ダンジョンにダイの代わりに爆死した兄弟子がいるのは間違っているだろうか(なおヒュンケルでもポップでもない)   作:規律式足

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 投稿できなかった理由。
 
 デジモンやってました(タイムストレンジャー発売まではサイバートゥースとハッカーズメモリーをプレイ)。




第100話

 

 

 ベート・ローガにアバン流牙殺法を教えはじめてから三日目。

 理論を説明し型を教えてからはひたすら繰り返させ、できなければその技を叩き込むという教え方は我ながら乱暴過ぎると思うが実際に体得できたのだから間違ってはいないのだろう。

 ベート・ローガ本人も「鬼め」という畏れのこもった表情でこちらを見るが不満は一切ないようだ。

 拳打を極めんとする者が一生賭けても辿り着くかわからない奥義を僅か二日で体得できたのだからそらそうだとは思う。

 ベート・ローガ本人の資質・才能は当然関わっているが何よりも本人のやる気だろう。

 何が何でも強くなってやる、その熱意がチリチリとコチラにも伝わってくるようだ。

 さて次は『海』の技。

 アバン流牙殺法『海衝拳』だ。

 場所を海、いやメレン湖に移動しようと思ったがこの技はベルやアイズよりもベートには向いているのでそこまでする必要はない。

 要は勢いよく迫る流体であればよいのでこの山にある滝へと向かう。  

 わざわざ滝にしたのは川では勢いが足りないことが理由だ。

 

「瞑想でもすんのか?」

 

 どうやら滝行はこの世界にも存在する修行法らしい。けれど滝に打たれて精神統一することが目的ではない(呪文を修行する手段としてはアリだが)。

 

「いいや。

 今からこの滝を斬る」

 

 その発言にベート・ローガは何を言ってんだコイツ?と馬鹿を見るような表情となる。

 巨大な滝。

 かなりの幅と先が見えぬほどの高さから落ちる膨大な水の流れる場所。

 遠方から眺める分には風情のある観光にうってつけの名所ではあるが、その水量と勢いは下手な攻撃よりも威力ある危険地帯(水に混じる小石や流木なども理由)。

 その正面に立つだけでも危ないのにさらには斬るというのだ。

 正気を疑うのも当たり前だ。

 だが正確には斬るだけではなくその流れを逆流させることも狙い。

 素早く振り抜いた一閃にて流体による攻撃を無力化しつつ相手を切り裂くのが『海』の技だからだ。

 水飛沫に身体が濡れるのも気にせず右手の指を伸ばし手刀の型を取る(ベートはまだ危ないから武器を渡す予定)、そして集中し振り切る。

 

「アバン流牙殺法『海衝拳』」

  

 その一閃は海(滝だけど)を斬った。

 海、即ち火炎や冷気や水流や雷撃などの流体を切り裂く奥義。

 体得できればドラゴンの息すら容易く対処できるようになる必殺技。

 

「・・・・・・すげえな」

 

 滝が二つに割れ、さらに水流が逆になるというとんでもない現象を目の当たりにしてベートは思わずそう零した。

 

「じゃ、実践してみ。

 アバン流じゃ特にお前向きだからすぐにできるようになるだろ」

 

 こればかりは『地』の技のように本人に叩き込むことはできない。

 いやベートには炎纏う魔法があるとロキから聞いているのでできると言えばできるが、やったらベートが真っ二つになってしまう。

 アバン流でもっとも速く鋭い一閃である為か手加減が一番難しい技でもある。

 だがこの技は要するに流体を断ち切りつつさらにその流れを巻き込める程の一閃を放てればそれで良い。

 オラリオの冒険者で最速をフレイヤ・ファミリアの副団長と争うベート・ローガならばコツが掴めばすぐにできるだろう。

 

「実践してみ、でできてたまるかっての」

 

 ブツクサ言いながらも篭手を装着し滝の前へと行き教えた型通りに拳を一閃。

 元の流れに戻った滝はベートの拳撃に切り込みこそ入りはしたが逆流はしなかった。

 

「チッ」

 

 本人はその結果に不満そうだが最初の一閃にしては充分過ぎる出来だ(ダイは教えなくても出来たらしいが)。

 

「ま、このペースなら半日もやってれば覚えるだろ」

 

 予想通り適正が高い。

 むしろ今まで似たような技ができなかったことが不思議なくらいだが、発想がなければ至れないのは世の道理。強者が全員師匠になれるわけでない、自らの技術を体型化し他者に教えることのできる技に昇華できるのはほんの一握りなのだ。

 

「滝が斬れて実戦で使えるとは限らねえがな」

 

 技を繰り出しながらそう吐き捨てるベート。実戦至上の冒険者に型稽古は物足りないのだろう(と言っても滝が斬れる高さが伸びるごとに喜んでるのは尻尾を見ればわかる)。

 

「一理あるが、俺がドラゴラムしたらこの山消し飛ぶしなあ」

 

 最初はアバン先生に倣ってダイの時のようにドラゴラムして火炎の息を斬らせる、という修行にするかと考えた。

 だが俺が竜化したら火竜ではない邪竜の類になるし、そこから意識まで消したら間違いなくベートは死ぬし山は消し飛ぶ。

 

「・・・・・・・・・ツッコまねえぞ。俺はもうツッコまねえぞ」

 

 修行しながらもナニカを堪えるようにベートは呟く。

 ただまあ使いやすい『海』の技は滝を斬れて習得できたら実戦で使えるレベルまで鍛えるべきだな。

 

「メラ、ヒャド」

 

 滝からやや離れたむき出しの地面に向けて火球と氷塊を放つ。

 

「かーらーのー、暗黒闘気放射」

 

 出来た火柱と氷柱に暗黒闘気を打ち込めば、

 

「「「「ヒヒヒヒヒヒー!!」」」」

 

「「「「ヒョヒョヒョヒョー!!」」」」

 

 魔王軍氷炎魔団の主戦力、動き回る炎フレイムと彷徨う冷気ブリザードの完成と。

 

「・・・・・・いや、ちょっと待てやっ!!」

 

 すかさずベートがツッコむ。

 人のように頭と手足を型取り裂け目のような口と目のあるモンスター。

 それらが大量に目の前で創り出されたら無反応では居られないか。

 

「自動人形みたいなもんだから気にすんな」

 

 暗黒闘気で擬似的に造られた動きはするだけの紛い物の命。

 自然発生すらするこれらは魂を分割する禁呪法で創られた存在ほど強くはない(なおミストバーンとマキシマムは自然発生であるに関わらず魂を持ち得たレアモノ)。

 

「それをエルフ魔導師共に言えんのかよ」

 

 げんなりとすらしているベート。

 実は闘気法の一手法であるわけだからエルフや魔導師とは実は無関係な技術なわけだが見ただけじゃわからんか。

 

「滝で海衝拳ができるようになったら次はコイツラと実戦だ」

 

「「「「ヒヒヒー!!」」」」

 

「「「ヒョヒョヒョー!!」」」

 

 フレイムとブリザード、合わせて五十体。

 四方八方からコイツラに火炎の息と氷の息で襲わせ、それを海衝拳だけで撃退できるようになれば極めたと言っても過言ではないだろう。

 

「・・・・・・鬼かテメェ」

 

 アバン先生がダイにやったのよりマシだから(多分)。

 

「あ、コイツラのことは気にすんな。存分にたたっ斬れ」

 

 核がないタイプだから身体を構成する炎と冷気を掻き消せば死ぬしな(だからフレイザード相手には空裂斬が必要だったのだが)。

 

「は、やってやらあ」

 

 修行の為だけに創りだされたフレイムとブリザードに何やら思うところはありそうだが、その感情を飲み込みベートは修行に集中しだす、おってっぺんまで斬れたもう少しか。

 

「それじゃあ俺は次の修行の準備の為に久しぶりにオラリオ戻るから」

 

 アバン流においてもっとも習得の難しい技である『空』の技。

 ダイとヒュンケルは実戦でモノにしたが修行で覚えさせるには準備がいる。

 

「久しぶりって食事の準備に戻ってたよなお前」

 

 それはそうだが気分だ気分。

 レムオルとルーラを唱え俺は目的地であるミアハ・ファミリアのホームへと飛んだ。

 

 

「獣人の視覚と嗅覚と聴覚を一時的に効かなくする薬をください」

 

 触覚も必要かね?一応用意はしておくか。

 

「あの時は息子さん達を騙してぼったくってすいませんでしたっっ!!」

 

「お前に使う為じゃねえから」

 

 何を勘違いしたのかミアハ・ファミリア唯一の団員である獣人のナァーザ・エリスイスはタケミカヅチ・ファミリア直伝の謝罪法『土下座』を見事なフォームできめるのであった。

 

 





 補足・説明。

 デジモン最新作最高でした!! 
 予告を見てデジモン熱がぶり返しずっとデジモンゲームしてました。
 図鑑を埋めるのと好きなデジモンを最強に育成するのは最高ですね。
 デジモンストーリーはシナリオも良いですよ。

 ベート・ローガの修行。
『海』の技の修行は某聖闘士みたいなことをさせています。やはりドラゴラムは危険ですので。
 ただそれだけでは足りないのでフレイムとブリザードとの実戦訓練も追加しました。

 実は帰っていたゼノン。
 ドラえもんの劇場版『大魔境』でジャイアンがキレるようなことしています。
 なおファミリアメンバーに見られないようにこっそりと作りました(妙なこだわり)。

 次の修行。
 視覚と嗅覚と聴覚が効かなくされることが確定したベート・ローガ。獣人かつ高レベルだからここまで必要と判断。

 ナァーザ。
 その薬が自分に使われると誤解。
 ぶっちゃけ報復されるだけのことをした自覚はあるが、今までゼノンには責められなかったので。

 薬。
 あるにはある。
 ただ使用目的を聞いてドン引きする。

 
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