デクの上位者アカデミア   作:ヤマカワ

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 かっちゃんって独占欲強い方だと思うんですよね。
 でも自分が執着していることを認められなさそう。



小学生に戻りたいとかよく言うけど、いざ戻ってみると別にそうでもない

 

 

 天高く、馬肥ゆる秋。

 

 

「うーん、うぐぐ……」

 

「おはようお母さん……なにしてるの?」

 

「お、おはよう出久……。いやね、お母さん、ちょっとだけ、ふ、太っちゃったかも……」

 

 何を食べてもおいしいこの季節。

 毎年この時期になると週三で焼き芋を食べる母さんは、どうもウエストがピンチなご様子。 

 まだまだ痩せているお母さんだけど、季節の魔力には抗えなかったようだ。

 

「ちょっとダイエットしなきゃね……。お母さんもランニングしようかしら」

 

「いいんじゃない?朝のランニングは気持ちいいよ。なんだったら一緒に来る?」

 

「遠慮しとく。樺月ちゃんに悪いしね」

 

「かっちゃんに……?別に気にしないんじゃない?」

 

「出久……。いいから行ってきなさい。樺月ちゃん待たせちゃダメよ」

 

「? わかった、行ってきまーす!」

 

「はーい、行ってらっしゃーい」

 

 

 

 玄関を開けて走り出せば、早朝の紫がかったひつじ雲が空いっぱいに広がっていて、気分が上がる。

 小さい頃からちょっとだけ変化したいつもの街並みは、早朝の薄闇でいつもとは違って見えて、なんだか特別感がある。

 スポーツの秋とはよく言ったもので、ちょっと肌寒いくらいの気温が心地いい。

 

 黄色い落ち葉を踏んだり蹴ったりしつつかっちゃん家に着くと、かっちゃんはもう家の前で待っていた。

 

 

「おせーぞイズク!レディを待たせてんじゃねーよ!」

 

「ごめんごめん、早くしないと遅刻しちゃうね。行こっか、かっちゃん」

 

 

 緑谷出久、現在10歳。

 

 万事順調にて、本日も平和です。

 

 

 

 〇

 

 

 

 超常が日常となった世界であろうとも、僕ら子供のやるべきことは変わらない。

 

 個性社会においても義務教育制度は現役で、いろんな意味で“個性的”な子供たちに苦慮しつつも、すべての子供を「普通」に育て上げるべく、教育に携わる人々は日々努力している。

 ただ、その過程で弾かれてしまって、ヴィランにならざるを得ないような状況に追い込まれてしまったり、そうでなくても理不尽に苦しめられる人もいるわけで……。

 

 この国は、この世界はまだまだ未熟で、“個性”社会に適応できているとは言い難い。

 ヒーローを目指す僕らは、いずれこういった問題とも向き合っていかなければならないわけだけど……。

 

 まぁ、何が言いたいって。

 

 

「じゃあ緑谷君、空欄を埋めながら読んでみて」

 

「はい。えー……『細胞には細胞膜と核があります。細胞の中にあり、染色液で赤く染まるのが核。細胞の外周部分にあって、細胞の内と外を隔てているのが細胞膜です。これらはほとんどの細胞に共通する構造で、私たち人間の細胞も例外ではないのです』」

 

「はいありがとう。じゃあ次の授業では実験をするので、配ったプリントをよく読んでおいてください」

 

 

 小学校は、少々退屈です。

 

 

 

「イズクー、弁当食うぞ!」

 

「うん、ちょっと待ってて!」

 

 

 個性社会において、給食という制度はほぼ絶滅危惧種だ。

 

 個性の影響もあって、各々食べられるもの・食べられないものが全く違うし、食べる量だってバラバラ。

 食の好みも極端に分かれていて、かっちゃんなんかは小学生にして既に激辛料理にハマりつつある。

 そんな“個性的”な子供たちを育てるにあたって、一律に同じものを同じ量だけ食べさせるのはあまり現実的じゃない。

 そういった事情もあって、この世界では基本、弁当を持ってくることになっている。

 一部の裕福な人向けの小学校では、一人ひとりにそれぞれ適した給食が与えられたりするみたいだけど、まぁ稀な例だ。

 経済的な事情で弁当を用意できない子供も、専門機関や支援団体(大体ヒーローが主体)に相談すれば“個性”に応じた弁当を無償で貰えることになっている。

 弁当制である以上昼食の摂り方も前世とは違っていて、各々好きな場所で好きな相手と弁当を食べる。

 

 そんなわけで、かっちゃんと僕は別々のクラスなんだけど、いつもお昼は一緒に弁当を食べている。

 

 

「かっちゃん、どのおかずがいい?」

 

「んー……これなんだ?」

 

「大根餅。おいしいよ。これにする?」

 

「いや、やっぱ唐揚げもらうわ。……二種類あんのか」

 

「塩と醤油だね。どっちにする?」

 

「うーん、塩」

 

「はい、あーん」

 

「ん。……おいしいな」

 

「でしょ?お母さん最近フライドチキン極めようとしてるんだよね。僕の個性使って、高圧で揚げるんだよ」

 

「これはその副産物ってことか。いーなー、アタシも唐揚げつくりてーなー」

 

「まだ揚げ物は解禁されてないんだっけ」

 

「ま、個性がな。万が一油の近くで火花散らしたら危ないし」

 

「そっかー。いつか揚げ物解禁されたら真っ先に食べに行くよ」

 

「ふん、悪いが真っ先に食べるのはこのアタシだ。残念だったな」

 

「そこ張り合うんだ……」

 

 

 和気藹々とした昼食時。

 

 

「ねーねー、二人って付き合ってるの?」

 

「あん?……そんなんじゃねーよ」

 

「……まぁ、そうだね。僕らは単なる幼馴ミ゛ッ!? なんで蹴るのさかっちゃん!?」

 

「うるせークソボケ黙ってろ殺すぞ」

 

「……なるほど」

 

 何がなるほどなのか。

 

 最近は周りの子たちもマセてきて、こういう揶揄い方をされることも増えてきた。

 かっちゃんもかっちゃんで、最近は結構丸くなったんだけど、時々こうやって理不尽に怒るんだよね。

 

 ……まぁ、ずっと揶揄われ続けるようならちょっと鬱陶しいし、何かしら対処しようかとも思うんだけど。

 チラリとかっちゃんの様子を伺うと、さっき揶揄ってきた女子をじっと見つめている。

 多分、この後“OHANASHI”するんだろうな。原作でガキ大将だったかっちゃんは、この世界でも既に同級生の大半を掌握しているから。南無。

 

 

 

 〇

 

 

 

 放課後。

 

「うっし、始めっか」

 

「うん」

 

 僕らは学校帰りに、そのまま近所の山に来ていた。

 

 

 昔使っていた海浜公園は、ボランティア活動の甲斐あってすっかり綺麗になってしまい、今や人気のデートスポット。

 秘密の特訓が人目についてはいけないので、昔からちょくちょく遊んでいた山の中の、少し開けた秘密の場所にて最近は特訓している。

 僕が直接経験したわけじゃないけど、原作でかっちゃんが足を滑らせて川に落ちた、あの山である。

 この辺りは全部近くのお寺の敷地なんだけど、管理されている割に人目がないので、近所の子供たちの遊び場になっているんだよね。

 

 

「あいてててて」

 

「イズク、風呂上りの柔軟サボってねーか?」

 

「ちゃんとやっててこれなんだよ……いだだだだだ」

 

 

 まずは柔軟から。かっちゃんと協力しながら、お互いの体を解していく。

 性差もあるんだろうけど、かっちゃんの体はかなり柔らかい。この柔軟性があの高機動の秘訣なのだろうか。

 

 

「いち、にー、さん……」

 

「上がりきってないし動きがいちいち止まってる。ゆっくり、深く、止まらずに、だ」

 

「わかってても、難しいねっ……」

 

「一定の速度を意識しろ。各動作三秒以上だぞ。ほれ、いち、にー、さん」

 

 

 続いて準備運動、という名の筋トレ。体を温めることを意識して、ゆっくりと全身を刺激する。スロトレというやつだ。

 ここでも僕はかっちゃんに後れを取っている。結構キツい運動のはずなんだけど、かっちゃんは平気な顔でこなしてしまう。

 

 

「そんじゃまぁ、負けた方は準備係ってことで」

 

「負けなくたってそれくらいはやるんだけど……まぁ、お手柔らかに」

 

「ああ、お手柔らかにボコってやるよ」

 

 

 最初は決まって個性ナシの組手。

 負けっぱなしじゃ男の沽券に関わるし、今日こそはかっちゃんに土をつけてやりたいところ。

 小さい頃から一度も勝てたことないし、僕の沽券なんて既にズタボロなんだけどね。

 

 

「イズクー、準備できたか?」

 

「もうちょっと……もういいよ」

 

 その辺に生えている木からなるべく太いものを見繕い、自作の的(紙に油性ペンで三重円を描いただけのもの)をランダムな位置に貼りつけていく。

 的を貼り付ける木はあまり広範囲に散らばらないように、かといって密集もしないように気を付けつつ、こちらもランダムに選ぶ。

 斥力場を踏み台にしながら、高い所や枝葉が邪魔になる場所など、狙いにくい場所も織り交ぜつつセロテープでぺたぺた貼っていく。

 全部貼り付け終わったら、最後に遮音用の斥力場をなるべく広く展開して、準備は完了だ。

 

「んじゃまあ……死ねぇ!!」

 

 

 かっちゃんが手足を爆発させて飛び上がり、さっき準備した的を猛然と攻撃し始める。

 三次元的な機動で高い所、低い所と攻撃して回り、枝葉や他の樹木など障害物が邪魔になる的はできるだけ障害物を傷つけないようにしつつ爆破。

 合計100枚貼り付けた紙の的を、迅速に、的確に、一枚たりとも取りこぼさない。

 彼女なりにフェイントを織り交ぜたりもしていて、結構本格的なスパーリングだ。

 

「はぁ、はぁ……3分22秒。やっぱ立ち上がりの遅さは課題だな。まだまだ甘ぇわ」

 

「すごいよかっちゃん、最近はもう安定して3分台じゃん。着実に早くなってきてるよ」

 

「黙ってろデク。テメーの訓練に集中してな」

 

 

 もちろん僕も、ぼんやりとかっちゃんに見惚れているわけじゃない。

 僕の訓練はじっとしたままでもできるので、かっちゃんを眺めつつ、火事が起こらないか注意しつつも訓練することができているのだ。

 

 具体的には、斥力場で小さな二重の球を作って、内側の球は外側の球を押し退けるように、外側の球は内側の球を押し潰すように、それぞれ強く力をかけることで斥力場の強度を鍛えている。

 僕の個性は摂食を起点とするからか、斥力場に強い力が加わると内臓を握り潰されるような強い痛みを感じとても苦しい。

 これを克服し、許容量を増やすべく、このように斥力場同士で力をかけ合うことで鍛えているのだ。

 

 

「イズクー!」

 

「はいはーい」

 

 かっちゃんの声に応じ目を向けると、茶色い木の葉が紅くチリチリと燃えている。

 いつものことなので慌てず騒がず、火の着いた木の葉とその周辺の枝葉を斥力場で切り取って僕の許に移動させ、炎ごと「吸食」してしまう。

 

「わりぃ!」

 

「気にしないで!」

 

 

 引き続き火事には気を付けつつ、自分の訓練を続ける。

 

 前は結構いろいろ訓練していたんだけど、最近は専ら斥力場の強化に注力している。

 というのも、例えば吸収対象の拡張に関しては、概念的なもの(時間とか色とか)は対象にとれず、活力やら「明るい気持ち」やらは無闇に試すわけにもいかずで、現状凍結中。

 吸収速度向上と貯蓄許容量増大に関しては、毎朝ランニングがてら海に寄って大量の海水を吸収し、貯蓄しつつ学校に通っているけど、他にできるような事は思いつかない。

 熱や電気の放出についても、これ以上出力を上げると僕の体が保たないので現在凍結中。

 光の放出は鍛え続けてるけど、屋外でやるとめっちゃ目立つので今はパス。

 身体能力と自己治癒力の強化は……まぁ、最後にやるけど、あまり無茶はできない。

 

 そんなわけで、今ここでできるのは斥力場の強化だけだし、たぶん現状これが一番伸び代あるので、最近はこれに専念しているのだ。

 

 

「かっちゃーん!そろそろ換気するよー!」

 

「あん?もうそんな時間かよ」

 

「最近は陽が落ちるのも早いからね、巻いてかなきゃ」

 

 一度遮音用の斥力場を解くと、少し肌寒い風が籠っていた空気を浚っていく。

 

 大きく深呼吸をして、土と落ち葉の匂いを取り込み、かっちゃんの爆煙のツンとした独特な臭いを追い出す。

 休憩し始めたかっちゃんを横目に近くの沢へ赴き、斥力場の浴槽に一杯の水を汲む。この沢、結構水量があって水がきれいで便利なんだよね。ここで訓練してる理由の半分くらいはこの沢だ。

 

 広場に戻ると、かっちゃんは既に髪を纏め、水着になっていた。今日の水着はセパレートタイプらしい。

 

 

「なあイズク、アタシ毎回水着着てくんのめんどいんだけど。下着とk「ダメ」……なんでだよ」

 

「女の子がみだりに男に肌を晒しちゃいけません。それに、今日の水着もかわいいよ、かっちゃん」

 

「テメーの趣味じゃねーか変態ヤロー」

 

「そんなことはないさ。それにほら、水着の方が乾きやすいし。最近は朝晩冷えるから、濡れたまんまでいると風邪ひいちゃうよ?」

 

「……水着の上に服着てると動きにくいんだよ……。それにどーせイズクが乾かすんじゃん」

 

「だからこそ乾きやすい水着が適してるんじゃないか。ほら、準備できたよ」

 

 駄弁りつつも温めていた浴槽の水は、60~70℃程度に保たれている。これくらいの温度管理はもうお手の物だ。無論、遮音用の斥力場ももう張ってある。

 なんだかんだ真面目なかっちゃんは、不服そうにしつつも熱湯風呂に身を投じ、「死ねぇ!!」という元気な声と共に個性伸ばし訓練を開始した。

 

 威勢の良い爆発音を背に、僕も僕で訓練を開始する。

 

 

 体内に貯蔵してある謎エネルギーを体に巡らせ、身体能力を強化する。

 

 巡らせるエネルギー量を増やすとその分強化倍率も増し、強化倍率がある一定の水準を超えると体がミシミシと嫌な音を立て始める。

 強化倍率が高すぎると体の方が追い付かなくなるのは何もOFAに限らないようで、僕の個性のへなちょこ身体強化でも10歳児の体には荷が重いらしい。

 昔は燃費の悪さが課題で、今もそれはあんまり改善されてないんだけど、それよりも最近は強化倍率の伸びに体がついてこれなくなっているので、肉体改造の方を優先しているのだ。

 

 ギリギリ体が壊れない程度の強化を維持しつつ、ゆっくりと太極拳(形骸化してはいるもののこの時代にも残っている)の動きをこなしていく。

 一通り終えたら一旦身体強化を解除して自己治癒を施し、謎パワーによる謎の超回復によって体が頑強になることを祈りつつ(たぶん効果はない)少し休憩。

 再度身体強化をして、ほどほどに抑えた強化倍率で跳ね回り、かっちゃんのような動きを意識しつつちょっと煤けた的を攻撃していく。

 

 訓練の成果か硬い樹皮にも負けないくらい硬くなった拳は、十歳児の未熟な手ながら元気な音を鳴らしてくれた。

 

 

 

 〇

 

 

 

「そういえばかっちゃん、最近髪伸ばし始めたよね」

 

「ん、まーな。ヒーロー目指すなら見た目は大事だし、女だとやっぱ髪長い方がウケがいい」

 

「そっかぁ。かっちゃんならどんな髪型だって大人気だけど、髪を伸ばしたかっちゃんは見てみたいな」

 

「……他人事みてーに言ってっけどな、イズク。テメーももうちょい見た目に気ぃ遣え」

 

「えー、結構気をつけてるつもりなんだけどなー。それに僕じゃ高が知れてるよ」

 

「一生頑張り続けんだよバカが。つーか何をどう気遣ったらあんなクソみてーなTシャツ着て学校行こうと思うんだよ……」

 

「えー、いいじゃんダサT。かっちゃんの選ぶ服ってなんかこう、個性がない゛っ」

 

 かっちゃんの後頭部が僕の鼻の頭を打ち付け、目の奥に火花が散る。

 かっちゃんを膝の上に乗せてると、蹴りや拳は飛んでこないんだけど、代わりにこうやって顔面に後頭部が飛んでくるんだよね。とてもいたい。

 

 

 現在19時。日も暮れたので訓練を切り上げ、かっちゃんを膝に乗せつつ熱を放出することで乾かしている。

 

 できるだけ早く乾くように、さりとてかっちゃんを火傷させないように気を付けつつ会話も楽しむ。これはこれでいい訓練になるんだよね。

 周囲は真っ暗で、お互いの話し声と虫の歌しか聞こえなくて、かっちゃんと触れ合っているのがとても落ち着く。

 

 

「でもかっちゃん、髪伸ばしちゃうと爆破でチリチリにならない?」

 

「そこなんだよなー。いろいろ考えちゃいるけど、結局ショートに戻ってくるかも」

 

「そっかぁ。まあかっちゃんはどんな髪型でもかわいいから、最終的にどうなるかはさておいて、いろんな髪型が見れるのはうれしいな」

 

「フン、いちいち当たり前のことを言ってんじゃねーよ、クソボケ野郎」

 

「はいはい。……そろそろ乾いたかな?」

 

「ん。……大丈夫そうだな。イズク、明かり」

 

 求めに応じて掌から光を放出し、手元を照らす。

 荷物から服を取り出すのを照らしつつ見守り、かっちゃんが水着の上から服を着なおすのを眺めr「あっち向いとけ変態ヤロー」……後ろを向きつつ、かっちゃんが着替えやすいように照らし続ける。

 

 着替え終わったら荷物の土をはたいて、足元を照らしつつ下山。

 毎日のことなので、もう完全にルーチンワークの一環となっている。

 

 

「やっぱ放課後訓練じゃあんま追い込めねーな」

 

「あんまり時間ないもんねー。いっそ個性伸ばしやめて組手だけする?」

 

「……いや、もうちょい続ける。あんま追い込めてねーっつっても、まだヒリヒリはする」

 

「でもだいぶ成長したよね。昔は荷物持って帰るのもキツいくらいだったのに」

 

「いつの話してんだ。……ずっとやってんだ、成長すんのはトーゼンなんだよ」

 

「当然なんかじゃないよ。かっちゃんが頑張った証さ」

 

「うるせークソバカ黙ってろ」

 

「なにも殴らなくても……」

 

 

 かっちゃんのパンチを左肩に食らいつつ、夜道を二人歩く。

 

 

 今夜は冷え込むって予報だったけど、あんまり寒いとは思わなかった。

 

 

 





 かっちゃんはその気になれば人間関係もソツなくこなしそう。
 女の子に生まれ女性として育ったならなおのこと。クラスとか学年とか超えて学校の女子を支配してそう。なんなら地域一帯を掌握してても驚かない。

 作中で言及されてた細胞観察の実験は、現実だと中学生でやる内容です。
 ただ、個性の研究とかで生物系の分野は進んでるだろうし(脳無なんて代物を、個性ありきとはいえ個人が百年足らずで完成させるのは非現実的)、個性発現以降ヒトの身体能力が平均的に上がったなら知力だって上がってるだろうと思いこのような形に。
 アニメでも高1の主人公たちが現実換算で高3の内容(それも結構応用的な内容。実質大学数学)やってたりするので、あながち的外れではないはず。
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