デクの上位者アカデミア   作:ヤマカワ

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 レッツゴー体育祭。サブタイは手抜きです。

 まあまあ多くの二次創作者が躓いてエタる体育祭編。筆者もそうなりかけました。
 後日譚的にチラッと語って終わりにしようかとも思ったんですが、さすがに味気ないので頑張って書きます。
 雄英体育祭は五月初頭(公式設定)。時期的にゴールデンウィーク辺りだなって思ったので、ゴールデンウィークにやってることにしました。まぁ大体合ってるやろ。




雄英体育祭 序

 

 

 

 5月初頭、ゴールデンウィーク。

 

『ヘーイ!!』

『刮目しろオウディエンス!』

『群がれマスメディア!』

『今年も!お前らが大好きな、高校生たちの青春暴れ馬……!』

『雄英体育祭が始まディエビバディアァユウレディ‼⁉』

 

 いよいよ体育祭だ。

 

『一年ステージ、生徒の入場だ‼』

 

 薄暗い通路を抜け、眩いステージへと歩み出る。

 

 観衆の大歓声が、物理的な圧力さえ伴って降り注ぐ。

 

『雄英体育祭‼』

『ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル‼』

『どうせテメーらアレだろ!?こいつらだろ‼⁉』

(ヴィラン)の襲撃を受けたにも拘らず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!』

 

 天気は快晴、絶好の体育祭日和。

 

 地面の具合を確かめるようにして、太陽の下を歩む。

 

『ヒーロー科‼』

『一年‼‼』

『Å組だろぉぉ‼?』

 

 さて、せっかくの体育祭。

 

 楽しんでいこう。

 

 

 

 〇

 

 

 

 2週間という期間は、短いけれど十分なものだった。

 僕は寝食を欠くことができるから、人に倍する訓練時間を確保できたというのもある。

 他の人の訓練に付き合う余裕すらあった。……トガさんとのアレを訓練って言っていいのかはともかくとして。

 何であれ、僕はUSJで得た経験の、全部ではなくともある程度をモノにすることができた。……と思う。

 

 まあ、結果はすぐに出る。

 体育祭というのは、正しくそのような目的の催し事だから。

 

「選手宣誓!」

 

 高校教諭なのに18禁なミッドナイトが、()()()みたいな鞭を振り鳴らす。

 ……あの()()()、鞭として使えるんだろうか?ボブは訝しんだ。

 

「選手代表、1-A 緑谷出久!」

 

 冗談言ってる場合じゃないね、宣誓だ。

 この選手宣誓で何を言うべきか、すごく悩んだんだけど、結局定まらなかった。

 漫然と歩を進めながら、発言内容を考える。どうしようね、ホント。

 

 壇上に登り、右手を掲げ、大きく息を吸う。

 

「宣誓!」

「僕たち生徒一同は、日頃の成果を発揮し、正々堂々戦うことを誓います!」

「ついでに宣誓!」

「一位になるのは僕なんで、文句ある人はかかってきてね!」

 

――BOOOO!!

 

「調子乗んなよA組オラァ!」

 

「何故品位を貶めるようなことをするんだ!?」

 

「どんだけ自信過剰だよ‼」

 

「声援ありがとう!言葉での文句は受け付けないよ!」

 

 うーん、こんなもんかな?加減がわからない。うまくヘイトを集められているといいんだけど……。

 まいっか、僕が一位になれば済む話だ。気にしすぎないようにしよう。

 

「さーてそれじゃあ早速第一種目行きましょう!」

「いわゆる予選よ!毎年ここで多くの者が涙を飲むわ(ティアドリンク)‼」

「さて運命の第一種目‼ 今年は……コレ!!」

 

 ドラムロールの末に表示されたのは「障害物競走」の文字列。

 

 ホッと一息。よかった、改変はないね。

 まだ障害物の内容が変わってる可能性とかもあるけど、まぁ何とかなるでしょ。

 

「計11クラスでの総当たりレースよ!」

「コースはこのスタジアムの外周約4km!」

「我が校は自由さが売り文句!コースさえ守れば()()()()()()構わないわ!」

「さあさあ位置につきまくりなさい……!」

 

 ゲート上のシグナルが点灯し、カウントダウンが始まる。

 

 さてさて、肩の力を抜いて、程よく真面目に。

 

「スタ――――ト!!」

 

 楽しんで頑張ろう。

 

 

 

『さーて実況してくぜ!解説アーユーレディ⁉イレイザーヘッド!』

 

『無理やり呼んだんだろが』

 

『早速だがイレイザーヘッド!序盤の見どころは?』

 

『今だよ』

 

 いつも通り、斥力場で自分をカッ飛ばす。

 最初の関門の狭いゲートで、排水溝みたいに詰まってる人たちの頭上を飛び越え首位に立つ。

 今日は見た目を人間のソレにしてある。観衆の目があるし、【鳥瞰】もあるしね。中身はアレだけど……。

 

 眼下では轟君が氷で後続を封じたりしている。上空の僕には関係ないけどね。

 自分をピンボールしつつ、コースアウトに気を付けながらも悠々と空を征く。

 みんなは……うん、順調に抜けだしてきてるね。善哉善哉(よきかなよきかな)

 USJでの実戦経験を取り上げちゃったから、密かに心配してたんだけど……大丈夫そうだ。

 

「一人で行かせやしねぇぞ、イズク!」

 

「負けねえ」

 

「アツいっすね!俺も負けてられないっす!」

 

 後ろからはかっちゃんと()()()()()()()轟君、そして()()()が猛追。

 案の定というか、簡単に勝たせてはくれなさそうだ。それでも僕は勝たなきゃいけないんだけどね。

 

 おっと。余所見してたらミサイルが。あぶないあぶない。

 飛び道具アリなのね。上にいるからって気は抜けないワケだ。

 

『さぁいきなり障害物だ‼まずは手始め……』

 

 眼下には雲霞と蠢くロボの群れ。

 入試の時の仮想敵だ。たぶん入試の時よりも強めに設定してあるね、あれ。

 

『第一関門 ロボ・インフェルノ‼』

 

 さて、腕試しだ。

 別に無視して先に進んだって良い……というかそうすべきなんだけど、この2週間の成果を確かめたい。アピールにもなるしね。

 

 ロボたちのいる広場の地下、少し深めの位置に広場全体と同じ大きさの斥力場を展開する。

 そして、()()()()()()()斥力場を、同じ位置に同じ大きさで数十枚、数百枚と重ねるようにして展開する。

 これはここ2週間の成果で、従来なら斥力場同士が反発し合うところだけど、特訓によって斥力場の活性化/不活性化をある程度自由にできるようになった。

 

 USJ、最後の自爆。本来防げないはずのソレを、僕は凌ぐことができた。

 これは恐らく僕が無意識的に斥力場を超活性化させたためで、これを再現し、自在に扱えるようにすることは特訓の目的の一つだった。

 特訓は順調で、まだ道半ばではあるけれどある程度の成果が出ている。

 その過程で出来上がったのが、この技だ。

 

 同じ位置に重ねられた数百の不活性化した斥力場を、一斉に活性化させる。

 活性化した斥力場たちは互いに反発し合い、挙動が()()()

 

――――BOOOM!!

 

 たくさんのロボットたちが、千々に引き裂かれて宙を舞う。

 地面には大きな穴が空いていて、深く深く耕されている。

 

 鉄屑と土砂が降り注ぐ中、自分を吹っ飛ばしてイチ抜ける。うまくいったね。

 

『WHAAAAT!?オイオイ何が起きたよ!エリア丸ごと吹き飛んだァ!!』

 

『緑谷の仕業だな。あいつめ、派手にやりやがって』

 

『第一関門 ロボ・インフェルノ!その牙を剥く間もなく……根こそぎ消し飛ばされたァ!!CRAZYYY!!』

 

『ご丁寧なことに、緑谷は事前に確認取ってきた。「大技を見せたいのですが、舞台装置が壊れるかもしれません」ってな。まさかここまでとは……』

 

『障害物を消し飛ばし、緑谷一抜け!後続は鉄屑の雨と突如空いた大穴に足を止められてしまったァ!意外と戦略的!』

 

 この技を使うと、斥力場の面方向にある物体が()()()()()()()()()()()()()()()

 前まではこんな挙動、演算負荷が重くてとても実行できなかったんだけど……これもまた【鳥瞰】の恩恵だ。

 

 僕は今まで、斥力場を扱う際にはいちいち脳で計算していた。

 もちろん今でも演算は必要なんだけど、なんというか、以前はすごく非効率なことをしていた。

 それもこれも、斥力場を既存の個性の、あるいは、この世界の枠組みの中で動かそうとしていたために生じたものだ。

 

 【鳥瞰】を得て、斥力場の本質を掴んだことで、僕は以前よりも自由に、直観的に斥力場を扱えるようになった。

 例えるなら、今までの僕はおっかなびっくりバランスを取りながら自転車に乗っているような状態だった。

 だけど自転車って、バランスを取りながらゆっくり漕ぐよりもある程度スピードを出した方が安定する。

 少し違うけれど、それと似たようなことが斥力場の操作にも起きていたんだ。

 

 直観的な斥力場操作はまだ練習し始めたばかりで、全然習熟できていない。

 これからも、訓練を重ねればさらにいろんなことができるようになるはずだ。頑張らなきゃね。

 

 さしあたっては、体育祭で優勝することだ。気は抜けない。

 

 

『雄英体育祭、一年ステージ予選!第一種目は障害物競走‼ルールはコースアウトさえしなけりゃ何でもアリの残虐チキンレースだ‼』

 

『おい』

 

『その興奮の模様は、各所に設置されたカメラロボがお届けするぜ!』

 

『俺いらないだろ』

 

『さあ先頭を独走する緑谷!お前の空けた大穴に後続は大わらわだ!』

 

『聞けよ』

 

『いち早く抜け出して緑谷を猛追する1-A爆豪と轟、それから1-B夜嵐!先頭の緑谷は早くも第二関門に差し掛かってるぜ!走れ走れぇ!』

 

 眼前には第二関門、さっき僕が空けたのよりも深くて大きい穴……というか谷。

 所々に屹立する細く頼りない足場と、それらを繋ぐロープだけが頼りとなる。

 

 そういった諸々をまるっきり無視して、気持ちよく空をかっ飛ばす。

 地を這う者には厳しい地形も、空を征く僕には寛大だ。

 

『第二関門は落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな‼文字通りの綱渡り……ザ・フォール!

 

 穴は深く、暗くて底が見えない。……ように見せかけて、黒色の緩衝材が敷き詰めてある。手が込んでるなぁ。

 エンタメと安全を両立するいいアイデアだね。飛び越えちゃうのがなんだか申し訳なく感じるよ。飛び越えちゃうんだけどさ。

 

『先頭緑谷、ギミック全無視!悠々と空を飛んでいく!アレだな、もうなんか……ズリィな!』

 

『現実でも空飛べる奴はあらゆる場面で有利だ。当然と言えば当然……。だからこそ、これをどう覆すかで明暗が分かれる』

 

 前進しつつ【鳥瞰】で後ろを確認すれば、かっちゃんと轟君、夜嵐君の三人が、互いを妨害することなく一直線に僕に迫ってきている。モテモテだね、嬉しいな。

 速度差的に追いつかれることはなさそうだけど……油断は禁物だ。

 

 身体強化を施し、自分を吹っ飛ばす威力を上げる。

 これやるとエネルギー消費が増すし、大会中補給できるかわかんないからやりたくなかったんだけど……。さすがにノーリスクで勝とうってのは虫が良すぎたかな。

 ガンガン自分を吹っ飛ばしてペースアップし、後続を引き離しにかかる。文字通りの躍進だね。

 

『さあさあ続々と第二関門に取り掛かってるぜ!まだまだ勝負は分からない!』

 

 後ろの三人は、ここまで団子だったのがちょっと縦長になってきている。

 夜嵐君が突出していて、ちょっと遅れてかっちゃん、少し後ろに轟君と言った具合。

 その後ろはわりと固まってて、各々少し足を止めたりしつつもそれぞれのやり方で第二関門を攻略している。

 

 やっぱり空飛べる組は強いね。常闇君も空飛べるようになれば食らい付けたんだろうけど……。今度アドバイスしてみようかな。

 突如吹き荒れる叩きつけるような暴風を避けつつ、速度を落とさず前進する。

 

「くそっ!全然効かねぇ!」

 

「そんな()()()じゃ効きゃしねーよタコ。他人(ひと)の妨害してる暇あんのか?」

 

「あっ!?このっ、抜かさせないっすよ!」

 

 かっちゃんたちは、程々にお互いを妨害しつつのデッドヒート。見応えあるね。

 夜嵐君が風で僕を叩き落そうとしたり、轟君が下から()()()()()()きたりするのを避けつつ、リードを守る。【鳥瞰】様様だ。

 

『オイオイあっという間に第二関門突破だ!すげぇペースだな!俺でも無理だぜあんなの!』

 

『大体そうだろ』

 

『先頭緑谷、トップを独走!後続の妨害も柳に風だァ!このままじゃ宣誓通りになっちまうぞ!?許せねぇよなぁ!?』

 

『私情を出すなよ』

 

『先頭が一足抜けて下はダンゴ状態!上位何名が通過するかは公表してねえから安心せずにつき進め‼』

 

 第二種目のことを考えると、予選はトップ通過が好ましい。そのためには、今の順位(トップ)をキープしなきゃならない。

 このまま順調にいけば一位になれそうだけど……。それでも、油断は禁物だ。原作の僕みたいな大逆転があるかもしれないしね。

 

 

『そして早くも最終関門‼かくしてその実態は――――……』

 

 三つ目のフィールドは、一見して何もないただ広いだけの広場。だけどよく見ると地面に何かが埋まっている。

 

一面地雷原!怒りのアフガンだ‼地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ‼目と脚酷使しろ‼』

 

 この障害物は、空中を移動できる僕にはむしろ有利にはたらく。ここで後れを取るわけにはいかない。

 速度を緩めることなく、空中からエリアに突入する。変なギミックが追加されてないといいけど……。

 

『ちなみに地雷!威力は大したことねえが、音と見た目は派手だから失禁必至だぜ!』

 

『人によるだろ』

 

『さあ先頭緑谷!案の定ギミック全無視で爆進!誰かアイツを止めてくれぇ!!』

 

 少なくとも低空を移動する限りにおいて、余計な対空攻撃なんかは無いようだ。安心。

 全速で、(しか)して悠々と。後続も離れてきたので、スピードに集中できる。

 

「行かせねぇぞ、クソデク……!」

 

『お――っと!?ここで爆豪が凄まじい追い上げ!逆転なるか!?』

 

『地面スレスレの超低空飛行で、あえて地雷に誘爆させその爆風を借りる形で加速。……呆れるほどの身体制御だ。並の人間なら爆風を制御しきれずに落下する。却って速度を落とすのがオチだろうよ』

 

『COOOL!!後続は爆風に妨害されて一歩遅れたァ!さあさあ一騎打ち!爆豪が追い抜くか!緑谷が逃げ切るか!?後続もスパートかけて来てるぞ!!』

 

 余裕カマしてたらかっちゃんが後ろから凄まじい追い上げを見せる。さすがだね。

 ……出し惜しみしてる場合じゃないか。このままだと追い抜かれかねない。

 

 自分を一度上空に打ち上げて、少しだけ時間を作る。

 

 今まで僕は、斥力場でピンボールみたいに自分を弾いて、ジグザグに進んでいた。

 この方法だと閉所での機動力はあるんだけど、直線の最高速度が微妙で、改善の余地があった。

 ……この技は未完成、というか習熟できてないから、できれば使わずに終わりたかったけど……。そうも言ってられないね。

 

 背後に斥力場を展開し、一瞬僕を押させて、空いた隙間に新たに斥力場を展開し、古い方を消す。

 この操作を繰り返し、連続的に加速し続ける。

 

 加速すればするほど早い操作が要求され、加速度的に演算負荷が重たくなっていく。

 焼き切れそうな脳たちを回復しながら、ひたすら、ひたすら、ひたすらに早くやる。

 

 【鳥瞰】を得て直観的かつ効率的な斥力場の運用を身に着けて尚、この技はキツい。まだ僕が慣れてないのもあるけどね。

 けれどそれに見合った、あるいはそれ以上の速さが得られる。ならばやらない手は無い。

 

 ……もし失敗したら最初のロボみたくズタズタになっちゃうし、そうすると最悪死にかねないんだけど……まあ、許容すべきリスクだ。万が一お茶の間にグロ映像をお届けすることになってしまったら……その時はごめんなさい。テレビ局のフォローに期待しよう。

 この世界にも「nice boat.」みたいなのあるのかな?「しばらくお待ちください」の映像、花のやつしか見たことないんだよね。

 

『緑谷、(スーパー)☆スパートォ!!誰も追いつけない!誰も寄せ付けない!圧倒的強さ!!あっという間に地雷原を抜けたァ!!イレイザーヘッド、お前のクラスすげぇな‼どういう教育してんだ!』

 

『俺は何もしてねえよ。……特にあいつはな』

 

『さあ凱旋だ!クラップユアハンズ!選手宣誓での優勝宣言、単なるビッグマウスじゃないと証明した!』

 

 最後の曲がり角、直前で加速を止め、従来のピンボール方式で自分をゴールに叩き込む。

 

『一位、緑谷出久!圧倒的勝利だ!!』

 ()()()()とグラウンドに落下し、ようやく動きが止まる。

 ゆっくりと立ち上がって砂を払い、歓声に応えて手を振る。

 

 ……いやあ、思った以上に消耗してしまった。

 体はズタズタのボロボロだし、エネルギーも満タンだったのにけっこう減ってるし、精神的にも疲れたし……。

 ()()()()()をしたのは自分だけど、ここまでヒドい結果だと凹むね。情けないよ、まったく。

 

 

 

 〇

 

 

 

「どう思う?」

 

「どうもこうも……。経営科(ぼくら)の出る幕ないでしょ。放っといても人気出るタイプだよ、アレ」

 

「だよなぁ」

 

「それよりも2位の爆豪だよ。もし彼女の事務所経営を請け負ったとして、どう売り出す?」

 

「うーん、見た感じミルコみたいになりそう。アイドル売りとかメディア露出は控えて、実力と容姿で黙らせる感じ」

 

「夢がないなぁ。そこをあえてアイドル売りとかさ」

 

「やめとけ。そういう路線を強制してもいい事ないぞ」

 

「3位の夜嵐はどうだ?容姿売りもムリじゃないだろうけど、もう一手何か欲しい」

 

「夜嵐の人間性は聞き及んでる。たぶんあれはオールマイトタイプ、下手に売り出そうとするより好きに暴れさせておくべき人間だ。後始末の大変なタイプでもあるだろうから、僕らの仕事は無くならないだろうけど……」

 

「4位の轟は緑谷同様売り出し甲斐がないしなー……。今年のヒーロー科は豊作かもしれないけど、僕ら経営科としちゃ面白みがないね」

 

「まあそう言うな。例えば――――……」

 

『さあ続々とゴールインだ!順位等はあとでまとめるからとりあえずお疲れ‼』

 

 

 

「ハァ、ハァ……。おい、イズク」

 

「はいはい」

 

 モニター見上げてぼんやりしてたら、かっちゃんに話しかけられた。なんだか険しいお顔だね、かわいいよ。

 

 ……まあ、用件は予想が着くので、驚きはない。

 かっちゃんに正対すると、その赤い瞳が僕を貫く。

 射貫くような視線ってのはまさにこのことだね。すごい威圧感だ。

 

「言いてぇことは分かるな?」

 

「なんで他を妨害しなかったか?」

 

「どういうつもりだ、舐めプかよ?……最初、ゲートに詰まってた時。全員あそこに閉じ込めて、お前一人だけで走れたろ」

 

「舐めてなんかないよ、僕なりに真剣にやったんだ」

 

「言え」

 

「えーっと……ヒーローになった時のことを想定すると、この障害物競走って『いかに素早く目的地に到着するか』みたいな所の素質を見るものだと思うんだ」

 

「だから他を蹴落とすのは本旨じゃないって?訓練気分かよ、舐めやがって」

 

「いや、でも、ほら。今回の目的ってプロヒーローの目に留まる事なわけで、自分一人だけってのは悪印象かなって……」

 

「競技っつーのはそういうもんだろーが。……もういい。要するに、アタシらは眼中になかったワケだ」

 

「あっ、かっちゃん」

 

 怒られると思ってたんだけど、かっちゃんはさっさと離れていってしまった。

 う~ん、やらかしちゃったかな?そんなに変な事をした覚えは無いんだけど……。

 

 

 

「一年ステージ、第一種目もようやく終わりね。それじゃあ結果をご覧なさい!」

 

 巨大なモニターが一度暗転し、ちょっとしたアニメーションの後順位が表示される。凝ってるなぁ。

 

「予選通過は上位42名!」

[残念ながら落ちちゃった人も安心なさい!まだ見せ場は用意されてるわ!」

「そして次からいよいよ本選よ‼」

「ここからは取材陣も白熱してくるよ!キバリなさい!!」

「さーて第二種目よ‼私はもう知ってるけど~……」

「何かしら、何かしら?」

「言ってるそばから――――」

「コレよ!!」

 

 モニターに表示されたのは、「騎馬戦」の文字。

 

 さあ、ちょっと難しいポイントだ。

 気張っていこう。

 

 

 

 





 障害物競走だけでいい感じの文字数になったんで分割。
 主人公の加速技はエヴァQの最初に出てくる使徒を想像していただければ大体合ってます。見たことない方は見てみてね(布教)。
 主人公がイタいのは仕様です。ここら辺の理由とかもどっかで説明したいけど、投げっぱなしになっちゃうかも。
 山田(プレゼントマイク)の実況、書いてて楽しいんだけどなんか競馬実況みたいになっちゃった。ウマ娘の二次創作読みすぎたかな……?


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