デクの上位者アカデミア   作:ヤマカワ

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 イチャイチャ回。難産でした。
 恋愛要素描くときは恋愛系コンテンツをオーバードーズして脳内お花畑状態で臨むのですが、最近効きが悪いです。自分とかけ離れたものを書くのは難しいですね。

 前話の補足ですが、原作よく読んでみると主人公以外のキャラは救助ポイントの存在を明かされてないっぽいんですよね。飯田君はたぶん家族からそれとなく匂わされてて、自力で答えに辿り着いた感じ。
 なので、本作主人公に対しても救助ポイントの存在は明かされません。他のキャラも知ってて自分の順位くらいじゃないかな。



控除って言葉の響きが好きです

 

 

 

『私が投影された!』

 

『久しいね緑谷少年。前にも言ったけど、今年からは私も雄英の教師!故に、私が君に合否を伝えるぞ!』

 

『結論から言おう。受験番号2234、緑谷出久……主席合格だ!!』

 

『敵ポイント驚異の102ポイント。3桁出たのは久しぶりのことらしいぜ!』

 

『いやぁ、率直に言って驚いたよ!こう言っちゃなんだけど、君強かったんだね!』

 

『試験のためとはいえ()()()()姿()になるのは少々BADだが……まぁ、概ね文句なしさ!』

 

『ようこそ、緑谷少年。今日から雄英(ここ)が、君のヒーローアカデミアさ!!』

 

 

 

 〇

 

 

 

「ねぇかっちゃん」

 

「なんだ?」

 

「僕って座り心地いい?」

 

「ビミョー」

 

「そっか、ごめんね。……ねぇかっちゃん」

 

「なに」

 

「トイレ行っていい?」

 

「お前トイレ行く必要ないだろ」

 

「今は全身人間だから。かっちゃんが言ったんじゃないか、今日は【液化】するなって」

 

「ダメ」

 

「そっかー」

 

 一般に、受験生というものは受験が終われば暇になる。

 

 僕らもその例に漏れず、絶賛退屈中。

 床に寝転がって本を読む僕にかっちゃんが座っていて、身動きが取れないでいるところだ。

 こうしていると、なんだか猫に乗っかられているような気分になってくるね。猫飼ったことないけど。

 

 とはいえ、十年間ほとんど休みなく訓練し続けていたから、たまにはこんな日があったっていい。

 実際、僕は【液化】を手に入れてからたぶん初めて、完全に【液化】を解いてくつろいでいる。

 自分が確実に自分であって、自分以外の自分がいないという感覚。昔は当たり前だったはずのそれが、妙に懐かしい。

 

「イズク」

 

「なに?」

 

「お前主席だったんだろ」

 

「まーね」

 

「悔しくないんか、こうやって文字通り尻に敷かれて」

 

「別に、かっちゃんだし……。それに、僕はヒーロー志望だからね。ヒーローっていうのは誰よりも立派なことをして、誰よりも責め立てられるお仕事だ。だからまぁ、主席だった僕は最も足蹴にされて然るべき立場にあるといっても過言じゃない」

 

「過言だろ。もうちょっとプライド持てよ」

 

「そこはほら、かっちゃんが持っといてくれるから」

 

「アタシに預けんじゃねぇ」

 

「いーじゃん持っといてよ。減るもんじゃないんだし。うぐぇっ」

 

「寄っ掛かってくんじゃねーよ殴るぞ」

 

「殴ってから言われても……」

 

 かっちゃんとこういうやり取りするのもなんか久しぶりだ。一回やらかしたせいで一時期ちょっとギクシャクしてたりもしたしね。

 

「ねぇかっちゃん」

 

「んだよ」

 

「僕一回かっちゃんのこと泣かせたじゃん?」

 

「……それで?」

 

「いやぁ、なんで今もこうやって触れ合ってくれるのかなぁって」

 

「テメーアタシと縁切るつもりでアレやったんかクソデク」

 

「そういうわけじゃないけど……そうなっても仕方ないかなって」

 

「一応聞くが……アレやった目的は?」

 

「一番は実験。【液化】を手に入れて、自分の目指すべきヒーロー像が見えて、ちょっと舞い上がったってのもある。それと……それに伴って、かっちゃんとは距離を取るべきだと思った」

 

「ヒーロー像?」

 

「そのうちわかるよ。もし僕が目指すヒーローに実際になれたとして、その時僕がかっちゃんの隣にいたら迷惑かけちゃうから」

 

「……言いたいことはそれだけか?」

 

「うぐっ……それどこから出したの、かっちゃん」

 

「服の中に隠し持ってた。わかってると思うが、まだ【液化】で治すんじゃねーぞ……で、包丁で刺された感想は?」

 

「切れ味のいい包丁だなって。あと痛い」

 

「そーかよ」

 

「……え、なんで刺したの?」

 

「一番は興味。テメーにムカついたってのもある。それと、今ここでお前を刺すべきだと思った」

 

「えーっと、ごめん?」

 

「なんで謝る」

 

「怒らせたんだろうなって」

 

「何に対して謝ってるか本人がわかってない謝罪は却って相手を苛立たせるんだ、覚えときな」

 

「あぁかっちゃん、そんなグリグリしたら血がいっぱい流れて……服もカーペットも汚れちゃってるよ」

 

「あとで綺麗にすればいい。お前がやるんだぞ」

 

「ええ……汚れだけ食べるのって難しいんだよ?布類は特に」

 

「訓練だ訓練。大好きだろ?」

 

「やれってんならやるけど……シミが落ち切らなくても怒らないでね?」

 

「いいや怒る」

 

「そんなぁ……」

 

 かっちゃんにお腹を刺されてしまった。

 鋭い金属の板が内臓を掻き乱す感覚は、何にも例え難い異物感と灼熱感がある。「焼けた鉄の棒を突っ込まれたような」って例えが一番近いだろうか。そんなのされたことないから近いかどうかもわかんないけど。

 

「なんでアタシがアンタを刺したと思う?」

 

「うーん……憂さ晴らし?」

 

「そんな理由で人を刺すわけねーだろナメてんのかクソデク」

 

「そう言われても……仕返し?」

 

「アレはもう済んだ話だろ、今更蒸し返したりしねーよ」

 

「だよね。……うーんわかんない。っていうか失血で頭がボーっとしてきた。まだ治しちゃダメ?」

 

「ダメだ。……早く正解しねーとマジで死ぬぞ?」

 

「うーん、それは困る。なんだろう…………」

 

「思いつかないか?」

 

「……僕がかっちゃんに隠し事してるから、とか?」

 

「……求めてた答えじゃねーけど、それも理由の一つだな。他に心当たりは?」

 

「えー、わかんない……う~ん……」

 

「樺月、出久君、おやつ持ってきた……アンタら何してんの?」

 

「イズク」

 

「ああえっと、お腹を刺された人を発見した時の処置を訓練してました。汚しちゃってごめんなさい、すぐに片づけますね」

 

 慌てて体の一部を液化させ、傷を治すとともに流れた血液を回収する。

 案の定カーペットはひどい状態だったけど、床にまでは血が染みてなくて助かった。

 ただその代わりにかっちゃんの服とカーペットは血のシミがひどくて、落とすのにけっこう手こずってしまった。

 

 うーん、汚れだけ落とすのはやっぱり難しい。まだまだ訓練が足りないね。

 

 

 

 〇

 

 

 

 被服控除。

 入学前に「個性届」「身体情報」を提出すると、学校専属のサポート会社がコスチュームを用意してくれる素敵なシステム。

 「要望」を添付することで、便利で最新鋭のコスチュームが手に入る。

 

 だいぶ脱線したけど、今日かっちゃん家に来たのはこの「要望」について相談するためなのだ。

 

「かっちゃんはどういうコスチュームにするか決めてるの?」

 

「とりあえず、全身を対爆素材で固める必要があるな。汗は透過して、肌を爆破から保護してくれるんだとなおいい」

 

「でもそれだとピッチリスーツになっちゃわない?僕はその方が嬉しいけど」

 

「ほざいてろ変態。掌以外での爆破は拡散しやすいから、爆圧に指向性を持たせられるような機能の装備があるといい。プロテクターも兼ねてて、全身に装着できるとなおいい」

 

「プロテクターかぁ、動きが阻害されちゃわない?」

 

「そこがネックだな。まぁ関節の可動域を広めに設定して貰うくらいしかねーだろうさ。なんにせよプロテクター無しって選択肢はナシだ……イズクは?」

 

「僕は機動力と見た目重視で、防御力は低めにする感じ。見た目としては、スーツ着て金魚鉢被ったようなのをイメージしてる」

 

「……相変わらずセンスがカスだな。見目を良くしようとしてスーツに逃げる辺りが特にダメ。センス無し。今まで散々教えてやったアタシの苦労に少しは報いろよ」

 

「そんなこと言われても……。他に思いつかなかったんだよ」

 

「……まぁいい、今に始まったことじゃない。んで、イズクは個性主体の戦い方だから装備品は最低限と」

 

「そうなるね。応急処置セットとかコンパスとか地図とかの細々した装備品は、小さめのポーチに入れとく予定」

 

「……そこら辺の装備品って被服控除の対象なんか?」

 

「さあ? ……あぁ、ブラ?」

 

「……まぁな。活動に適したやつを被服控除の適用内で貰えたら、日常生活でも家計の負担が少なくなる」

 

「高いもんねアレ。書くだけ書いてみたら? 被服控除で貰ったやつを日常で使うのはよくないかもだけど、ほら、授業とか放課後訓練とかに際して可能な限り着替えの手間を省くためってことで」

 

「……ま、怒られたら控えるくらいのつもりでいいか。なんでテメーがアタシのブラ事情を知ってるかは別として」

 

「やだなぁ、あくまで勘と推測だよ?」

 

「どーだか。……にしても、靴どうすっかなぁ」

 

「足の裏は掌に次ぐ爆破部位だもんね。爆破を阻害するのは望ましくないけど、あちこち駆け回って鋭いものを踏んだりする可能性も考えると防御力を疎かにはできない。キック力とかにも関係してくるもんね」

 

「防御力があって汗も透過する、みたいなのができりゃいいんだが……さすがに欲しがりすぎか」

 

「要望出すだけ出してみる?いっそガッツリ機械化するって手もあるかな?」

 

「機械化……待てよ、そうか……」

 

「何か思いついた?」

 

「ちっと黙ってろイズク。考えを纏める」

 

 何か思いついたらしい。

 邪魔しちゃ悪いな、キッチン借りてコーヒーでも淹れて来よう。

 

 

 

「あ、光己さん。キッチン借りてもいいですか?コーヒーを淹れようかと」

 

「ああ、出久君。構わないわよ」

 

 一言断り、湯を沸かし始める。

 慣れたもので、調理器具の配置もコーヒー豆の置き場所も完全に把握しているし、コーヒーを淹れる動作は滑らかで淀みない。

 かっちゃんはコーヒーも紅茶も嗜むけど、光己さんは紅茶党で、勝さん(かっちゃんのお父さん)はコーヒー党であり、爆豪家においては光己さんの方が序列が高いので、休憩時には紅茶が供されることが多い。

 だから、これら数々のコーヒー用品は半分僕用なんだよね。なんだか申し訳ない。

 

 豆をガリガリ挽いて、コーヒーフィルターをセットし、静かに湯を注ぐ。

 ふわりと漂う香気が豊潤で、いい豆を常備してくれていることがわかる。

 

「ねえ、出久君」

 

「はい、なんですか?」

 

「今ちょっと時間ある?」

 

「ええ、まぁ。今日は半ば休みですし」

 

「コーヒー淹れ終わったら少し話しましょう。おいしいクッキー買ったのよ」

 

「わかりました」

 

 お話かぁ、さっきのやつかなぁ。

 いろいろとやらかしている自覚はあるので、少々気が重い。だからって応じないわけにもいかないけどね。

 

「お待たせしました、コーヒーで大丈夫でしたか?」

 

「ええ、たまにはコーヒーもいいもんよ。ほら、遠慮せずに。美味しいのよこのクッキー」

 

「いただきます。……ホントだ、おいしい」

 

「でしょ?……それでね、出久君」

 

「あ、はい」

 

「単刀直入に聞くわ。あなた結局樺月とどうなりたいの?」

 

「どう、と言われましても……僕はかっちゃんのためになりたいです。すべてはそのために」

 

「樺月のためねぇ、本気で言ってるワケ?」

 

「ええ、かっちゃんの為ならどんなこともする所存です」

 

「以前のことも、樺月のためだって?」

 

「最終的には。……泣かせてしまいましたけど。知らず知らずのうちにかっちゃんに甘えてしまっていました。心から反省しています」

 

「はぁ?……ちょっと待って、アンタ樺月が何に泣いたと思ってんの?」

 

「え? 僕の行動が気持ち悪くてショックだったんじゃ?」

 

「ンなわけないでしょ。アンタあの子を何だと思ってんのよ」

 

「えぇ?じゃあなんで……」

 

「本人に聞きなさい。っていうか出久君、アレやった動機教えなさいな」

 

「え、ええと、一番は実験です。僕の個性について知っておくことは何よりも重要だと思いました。普通なら思いついたって実行はしませんが、かっちゃんと距離を取るべきだとは前々から思っていたので、丁度いい機会だと思って」

 

「丁度いい機会ぃ? 何考えてんの? 第一なんで樺月と距離を取るべきだって話が前提にあるのよ。そこからもうわかんないんだけど」

 

「え、えっとそれは」

 

「っていうか待って。アンタ樺月の寝込みを襲ったのよね?バレないようにして。その言い方だとバレる前提でやったって風に聞こえるけど?」

 

「あ、ええ。かっちゃんなら気づくと思ってました。その上で、気づかれないように寝込みを襲うっていう姑息な手段であればより効果的に怒らせられると思って。……まぁ、バレずに実験を完遂すればもうしばらくかっちゃんと一緒にいられる、なんて浅はかな考えが無かったとは言いませんが、結果的にはかっちゃんを傷つけただけでした」

 

「で、なんで出久君が樺月と離れるべきだって話になるのよ」

 

「なんでと言われましても……光己さんは離れてほしくないんですか?こんなのが娘の隣にいて」

 

「離れてほしいに決まってるでしょ。でもしょうがないじゃない、あの子にその気がないんだもの」

 

「その気になってくれればと思ってのことだったんですが……。まぁ、将来的なことを考えたときに、僕がいない方がいいと思いまして」

 

「だからさ、なんでそうなるのって聞いてんのよ。樺月のためになりたいのよね?」

 

「ええ、ですから、僕がいない方がかっちゃんの為になるだろうと」

 

「意味わかんない。なんでそうなるわけ?近くにいる方が助けられることは多いでしょ。あの子の登山にしょっちゅう付き合ってるのはなんで?」

 

「まぁ、僕がかっちゃんと一緒にいたいというのもありますが、一番はかっちゃんが怪我をしないようにですね。かっちゃんも一人になりたいときはあるだろうから、付いて行かないことも多いですけど」

 

「そうよね」

 

「だけど、陰ながら支え、そうと知られぬまま助けることができるなら、それに越したことはないと思うんです。そのうえで、僕にできないことができるたくさんの人たちに囲まれてくれたらなと」

 

「頭大丈夫?独り善がりにも程があるわよ、自分の中の最善を押し付けてるだけじゃない。っていうかなんでそこからああなるのよ」

 

「最終的には……いえ、まぁ、結局あんまり大した結果は得られなかったのでアレなんですが、最終的にかっちゃんが傷つくことの無いようにできればと思いまして」

 

「だから、もう。はぁ……。会話をしなさいよ、会話を。マトモに取り合う気がないって事?」

 

「え、いえ、そんなつもりは……」

 

「まぁいいわ。要するに、アンタは樺月と距離を取ることが樺月のためになると確信してるワケね」

 

「そうなります」

 

「で、樺月に刺されたと」

 

「はい。……ああいや、あれはそういう訓練で」

 

「そーゆーのいいから」

 

「あ、はい」

 

「……なんであの子がアンタを刺したんだと思う?」

 

「それが、恥ずかしながらわかんなくて……」

 

「本当に恥ずべきね。なんでわかんないの?」

 

「そう言われましても……」

 

「はぁ……。どうしたもんかしら」

 

「え、えーっと」

 

「ちょっと黙ってて」

 

「はい」

 

 光己さんは僕を黙らせると、深く考え込み始めた。

 その様子はかっちゃんとそっくりで、親子のつながりを感じさせる。

 

 手持無沙汰に啜ったコーヒーは、生温かくてすっぱかった。

 

 

「出久君」

 

「はい」

 

「最終的に、樺月にどうなってほしいの?」

 

「幸せになってほしいです。そのために、傷つくことなく最高のヒーローになってくれればと」

 

「あんたナメてんの?」

 

「え?いえ、そんなつもりじゃ……」

 

「ヒーロー目指す以上傷つくことは仕方がないし、最悪の目に遭う可能性だってあるわよ。あの子はそれを承知でヒーロー目指してんの。あの子の覚悟をなんだと思ってんの?」

 

「で、ですが、かっちゃんがヒーロー目指してるのは半分くらい僕のせいです。僕がいなければ、一緒に訓練とか誘わなければ、かっちゃんは次第にヒーローへの興味を失っていったかもしれない。ヒーローという危険な道を選ばせた以上、責任持って、かっちゃんが傷つくことの無いようサポートしていく義務があると思うんです」

 

「だから、ああもう。それが独り善がりだっつってんのよ。アンタ樺月のこと猫かなんかだと思ってない?あの子にだって意思はあるし、自分で決めたならそれは本人の責任なのよ。あとなんで傷つけたくない対象を自ら傷つけるようなことしてるワケ?言ってることがメチャクチャだしやってることと矛盾してんの。自覚無いの?」

 

「そう、なんでしょうか。自分じゃわかんないです」

 

「……あなた病気よ、間違いなく。引子さんも大変ね……」

 

「母には、そうですね。迷惑をかけていると思います」

 

「だ、か、ら、そういう話してんじゃないのよ。わかんない子ね」

 

「ええと、すみません……」

 

「……その場凌ぎの謝罪はやめなさい。何に謝ってるかわかってないんじゃ意味ないし、相手を苛立たせるだけよ」

 

「……」

 

 とうとう言葉が出なくなってしまった。

 自分では間違ったことを言っていないつもりなんだけど、何をどう間違っているんだろう?

 間違っているって事実だけを突き付けられ続けると、本当にどうしていいかわからなくなる。僕はどうするべきなのかな?

 

 誤魔化すように口に含んだコーヒーはすっかり冷めていて、苦くて酸っぱい吐瀉物のような味がした。

 

 

「あのね出久君、樺月はね」

 

「そこまでだ。ママ、余計なことは言わんでいい」

 

「かっちゃん」

 

 ずっと聞いてたのか。そりゃそうか。

 コーヒーを淹れるだけにしては離席時間が長すぎる。随分話し込んでしまったな。

 

 ……今のやり取り、かっちゃんはどういう気持ちで聞いてたんだろう。

 

 

「ねえ樺月」

 

「却下」

 

「……まだ何も言ってないんだけど」

 

「違ったか?」

 

「違わないけど……」

 

「なら話は終わりだ。戻るぞイズク、話し合いは終わってねーんだ」

 

「あ、えっと、うん。その、失礼します。クッキー美味しかったです。ごちそうさまでした」

 

 なんとなく不完全燃焼のまま、かっちゃんに連れられ場を離れる。

 助かったような、最後のチャンスを逃したような、複雑な気分だ。

 

 

「ねぇかっちゃん」

 

「教えねーぞ」

 

「……理由を聞いてもいい?」

 

「知らなくていいからだ。教えるつもりもないし、知るとして自分で気づくべきだ」

 

「そっか……」

 

「そうだ」

 

 

 僕はかっちゃんのことが、よくわからない。

 

 

 かっちゃんは、何を思って僕と一緒にいるのだろう?

 

 

 

 





 手癖に任せて書いてたらなんか主人公がかっちゃんに刺されてた。怖ぁ……。
 距離を取るのも距離を詰めるのもヘタクソすぎるし手段が直接的すぎるんだよなぁこいつら。お似合いだね♡

 かっちゃんのご両親は、普段微笑ましいやり取りしてるのに時々様子がおかしくなる二人にストレスがマッハ。勝さん(かっちゃんのお父さん)なんかは泡吹いて倒れてそう。
 前にも書いた気がしますが、かっちゃんはかなり執着が強いタイプです。十年もの歳月を費やした主人公を手放すことは相当嫌がるでしょうね。光己さんはそこらへんよ~く心得てるので頭抱えてます。ドンマイ。

 ちなみに、筆者にかっちゃんのような幼馴染はいませんが、主人公のような説教を受けたことはあります。かなしいね。
 かっちゃんみたいな幼馴染が欲しいなぁ、俺もな。



Q:え、こいつらもしかして普段からこんなん?
A:さすがにここまでハードなプレイはまずしません。お片付けが大変ですからね。


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