ようこそ龍園至上主義の教室へ   作:仮令

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なげぇ。


CHAPTER7 龍のカーニバル

各々にビーチを満喫するCクラス。今日の夜には全員リタイアするよう龍園から告げられており、今を目いっぱい楽しんでいる。リタイアしてからも船内で自由にしていいと言われてはいたが、必ず2時間は勉強するようにも言われていたのであった。

そんなCクラスを他所に、少し離れたところで、龍園、アルベルト、石崎、金田、伊吹、ひよりが集まっていた。

 

「よし、お前らは、俺がただ遊んでリタイアするとは思ってないよな?」

「リーダー当てですよね。それも何かしらの条件を引き換えに、他クラスと契約でもしてきたのでしょうか。」

 

龍園の言葉にひよりはそう答えた。龍園はまさかそこまで読まれていたということに驚いた。やはりひよりの頭脳は抜けている、金田をも凌いでいる。もしかしたらこの俺でさえも……、そう考えている龍園は、ひよりの言葉に、ほう。と相槌を打った後続けた。

 

「……その通り、さすがはひよりだ。だが、リーダーを探る方法は1つしかない。」

 

龍園の言葉を聞いた金田はすぐさま1歩前へと出た。その行動を見て、金田の勘の良さをも理解した。やはりこいつら2人に参謀をしてもらいたいものだ、と龍園は思っていた。

 

「よくわかってんじゃねぇか、金田。」

「……謀反。そう思わせないと相手の懐には潜り込めません。椎名氏の発言で意図がよくわかりました。」

 

そして金田は、いつでもどうぞ、と言わんばかりに殴られる体勢を取った。それを見た龍園は、金田の頬目掛けて5割程度…・頬に少し痣が残る程度の力で金田を殴りつけた。

その行動を見たアルベルト、石崎、伊吹は少し驚き、ひよりは目を逸らしていた。

 

「よし、金田、お前はBクラスに行ってこい。このデジカメとトランシーバーは必ずバレない所に隠せ。キーカードの証拠として必要だ。…・行け。」

 

龍園の言葉を聞いた金田は、それらをしっかりと携帯し、森の中へと走っていった。

金田が見えなくなったあと、龍園はアルベルト、石崎、伊吹に向き直った。

 

「さぁ、あとはお前らだ。……アルベルトはリタイア組に入って勉強の進捗を確認しろ。」

「I got it.」

 

龍園の言葉にそう返したアルベルト。続けて龍園はこう言った。

 

「石崎、伊吹、全力でかかってこい。さっきの金田の顔は見たよな?俺に勝てば俺が駒としてお前らに従ってやる。……まぁ、出来たらの話だがな。」

 

そう言ってニヤニヤとする龍園。その顔が気に食わなかったのか伊吹が返した。

 

「…・そのニヤケ面、形がなくなるまでボコボコにしてやる。」

 

ファイティングポーズを取った伊吹とは違い、石崎は少し困惑していた。

 

「俺はいいっすよ!龍園さん!顔でも何でも殴られます!」

「それじゃダメだ。俺を倒すつもりでこい。これからも暴力が活躍する場面は増えるだろう。お前にも強くなってもらわないと困る。……わかったら早くかかこってこい。」

 

石崎の言葉にそう返した龍園。石崎も渋々ながら構え、伊吹は既に飛び出しそうな雰囲気もあった。しかし龍園は一向に構えようとしなかった。

 

「アンタはなんで構えない訳?」

「…クク。お前ら相手に構えも必要ねぇよ。……どうした?ビビっちまって声も出ねぇか?」

「殺す!」

 

龍園の言葉で限界を迎えた伊吹が龍園へと飛び出した。それを見た石崎も龍園へと向かっていくが、2人の拳、蹴りは全くもって龍園へと届かない。

むしろ龍園はニヤケ面を加速させながら煽っていた。それを見た伊吹はさらに手数を増やし、石崎も伊吹の攻撃の死角になるように龍園へと攻撃するが、まるで赤子の手をひねるように全てを躱しきった龍園。2人の手が一瞬止まったのを見るや否や、石崎を殴り飛ばし、伊吹に足払いをして、その場に尻もちをつかせた。

 

「……おいおい、もう終わりか?準備運動にもなりやしねぇ。」

 

龍園はそう言いながら、やれやれといったポーズをした。それを見た2人は立ち上がり、今一度、龍園へと向かっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘でしょ…・。どういうつもりなのCクラス。」

 

堀北は、Cクラスの過ごす環境を見てそう言った。

Bクラス、そしてAクラスの視察を終えた俺と堀北は、その足でそのままCクラスの占有するビーチへと向かった。

今俺たちが見ている光景は、とてもサバイバルとは思えない、まるで常夏のリゾートを満喫しているかのようだった。

……正直俺もこの光景には驚いている。夏休み前に龍園と会った時には、俺と勝負がしたい旨を言っていた。だが、今回の試験は龍園の中でそれほど高いものではなかったのだろうか。

そうこうしていると、暴力事件の時にも居た、小宮という生徒がこちらへと向かってきていた。

 

「龍園さんが呼んでいます。こちらへどうぞ。」

 

小宮がそう言って龍園がいる所へ足を進めたため、俺たちも小宮の後へと続いた。

龍園はパラソルの下でくつろいでいる所であった。

 

「龍園くん、オイル塗ってあげよっか?」

「いやいや私が塗ってあげるよ!」

「……ほう、それはいいな。お前ら2人で塗ってくれてもいいんだぜ?」

 

Cクラスの女子生徒2人からそう迫られていた龍園は、そう言いながら女子生徒2人を腕で引き寄せている所であった。

だが、俺たち2人が来たことに気づいた龍園は、名残惜しそうにしながらも女子生徒2人に席を外すよう告げていた。

 

「よう。……ちっ、タイミングが悪いんだよお前ら。今からお楽しみのところだったのによお。」

「……随分と羽振りがいいのね。」

 

龍園の挨拶もそこそこに、堀北は龍園へそう言った。

 

「見ての通りだ。俺たちは夏のバカンスを楽しんでいるのさ。なあ?アルベルト」

「Yes.Boss」

 

龍園はそう言ってアルベルトへと返答を求めた。

 

「みすみすクラスポイントを手放すってこと?私には理解できないわ。……それとも、何か企んでいるの?」

 

堀北はそう言いながら龍園を睨みつける。

 

「150ポイント程度の利益のため、7日間この島で、飢えに耐え、暑さと虚しさに耐える。メリットがあまり感じられんな。……お前らDクラスはクラスポイントを残すのに必死になるのは分かる。それを俺らにも当てはめられちゃあな。わかるだろ?」

 

龍園はそう言いながらテーブルに置いてあった串焼きをかぶりつき、その横に置いてあったジュースを飲んだ。

 

「……警戒してここに来た私が馬鹿だったわ。」

「鈴音、馬鹿なのはどっちだ?俺か?それとも―――まあいい、お前らもせっかく来たんだ。楽しんでいけよ。」

 

龍園はそう言って近くにいた男子生徒に対して呼び掛けをし、何かを告げる。呼び掛けられた男子生徒はそのまま走り出し、数秒のうちにこちらへと戻ってきた。手には串焼きが入った皿を2つ持っていた。

 

「要らないわ、綾小路くん行きましょう。」

「まあ待て鈴音、一旦ここに座れ。綾小路、お前もだ。」

 

堀北は1度振り向き、来た道を戻ろうとしたが、龍園の呼び掛けに対して再びこっちへと向いた。龍園のことを怪訝な眼差しで見つめていたが、一息ため息をついた後、龍園の言う通りにした。俺も堀北に倣って龍園が用意したであろう椅子に座った。

 

「何かしら龍園くん。」

 

受け取った皿の上の串焼きを手にした堀北は、串焼きを見たあと龍園を見てそう言った。

 

「俺に聞きたいことでもあったんじゃないか?」

 

龍園の言葉に堀北は目を鋭くし、こう答えた。

 

「あなた、伊吹さんを知っているわね。」

「うちのクラスの生徒だが、それがどうかしたか?」

 

堀北の言葉に少し口角を上げながらそう言った龍園。

 

「彼女、顔を腫らしていた上に、見えている部分も痣だらけだった。……あれはどういうつもりかしら。」

 

堀北の言葉に龍園は、今度こそ笑いながらこう答えた。

 

「…クク。命令に従えないやつは不要だ。だが、俺だってそこまで暴君じゃねぇ。だからとある契約をしたんだ。」

「契約?」

 

龍園の言葉に堀北は疑問を浮かべながらそう言った。

 

「そう、契約だ。……俺に勝てばお前らの要望を通してやる、とな。だが、負ければここを去れ、とな。まぁ俺がここにいるってことは、そういう事だ。」

「……なるほど、つまり伊吹さんがここにいなくても、あなたは全財産を使っているから全く気にしていない、ということね。」

 

龍園の言葉を聞いた堀北はそう返した。堀北の言葉に龍園は、YESととれるような動きをした後、再び串焼きにかぶりついた。

ルール上、300ポイントを使い切ってもマイナスにはならない。影響は皆無ということか。

 

「でも、だからと言って―――」

「―――んなことより鈴音。俺と遊んでいくか?専用のテントなら用意してあるぞ。こちとらお預けを食らっちまっているところなんだ。……クク、損はさせねぇぜ?」

「…!あなたねぇ!……行きましょう、綾小路くん。」

 

龍園はそう言いながらテントがある方に指を指しながら笑った。その言葉に堀北は血相を変えて文句を言い、持っていた皿をテーブルの上に置いた後、俺にそう告げた。

 

「…ちっ、ほんの冗談に何をムキになってるんだ。まあいい。」

 

そう言いながら立ち上がった龍園。

 

「体調には気をつけろよ鈴音。」

 

龍園の言葉に見向きもせず、堀北は先に歩いていった。俺は龍園を見たが、その顔はどうも少し心配が見えている顔であった。俺と目が合った龍園はこう言った。

 

「……あいつのこと、気にかけてやれよ。お前も気づいていただろ?」

「……善処はする。じゃあな。」

 

龍園にそう返した俺は堀北を追いかけ、Cクラスのビーチから離れた。ビーチから離れ、森の中で歩いていると堀北が話し始めた。

 

「論外ね。自滅してくれて助かるわ。」

「ああ。」

 

堀北の言葉に俺は相槌を打った。

 

「節約すべき時は節約するべきよ。とても1週間乗り切れるとは思えないわ。」

「あいつは端から、1週間なんて見ていなんじゃないか。」

 

俺の言葉に堀北は歩みを止め、俺の方へと向いた。

 

「……どういうこと?」

「簡単な話だ。高円寺がリタイアしただろ。体調不良でも何でも、理由をつけて全員リタイアする気だ。」

 

俺の言葉を聞いた堀北が目を見開く。

 

「その後船に戻れば、全員が豪華客船を満喫できる。……この試験は文字通り自由だ。龍園の行動も別に咎められることではない。」

「……理解不能ね。」

 

俺の言葉にそう答えた堀北は、そのままDクラスが待つ俺たちの拠点へと足を進めた。俺もそれに倣い、堀北に続いた。

―――0ポイント作戦か。おもろしいことを考えたものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありゃあ、もう全然人が居ないねー。」

次の日の夕方、Cクラスが拠点にしていたビーチを佐倉と訪れていた。文字通りもぬけの殻。Cクラスは予想通り、全員リタイアしていたのだ。その後、Bクラスの一之瀬と神崎が現れ、この光景を見た一之瀬はそう言った。

 

「綾小路、お前もここを見に来たのか。」

「いや、佐倉と森を探索していたら偶然ここに出たんだ。」

 

神崎の言葉にそう返した俺は再びこの景色を焼き付けていた。

 

「んー、せっかくCクラスリーダーぐらい当ててみようと思っていたのに。」

「この試験は、プラスを積み重ねるのが目的だ。それを放棄した時点で、龍園は負けている。」

「私たちには地道な戦略が1番だもんね。」

 

一之瀬の言葉にそう返した神崎、一之瀬はその言葉を聞いてそう言った。

 

「……一之瀬、ひとつ聞きたいことがあるんだが。」

「ん?なにかな?」

 

俺の言葉に一之瀬はそう答えた。

 

「Aクラスの葛城について、何か知ってることは無いか?」

 

俺は一之瀬へそう質問した。

 

「葛城くんかぁ……今回は、坂柳さんが試験を休んでいるから、葛城くんがAクラスを取り仕切っているみたいだけど―――」

「―――葛城は頭のキレる男だ。坂柳がいなくても、仲間割れするようなことはしないだろうな。」

 

一之瀬の言葉にそう被せた神崎。

 

「でも、坂柳さんについている側からしたら楽しくないよね。あの2人は両極端だから。」

「両極端?」

「革新派と保守派って言うのかな、考え方がまるで逆なのよね。だからいつもぶつかっているみたい。」

 

一之瀬はそう言った。

―――坂柳か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……Dクラスのキーカードを手に入れたわ。」

「ご苦労。じゃあ、葛城の元へ行くとするか。」

 

伊吹からDクラスのキーカードを預かった龍園は、そのまま葛城と連絡をとった。葛城の指定場所へ伊吹と向かう。

 

「カメラはどうした?」

「……使えなくなっていた。恐らくこの雨でやられたんだと思う。」

 

その言葉を聞いた龍園は何か引っかかる。このカメラは防水のはずだ。それはちゃんと海につけて確認していた。

 

「まぁいい、行くぞ。」

 

龍園の言葉と共に伊吹は、龍園の後を付いて葛城の元へと向かった。

指定場所へ向かうと、既に葛城はそこにいた。龍園はそのまま葛城にDクラスのキーカードを渡す。

 

「……本物だ。いいだろう、追加の契約も完了だ。これで契約成立だ。」

 

葛城はそう言ってキーカードを龍園へと返した。

 

「証拠はないが、Bクラスのリーダーも教えるぜ?ガードが固くてなぁ。」

「確実な証拠がないならいい。……龍園貴様臭うぞ、シャワーでも浴びてきたらどうだ。」

 

龍園の言葉にそう返した葛城。もうここに用はないと判断したのか、葛城はそのままAクラスの拠点へと戻って行った。

 

「…クク、馬鹿が。精々踊ってろよ。」

 

龍園は葛城の言葉を一切気にすることなくそう呟いた。

 

「伊吹、お前はリタイアしていいぞ。金田と、一応Aクラスに置いておいた石崎にも伝えている。……ご苦労だったな。」

 

龍園の言葉を聞いた伊吹は少し拍子抜けしたが、龍園の言葉に頷いた。

 

「アンタはどうするの?」

「……確かめておきたいことがある。」

 

龍園はそう言い残し、その場を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……取り返せなかった。」

 

雨の中、地面に横たわっていた堀北を見つけた俺は、木陰へと移動し、堀北の目が覚めるのを待っていた。目が覚めた堀北は俺も見るなり、そう言った。

 

「伊吹とキーカードのことは俺が何とかする。お前はもう体が限界だろ。」

「私のせいで、マイナスを重ねることは出来ないわ。」

 

俺の言葉に堀北はそう弱々しく答えた。

 

「けどな―――」

「―――そうするしかないの。Aにあがるために。」

 

俺の言葉を遮ってまで堀北はそう答えた。

 

「なんでそこまでAにこだわる?」

「……兄さんに認めてもらうためよ。」

 

堀北はそう言った。

 

「認められてどうする?お前は何がしたいんだ。」

「……全部私の責任だわ。仲間で交代で守れば、こうはならなかった。……自業自得よ。龍園くんにもいつも言われていたのに……。」

 

堀北は泣きながらそう答えた。兄の堀北学だけでなく、龍園のことも意識していたらしい。……龍園は堀北兄に興味を持たれているからな。同じ中学なら尚更感じていることだろう。

 

「……お前も仲間が必要だと、感じ始めているんだな。」

「この失敗は必ず取り戻す。……私一人でも。」

 

俺の言葉に堀北はそう答えたが、俺はそうは思わない。

 

「お前一人じゃ無理だ。お前はそこまで強くない。……残念だけどな。」

「……諦めろというの?」

 

堀北は反発した。

 

「‎そうは言っていない。ひとりじゃない、2人ならできる。俺が手を貸してやろう。」

 

俺の言葉に堀北は驚いたような顔をした。

 

「……あなたは、そんなこと言う人じゃ、ない……。」

 

それだけ言い残し、堀北は意識を手放した。そんな堀北を俺は抱えた。

 

「この試験、俺が勝たせてやる。」

 

俺はそのまま堀北を抱えながら、教員がいるテントへと向かった。

 

「すみません。」

「ん?お前は……、堀北?どうした。」

 

俺は茶柱へ堀北を預けた。森で倒れていたことを報告し、すぐさま堀北への処置が行われた。俺は少し待った後、こちらへ来た茶柱と会話をした。

 

「……彼女はリタイア、でいいんだな?」

「はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「平田、ちょっといいか。」

堀北を預けたその夜、Dクラスの雰囲気は最悪であった。伊吹がスパイであったこと。リーダーの堀北がリタイアしたことにより、一同が不安に押し殺されてしまいそうであった。もちろん、平田も例外では無い。平田はDクラスに、少し時間をくれないかと頼み、1人で森の木陰で黄昏ていた。俺はその平田に声をかけた。

 

「……やっぱり伊吹さんはスパイだったんだね。」

「あぁ、下着を盗んだのも伊吹だろう。」

 

俺はそう答えた。

 

「でも、なんで―――いやそんなことを考えても仕方ない。……明日僕らはリーダーを当てられる。」

「リタイアと、リーダー当てのポイントで110はなくなり、ボーナスポイントも無効になるな。」

 

そう言った俺に対して平田は続けた。

 

「残るポイントは50程度か……。明日結果が発表されれば、Dクラスは崩壊も同然だ……。」

 

落ち込む平田だったが、俺は平田にとある頼み事をした。こういったことは平田以外に頼めないからな。

俺の言葉に平田は目を丸くさせていたが、どうやら了承してくれたみたいだ。

平田に声をかけ終えたあと、何か気配を感じた。

 

「よろしく頼む、平田。」

 

俺はそう言い残し、気配があった場所へと向かった。

そこには、龍園が後ろを向いて座っており、俺の気配を察した龍園はこちらを向いた。

 

「よう。ビーチ以来だな、綾小路。」

「……龍園。」

 

俺の言葉を聞いた龍園は口角を上げながら続けた。

 

「……カメラを壊したのはお前だな?綾小路。そしてわざとお前は、伊吹と鈴音を戦わせるよう仕向けた。」

 

俺は龍園の言葉に何も返さなかったが、龍園は気にせず続けた。

 

「リーダーを誰にした?―――いやあれは本人しか申請できないはず。……お前が新しいリーダーだろ。」

 

龍園の言葉に俺は目を見開いた。龍園はカメラの故障から意図的によるものだと予想をつけ、その後のDクラスを観察していた、ということだったのか。龍園がこの島に残っていたということは知っていたが、まさかここまで執拗に計画を練っているとは思いもよらなかった。

 

「……だったら、俺を指名するか?龍園。」

 

俺の言葉に龍園はニヤリと笑い、答えた。

 

「…クク。お前を何としても引きずり出すと決めていたからな。Dの指名は見送ってやるよ。……どうだ?少しは俺に対して警戒を持つようになったか?」

「……あぁ、充分過ぎるほどにな。」

 

俺は龍園の言葉に対してそう答えた。

 

「Aクラスは間違いない無く鈴音を指名するだろう。…クク、これでAクラスにも傷がつけれるなぁ?」

 

龍園は笑いながらそう言った。さらにポケットからとある用紙を取り出し、俺に渡してきた。―――見ろ。そういった視線を感じた俺はそのまま受けとった用紙を見た。

そこには驚くべきことが書かれていた。

 

「……なるほど、お前はすでに250クラスポイント相当の結果を持っていたというわけか。」

「そういうことだ。お前も俺が残って何かをすると予想をつけていたただろう。まあこれが失敗しようが、すでに200クラスポイント相当は利益が出ていたからな。」

 

俺の言葉に龍園はそう言った。だが、Dクラスにとってはよろしくない。せっかく俺が見つけた活路を、龍園によって消されるかもしれない。俺は無理を承知で龍園へと言った。

 

「……龍園、俺もお前と契約をさせて欲しい。」

「…ほぅ?」

 

俺の言葉にそう答えた龍園。龍園は次の言葉を待っているようだった。

 

「俺の名前、つまりDクラスのリーダー指名を見送って欲しい。そして、Cクラスのリーダー当てを―――お前の名前を書かせて欲しい。」

「……おいおい、度が過ぎちゃいねぇか?契約にも値しないな。」

 

俺の言葉に龍園はそう言った。だが、俺もここで引く訳にはいかない。なにせ、俺にも退学がかかっているのだから。

 

「……実は俺はこの試験で結果を上げないと、退学させられる。」

 

その言葉を聞いた龍園は目を見開いた。

 

「はぁ?どういうこった。」

「そのままの意味だ。」

 

俺は龍園の目を見ながらそう言った。

しばしの沈黙が流れたあと、龍園はため息をついて俺にこう言った。

 

「お前はやはり茶柱に脅されるような何かがあるってことか。……ちっ、貸しにしといてやる。お前と戦えずおさらばなんざ、楽しさの欠片もねぇ。」

「恩に着る、龍園。」

 

俺の言葉を聞いた龍園はその後、追求してくることはなかった。俺からAクラスとの契約書を受け取った龍園は、そのまま森の奥へと戻って行った。

そして次の日になり、この無人島での生活が終わりを迎えた。次々に結果が発表されている中で、

―――1位にDクラスが呼ばれていた。




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