誤字報告助かるラスカル!誤字脱字には結構気を付けてるつもりなんですが、無くならないものですね。
繋ぎ回なので短め。さっさと話を進めたい……。
「見ろよ黒霧、『オールマイト 雄英の教師に‼』だってさ」
「いよいよ出番ってわけだ。イヤんなっちゃうね」
「悪役ってのは辛いよなぁ、必ず負けなきゃならない」
「今までは何やったってダメだった。でもこれからはどうだろう?」
「悪役ってのはさ、
「きちんと
〇
春はいい。
この体に花粉症はないから、余計にそう感じる。
穏やかな風、やわらかな日差し、過ごしやすい気温。
春というものを構成するすべてが穏やかで、なんだか心が清められていくような気さえする。
本当に……
「オールマイトの授業はどんな感じです?」
「“平和の象徴”が教壇に立っているということで、様子など聞かせて!」
「教師オールマイトについてどう思ってます?」
いい天気だなぁ(遠い目)。
オールマイトが雄英の教師になったってことで、校門前にはマスコミが押し寄せていた。
昨日はそんなでもなかったんだけど……多分、「オールマイトが雄英の教師に」なんて使い古されたデマが今更真実になるだなんて半信半疑だったんだろう。
「君、ヒーロー科だよね?顔写真出回ってるからわかってるんだよ。インタビュー応えてもらえる?」
「ええっと、すみません、急いでるので……」
「ヒーロー科がそんなんでいいの?メディア対応もヒーローの仕事だよ?」
「いやぁ、僕まだヒーローじゃないんで。通してもらっていいですかね?」
「あのねぇ、雄英ヒーロー科に受かったからって横柄に振る舞っていいわけじゃないのよ?ちょっと一言貰うだけでしょ?それとももうプロ気取り?」
「……ええっと、どいてくれます?」
「君ヒーロー科入ったばっかりだよね?もう彼女同伴で登下校してるの?不純異性交遊は良くないよ?」
「……すいません、遅刻しちゃうんで」
「いった!痛いんだけど!?ヒーロー科が民間人に暴行とかスキャンダルだわー」
「チンピラみたいな絡み方しないでくださいよマスコミが……。ちょっと触れただけでしょ。ってかもう始業時刻なっちゃうんですけど」
「屈強なヒーロー志望と
「いい大人が学生に絡まんでください。もう始業の時間です。授業の妨げになるんでお引き取りを」
「小汚っ!?なんなんですかあなた?」
「相澤先生、助かりました」
「緑谷、こういう連中を
「ちょっと‼まだ話は終わって――」
「あっバカ」
――――ピー……
ガゴガガガ!
「うわあああ何だあ!?」
「雄英バリアーだよ、俺らはそう呼んでる」
「ダサ‼なんスかそれ!」
「学生証とかさ、通行許可IDを身につけてない者が門をくぐるとセキュリティが働くんだ。校内のいたるところにセンサーがあるらしいぜ」
「なにそれーお高くとまっちゃって‼一言くらいくれてもいいのにさ‼これだからヒーローは!」
「ったく本当によー、二日も張ってんのにウンともスンとも言わねー‼庶民を何だと思ってんだ!」
〇
さて、マスコミのことは一旦置いといて、今日は地味に重要なイベントがある。
「急で悪いが今日は君らに……学級委員長を決めてもらう」
「学校っぽいの来たー!!」
学級委員長。
大抵の学び舎に見られるそれは、多くの場合雑務などを担う、いわばハズレ役。
しかし、ことヒーロー科に関しては話が変わる。
ヒーローとは“導く者”。
ヒーロー科にとって学級委員長とは、“リーダー”としての素質を占う、非常に重要なチャンスなのだ。
「委員長‼やりたいですソレ俺‼」
「ウチもやりたいス」
「オイラのマニフェストは女子全員ヒザ上30cm‼」
「ボクのためにあるヤツ☆」
「リーダー‼やるやる―‼」
当然、みんなやりたがる。すごい熱気だ。
僕は皆みたいに興味津々じゃないというか、それどころじゃないから立候補しないけど。かっちゃんも興味なさそうだね。
ただ、それはそれとして学級委員長は飯田君にやってほしい。
今後いろんなイベントにおいて飯田君の学級委員長という肩書きは地味に効いてくるし、なるべくなら原作通りにしたいのだ。
まぁ、飯田君なら学級委員長の肩書きがなくたって似たようなことをするだろうし、そんなに大差ないかもだけど……ほら、願掛けみたいな?
「かっちゃん」
「やんねーよ」
「だろうね。そうじゃなくてさ」
「あん?……メガネか。いんじゃねーの?」
「そう言ってくれて嬉しいよ」
「……理由は?」
「う~ん……そっちの方がいいから」
「あっそ」
飯田君が他に入れるとして、僕とかっちゃんが入れれば二票。票がどう動くかわかんないけど、大体皆一票だし、他より多く票を得たなら何とかなるだろう、たぶん。
なお、結果として。
「三票……!?一体誰が……!?」
「副委員長どうしましょう?」
「僕は遠慮しておくよ」
飯田君が三票、僕と八百万さんが二票でタイ。
僕が八百万さんに譲るので、原作通りの形にできた。よかったよかった。
「不肖飯田天哉!僭越ながら委員長の任、謹んで拝命いたします!全身全霊を以て、鋭意務め上げていくことをここに誓います!」
〇
「お米がうまい!」
「人が多いなぁ……」
「ヒーロー科の他にサポート科や経営科の生徒も一堂に会するからな」
「なんだか新鮮です、こんなに大勢がご飯食べてて平和なの」
所変わって学食。
今日はかっちゃんが弁当持参で、教室で他の弁当組と親交を深めている。
まぁ、大方かっちゃんを僕から離させるための作戦の一環とかだろうけど、今日かっちゃんが教室にいてくれるのはこちらとしても都合がいい。
「泥花市ではこういう大きな食事処みたいなのはなかったの?」
「なかったというか、大人数で食事会みたいな機会は何度かありましたけど、大抵厳戒態勢だったです。私も警備に駆り出されることが多くて、こうやって大勢の中でご飯食べる経験あんまりないの」
「泥花市ってそんなに治安悪いん?」
「治安が悪いというか、食事時は狙われやすいんです。みんな気が抜けてるし、対処も遅れがちだから……」
「それで厳戒態勢というわけか。渡我君も駆り出されたということは、そういう仕事は【模範的市民の会】の役回りだったのか?」
「まぁ、自警団みたいなものですらね。お互いにお互いを守りましょうってことで、市民の警護を担うのは当然って感じでした」
「逆に、そんなに治安が悪くても皆でご飯を食べる機会がなくなったりせんかったんやね」
「警護も割と念のためというか、毎回襲われるわけじゃないですよ?【模範的市民の会】も戦闘経験豊富なのは半分くらいで、『どうせ個性を使うなら』って入ってくる素人の人も少なくないです」
「あ、結構緩い感じなんだ」
「ですです。まぁ、月に何度かは激しく戦う機会もありますし、弱い人は大体そこで脱落しちゃうんですけどね。脱退したり、裏方に回ったり、死んだり」
「ぜんぜん緩くないやん!?」
「これでも緩くなったんですよぅ。【模範的市民の会】の初期メンバーで生き残ってるの、片手で数えられるほどなんですよ?ちなみに私はその生き残りの一人です。えっへん」
「……凄まじいな。兄さんが負傷するのも致し方なし、か」
「? お兄さんヒーローかなんかです?」
「うむ、俺の兄はインゲニウムという名前でヒーローをやっている。今はケガで休養中だが、近々復活予定なんだ」
「インゲニウム……」
「もしかして知っているのか?」
「んー、初期の混乱してた頃は私も生き残るのに必死でしたからねぇ。……あぁでも、思い出しました。インゲニウムは会ったことあります。全身鎧のゴツいお兄さんですよね。ごはん食べさせてくれました」
「……そうか。兄を怪我させたヴィランのことは知っているか?」
「わかんないです。……あの頃、誰が誰を傷つけた、殺したなんて、気にしてる余裕はなかったです」
「そうか……」
「それにしても、飯田君のお兄さんってヒーローだったんやね。……ちょっと思ってたんだけどさ、もしかして飯田君、坊ちゃん?」
「ぼっ……ま、まぁ、否定はせん。俺の家は代々ヒーロー一家なんだ。俺はその次男だよ」
「すごいや!インゲニウムっていえば東京の事務所に65人もの
「詳しいな……。ああ、兄は素晴らしいヒーローなんだ。規律を重んじ、人を導く愛すべきヒーロー。俺はそんな兄に憧れてヒーローを志した。……だから、正直不安なんだ。人を導く立場は、まだ俺には早いと思っていたからな。票だって緑谷君に入れたのさ、俺は君に手も足も出なかった……。先日も、入試でも」
「飯田君だったんだ……。大丈夫だよ、君ならできるさ。飯田君の常に正しくあろうとする姿勢や、いつも率先して行動するところはすごいと思ってるんだ。だから君に投票したんだよ」
「そうだよ!私も投票したんよ!」
「なっ、君たちだったのか!」
「……私はイズ君に入れましたよ」
「残り一票はかっちゃんだね。興味なさそうだったから、飯田君を提案したらノってくれたんだ」
「そうだったのか……。そうだな、信頼して任せてくれたんだ、胸を張って務め上げて見せようではないか」
「その意気だよ!」
――ウウ~~~
おわっ、びっくりした。
結構でっかい音鳴るんだね。そりゃそっか。
いやぁ、ちょっと気が抜けちゃってたかな。いけないね、気を引き締めないと。
ついつい話し込んじゃったけど、今日の目玉はこれだ。
『セキュリティ3が突破されました』
『生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難して下さい』
さてさて、一応結構重要な原作イベントなんだけど、かっちゃんは教室にいるから気が楽でいい。
さしあたり、みんなを斥力場で囲って人混みから守る。完全に内外を遮断するのは良くないから壁だけだけど。……勝手に個性使っちゃってるのは、まぁ、緊急時ってことで。
ひとまずの安全を確保したら、自分を浮かせて窓際に移動し外を確認。……うん、ただのマスコミだね。
「ただのマスコミだったよ。朝の人たちが押し入ってきたみたいだね」
「マスコミが?何かと思えば……皆さーん!ただのマスコミです!落ち着いて!」
「皆さーん!落ち着いてー!……あかん、聞こえてない」
「みんなパニックですねぇ。ホントに敵の襲撃だったらみんな死んじゃいますよ」
「そうならないためにヒーローがいるのさ。……とはいえ、どうしようか?」
「……俺に考えがある。緑谷君、カウントしたらバリアを解いてくれ。周りの人たちが押し退けられてしまっている。そして麗日君、バリアが解けたら俺を浮かせてくれ。……いくぞ」
「えっそれ私押し潰されちゃう……」
「ゴー!」
トガさんの周りにちょうど一人分だけのスペースで斥力場を張り直し、外側の大きい斥力場を解除する。
急速に押し寄せる人の波の中、飯田君は麗日さんに浮かされ、【エンジン】を使ってぐるぐると回りながら吹っ飛んでいって、出口直上に非常口のピクトグラムみたいな姿勢で張り付いた。……実際目にするとシュールだなぁ。
「皆さん……大丈ー夫‼ただのマスコミです!なにもパニックになることはありません!大丈ー夫‼ここは雄英‼最高峰の人間に相応しい行動をとりましょう‼」
〇
「かっちゃん、大丈夫だった?」
「そりゃな。マスコミが押しかけたんだろ?やっぱカスだな」
「そういうこと言わないの。一応彼ら人民の代弁者を標榜してるんだから」
「じゃあ民衆がカスってワケだ」
「かっちゃん」
「フン」
だいぶ丸くなったかっちゃんだけど、こういう憎まれ口は相変わらずだ。
とはいえ今日のイベントはこなしたし、あとは普通に学校生活を送るだけ。
……いよいよ明日かぁ。
まったく、平和って尊いね。
マスコミのセリフに「二日も張っている」とありますが、原作漫画で一コマだけ描かれた戦闘訓練の日の校門にはマスコミの姿は見受けられませんでした。
本作では、これを「『オールマイトが雄英の教師に』なんて今更誰も信じなかった」と理由付けしました。この場合「二日も張っているのに」という発言は「いち早く真実を見抜いて他のマスコミを出し抜くことに成功したのに、結局成果なしだった」として解釈できます。