ダンジョンにダイの代わりに爆死した兄弟子がいるのは間違っているだろうか(なおヒュンケルでもポップでもない)   作:規律式足

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 ベルの走る姿は、遊戯王バトルシティ編の寡黙な人形みたいな感じです。怖いですね。
 ネタが古すぎて伝わらないかな(笑)。

 ちなみに、シャドー達などのゼノン製モンスターに魂はありません。
 ハドラー親衛騎団のような魂を分ける禁呪法や、ヒムみたいに進化しないと無生物に魂は宿らないので。
 だからフレイヤ様はシャドーに気づいてません、暗黒闘気はうまいこと隠蔽しています。

 あと、残酷なシーンがあります。
 閲覧注意。



第15話

 

 ベルが怪談になって帰宅してから数日。

 その間にベルの読んだ本が魔導書という、魔法強制発現アイテムであることが判明し、ベルがそれの元の持ち主に説明と謝罪しに駆けていったり(ヘスティアは誤魔化そうとしてた)。

 俺は俺でヘファイストス・ファミリアから鍛冶場を借りて武器を拵えた。

 材料は購入できる限りで一番良い物を使った、最大手ファミリアであるロキ・ファミリアなら武器の素材が安物だと知れたらそれだけで断りかねないからな。

 

(ふう)

 

 そろそろか。

 シャドー達の報告からもう間もなく事態は動くだろうと察する。

 ベルもリリルカがどんな目にあってきたのか理解しただろう。

 碌でもない冒険者が、大人が存在する事を知っただろう。

 その上で、お前はどんな決断をする。

 小さな勇者ダイのような輝きをお前は放つことができるのか、道理を超えた意地を世界に示せるのか。

 多分この件でそれがわかるのだろう。

 

(英雄か)  

 

「俺は地上から去るよ」

 

 いつかの悲しい言葉が脳裏をよぎる。

 

(夢を叶えて欲しいのか、折れて欲しいのか、よくわからないな)

 

 でもベルは出会いを求めてこの都市に来ただけだから、別に英雄になる必要はないかも? 

 ならダイみたくなるとかは杞憂か?

 ダイもベルみたいな欲望があれば別だったのかねえ。まだ12歳だから無理かな。魔物しかいないデルムリン島育ちでもあったし。

 たしか旅の途中でポップが胸のデカい女が良いとか言ったら、おっぱい好きとか赤ちゃんかよ、って言ったらしい。それくらいの感性なんだよな。

 12歳って難しい年頃だ。

 性的なアレコレが理解できないからな。

 

 

 リリルカがベルとの決別を実行。

 10階層という許可はされたが厳しい階層に誘い、モンスターをおびき寄せるトラップアイテムを設置し、姿をくらます。

 だがそのやり方はベルを確実に始末できるほど悪辣なものではなかった。

 逃げに徹すればシャドーの助力が無くとも切り抜けられる程度のもの。

 さらにベルに両刃短剣まで贈っている。騙した相手への置き土産には過ぎた業物をだ。

 

(全く、ここまでされたらいくら俺でも助けるしかないだろうに)

 

 リリルカの現状は最悪。

 かつて盗みを働いた冒険者に報復を受け、さらにソーマ・ファミリアの冒険者から荷物を奪われ囮にされた。

 俺はベルがリリルカの元にたどり着けるように雷鳴の剣を振るいモンスターを間引く。するとそこに一人の少女が剣を振るいながら現れた。

 

「あの・・・・・・」

 

「アイズ・ヴァレンシュタイン。探索か?」

 

 ベルの憧憬の人物。  

 オラリオにおいて有名な冒険者。

 

「いえ、エイナという受付の人に依頼されて」

 

 第一級冒険者がこんな低階層に現れたことが不思議だったがまさか依頼されてとは。

 

「チュール嬢か」

 

 訊けばお高いソーマを奮発しようとしてまでロキ・ファミリアにソーマ・ファミリアについて尋ねにいったらしい。

 それだけベルの為に動いてくれたのだろう。

 ギルド職員としては入れ込み過ぎでは?と思わなくもないが、そこは個人の自由だろう。  

 少しばかりその行動力が、ポップに惚れてる占い師の少女メルルの姿を彷彿とさせるが。

 

「さすがに礼をしにいかねえと不義理だよなあ」

 

 だが俺は彼女に嫌われている。

 ベル経由でも礼の品すら受け取らんだろう。

 

「あと、あの子に謝りたくて。飲み干してやれと貴方に言われたけど、やっぱり」

 

「ベルは感謝していたぞ」

 

 ソレだけじゃあ無いがな。

 酒場で見た時は人間らしからぬと思ったがそうではないようだ。

 謝れないことを気にするなんて普通に良い子じゃねえか。

 

「前も見かけたけど声をかけようとしたら、なんか突然飛び跳ねて怖い動きで走りだして、追えなくて」

 

「ソレハシカタナイネー」

 

 どうやらシャドーのやらかしを目撃してしまったようだ。あの人形を無理矢理動かしてるような感じは見ていて不気味だからな。

 気配を探ればベルはリリルカまで辿り着いたようだ。念の為にリリルカの周りに地面と同化させたマドハンド達を配置しておいたが出番はなさそうだ。

 

(やり遂げたなベル)

 

 ベルならばリリルカの本心を引きずりだして救えるだろう。

 

「あの、ゼノンさん」

 

「ん?」

 

 さて後始末に行こうかねとチンピラ共の居る場所に足を向けた所で、アイズ・ヴァレンシュタインから呼び止められた。

 

「貴方は、英雄ですか?」

 

 縋り付くような目をしながらそう彼女は言った。まるで俺が最後の希望であるかのように。

 

「さてね」

 

 英雄、英雄ねえ。

 かつて目指したそれは、今の俺には価値がない。そんな称号なんてもういらない。  

 

「・・・・・・そうですか」

 

 俺の返しに、暗闇に突き落とされたような表情をするアイズ・ヴァレンシュタイン。

  

「だが」

 

「え?」

 

 俺がかつてアバン先生にしてもらったように、迷子のような顔した心細そうな少女の頭を撫でる。

 

「助けて欲しければそう言え。最強相手だろうと立ち向かってやる」

 

 立ち向かったとしても最強相手だと勝てるかわからんがな。そう思うくらい俺の戦歴は酷すぎる。

 

「はい。はいっ!!」

 

 するとアイズ・ヴァレンシュタインは輝くような笑みを向けてきた。

 

「あ、そうだ。ティオネ・ヒリュテに伝言頼むわ」

 

「ティオネに何か?」

 

 俺の言葉にアイズ・ヴァレンシュタインは何故かムッとした表情になりながらそう尋ねる。

 

「怪物祭の借りを返してくれってな」

 

 こんなに早くつかうとは。

 

「あの時は私も助けられました、ティオネではなく私に言ってください」

 

 提案したのはあっちなんだが、なんか引かない様子だな。理由はわからんが、まあいいか。

 

「ロキ・ファミリアと取引をしたい。是非交渉の機会が欲しい」

 

 都市最大手のファミリアとの取引なんていくら望もうと叶うものではない。

 だがこの借りを持ち出せば機会くらいはくれるだろう。

 

「・・・・・・・・・?別にそんなことくらい、いくらでも大丈夫だと」

 

 箱入りなのかこの娘は理解してないみたいだけどね。

 

「とにかく頼むわ」

 

「はい」

 

 さあて後始末だ。

 

 

 

「小悪党には相応しい末路ってのかね。因果応報って言葉は好きじゃねえし」

 

 人の価値とは死に様で決まる。

 バランやハドラーのように見る者の心打つ最後の者はそうはいない。

 さて酒に溺れた小悪党共の末路は一体どの程度の価値なのやら。

 

「て、テメェは」

 

「呪殺呪文ザキでも唱えて一思いに楽にしてやる方が慈悲か?けど悪いな、俺は慈悲を与えるヤツは選ぶ口でな」

 

 倒れ伏す男達。

 神の恩恵を受けて長年冒険者をしていた筈なのに、鞘に入れたままの剣で軽く小突いた程度でこの樣だ。

 リリルカの所属している【ソーマ・ファミリア】の冒険者で、リリルカから今まで何度も金品を巻き上げ虐げてきた(俺と同類の)悪党。

 

「直接手を下す気はねえ。

 ただ、アイツとリリルカ・アーデと同じ目にはあってもらう」

 

 まずは奪い奪われもう誰が正しい所有者なのか分からない荷物を回収する。

 そしてゴトリと、さっきコイツラがしたように生殺し状態のキラーアントを置く。

 

「ま、待ってくれよ。なんであんな役立たずの価値のないサポーターの為にそこまで」

 

「価値、ねえ。

 ベルが助けに行った、助けたいと決めた。それがリリルカ・アーデの価値だ」

 

 だからまあ、

 

「お前らに価値があれば、お前らにも誰かが駆けつけてくれるだろうよ」 

 

 俺の言葉に自分達の生涯を思い出し、そんな存在はいやしないと理解して、小悪党共は絶望の表情となった。

 集まってくるキラーアント達の姿に悲鳴をあげる男達。その絶叫を背に受けながら俺はその場を後にした。

 

(ベル達が知ったら軽蔑するかね?)

 

 始末する必要はないと、アイツラと同じことをするのは最低だと批判されるだろう。

 でも俺は知っている。

 こういった連中との遺恨はまっさらになるまで片付けないと、最悪のタイミングで足を掬われるのだと。

 だから、

 

「次はソーマ・ファミリアを潰す」

 

 ベル達が気兼ねなく、それこそ月まで跳んでいけるように。

 足元は綺麗に掃除してやる。

 

「ロキ・ファミリアが駄目ならアポロン・ファミリア。そっちも駄目なら」

 

 ソーマ・ファミリアは神を含めて全員消えてもらう。とっくの昔、生まれた時から真っ黒なこの手でな。





 おっぱいが好きなことをガキっぽいと言えたのは何歳までだったかな?性の目覚めとは中々難しい。
 マァムの故郷でのポップとダイのやり取りですね。 
 
 リリルカの件。  
 当初の予定では見守らず、シャドーの報告だけで済ます気でした。
 しかしなぜかこっそりダンジョンに侵入し(エイナが苦手な為、透明呪文レムオルを使った)、ガッツリ見守ることに。ストーカーですね、あるいはモンスターペアレンツ。

 アイズの件
 どうしてこうなった(絶望)。
 作者はベルのメインヒロインはリューさんだと認識してるのかもしれない。またフラグへし折ったよ。
 エイナの依頼で駆けつけたらゼノンと遭遇し、英雄になってくれる(彼女認識)と言ってもらえた。
 ベルのスキル、いつまで持つかな?

 カヌゥ達の件
 ゼノン判定でも一線超えたのでこうなった。原作でもこの後すぐらへんで死亡。
 それでもコイツラにベルが居たら助かった。「カヌゥだから」と言ってくれる人がいたら助かった。
 ちなみにゼノンはアバンと出会う前の段階で慈悲をかけて見逃したヤツに足元をすくわれかけた経験がある。嫌な8歳児ですね。
 アバンの使徒らしくないですが、元から勇者サイドの無常矜侍なのでご理解ください。
 ちなみにリリルカの盗品は分かる範囲でシャドー達に返還させ、ちょっとしたホラー話になります。
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