ダンジョンにダイの代わりに爆死した兄弟子がいるのは間違っているだろうか(なおヒュンケルでもポップでもない)   作:規律式足

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 繋ぎ回です。
 前半は読み飛ばして良いかも?



第14話

 

 ソーマ・ファミリア。

 酒神にして趣味神であるファミリア。

 その目的は酒を作ること。  

 下界で神の力を封じて、技術のみで神の酒を創り出すという偉業を成し得た存在。

 ファミリア構成員は、その神酒を飲み、その味に魅入られた者達。

 元より酒造りをする為に集めた構成員は、今では神酒を一口飲む為だけに金を集める亡者と化している。

 ギルドにてトラブルが絶えないのはそれが理由。少しでも多くの金が欲しいから。

 さらに構成員同士で金の奪い合いもまた日常的に行われている。

 リリルカ・アーデのような立場の低い者から平然と搾取している集団。

 

(クソだな)

 

 シャドー達からの調査報告を確認してそう思った。無論それは、統治者を気取るギルドや憲兵を気取るガネーシャ・ファミリアにもだが、弱者を救わないことを責める権利は俺に無いと意識から追い出す。

 自分も救う気がないのに、相手を責め立て憤るのはあまりにも勝手すぎる。

 そしてファミリア運営は、団長であるザニス・ルストラに丸投げし、そのザニスがファミリアを私物化。

 神酒の分配、ステイタス更新、ファミリア改宗の全てに大金がかかるようになっている。

 ファミリア内にて大金がかかるのは、コイツの私腹を肥やす為であり、リリルカ・アーデが冒険者をだまくらかして金を貯めているのもファミリア脱退の為。

 

(ハァ)

 

 調べるほどにため息をつきたくなる。

 なんかもう、ファミリアごとイオナズンで吹き飛ばしたくなってきた。

 そもそもザニスとやらが理解できない。

 強くなればいくらでも稼げるダンジョンを前にして、なんで金無し共から搾取して小銭を掻き集めているのだろう。

 はっきり言って効率が悪い。

 ソーマ・ファミリア構成員からいくら上納させようと、ヘファイストス・ファミリアの最高品質武器一つすら買えないだろう。

 それこそ、酒好きな神や、上級冒険者のドワーフにでも完成品を卸した方が遥かに儲かる。

 無能な貴族と一緒だ。

 痩せた大地からいくら集めようと、豊かな大地の余剰分にも満たないというのに。徴収するなら大地を豊かにしてからすべきなのだ。

 

(まあいい)

 

 ギルドはリリルカが当てにしなかった時点で何もしないだろう。むしろ罰金という臨時収入の稼ぎ場として放置もありうる。

 仮に規制をかけてもファミリア構成員の暴走は止まらない。

 ならば、やはりソーマ・ファミリアは潰すべきだ。そうでなければベルが救った後のリリルカが自由に生きることはできないからだ。

 

(ネタは見つけた。そしてこれはロキ・ファミリアの逆鱗だろう)

 

 現団長・ザニスはロキ・ファミリアの宿敵である闇派閥との取引がある。

 これと、ロキ・ファミリアが欲している俺の情報。ついでに手土産を用意すれば、ソーマ・ファミリアを潰すことに協力してくれる筈だ。

 まあ、神酒を惜しんでファミリア再建にする可能性もあるが、リリルカが開放されるならそれで良い。

 ヘスティアに頼んでヘファイストス・ファミリアで鍛冶場は借りられることになったから、取引用に武器を打つとしよう。

 

(こんなところだな)

 

 考えはまとまったが、疲労が半端ない。いやこれは落差に疲れたとでも言うのか?

 魔界に太陽を齎すために地上を消し飛ばすというとんでもないスケールの大魔王と戦っていた俺が、小銭掻き集めるだけの小悪党(ザニス)に頭を悩ませているのだから。

 むしろ戦えば良かっただけの元の世界が楽だったのだとすら思ってしまう。こちらの世界とは強さが桁違いではあるが。

 

「ゼノンさんっ!!」

 

「今日の晩御飯はパスタですよー」

 

 さて地下室で作るとしますか。

 

「わあ、楽しみです。じゃなくて、僕に魔法が発現したんです」

 

「えっと、ダンジョンでなにかあったのか?」

 

 スキルはアイズ・ヴァレンシュタインとの出会いで発現した。

 魔法もそんな感じなのだろうか。

 

「ダンジョンじゃなくて、本です。本を読んだら発現したんです」

 

「便利な本もあるんだなー」

 

 たしか元の世界にもあった。

 破邪の洞窟で呪文を覚える時に使用したな。

 

「反応が軽いっ!?」

 

 すまん。

 まだこの世界の魔法には詳しくないんだ。

 元の世界の呪文は契約して才能あれば使えるからな。でもなポップよ、雨雲を呼ぶラナリオンを契約してすぐに使えるお前は普通におかしい。

 その呪文一つで農村で崇められるってのに。

 そうして俺は晩御飯を作りながらベルの魔法について聞いた。

 ヘスティアが考察するには、ベルが発現した魔法【ファイアボルト】は詠唱が不要な魔法らしい。

 元の世界の呪文も詠唱して威力を高めたりしていたが、どうやらこっちでは普通の魔法は詠唱しないと撃てない仕様なんだとか。

 その詠唱ワードがなく、速攻魔法と記されたことから詠唱の必要ない早打ちできる魔法なんだろう。

 

(長文詠唱必要な魔法より威力は低いかもな)

 

 ボカスカ高威力魔法を連発できるのは大魔王バーンや大魔道士マトリフのような熟練した技術あってこそ。

 普通は何かに特化したら何かが劣るものなのだ。

 

「とにかく、ベル君は迂闊に魔法の名前を言わないようにね。【ファイアボルト】と発言しただけで発動するかも知れないし」

 

「不便すぎねえかソレ」

 

 呪文の発動には魔力を集中させたりとか色々手順があるだろうに。だから無詠唱とかも可能なんだが。

 神の恩恵というシステムを刻んでしまったからこその融通の利かなさかね?

 

「はい、気をつけます」

 

「どんな効果かも分からないから明日にでも安全な階層で試し撃ちでもしてくるといい。速攻魔法なんだから強化とか治癒じゃなく、攻撃魔法かな?名前もそれっぽいし」

 

「ファイアボルトで治癒だったら驚くな」

 

「えっ、明日・・・・・・?」

 

「今から晩御飯でしょ。夜中にダンジョン行く気かいベル君」

 

「あ、はい。そうですね」

 

 すぐに魔法を試したいと顔に書いてあるベルは、ヘスティアの言葉にぎこちなく頷いた。

 

(抜け出してダンジョン行くなコイツ)

 

 覚えたての呪文を使いたくなる。

 その気持ちはわからんでもないが。魔法は魔力を消耗するって理解してるのかね?してないんだろうなあ。

 

(頼んだぞ、シャドー)

 

〈承知、旦那様はお任せを〉

 

 出来上がった肉団子入り山盛りパスタをテーブルに出し、3人(潜んでるモンスターは超いっぱい)で食卓を囲んだ。

 

「「いっただきま~す!!」」

 

「おう、たんと食え」

 

 明日は鍛冶場かな。

 取引用の武器、何を打つか。

 

 

 

 なおヘスティア・ファミリアが寝静まった夜中。予想通りベルは抜け出してダンジョンに潜った。

【ファイアボルト】、発動は一瞬、速度は光速、火力は絶大のその魔法に、ベルははしゃぎまくり調子にのり、マインドダウン・精神疲弊でぶっ倒れたらしい。

 だからベルの影に潜んでいるシャドーは、影から闘魔傀儡掌にてベルの身体を操り人形のように操作し、ややぎこちない挙動ながらも全力で走らせて無事に帰宅させた。

 白目を剥いて首を力無くガクンガクンと揺らしながら全力疾走するその姿は、時間が夜中だったのもあり迷宮都市オラリオに新たな怪談として語られることになる。

 

 





 ソーマ・ファミリア
 ゼノンからしたら何してんだコイツラ。
 こんな真似をしても稼げる額はたかが知れてるので、行動そのものが理解できない。
 
 ロキ・ファミリアとの取引
 闇派閥との関係がわかっていれば手を貸すと思われる。ソーマはわかりやすい収入源でもあるため。
 ちなみにゼノンのエクセリオンブレードに興味を持ち周囲を探ったりしていた。

 ベル・クラネル
 膝枕イベントは無し。
 というかこの作品のアイズは膝枕をしない。ゼノンの飲んで忘れてやれを忠実に守るため、ミノタウロスの件は引きずってない。
 倒れてるベルに手を差し伸べようとはしたが、突如キョンシーのように飛びあがり、ペコリと頭を下げてから、白目のまま全力ダッシュをはじめた、その姿にアイズは怖くなって涙目になった。

 シャドー
 意識せずにやらかしたモンスター。
 決してベルとアイズに接点を持たせまいとやったわけではない。多分ない。
 
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