ダンジョンにダイの代わりに爆死した兄弟子がいるのは間違っているだろうか(なおヒュンケルでもポップでもない)   作:規律式足

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 前回までのあらすじ。
  
 悲報、メイドオッタル確定。

 オッタル「・・・・・・幸運とはいったい?」

 ミア「三十秒で支度しなっ!!」
 


第116話

 

「とりあえず飯の支度だな。

 ウィーネ、何か食べたいもんはあるか?」

  

 種族はヴィーブル、【竜女】。

 確かチュール嬢から教わった情報だと、半人半蛇ラミアのように人型の上半身と蛇に酷似した下半身を持つ女体竜尾のモンスター。

 元の世界では見たことないタイプだな。

 

「・・・・・・食べたい、もの?」

 

 俺の問いにただ首を傾げるウィーネ。

 この反応からすると食事の経験もないようだ。

 それは人食いしてない証でもあるから、俺はどうでも良いがベル達にとっては気分が軽くなる情報だ。

 人食いしたかどうか、人を襲ったかどうかで、ずいぶんと印象が変わるものだしな。

 

「竜の亜種なら基本的に肉食か?

 ウィーネ、口をあーーっと思い切り開けろ」

 

「? あーーー」

 

 俺の指示の意図はわからずとも素直に聞いてくれた。餌を待つ雛鳥のように開かれたウィーネの口内を見てその歯並びを確認する。

 牙みたいなのはあるが、臼歯もある、外見通りヒューマンと歯並びは大差ない。

 これなら大抵のもんは問題はないか。

 

「あの、ゼノンさん。ウィーネになにを?」

 

「ウィーネ、もういいぞ」

 

 ベルが不思議そうに尋ねるので教えてやる。

 

「昔先生に習ったんだが、食性の違いは歯並びに出るそうだ。

 犬と馬で歯が違うだろ?

 雑食か草食かは歯を見ればわかんのさ」

 

 クロコダインとかどうなってたのかね。

 

「だから飯を作る前に確認しときたくてな」

 

 あとは生物ごとに受け付けない食いもんだが、そこは竜の亜種なら平気か。

 竜は同族を獲物にして食うくらい超雑食とか聞いたことあるし。

 

「・・・・・・へんなトコで博識ですよねゼノン様」

 

「先生が学者の一族出身だからな」

 

 晩飯のメニューはいつもと同じで良いな。モノを食うのが初めてなら消化に良い柔らかい粥とかの方が良さげだが、食器も持ったことないなら手掴みで食える方が良いか。

 主食をパンにして、スープ、じゃが丸君、サラダ、肉のローストが無難。

 

「じゃ、キッチンに行くから面倒を見てやれよ」

 

 さーて、料理ドンっと。

 

「「「なんで普通にそのまま流せるのっ?!?」」」

 

 と、キッチンに向かう俺にツッコミが入った。

 

「ウィーネ君という喋るモンスターを見たら普通はもっと反応するもんじゃないかな?」

 

「元いたトコだと、基本的に魔物は喋れなくても意思疎通はできたからなあ」  

 

 スライムですら全身を使って(変形して)命乞いすることもあったし。

 

「え、と勝手に連れてきたことを怒ったりとか」

 

「元いた所にもどしてきなさい、とでも言って欲しいのか?犬猫じゃねえんだぞ」

 

 今からダンジョン十八階層に行くとか夕飯に間に合わねえだろうが。

 

「それよりもメイドオッタルってのは?」

 

「気にすんな」

 

「無茶いうな」

 

 そうだよな、気にしないの無茶なくらいのパワーワードだもんなあ。でも、

 

「まあ、いつものフレイヤの悪ふざけだよ」

 

「・・・・・・そういうトコあるよな、神」

 

 先日のチュール嬢の一件。

 眷属達の恋心を主神達が弄くり回した話はヘスティア・ファミリア内で笑い話として共有してある(正確には一部女性陣によるベルの女関係を探るためだが)。

 そんなおちゃらけた神々でも、眷属に悪事を唆す闇派閥の邪神や同族での殺し合いをさせていたカーリーに比べたら大分マシというのがなんとも。

 

「近いうちに【豊穣の女主人】でエグいのが見れるから興味あるなら行ってみ」

 

「「「「「絶対に行かない(フルフル)」」」」」

 

 一同(ウィーネはつられた)は揃って首を左右に振って拒否をした。  

 

「・・・・・・いやベルは責任持っていくべきだろ」

 

「なんでですかっ!?」

 

「ベルのせいっちゃせいだし」

 

 あ、オッタルにメイド服を用意してやらねえと。流石のあの店でも筋肉質巨漢でムキムキなオッタルが着れる制服なんてないだろうしな。

 

「詫びとして高性能な服を作るか」

 

「着なきゃ勿体ないモノを作ったらオッタルさまに迷惑ですからね」

 

 せめて良い物を贈ろうと思ったがリリルカに突っ込まれる。

 確かに特定の人物にしか装備できない高性能装備とか困るよな。  

 目測の寸法で普通のメイド服を縫ってやろう。

 

「・・・・・・都市最強の冒険者ってより、苦労人だよなあの人」

 

 主神が主神だから仕方ないネ。

 フレイヤ・ファミリアはフレイヤの脱走癖で駆けずり回ることが多いらしいし、ベル関連でも無茶振りされてるから。

 

「ま、色々考えることはあるようだが。

 風呂入ってさっぱりしてから、飯を食って腹を満たせ。

 何をするのもそれからだ」

 

 ベル達はウィーネのことで真剣に話し合いをしていたのだろう。ダンジョンに潜った疲労とウィーネの事での精神的な疲労が見える。  

 疲れてる時はロクな考えはでない。

 リフレッシュして一旦リセットだ。  

 ところで、風呂と飯ってどっちが先の方が健康に良いのかね?

 今日は汚れてるから風呂が先だが。

 

「はい」

 

「わかりました」

 

「・・・・・・風呂?」

 

「ああ、ウィーネ君。男湯についてっちゃ駄目ぇーーー!!」

 

「ベル様!!」

 

「えっ、僕が悪いの!?」

 

「・・・・・・ゼノンの旦那。ホームにベル専用の風呂を増築しねえか?」

 

「間違いなくベル以外も突貫するだろうが賛成だ。ゴブニュ・ファミリアに依頼しよう」

 

「なんでですか!!」 

 

「「現状を鏡で見ろ」」

 

 理由は一目瞭然だろうが。

 風呂のたびに騒がしいのは勘弁なんだよ。

 

「でも旦那は旦那でカサンドラとバーチェが来るし、個人風呂が欲しいぜ」

 

「風呂に来られても抱かねえから追い出すわ。だったらヴェルフもヘファイストスを呼べよ」

 

「こ、個人風呂。なんと甘美な響き(ハァハァ)」

 

「お、お背中を」

 

「流すために行かねばな」

 

「風紀が乱れてるファミリア」

 

「命のは違うでしょ。

 あとアポロン・ファミリアよりはマシ」

 

「それはそうだったね。昔はお風呂にもアポロン様像あったしね(改装で撤去済み)」

 

 ガヤガヤと日常的な会話をする団員達。

 異端児を連れてきた。

 そんなこれからどうにかなるかわからない不安も大分解れてきたようだ。 

 そしてそんな温かい光景を見て。

 

「・・・・・・フフ」

  

 ウィーネはつられてはにかんでいた。

 

 

「さーてどうすっか」

 

 ウィーネのことはベルの意向が最優先ではあるが、悩むようならあのマフィアのボスの元に送るよう提案しようと思っていた。

 

「(監視がなければな)」

 

 しかしウィーネは既にギルド、ウラヌスの手先の監視下にあった。

 外壁の上からこちらを窺い見る一羽の梟。

 それが連中の目であることは明白だ。

 

(ギルド、ウラヌスの目論見がわからん以上はボスさんのことは伏せておくべきだ。まだ向こうは自衛できねえし、どんな風に利用するのかわかったもんじゃない)

 

 それに、

 ウィーネにとってどうすることが一番良いかなんて本人にしかわからねえからな。

 まだそれを判断できる知性がないなら、できるまで待ってやるべきだ。

 

「厄介だね、まったく。

 オッタルよりはマシだが」

 

 とりあえずは様子見してから、あとはベル次第。どうするか決めたらその通りにしてやれば良い。

 仮にそれでオラリオ全体と揉め事になっても問題はない。

 その程度なら容易く蹴散らすことができるのだから。

 

 





 補足・説明。

 ウィーネと会合からの日常パートです。
 ゼノンの平然とした姿にベル達は呆気にとられています。あとメイドオッタル叫びに度肝を抜かれた。
 ゼノンは異端児問題をどうにでもできます。
 最悪オラリオを追放になっても気にしません。
 だからオラリオで目的のあるベル達の意思が最優先となります。

 歯並びについて。
 作者の適当な知識なので詳しくはウェブで。
 モンスターの歯並びを見たら食性がわかるかは気になります。

 風呂問題。
 男湯にわけても女性の突貫が多いからヴェルフはストレス溜めてました。
 少なくてもベルと入浴は拒否します。
 
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