体育祭編まぢしんどい。二次小説でエタる人の気持ちがよくわかります。
動かす人数が一気に増える上、私の場合、マトモな話を書くと筆が鈍るんで余計にキツい。
さっさと話を進めて職場体験編行きたい……。黙って書けって?すみません。
「それで?」
「だ、だから……。チア衣装着て、お、応援合戦が」
「ふんっ」
「ほぎゃあっ!?」
「み、峰田ァーっ!」
「樺月ちゃん、容赦ないわね。少しやりすぎな気もするけれど……」
「……美少女に頭を踏まれるなら、苦痛もまた快楽。スカートならなおよし……ガクッ」
「そうでもなかったわ」
「おい、ブドウ頭、チャラ男」
「チャラ男って、俺は上鳴……」
「ハイッ!ブドウ頭です!」
「峰田!?それでいいのかお前!?」
「テメーらにもう一度だけチャンスをやるよ。……伏して懇願しろ、這い
「……樺月ちゃん、もしかして乗り気?」
「よしなよ樺月、こいつらに付き合ってやる必要ないって」
「勘違いすんな響香、こいつらに付き合ってやるんじゃない。こいつらを利用してやるのさ」
「利用?どういうことかしら?」
「逆に聞くが、梅雨ちゃん。体育祭の目的って何だと思う?アタシら生徒は今日、一体何が欲しくて頑張ってるんだ?」
「そりゃあ、個性や実力をアピールして、プロヒーローの目に留まる事よ。そうすればヒーローとしてのキャリアが拓けるもの」
「間違っちゃいないが、少し違う。体育祭の目的は目立つことだ。どんな形であれ、目立てる事なら積極的にするべきなのさ。コスプレだろうが何だろうがな。もし怒られても、こいつらが代わりに怒られてくれる。だろ?」
「ハイッ!誠心誠意謝罪させていただきます!」
「そんなぁ……」
「いや、でも、目立つったって、そんな目立ち方しても……」
「そうね、どちらかと言えば悪目立ちだわ。それに、個性や実力のアピールができないんじゃ仕方ないと思うの。それで見てもらえるのは容姿くらいよ、樺月ちゃんはそれでいいの?」
「響香、梅雨ちゃん。それじゃ甘いぜ、手段を選ぶべきじゃないのさ。……そもそも、本気でヒーロー目指すんなら容姿で評価されんのは避けられねぇ。上位に行くなら大なり小なり見た目の良さも必要になってくる。女なら特にな。……なら、むしろ積極的に容姿をアピールするべきだ。悪目立ち上等さ、目立たず終わるよかずっといい」
「そりゃあ、そうかもしれないけど……ウチは実力で評価されたいよ。ヒーローがショービズ化してるのは百も承知だけど、それでも、見た目より大事なことってたくさんあると思う。……そもそも、ウチ樺月みたいにかわいくないし……」
「なーに言ってんだ。響香はかわいいだろ。なぁ、チャラ男」
「おう!耳郎はかわいいと思うぜぇああアアあ!?……な、なんで……ガハッ」
「フン」
「素直じゃないな、響香」
「まァ本戦まで時間空くし、張りつめててもシンドイしさ……。いーじゃん、やったろ‼私暇だし!」
「透ちゃん、好きね」
「さんせー!アタシも最終種目落ちちゃったし、少しでも爪痕残したい!」
「うーん、みんながやるなら……」
「決まりだな。つーわけでモモ、頼めるか?」
「ええ、もちろん!お任せくださいまし!」
〇
昼休憩が終わって。
『最終種目発表の前に、予選落ちの皆に朗報だ!』
『あくまで体育祭!ちゃんと全員参加のレクリエ-ション種目も用意してんのさ!』
『本場アメリカからチアリーダーも呼んで一層盛り上げ……ん?』
生徒たちが三々五々にフィールドへと集う中。
『アリャ?』
『なーにやってんだ……?』
現れたのは、チアコスを身に纏ったA組女性陣。
『どーしたA組‼?どんなサービスだそりゃあ!!?』
いやぁ眼福だ。このイベント、かっちゃんがいるからナシになるかと思ってたんだけど……なんかノリノリっぽいね。かわいい。
今ばかりは峰田君を天才と讃えねばなるまいよ。こういった分野において、彼は無類の才能を発揮する。
ねえねえかっちゃん、写真を……え、ダメ?そんな御無体な。一枚だけでも……ダメ?そんなぁ……。
『さァさァ皆楽しく競えよレクリエーション!』
『それが終われば最終種目!』
『進出4チーム、総勢16名からなるトーナメント形式!!』
『1対1の……ガチバトルだ!!!』
クジを引いて、トーナメントの組み合わせは以下の通り。
心操
(
夜嵐
上鳴
(
緑谷
轟
(
塩崎
飯田
(
発目
骨抜
(
瀬呂
八百万
(
常闇
鉄哲
(
切島
麗日
(
爆豪
……いやぁ、予想はしてたけど、結構変わったね。
原作と違い、青山君と芦戸さんが居なくて、骨抜君と夜嵐君が入っている感じ。組み合わせや順番もちょっと変わってる。
周囲を見てみれば、各々のリアクション。
緊張してる人、気合いを入れる人、早くも試合に向けて動き出す人……。
『よーしそれじゃあトーナメントはひとまず置いといて、イッツ束の間!楽しく遊ぶぞレクリエーション!』
まあ、でも、関係ないか。
がんばろう。
〇
『ヘイガイズアァユゥレディ!?』
『色々やってきましたが‼結局これだぜガチンコ勝負‼』
『頼れるのは己のみ!ヒーローでなくてもそんな場面ばっかりだ!わかるよな‼』
『心・技・体に知恵知識‼総動員して駆け上がれ‼』
プレゼントマイクの口上を聞きながら、控室で寛ぐ。
当たり前っちゃ当たり前なんだけど、盛り上げ上手だよなぁ。ヒーロー引退してもその道で食べてけそう。
まぁ、プレゼントマイクは既にその道でも活躍しているから、副業が本業になるだけなんだけどね、彼の場合。
副業かぁ。イマドキのヒーローは副業が当たり前で、各々オリジナリティ溢れる副業を展開しているわけだけど……。
かっちゃんは、1-Aの皆はどんな副業をするんだろう?妄想が膨らむな。
ケータリングのお茶を開封して一口。
雄英体育祭限定の特別仕様で、ラベルに雄英ヒーローの顔写真とサイン、一言メッセージが印刷されている。外の売店では販売もしていて、メチャメチャ長蛇の列ができていた。何しろ今年の雄英にはオールマイトがいるからね。
協賛企業の製品らしく、控室にはやたらとたくさん置いてある。どう考えてもこんなに消費しないでしょ。
……これ、余ったやつは持って帰れたりするのかな?後で聞いてみよう。麗日さんあたりは沢山持って帰りたがるんじゃないかな。
『オウディエンス共ォ!!』
控室に設置されているモニターの映像が切り替わる。目を向けると、ステージは既に完成していて、その四隅からド派手に炎を噴き出していた。相変わらずお金かかってるなぁ。
『待ちに待った最終種目が、ついに始まるぜぇ!!』
『第一回戦‼』
『第一種目、第二種目と、文字通り旋風を巻き起こした!台風の目となるか!?ヒーロー科、夜嵐イナサ‼』
『
『ごめん、まだ目立つ活躍無し!普通科、心操人使‼』
『ルールは簡単!』
『相手を場外に落とすか行動不能にする、あとは「まいった」とか言わせても勝ちのガチンコだ‼』
『ケガ上等‼こちとら我らがリカバリーガールが待機してっから‼道徳倫理は一旦捨ておけ‼』
『だがまぁもちろん命に関わるよーなのはクソだぜ‼アウト!』
『ヒーローは
ステージ中央に歩みを進めた両者が、何やら言葉を交わしている。
何話してるんだろう?大体想像は付くけど、マイクは彼らの声を拾わない。
心操君、怖い顔してるなぁ。彼、ヒーローっぽくない個性なのがコンプレックスみたいだけど、ヴィラン扱いされるのは彼の人相の悪さにも幾分か原因があるんじゃないのかね?
『レディィィィィィイ――――』
『START‼』
試合が始まると同時、完全に動きを止める夜嵐君。
初見殺しが決まったようで何より。これは勝負あったかな?
『オイオイどうした!?大事な緒戦だ、盛り上げてくれよ!?』
『夜嵐!開始早々――――……完全停止!?』
『アホ面でビクともしねぇぞ‼心操の個性か‼?』
『全っっっっっっ然目立ってなかったけど彼、ひょっとしてやべぇ奴なのか‼‼』
静止していた夜嵐君がくるりと後ろを振り向き、場外に向かってゆっくりと歩み始める。
物間君らしき制止する声がここまで聞こえてくるけど、まぁ、それで何とかなるような個性じゃない。
相澤先生が心操君について解説する間も、夜嵐君の足が止まることはなく……。
『夜嵐君、場外!』
『心操君、二回戦進出!!』
順当に、心操君が勝ち進んだ。
夜嵐君は残念だったね。普通に戦えば最強格だろうに……。
ま、主人公ならざる者の悲しき宿命だ。負けるときはあっさり負ける。
僕はそうならないように、主人公らしく振る舞えるようにしなくちゃね。
モニターの映像が切り替わり、ステージの様子が見えなくなって、移動を促す文言と移動経路を示す画像が表示される。
さて、アドリブの時間だ。うまくやろう。
〇
『二回戦!』
『トップ&トップ!圧倒的な戦績!このまま宣言通りに優勝しちまうのか!?ヒーロー科、緑谷出久‼』
『
『スパーキングキリングボーイ!同じくヒーロー科、上鳴電気‼』
「なぁ緑谷」
「なにかな?」
「なんつーか、よろしくな」
握手を求めて、右手を差し出す上鳴君。
当然、応じる。
「そうだね、よろしく。でもなんで急に握手?」
「いや、うーん。なんつーか……」
『START‼』
「恨むなよ!」
瞬間、繋いだ右手を通じて膨大な電気が襲い来る。
……まぁ、そうだろうなとは思ったよ。小癪というか、何と言うか。
まあ、彼なりに頭を捻ったんだろう。責めるつもりはない。
『上鳴、開始早々に仕掛けたァ!握手を装っての不意打ち!だがそれもまた戦略だ!騙される方が悪ィのさ!!』
『……緑谷の奴、わかってて応じたな』
上鳴君の右手をガッチリと握って離さないようにしつつ、体の状態を確認する。
右腕が少し痺れたけど、ダメージはほぼ無し。体は動くし、意識も明瞭。
右腕がやられたのは反省点だね。電気エネルギーは消化しやすいから吸収速度もそこそこあるんだけど、上鳴君の放出速度には一歩及ばなかった。
こういった状況を想定して吸収速度を鍛えてきたのに、まだまだだね。情けない限りだよ。
キャパオーバーでウェイってる上鳴君に後ろを向かせ、背を押して歩かせる。このまま場外に押し出してしまおう。
『緑谷、直接電気を流し込まれたのにムキズ!どーなってんだあいつの体は!?』
『緑谷は個性柄、熱や光、電気に強い。相性が悪かったな』
『上鳴、ジュージュン!緑谷に背を押されて場外に向かう!なんかデジャヴ!勝負あったか!?』
上鳴君が転ばないよう、ゆっくりと歩いてライン際へ。
場外まであと一歩という所で、突如上鳴君が振り返る。
『おーっと上鳴!キャパオーバーは演技だった!?ラインギリギリで反撃開始だぁ!』
「悪ぃな、緑谷!」
「こちらこそ」
掴みかかってくる腕を逆に掴んで極め、体勢を崩して場外に押し出す。
僕らは既にラインギリギリの位置にいたから、少し押し出すだけで上鳴君は簡単にラインを超えた。
「上鳴君、場外!緑谷君二回戦進出!」
『地味に決着!上鳴、起死回生を図るもあえなく敗北!勝者緑谷はスカしてやがるぜ!腹立つなァおい!!』
『私情剥き出しじゃねぇか』
〇
静かな関係者用通路を抜け、客席に一歩踏み出せば、途端に騒音が押し寄せる。
通路内の照明は控えめだったから、外の明るさも相俟って、少々面食らってしまう。
この手のスタジアムとかの通路って、不思議なくらい静かに感じるよね。なんでだろう。
轟君が塩崎さんを氷漬けにするのを横目に、興奮した様子の観客達を眺めながら皆の許へ向かう。まだ5月なのにすごい熱気だね。
「
席に戻ると、両腕が機械の綺麗な女性が1-Aに交じって応援していた。
……いや、なんで?
え、ここ1-Aの応援席だよね?……うん、合ってる。
……えーっと?
「おう、緑谷!お帰り!」
「ただいま、切島君。ちょっと聞きたいんだけど、そちらの方は?」
「ああ、なんでも轟の御家族のヒーローらしくってな。警護も兼ねてここで応援してるらしいぞ」
「……ってことは、彼女がエンヴィー?」
「知ってるのか緑谷?」
「そりゃあね」
知らないはずがない。
彼女こそは、この世界に於けるもう一つの特異点。
僕と死柄木がともに
彼女の名前は轟
No.2ヒーロー、エンデヴァーの
エンデヴァー同様、メディア露出を嫌うからあんまり有名じゃないけれど、知る人ぞ知る将来有望なヒーローだ。
ヒーローマスク外してるからわからなかったよ。あのタイプのマスクってちゃんと顔を隠す効果あったんだね。
……まさか、こんな所で会えるとは。
彼女のことを知ったのは、幼い頃に見た雄英体育祭。
エンデヴァーの娘だという彼女を見て、驚くやら納得するやら、複雑な心境だったのを覚えている。
彼女は当時、既に両腕が義手になっていて、少なからずハンディキャップのある中でそれを感じさせない見事な立ち回りで活躍してのけていた。優勝は逃していたけれど……。
原作で言う荼毘にあたる彼女は、この世界では紆余曲折を経てヒーローになっている。
彼女の過去について、詳細を調べることはできなかったけど……エンデヴァーの数少ないインタビューとかを調べた感じ、死柄木は彼女にもちょっかいをかけていたみたい。
それでたぶん、運命が変わった。
具体的に何があったのか、詳しくは分からない。
けれど結果として、原作にてAFOに攫われ、紆余曲折の果てに「荼毘」と名乗りヴィランになってしまった彼は、彼女となったこの世界で、真っ当にヒーローをやっている。
その影響か、エンデヴァーがちょっと軟化して人気が増していたり、轟君の顔の火傷跡が無かったり、逆にエンヴィーの顔には大きな火傷跡があったり……。いろいろと原作とは異なる点が生じている。
たぶん今日も雄英体育祭の警護の関係でこの場にいるんだろうけれど、なんで生徒に交じって応援してるんだ……?
ステージは轟君の氷を溶かし終わって、発目さんのセールストークが始まったところ。
エンヴィーの隣にはかっちゃんが座っていて、何やら話し込んでいる。のでその隣に座る。
「つまりね、ジェットエンジンなのよ。普通のエンジンって吸気・圧縮・燃焼・排気って4つのステップを断続して行うけれど、それじゃダメなの。火力を高めて、溜めて、放つ。これらを分割されたステップではなくて、なめらかな流れの中で、間断なく行うの」
「なるほど……溜め具合って調整できた方がいいんスか?0-100だけじゃなくて0-80もできた方が便利みたいな」
「一旦は考えなくていいんじゃないかしら。できた方が便利だとは思うけど、そこら辺は経験だし。……ああ、おかえりなさい。緑谷君だっけ、見てたわよ。強いのねあなた」
「ありがとうございます、エンヴィー。初めまして」
「言っとくけど、ウチの焦凍は強いわよ。あの子は未来のナンバーワンなんだから」
「それはそれは、負けられませんね」
「……スカしちゃって。生意気ね、あなた。少なくとも可愛らしさじゃ焦凍の方が圧倒的に上だわ」
「言われてんじゃねーかイズク」
「省みるよ。それにしてもエンヴィー、なんで1-Aに交じって応援してるんです?」
「……ほら、貴方達ヴィランに襲われたし、近くで警護した方が確実っていうか」
「嘘を言うなよ、燈火姉ぇ。何してんだ」
「焦凍!おかえり~!!」
「おかえり、轟君。嘘なの?」
「十中八九な。親父に連絡入れといたから、すぐに分かる」
「ゲッ、お父さん呼んだの?焦凍はお姉ちゃんと一緒がイヤなんだ~……」
「……キャラ変わりすぎだろ。こっちが素か?」
「悪ぃな爆豪、いつもこうなんだ」
「轟君はお姉さんと仲が良いんだね」
「そりゃあもう!最近まで一緒にお風呂入ってたんだから!」
「やめてくれ」
「何ィ!?おい轟ィ!お前それお前本当かよオマエえええぇ!!」
「峰田、目から血ぃ出てるぞ。大丈夫か?」
「だいじょばねぇよ羨まけしからんぞ強個性イケメンのくせにぃいいブベラッ!?」
「ナイス梅雨ちゃん」
「焦凍、おいで」
「……勘弁してくれ」
「なあにもう男の子しちゃってー。いいからおいでよ、ほーら」
僕らのことが見えていないのか、見せつけているつもりなのか。
エンヴィーは轟君を無理やり自分の膝に座らせて御満悦だ。よかったですね。
轟君は猫みたいに身を捩って嫌がっているけど、相当に力強く抱き留められているようで、しばらくすると諦めた。
蛙吹さんに張り倒されて転がっている峰田君はそれを見て地べたに血涙で水溜まりを作り、僕らは気を遣ってそちらを見ないようにとステージのハツメショッピングに集中する。なかなかのカオスだ。
「……何をしている、燈火」
しかし世はヒーロー飽和社会。混沌在る所ヒーローあり。
現れたるはNo.2ヒーロー、エンデヴァー。文字通り、ヒーローの登場だ。
「親父、助かった。燈火姉ぇをなんとかしてくれ」
「燈火。……何か釈明があれば聞いてやる。何をしている?」
「お言葉ですがエンデヴァー、先日襲撃を受けたのは彼らです。敵の目的は未だ不明であり、転移系個性の敵は行方不明のまま。万全を期すならば、可能な限り至近で警護するべきであると考えます」
「では聞くがエンヴィー。焦凍を膝に乗せているのはどういう了見だ?その状態で敵の襲撃に即応できるのか?え?」
「……いーじゃんお父さん。見逃してよ」
「燈火、お前というやつは……今日という今日は許さん!パトロールに戻るぞ愚か者!帰ったらキツく絞ってやるからな!ええい焦凍を離しなさい!燈火!」
「いーやー!助けて焦凍ー!」
「勘弁してくれ」
エンヴィーの首根っこを掴んで二人分の体重を片腕で持ち上げるエンデヴァー、首根っこを掴み上げられて猫みたいに身を捩るエンヴィー、その腕の中にテディベアみたいに抱えられて離してもらえない轟君、せめてもの情けと見て見ぬふりをする1-A一同。
おかしいな、ヒーローが来たはずなのにより一層場が混沌としているぞ。未来の暗示か?
「ねえかっちゃん」
「んだよ」
「ヒーローって楽しそうだね」
「出てくる感想それかよ頭バグってんじゃねぇのかクソデク」
「いやぁ、つい」
「……楽しくやれるに越したことはないがな」
「だよね」
ヒーローは他を笑顔にするお仕事だけれど、そのためにはまず自分が笑っていなければならない。
自分も周りも楽しませられるなら、それが一番だよね。
……そういうヒーローに、なれればよかったんだけど。
ステージではハツメショッピングがようやく終わり、瀬呂君と骨抜君の試合が始まったところ。
【テープ】での拘束を試みる瀬呂君に対し、拘束を【柔化】させて対抗する骨抜君。相性的には骨抜君が有利かな?
ステージは平坦且つ狭隘で、自慢の機動力を活かせずにいる瀬呂君。一方骨抜君は地面に潜って相手を翻弄している。ステージとの相性も骨抜君が上かあ、瀬呂君厳しいね。
ここまで地味な試合展開が続いていたから、ようやくマトモなアツい試合が見られて観客は大喜び。僕らも大興奮。
僕らは瀬呂君を応援しているけど、隣のB組応援席からは骨抜君を応援するでっかい声が聞こえてくる。物間君も大張り切りだ。
お互いに対抗するようにしてどんどん応援の声がでっかくなっていって、さながら応援合戦の様相を呈している。ちょっと楽しい。
しばらく騒いでいたエンデヴァーとエンヴィーはいつの間にか巡回に戻っていて、轟君は深く椅子に沈み込んだまま動かないでいる。大丈夫?
「……っし、そろそろ行ってくるわ」
「うん、がんばって」
さて、かっちゃんの初戦の相手は、原作通りに麗日さん。
だけどたぶん、というか間違いなく、原作通りの展開にはならないだろう。
他人事ではないんだけど、ちょっとだけワクワクしている自分がいる。
かっちゃんはこの体育祭で何を為すだろうか。
願わくば、僕なんかには負けないでほしいな。
ケータリング云々はオリ要素……というか筆者の願望。そんくらいあってもええやろ。
大会とかの時のお茶やおにぎりってやけに美味しく感じますよね。私だけ?
轟家救済の過程は界隈でも描写が分かれるホットなポイント。
原作では主人公が切っ掛けを与え、それを取っ掛かりに本人たちの努力で以て問題を乗り越えていました。ヒロアカ二次界隈においては、この流れを補強する形で介入することが多いですね。
私はどうしようかなーと考えた末に、長子の性別から変えちゃうことにしました。性別変わりゃいろいろ変わらざるを得ないでしょ。
TSだけじゃ轟家の捻くれた家庭環境は変わらんだろうと思ったので、死柄木君に余計なことをしていただきました。
正味、原作でも轟家に対する介入はあったと見ていいでしょう。伸び悩んだエンデヴァーに都合よく氷叢との縁談が舞い込んだことといい、燈矢君が
本作において、原作介入は基本的に事態の悪化を招きます。
原作に比して色々好転しているのは死柄木君が調子に乗って余計なことをしまくってくれたおかげ。ありがとうね。
ただ、多少改変したくらいじゃ
エンヴィーこと轟燈火の性格がアレなのもその一環。敵堕ちよりは遥かにマシですが、彼女は主人公に劣らぬ問題児です。やったね主人公、なかまがふえたよ!