?イズク君ってどれくらい強んです?」
「……ハッキリ言って、勝ち目は薄い。ヒミコ、お前の個性は【変身】だったな?ついでに飯田が【エンジン】」
「はい、ちうちうした相手に成れます。変身していられる時間は血の量に比例して、変身時は相手の服も再現しちゃうの」
「それでそんな体型丸見えのスーツなんか……。個性に呼応するスーツってのが作れるぞ」
「はい、そっちも頼んであります。でも細胞の培養が間に合わなかったとかで、これ間に合わせなんです」
「……俺がついでなのはいいとして、なぜ勝ち目が薄いんだ?確かに昨日の体力テストを見る限り、かなり強力な個性のようだが……」
「……イズクの個性は【吸食】。大抵のものは吸収して自分のエネルギー源にしちまうし、そのエネルギーを使っていろいろできる。特に注意するべきなのが不可視の斥力場。アイツの強さは大体アレのせいだ。ちょっとやそっとじゃ破れねーから拘束されたら終わり。見えねぇから避けるのもムリ。それをアイツは視界内の任意の場所に自由に展開できる。……早い話が、見られたら終わりだ」
「……凄まじいな、それは。どう対処すべきか……」
「方法があるとしたら奇襲からの一撃必殺、なんだが……」
「まだ何かあるんです?」
「最初っからバリアに籠られてたら打つ手がない。時間があれば酸欠を待つ手もあるが、それもムリ。しかもアイツの個性は増強系個性みたいなこともできる。つまりステゴロも強い。もっと言うと、仮に攻撃を当てられたとして効きやしない。アイツはほぼ不死身だ」
「……ホントに去年まで中学生だったんですか、樺月ちゃんの彼氏」
「彼氏じゃねーよ。……残念ながら、アレはアタシらとタメだ。たぶん世界一強い十五歳だろうよ」
〇
「試したいこと?」
「うん、今まで他人に試したことの無い大技なんだ」
来るべきUSJ襲撃。
これに備えて開発した、範囲攻撃技がある。
自分でしか試したことがないし、万が一にもかっちゃんを傷つけるわけにはいかないから安全マージンを大きめに確保する必要があって、つまり決定打にはたぶんならない。
だけど本番前に一度実践しておきたいし、たぶんマージンを大きめにとっても戦闘行動を難しくさせることくらいは可能だろうから、やっておきたい。
「というわけで、どうかな?」
「なにが『というわけ』なんかわからんけど、ええんちゃう?」
「ありがとう。それじゃ――――」
屋内対人戦闘訓練、
開始と同時、建物の地上部分を斥力場で覆う。
封鎖の完了とほぼ同時に4階部分の窓がひとつ割れた。やっぱり奇襲を狙ってきてたか。
だけど封鎖が間に合って、今、建物の内外は完全に分断され、お互いに手出しができない状態だ。……直接的にはね。
建物を封鎖したまま、空気を通さないように気を付けながら、斥力場の体積を大きくしていく。
周りの建造物とかの兼ね合いで上方向にしか伸ばせないけど、それが却ってどれくらい体積が大きくなったのか測りやすくていい。さしあたり、30秒くらいかけて元の体積の1.6倍くらいに膨らませる。
「ねえ、これ待ってるだけでいいん?」
「うん。見えないから分かり難いけど、今まさに攻撃中なんだ」
「? どういうこと?」
「えっとね、高山病ってあるでしょ?」
「うん、山に登った時に頭が痛くなったりするやつだよね」
「そう。気圧が下がって空気が薄くなると、いろんな症状が現れるんだ。今建物全体を斥力場で覆ってて、空気を通さないようにしつつ斥力場を膨張させてる。こうすることで内部の気圧を下げて、高山病と同じ症状を起こさせるんだ。うまく調整すればこれだけで行動不能にさせられるんだけど、加減を間違えると最悪は死んじゃうし、今回はあんまり強くしないよ。高山病でフラフラになったところに突入して一網打尽、って作戦さ。……時間があれば酸欠を待つって手もあるんだけど、今回はナシだね」
「……けっこうエグいね」
「まあ、屋内に多数の武装した敵が待機している状況を想定して、これを外から一網打尽にできるようにって開発した技だからね。多少攻撃性が強いのは許してほしいな。こんな所でこの技使うのはちょっと大人げないかもだけど、こういうのも込みでの訓練だから……」
「それ、加減とかは大丈夫なん?」
「もちろん色々調べて加減してるし、自分で実験もしたよ。ただ、他人に使うのは初めてだから、正直自信はない。安全運転でやってるから致命的な傷害を負わせることはないだろうけど、逆に全然効いてない可能性はあるかな」
気圧を下げ終わってしばらく待ったので、もう一段階気圧を下げに行く。今度は一分くらいかけて、元の体積の2倍くらいまで膨らませていく。中の気圧は地上のおよそ半分になっているはずだ。
……僕はこれでちょっとフラつくくらいだったんだけど、あんまり攻めても怖いからこれくらいでやめておく。
「……そろそろ突入しようか。じっとしててね」
「え?わあっ!?」
斥力場を地下に挿入し、僕と麗日さんを足元のコンクリート諸共持ち上げる。こうすると足場を確保して機動性を保持しつつ浮遊できるんだ。ライフハックだね。
周囲を箱型に斥力場で覆い、気圧の下がったビル内に侵入する。空気が漏れないように、斥力場をシャボンの膜のように滑らかに接合・分離させるのがポイントだ。……我ながら、斥力場の操作うまくなったなぁ。
邪魔なドアや壁は適宜切り取りながらの進行だ。原作みたいな派手な破壊はないけど、次の組には別のビルを使ってもらうことになるかもね。
「……イズク……!」
あ、かっちゃん居た。斥力場で拘束しておこう。
減圧の効果は……微妙かな?若干フラフラしてるけど、意識はハッキリしているようだし、しっかり自分の足で立てている。
やっぱあんまり効いてなかったかぁ、残念。予想はしてたけど、加減が難しいねこの技。
何か言ってるけど、僕らの間を斥力場が隔てているので何も聞こえない。あとで何言ってたか聞いてみようかな、たぶん怒られるだけだろうけど。
「緑谷君、確保テープは?」
「あとで纏めてだね、まずは全員を拘束しよう。他がどこに隠れてるか分からないし、今外に出ると低気圧でダウンしちゃうかも」
「外?」
「ああ、今僕らの周囲を斥力場で覆ってるんだ。外の音とか聞こえないでしょ?」
「言われてみれば……。ホントだ、見えない壁がある」
「あっ、斥力場には手をつかない方がいいよ。摩擦がなくてツルツル滑るんだ」
おっ、やっぱり核は最上階か。残り二人もここにいたね。
トガさんと飯田君を斥力場でしっかり拘束して、建物を封鎖していた斥力場と僕らを覆う斥力場を解除する。これで気圧は元通りだ。
「何が……起こったんだ……?頭が、割れそうだ……」
「うう、気持ち悪いです。フラフラする~……」
「かっちゃん、大丈夫?気圧は戻したから、これ以上体調の悪化はないはずだけど……」
「気圧……そういうことかよ、クソが……。テメェこれ隠してやがったな?」
「隠してたわけじゃないよ?使う機会がなかっただけで……」
「そうかい、んじゃあ
確保テープを巻こうとかっちゃんに近づいたら、何やら右足を差し出された。
そこにはゴツい装飾の施されたメカメカしいブーツがあって、
……ああ、うん。これも世界の修正力ってやつなのかな。
僕の背後には麗日さんがいるし、彼女の傍には模擬核爆弾がある。
避けるって選択肢はない。
咄嗟に全身を液化させ、かっちゃんの足に覆い被さりながら全力で体積を増やす。
――――BOOM
僕の中で噴火したかっちゃんのブーツは、たぶん、原作同様にかっちゃんの汗を溜めて大爆発を生じさせるものだろう。原作では腕に装着してたけど、かっちゃんはブーツと一体化させて足に着けることにしたらしい。
僕の体内で受け止められた灼熱の奔流は、酸素を絶たれているためか本来の威力を発揮できず、弱められた爆轟も余さず僕が平らげた。
負傷は許容範囲内。麗日さんもハリボテも無事。建造物への被害もゼロ。ヨシ。
……いやぁ、びっくりした。すっかり油断してたね、反省だ。
「……アタシの最大火力をノーダメクリアしといてスカしてんじゃねぇよ」
「スカしてなんかないよ、不意を突かれたことを反省してたんだ。……正直、油断してたよ。精進が足りないね。やっぱり拘束するときは足も拘束しないとダメかなぁ?警察の拘束具を参考に、自分で歩けるように工夫したつもりだったけど……。拘束だけして放置はアレだし、かといってわざわざ確保済みの敵を持ち運ぶのも面倒だしなぁ……いっそカプセル型に覆って拘束する?でも酸欠のリスクがあるし……ブツブツ……」
「……もっと油断してろよクソデク。そんで死んどけ」
「そういうわけにもいかないよ。……はい、確保テープ巻いたから、もう暴れちゃダメだよ」
「暴れねーよバカ」
「えっと……核爆弾確保!」
「ヒーローチーム、WIN!!」
初の戦闘訓練。
いろいろと想定外が多くて、その分実りも多かった。
……なんというか、当たり前だけど自分一人でやるよりずっと学びが多いね。
今まで不真面目にやってたわけじゃないけど、今後も真面目に授業に取り組んでいこう。
とりあえず、戦闘訓練は終了だ。お腹すいたな。
〇
「結局何が起きてたんだ?敵チームが突然苦しみ始めたかと思ったらロクな戦闘も無しに拘束されて、見てる分には勝負を放棄してるようにしか見えなかったぞ?」
「無論そういうワケではないだろうが……最後、緑谷が爆豪の足に取り付いていたのが気になるな。あれは何をしていたんだ?」
「ケッ、何ってナニだろーよ。訓練にかこつけてイチャイチャしてたんだよどうせ。はーヤダヤダ」
「ナメてんのかブドウ頭。テメーも食らってみるか?」
「ダメだよかっちゃん、峰田君死んじゃうから。峰田君も、僕らいかがわしいことしてたわけじゃないからね?」
「雑談は程々にな!講評の時間だ!!今回のMVPは緑谷少年なわけだが……何が起きてたかわかる人!」
「ハイ、オールマイト先生」
「先日の体力テストなどから、緑谷さんの個性は不可視の壁のようなものを出すことができるものと推測されます」
「おそらく、緑谷さんは状況開始直後、建物全体をこの見えない壁で覆ったのだと思いますわ。爆豪さんが外へ飛び出そうとしていたのに室内に留まっていたのも恐らくこのためかと」
「敵チームが苦しんでいたのは……恐らく、高山病のようなものではないでしょうか?」
「建物を封鎖しお互い物理的な干渉が難しい状況を作ったうえで、建物内部の気圧を下げることで敵チームだけを弱体化させ、人数差のある不利な状況を覆す。これが、緑谷さんのとった作戦行動の第一段階」
「第二段階は突入ですが、ここでもヒーローチームは不可視の防壁で身を守ったまま突入していました」
「敵チームがヒーローチームを攻撃するには緑谷さんの防壁を突破しなければなりませんが、減圧で弱っているうえに、緑谷さんは視界内ならどこにでも防壁を出せるご様子。結果、緑谷さんに為す術なく拘束されました」
「最後、緑谷さんが爆豪さんの足に覆いかぶさっていたのは……推測になりますが、爆豪さんは大規模な自爆攻撃を仕掛けたのでは?」
「緑谷さんはこれを無傷で収め、麗日さんが核爆弾を確保。……概ね、このような流れであったと思われます」
「緑谷さんがMVPなのは、単純に緑谷さんが圧倒していたから。ただ、緑谷さんにも爆豪さんの自爆攻撃を許すなど、甘いところはありましたわね」
「ま……まぁ緑谷少年のミスに関しては、自分でリカバリーしてるあたり初回としては上出来な部類だけど……。まぁ、正解だよ。くぅ……!」
「常に
おお、八百万さんフルスロットル。
すごいね、ほとんど全部言い当てちゃった。さすがの才女っぷりだ。
その後も訓練は続き、
放課後に皆と話し込んじゃって相澤先生に怒られたりもしちゃったけど、そういうのも込みで、いい一日だったんじゃないかな。
……ホント、毎日こんなだったら、よかったんだけどなぁ。
かっちゃんのブーツは絶対臭い(偏見)
A組21人モノの二次創作にて、戦闘訓練で2対3の組ができる事に対し3人側に何らかのハンデを与えることで平等感を演出する描写をよく見かけます。
それもまぁナシではないんでしょうが、個人的には「人数差のある戦いを経験できてラッキーだね!勝ち負けには拘らずノビノビやろう!」ってスタンスの方が自然に感じます。授業で平等な戦闘ばっか経験するのも危険でしょうしね。
さて、ここからウンチクタイムです。
原作の講評にて、ヤオモモが「ハリボテを本物の核として扱っていたならあんな危険な行為は出来ないはずだ」といった旨の発言をしていますが、これは明らかにおかしいです。
前提として、核爆弾ってめっちゃ先端技術の塊です。作るのがすごく難しいですし、核分裂反応を連鎖させ爆弾として機能させることはかなりの高等技術です(っていうとちょっと語弊がありますが、まぁ、詳しくは御自分で)。
で、もう一つの前提として、現代的な爆薬ってちょっとやそっとじゃ暴発しないです。ちょっと落としたり石ころぶつけたくらいで暴発する爆弾なんて、作る側も御免ですからね(ちなみに、「ちょっとした衝撃で暴発する爆薬」の代表例がニトログリセリン、つまり爆豪勝己です。ピッタリだね!)。
実際、1966年に空輸中の水爆4つが高空から落下し暴発した事故(パロマレス米軍機墜落事故)がありましたが、4つ中2つは暴発すらせず、暴発した二つも単に起爆用の火薬が爆発したのみで核爆発(核分裂反応)は起きませんでした。爆発により放射性物質が撒き散らかされ、周辺の土壌が汚染されたりはしましたが……。
要するに、核爆弾に対する扱いとして、石ころをぶつけたくらいで「危険な行為」判定は少々厳しすぎるのです。「『訓練』だという甘え」って話であれば、増強系個性でもない飯田君が、本来持ち上げる事すら儘ならないであろう大型の核爆弾(例えばテポドンは総重量約20t、造形的にはテポドンみたいなミサイルではなく飛行機で投下するタイプですが、こちらもサイズから見て軽くても数トン程度はあるでしょう)を抱え上げて、しかも高速で駆け回ったって事の方がよっぽど「甘え」というものでしょう。転けたらどうするんだバカタレ。
とはいえ、我らがヤオモモちゃんがそこら辺をわかっていないハズがありません。
おそらく彼女は、今回の訓練において「核爆弾」というのはもっと広範な「危険物」の代表としておかれているものと理解していたのでしょう。
つまり、今回は「核爆弾」ということになっているけれど、もっと別の、生物兵器とか個性で作った爆弾とか、そういういろいろな危険物に置き換えられる可能性を考慮しているワケです。
これらを加味して原作の彼女のセリフを意訳すると、「今回ハリボテは核ということになっていたからあんな危険行為に甘んじたのだろうけれど、もっと別の、扱いに注意を要する危険物である可能性もあった。対象物が「核」であると安心するのは“甘え”ではないか」となります。うーんこの才女。さすモモ!
ちなみに、今回のあとがき千文字あります。だから長いねん。