ダンジョンにダイの代わりに爆死した兄弟子がいるのは間違っているだろうか(なおヒュンケルでもポップでもない) 作:規律式足
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか?9巻、異端児編の開始です。
原作において、ベル・クラネルにとって、オラリオにとって大きな影響を与える異端児編。
そこに異世界から落ちてきたとりあえず英雄側にいる魔王的存在なゼノンがどう関わるのか。
なお、
最初からオリキャラぶち込んで原作改変をおこなっていきますので、閲覧注意と先に告げておきます。
異端児という存在がいる。
この世界の魔物・モンスターとは迷宮都市オラリオが蓋となり塞いでいるダンジョン、そこから産まれでる魔石を核とした動物とも人間種とも異なる異形の存在のことを示す。
現在ダンジョンの外に存在するモンスターは、オラリオが出来る以前、ダンジョンが封じられる以前に溢れ出て世界中に散ったモンスター達が繁殖したものらしい。
ゆえになんらかの要因で強化されない限りは同じ種であっても基本的にダンジョンの個体より弱いらしい。
もっとも封じられてるらしい黒竜とかいう最強の個体とその配下だかの竜種は強さの桁が違うそうだが。
世界中で起きる国や街や集落が滅ぶ要因がその封印から抜け出したモンスターばかりというのだからよっぽどなのだろう。
それらのモンスターが動物とは異なる点は、魔石の存在もあるがその凶暴性。
人間となれば空腹に限らず襲いかかる。
都市を滅ぼすモンスターがいた。
だが果たして腹を満たす為に都市を破壊し尽くす必要はあったか?
否、モンスターはそんな必要がないにも関わらずに破壊を繰り返す。たとえそれが無駄な労力だろうとしてもだ。
まるで人類の敵である為に作られたかのように。人類を滅ぼす為に作りだされたかのように。
さて、
大分ズレたが、異端児についてだ。
迷宮から産まれいでるモンスターの特異個体として誕生したそれらは、まず高い知性がある。
他の個体と意思疎通をとる、道具を使う、勝てぬ相手から逃亡する、隠れ潜む。
また人語、この世界の共通言語を解す。
言語に関しては個体にもよるが、それでも自身の考えを身振り手振りで伝えることができる。
さらに特徴として、他のダンジョンのモンスターから襲われる。
ダンジョンのモンスターはダンジョンのモンスターを基本的には襲わない。そんなことをしたらせっかく生み出したモンスターが内部消費で絶滅してしまうからだろう。
強化種というモンスターの核である魔石を食らって強化された個体は、冒険者が取りこぼした魔石をダンジョンのモンスターが食らって発生するのだ。
まあこれも、あくまで基本的にはだが。
どっかの誰かさんは試練の為に意図的に創り出したりしていたからな。
そう、ダンジョンのモンスターはダンジョンのモンスターを襲わない。
だが異端児は違う。
まるでダンジョンの理から外れた存在であることを示すように、モンスター達から襲われるのだ。
尤も異端児は異端児で襲いかかるモンスターを仲間だとは認識できないそうだが。
そして、最後の特徴であるが、
異端児には願望がある、憧憬がある。
個体によって様々であるがその多くが、
【地上にでて太陽の光を浴びたい】
という、俺にとって断じて流せない願望を抱いているのだ。
意思を持ち、ダンジョンの理から外れ、願望を持つ、魔石を核としたモンスター。
それが異端児。
そのような存在を俺ゼノンが知り、関わる羽目になってしまったのは、ラキア王国によるオラリオ侵攻が終わり、ロキとフレイヤ主導でラキア王国を亡国寸前まで搾り取りガネ子が撫で撫で屋で人気が出始めてきた頃のこと。
それはイシュタル経由で伝えられたとある依頼がきっかけである。
「オラリオ外の裏の権力者ねえ」
「ああ、繁華街にも出資してる大物さ」
「依頼品はうごくせきぞう数体から数十体に、戦闘に特化した自動人形、こりゃロキ・ファミリアに贈ったキラーマシン2の情報掴んでやがるな」
「そうさ、【外】に居ながらもオラリオで公になってない情報を集められる裏社会の大物。
流石に無碍にするには面倒な存在だよ」
外壁にて閉鎖されてる都市オラリオ。
【神】率いるファミリアが取り仕切る各区画に影響を与えられる外部の組織はごく限られる。
そんな大物の中の大物が、俺が作成するモンスターを欲しがる、か。
「戦争でもふっかける気か?」
「アンタが作った存在でかい?それはないだろう」
先日のラキアもありそう尋ねればイシュタルは即座に否定する。
外の国の一つ魔法大国アルテナからの依頼ならば解体分解して量産も目論むだろうが、裏社会のマフィアならばそれもない(そもそも魔法じゃなくて暗黒闘気だから別ジャンルレベルで違う)。
「なら恩恵持ち以外の戦力確保かね」
「アタシの知る限り、このビッグファーザーはそんなヤツじゃないさ」
どうやらイシュタルとも知己らしい。
なら護衛か警備用の可能性もあるか。
「じゃあ引き受けるわ。オラリオ外との繋ぎも無駄にはならんだろうしな」
「身内を大事にして仁義を重んじる男だったからそう問題にはならないだろうよ。ま、良い縁を結んでくるといい」
ふうと色気ある仕草で煙を吐きながらイシュタルはそう言った。今回の依頼は俺に対する気遣いの一つだったらしい。
オラリオで広まりつつあるうごくせきぞう。
それを卸す対象があれば交渉できる存在だと外の連中も判断するだろうしな。
「ただねえ」
依頼内容からしてオラリオ外で会う必要がある、遠出になりそうだが幸いなことに知ってる場所だ。
ギルドの外出許可は面倒だから無視するか。
そう俺が予定を立てていると、イシュタルがなにやら思い返すように窓からオラリオの夜景を見つめ、
「人間って、アタシら神と違って・・・・・・きっかけ一つで変わっちまうんだよねえ」
下界に降りてから長き時を過ごした女神の何気ない呟き。
それが的中していたことを彼女はまだ知らない。
「この世界に人間ほど信用できない存在はいない」
前置きもなく挨拶もなしにその男はそれが自身の信条であるかのように宣言した。
変わり過ぎだろ。
それとも・・・・・・・・・別人?
五十を過ぎた白髪混じりの男性。
神の恩恵が刻まれていないにも関わらず筋肉質な巨漢は葉巻をくわえたままそう言った。
依頼人であるマフィアのボス。
イシュタルが身内を大事にした仁義を重んじるビッグファーザーと称した人物である。
イシュタルの人物評が一切当てはまらない言動に、俺は呆気にとられた。
まあ考えには同意する。
俺はそれに【但し身内は除く】と付けるが。
アバン先生を筆頭とした仲間達。
この世界で出会ったベル、ファミリア団員達。
信頼できる人間はいるが、今まで関わってきた人間の個体数と比較すると、人間は信用すべき存在ではないだろう。
そしてそれを示すかのように、
目の前の人物が連れてきた護衛は人ではない。
人型で素顔を隠してはいるが、魔石を核としたモンスターである。
(オラリオ外部の人間がなぜモンスターを護衛として連れ歩いている?)
オラリオにはテイムというモンスターを使役する技術がある。
主にガネーシャ・ファミリアが保有する技術で怪物祭の時などにも使用しているそうだ。
また飛竜を移動手段としても使役できるとか。
この男もそれが出来ている?
神の力を感じないこのマフィアのボスが。
それができるなら元の世界の傑物達に匹敵する人物ということになる。
「ヘスティア・ファミリアのゼノン。
お前もそうだからこんな素晴らしいうごくせきぞうを創り出したんだろう」
依頼品として渡したうごくせきぞうの身体を慈しむように撫でる男。
そこにある慈愛はビッグファーザーと呼ばれることに納得できる懐の深さがあった。
そして俺がうごくせきぞうを創り出したのは暇つぶしと金稼ぎの為、人間不信を拗らせたからではない。
「俺にはわかる、コイツラには意思がある、コイツらには魂がある。
コイツラとなら本当の、本物の、決して裏切らない真のファミリーになれるんだ」
・・・・・・・・・・・・うわぁ。
今の発言とその熱いけどどこかイカれた眼差しから何があったか推察できてしまった。
ヤベェ、初見じゃわからなかったがコイツはもう人として壊れてる。
視線を感じてその先を見たら、護衛に扮したモンスターが痛々しげにボスを見ていた。
その視線から使役や従属ではなく自らの意思で従っていることが伝わってきた。
そしてうごくせきぞうに魂はないです。
「あーでは、キラーマシンの方はお時間が必要ですが、ご依頼は以上で?」
もう切り上げて帰ろう。
そう決めて商談を再開すると、
「いいや、まだだ。
テメェには別にやって欲しいことがある」
するとボスは護衛を呼び寄せ、その顔を隠す面を取った。
「ダンジョンで産まれる、コイツラ異端児の保護を頼みてえ」
そこから異端児の説明がされた。
ダンジョンに殆ど潜らない俺からしたら驚きの事実。さらにこの異端児は、噂にこそなっているが現オラリオ二大派閥であるロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアすら知らないだろうと告げられた。
「コイツラ異端児は、イケロス・ファミリアのハンター共が捕らえ外で売り捌いている」
おいおい、オラリオからモンスターの外部流出。それだけでとんでもない情報だ。
それがされてしまっていたら、オラリオは存在する意味を無くしてしまう。
「俺はそんな売られてるコイツラをお得意先として買い漁っている。買えなかったヤツラは別口で確保してな」
買い漁る理由。
コレクター欲、からではないか。
「だがいくら買い漁っても足りねえ。助けきれてねえんだよ。
イケロス・ファミリアは捕らえる段階で異端児を嬲って遊んで殺してる。
商品として購入じゃ駄目なんだ」
このボスにより救われた異端児は居るだろう。
けれど救いきれないとわかるから、俺に依頼しようとしてのか。
「なぜ俺だ。
ギルドは?ロキ・ファミリアは?フレイヤ・ファミリアはどうだ?」
しかし俺に頼むのがわからない。
異端児の確保や購入なら、ギルドや大手ファミリアでも良いだろうに。
「ギルドは既に異端児と接触している」
「なに?」
「接触し、取引し、ダンジョン内で私兵として活用してやがる。
異端児の願いを時期がきてないとはぐらかしながらな」
ギルドが異端児を接触し、知っている。
それなのに異端児の情報がオラリオに広まっていない。いったいどうしてだ?
「ロキ・ファミリアはモンスター捕獲なんてしねえ。体面重視の【勇者】が率いているからって理由もあるが、団員連中にモンスターの被害者が多い」
フィンをはじめ、アイズとベートもそうだからな。モンスターを捕獲しないで始末するか。
「フレイヤ・ファミリアは交渉が成り立たないから無駄だ」
うん、それはそう。
フレイヤ次第だから付き合いないと無理。
「だから俺に、か」
「イシュタル・ファミリアは闇派閥と組んでた時期にモンスター密輸に関与していてギルド、いやヘルメス・ファミリアに張られているしな」
てことはヘルメスも異端児を知ってるわけね。
アレはアレで手が広い。
「テメェにしか頼めねえ。
オラリオで誰も手出しできねえテメェにしか。
頼む、異端児の連中を保護してくれ。
俺はコイツラを、陽の光の下で暮らさせてやりてえんだ」
裏社会のビッグファーザーの目的。
それは異端児を救い出し、自らが保有する島で共に暮らすこと。
うごくせきぞうとキラーマシンは自衛戦力として欲していたのだ。
「・・・・・・・・・まあ、別に良いですが」
見かけたら捕まえて売る。
そんな感じか。
・・・・・・・・・なんかゴメちゃん攫ったでろりん達みたいだけど、ダンジョンより外の島で暮らす方が良いだろう。
「ありがとうよ。
なら、なんで俺がそこまで異端児の為に尽くしているか教えてやろう」
「結構です」
だいたい想像つくし、ろくでもない内容なのは目に見えているわ。
「・・・・・・俺にはかつて最愛の妻と息子同然の部下がいて、俺はそいつらの事を心から〜〜〜〜」
「聞きたくないって言っただろ」
俺の拒否にも関わらずビッグファーザーの過去語りは夜通し続いた。
予想通りに気分の悪くなるごくありふれた、酷い出来事だった。
「ギルドの紐付き異端児はどうするよ?」
「同朋達、リドらはダンジョンでウまれる仲間のホ護をしています。リドなら話は通ジますが、何度も裏切られたグロス達は無リでしょう」
「喋れたのねお前さん」
「まだボスのコトを皆が知るのは早イかと。
彼らが信じられる者を見つケた時に、我らの無事をオ伝えくダさい」
「攫われて売られた異端児を全て救えてねえし、端から見たらお前らもペットだしな。
わかり合う段階じゃねえか」
「・・・・・・・・・ボスは可哀想ナ人なのデす」
「見ればわかるわ」
この世界では人類の敵であり、本能的に忌避してしまう筈のモンスターに私財をなげうち労を惜しまず尽くして生きている。
それだけでどんな目にあったか察することができる。察することができるから気が滅入る過去話やめて欲しいな〜。
「ま、お前らの地上で住む場所を作り守ることには反対も不満もねえよ。報酬が払われる限り仕事はやるさ」
「あナたは不思議でス。なぜ我らを受け入レることができるのデすか?」
「強いからだ」
そして多分、受け入れてはいない。
異端児。
新たなダンジョンの秘密を俺は知った。
だからなんだ、という思いはあるがこの依頼人の手助けはしようと思う。
ただダンジョンに潜らない上、何かと注目されている俺はそこまで動けない。
「とりあえずフレイヤにバラすか」
興味もって協力してくれたら御の字だ。
この件はギルドやロキ・ファミリアよりフレイヤ・ファミリアの方が通しやすい。
「まーた厄介事が起きそうだ」
せめて良き冒険になってくれればと俺は、とりあえずヘスティアに祈った。
補足・説明。
原作9巻異端児編。
最初からオリジナルエピソードです。
ゼノンが異端児を知るきっかけであり、原作で犠牲になっていた売られた異端児救済話となります。
イケロス・ファミリアに出荷された異端児達は、その殆どがこのビッグファーザーに買われて救われている設定です(中には別の購入者から手段選ばず救った個体もいる。またイケロス・ファミリアには発覚しないよう手回しをしている)。
ビッグファーザー、ボス。
当作オリキャラ。後にモンスター爺さんと呼ばれる男。なお異端児と人の橋渡し役にはならない。
個人所有の島に異端児の集落を作っている。近い未来にうごくせきぞうとキラーマシンによる警備、海周りにキラーウェーブを大量配備することになる。
かつて仁義を重んじる人情深いビッグファーザーだったが、ある日最愛の妻と息子同然の部下が不義密通し謀殺を企む。
彼らは崖下にボスを突き落とし、さらにイケロス・ファミリアから購入した異端児に食わせようとした。
だがその異端児(現護衛)が裏切られたボスを救った。
この出来事がきっかけで心病み極度の人間不信に陥る。そして異端児へ恩返しとして生涯尽くすと決めた。
人前では今まで通りだが、もはや人を信頼することはない。
ちなみに裏切った二人は現在仲良く海洋生物の餌やりに従事している・・・・・・海の底で。
護衛。
当作オリキャラ。
イケロス・ファミリアに捕まり売られた異端児の一体。リド達のグループに参加していたが当時は中立的な立ち位置だった。
購入先で人間の所業にドン引きし、コレとわかり合うの?と愚者の理想の難しさを実感した。
ボスに従うのは同情心が大半で、他の救われた異端児のように感謝しきれない。
リド達もこちらに招きたいが、招いても騒動になるだけだと理解している。
ボスは異端児に尽くすが、それを異端児がどう受け取るかは不明だからだ。
ボスと護衛ですが、詳しい設定は未定です(本編で触れることはないので)。
なので名前、種族、実力、など設定を思いついた方、採用して欲しい方は、作者にメッセージで送ってください。
実は作者、オリキャラ設定作成が大の苦手なんです。