異界ダンジョンに行こう! ~神隠しにあったけど、このダンジョンのすべてを知り尽くして幸せになります~   作:名無しの権兵衛

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陰陽術

「「『陰陽術:木生火』!!」」

 

 フレイムと少女の手から放たれた火球が、ギタリストたちの戦っている『腐った歯車』に向かって真っすぐ飛んでいく。

 

 ギタリストはそれに気づきしゃがむも、『腐った歯車』は反応できず、或いはよけるという能がないのか火球に直撃する。

 

「あぁあぁぁぁぁああああぁ!?!?!?」

 

 二人の火球がそれぞれ別の『腐った歯車』にぶち当たり、体の表面に燃え広がりやがて全身を包み込んでいく。

 

 その様子を見て、火を嫌がったのか周囲の『腐った歯車』がのけぞり、それを親方は見逃さなかった。

 

「隙だらけだな」

 

 はみ出した1体の頭を、親方の金槌が打ち砕く。

 

 頭を打たれた『腐った歯車』が床に倒れ、灰となって結晶と歯車をまき散らす。

 

「「やっ、やった……」」

 

「油断しちゃダメだ!」

 

 炎を纏った『腐った歯車』がフレイムたちに向かって歩いていくところを、ギタリストが背後からギターケースで殴りつける。

 

 そこでようやく倒れた『腐った歯車』は動かなくなり、灰となって結晶と歯車を落とした。

 

「二人とも大丈夫!? ごめんね私がいながら……」

 

「す、すいませんローリエさん……」

 

「二人とも、無理はしないで下がってて、たぶんあとは俺たちで戦えるから」

 

 ギタリストがもう一体を殴り倒すと、残りは2体だ。

 

 2体の『腐った歯車』たちの相手をしながらフレイムたちの活躍を確認したアタルは、『腐った歯車』たちから距離を取り思い切って『雨宿り』を向ける。

 

「喰らえ、『暴風来』!!」

 

 向こうの均衡が崩れた今、出し惜しみをする必要もない。

 

 放った『暴風来』は2体の『腐った歯車』を切り刻み、灰に変えた。

 

「よし、こっちは終わった! 『霊術:雨上がり』!!」

 

 そのままギタリストたちから少し離れたところにいる『腐った歯車』に向けて、『霊術:雨上がり』を放つアタル。

 

 光の矢はその『腐った歯車』の胸に突き刺さり、そのまま壁に縫い付けられた。

 

「助かる!」

 

「こっちも終わりだよ!」

 

 ギタリストがギターケースで残りの『腐った歯車』の胴体を殴りつけ、倒れたところを親方が金槌で頭を殴りつけ灰にする。

 

 そして壁に縫い付けられた『腐った歯車』に、アタルが2度目の『霊術:雨上がり』を放ち、最後の『腐った歯車』が灰となった。

 

「はぁ、はぁ…… 終わった……」

 

「レインコートさん! ギタリストさんに親方さんも! 大丈夫ですか!?」

 

「あぁ、俺は大丈夫ですよ」

 

「こっちも大丈夫かな、何故か噛みつこうとするだけでそれ以外の攻撃をしてこなかったし」

 

「こっちも大丈夫だ、あの程度の動きじゃかすりもしねぇ」

 

 フランシーヌの問いに、アタルに続いてギタリストと親方も応える。

 

 全員怪我はなさそうだが、どうも疲れは隠しきれていなかった。

 

「二人とも、すごかったじゃないか! あれどうやったんだい?」

 

「え、えっと…… 私はほとんどなにも、フレイム君が頑張ってくれて……」

 

「すごいだろあれ!? 実は陰陽術をちょっと調べたことがあって、もしかしたらそれを使えるんじゃないかって……」

 

 アタルがフレイムと少女をほめると、フレイムは嬉しそうに先ほどの術について解説を始めた。

 

 その熱量にアタルが驚愕していると、少し引き気味なローリエが話を逸らした。

 

「と、とりあえず休憩しましょう。さすがにあの数の戦いは厳しかったでしょ?」

 

「そ、そうですね…… とりあえず、そこの土産屋はもう大丈夫そうですし、中で休ませてもらいますか? 俺のせいで滅茶苦茶になっちゃいましたけど……」

 

「そうだね、ついでに使えそうな物資があれば貰っていってしまおうか」

 

「あっ、お店の場合はちゃんとお金を払わないとだめですよ。見えないけど店員さんがいるみたいですし」

 

「なるほど、さすがに無料はダメか……」

 

「でも、一回でも手に入れたらあとは補充できますけどね」

 

 アタルはギタリストと会話をしながら『腐った歯車』が落としたものを拾っていく。

 

 それを見て他の人々も先ほどの戦利品を拾っていき、土産屋の中に入っていく。

 

 店内は商品がぐちゃぐちゃになって荒れ果てているが、どうやらイートインスペースがあるようだ。

 

 そこに全員で集まり、椅子や机の上にとりあえず座る。

 

 さすがに7人分の座る場所はなかったからだ。

 

「いやぁ、とりあえず休めそうな場所があってよかった」

 

「そうですね、ちょっとここで休んでいきましょうか」

 

「それにしても、なんで地下鉄っぽい場所のお土産屋さんにイートインスペースがあるのかしら?」

 

「特に気にしなくてもいいんじゃないかな? 細部まで僕らの世界のお店と一緒とは限らないし」

 

「とりあえず、ご飯を食べてもいいかな? 俺のHPがもうほとんどなくて……」

 

「あっ、わかりました。せっかくですし皆さんで食べませんか?」

 

 そういうと食べ物を持っていなかったギタリストとローリエ以外の全員が、店内で食べられそうなものを探しに行く。

 

 アタルは他のメンバーが戻ってくるのを待って、ギタリストやローリエと会話をするのであった。

 

 

 

 

 

 『レインコート』(雨野 中)

 

 HP4/20 MP2/13

 

 術式 『霊術:霊傘』『霊術:雨乞い』『霊術:雨上がり』

 

 状態 『川の主の寵愛』『赤い雨の呪い』『御使い狐の約束』『糸の呪い』

 

 




『陰陽術:木生火』

 陰陽術、それは彼らの世界のものと異なり、フレイムたちの想いが組み上げたこの異界における新たな術である。

 基本的な原理は、図形を描き五行を組み合わせ相生か相克を発生させて現象を起こすというもの。

 フレイムたちが使用した『木生火』は、木たる紙から火を生じさせる術式であり、現状フレイムと少女が使える唯一の術だ。

 いずれ鍛え上げ、より術式を洗礼させていけばより多くの術式を作り上げることができるだろう。
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