ダンジョンにダイの代わりに爆死した兄弟子がいるのは間違っているだろうか(なおヒュンケルでもポップでもない) 作:規律式足
ベルの二刀流大地斬を聞いたゼノンは器用なことをするなあと感心します。
なおゼノンを知る全ての存在がお前だけには言われたくないと呆れ果てます。
ゼノンのダイの大冒険時代の戦闘スタイルは、呪文を唱えながら、右手に剣(状況によってはエクセリオンブレード)、左手にはアバン流の他の武具を使うという変則二刀流でした。ただ流石に弓は片手では無理ですか(笑)。
全力時は、エクセリオンブレードと愛剣による二刀流です。
性的な描写と原作改変あり、閲覧注意です。
「よくやった、ベル」
同じファミリアの仲間であるベル・クラネルがダンジョンで倒れ、地上に運ばれたと俺が知ったのはお得意様であるアポロン・ファミリアの仕事が終わり、一部団員達による「愛しきアポロン様を語る会」に強制参加させられていた時だった。
彼らのホーム入り口に彫った、両開き扉の右側の誘うように手招きするアポロンの彫刻は大層気に入られ(反対側は太陽)、主神・眷属ともに大絶賛してきた。なお一部の、噂によればアポロンの悪癖により半ば無理やり眷属にされた者達の顔は引き攣っていたものの、彫刻の出来を褒めてくれた。猫やら鳥なども出来ないかと尋ねてくるものまでいたくらいだ。
仲間であるベルの急報に俺は飛び出そうとするが、アポロンが急ぎならば馬車を出すと提案してくれた。
実際は走るなりルーラなりトベルーラなりの方が早いのだが、仕事を終えたとはいえ接待を途中で投げ出す俺にその気遣いは有り難いものだった。
身内の危機、それは居ても立っても居られないだろうと、アポロンは慈悲深い声で言ってくれた。
悪癖がなきゃなあ。
そんなアポロンの後方で二人並んだ女性達、その片割れである短髪の方がため息をつきながらそう呟いていたのが見えた。
アポロンの気遣いに感謝してから俺は急いでベルが運びこまれた場所まで駆けていった。
オラリオを代表する医療系ファミリア、ディアンケヒト・ファミリア。
そのホームにしてオラリオ最大の医療所にして医薬品販売施設の一室にて、ヘスティア・ファミリアが団長ベル・クラネルは疲労からか深い眠りについていた。
10階層には本来でないと言われる中層域のモンスターであるミノタウロス。
しかもどこぞの冒険者から奪ったのか死体から回収したのかわからない頑丈な大剣を持ち、その立ち振舞から通常のモンスターにはありえない知性らしきものすらあったそうだ。
ダンジョンには未知が溢れている。
だからこんなありえない事態がおこる可能性は充分にある。
だが、ギルドという戦力を保持しない冒険者管理機関の生命線とも言えるダンジョンの情報。
それがこうも誤り続けるのも、またありえないのだ。
魔石の査定、ドロップアイテムの買い取り、冒険者のランク、それはギルドの情報が正しいという前提から成り立つのだから。
故に俺はこの事態に作為的なモノを感じ、確信していた。
いつもベル(偶に俺)を見つめてくるジットリとした視線の持ち主。それが今回の件の大元だと。
思えば『怪物祭』、今まで問題が起こったことのないガネーシャ・ファミリアの管理を破り、ヘスティアを執拗に狙ったシルバーバック。その不自然な事態もまたその存在が企んだものの可能性が高い。
真意、あるいは神意を確かめる必要がある。
半ば勘ではあるが、思い当たる存在を問い詰めに行こう。
「ヘスティア、リリルカ。ベルを頼む」
ベルの傷は極大治癒呪文ベホマで完全に治した、後は疲れが取れ起きるのを待つばかりだ。ベルにしがみつくように寄り添う二人に一言告げ、俺は席を立つ。
「ゼノン様」
「どうしたリリルカ?」
「貴方の言葉と教えが、ベル様を支え導き勝たせました。あの時のベル様は本当に英雄みたいで格好良かったです」
思い詰めた表情の俺が、側に居なかったと悔いているのだと思ったのかそうリリルカはフォローしてくれた。
リリルカを逃がす為にミノタウロスに戦いを挑み、そして勝った時の姿を思い出して頬を染めながら。
「だったら次は最後まで倒れないように鍛えないとな。家(ホーム)に帰るまでが冒険なんだからよ」
とはいえ持久力を上げるのは強くするよりも難物だ。強くなるうちに自然と向上するものではあるが、短期決戦用に必殺技を覚えさせる方が楽だからな。
例にするならばポップだ。
あいつはダイ達とベンガーナのデパートに行った際に 襲撃してきたドラゴンの群れを全魔力を用いた重力呪文ベタン一つで撃退したらしい。
まあ全魔力を使い切ったにも関わらず仕損じたドラゴンから自前の脚力で逃げおおせたらしいので、下手したらラーハルトレベルで速いんじゃないかアイツ?
とにかく、冒険者ならば持久力は重要。退院してから毎朝オラリオ外周を走らせるべきだろう。
さて毎朝何周走らせるか。
寝ている筈のベルが何かを察知してブルリと震えたように見えた。
「ゼノン君」
「ヘスティアもか」
リリルカの次はヘスティアまで声を掛けてきた。
「危ないことはしないようにね」
俺がすることを朧げながら察したヘスティアは、ただ俺の身を案じていた。
ベルとリリルカだけではなく、俺も大事だといわんばかりに。
「なあに」
だから安心させるように笑う。
「俺に勝てんのは最強だけだ」
この時まだ俺は、視線の先の主が都市最強武闘派ファミリアであるフレイヤ・ファミリアであることも、そこに現在オラリオ唯一のレベル7であり都市最強の冒険者オッタルが居ることも、知らないのであった。
「邪魔すんぜ」
オラリオが中心、ダンジョンの真上に建つ超巨大建造物バベル。
その上階部は神々の住居となっており、都市内にホームを持たない神々や、ホームを持ちつつも一室を所有できる余裕ある神々が滞在していた。
時々レミラーマで視線の主を探り、捜索し確認しながら進んでみれば此処まで辿り着いてしまった。
目の前に居るのは豪奢な椅子に優雅に腰掛けた一柱の女神。
新雪を思わせるきめ細かな白皙の肌、黄金律という概念が現出したかのような完璧なプロポーション、凛々しくも美しい容姿の銀髪の女神である。
美の化身、正にそう表現するしかない存在だが、俺は見惚れることなく相対する。
生憎と美人には慣れている。
元の世界では、王族貴族の后やら姫、種族単位で美形しかいないエルフ族、でろりん達と行った酒場のお姉さん、さらには美しさと強さを合わせ持ったフローラ女王レオナ姫マァムなどの女傑達。
こちらに来てからもアルテミスをはじめとした女神達は全員美しい。
確かにその中でも目の前の女神は飛び抜けてはいるが、反応するほどではない。
「俺はヘスティア・ファミリアのゼノン。用件はわかっているよな?」
「ええわかっているわ。私はフレイヤ、気づいていたみたいだけど貴方とあの子をずぅっと見ていたの」
フレイヤ?
まさか都市最強派閥の主神とはな。
「そうかい、なら。
落とし前つけさせてもらう」
牽制の意味を兼ねて、鞘から抜いた雷鳴の剣を女神に向けて振るう。
あまりにも短絡的な行動。
オラリオそのものと揉めかねない所業だが、なぜか此処で斬っておいた方が良いとも思ったのだ。
ギンッ!!
阻止される前提の攻撃だが。
「驚いた」
雷鳴の剣を大剣にて受け止めたのは猪人の武人。
クロコダインのように鍛えられて膨れ上がった筋肉をした巌のような戦士である。
「何がだ?」
この女神がフレイヤならば、目の前の武人は恐らくオッタル。
都市最強の冒険者、か。
主神を守ったオッタルは俺の言葉に問いかける。
「酒場の女主人より強い冒険者がいたことにだ」
オラリオで生活して一月程度、その中であのミアという女主人より強い存在(ロキ・ファミリアの三首領も同格らしいが明確に上とは思えなかった)を見たことはなかったのだ。
「・・・・・・ミアはウチの元団長だ」
「マジか」
となるとあの酒場はフレイヤ・ファミリアの下部組織か?どうりでウェイトレスが腕利き揃いなわけだ。
「私を送還しにきたのかしら?真円の魂を持つ人」
鍔迫り合う俺にフレイヤが語りかける。
「アンタの目的しだいだよ」
雷鳴の剣を振り切り、オッタルをフレイヤ側へと弾き飛ばす。
確かに大した怪力だが、体捌きをうまくやればコレぐらいは容易い。
「くっ」
剣を鞘に収め、フレイヤの返答を待つ。
これが娯楽やら暇つぶしや嫌がらせだってんなら、最上階ごと超極大爆滅呪文ビックバンをかましてやろうと心に決めて。
「『愛』よ」
「はい?」
俺の耳がおかしくなったかな?
「はい、ではなく『愛』。
私はね、あの子の、澄んだ透明な輝きの魂持つあの子がより輝く瞬間が見たいの。
より強くより光を発したその魂でいつか私を包んで欲しいと思っているの」
「えええ〜」
うっとりと色気すら滲ませながら語り出す女神にドン引きした俺は、そんな女神に仕える武人に確認するかの様に視線を向けた。
するとオッタルは気まずそうに申し訳なさそうにそっと顔を逸らした。
つまりこの女神、気に入った男の魂を輝かせる為に強めなモンスターをけしかけていたって事か?
わざわざ手間暇かけて。
ヤンデレかよ、怖いよ。
恋愛経験の無い俺は、こんな強い女の情念に理解と実感ができないから恐怖を抱く。
ぶっちゃけ、十五年間待ち続けたフローラ様も、無力(戦闘力)なのについてきたメルルも、嫌われることを承知で鎧の魔槍を隠したエイミも結構怖かった。
男だって想い人の為ならなんでもできる。けど女の想いはそれよりも遥かに密度というか重さというか底知れなさが違う(ド偏見)。
「ミノタウロスという過去を乗り越え、純粋な願望を、意図も打算もない、汚れも穢れも知らない、純粋な魂は、激しく美しく輝き、可能性を芽吹かせたのよ」
その瞬間を思い出したからか、フレイヤのその表情は恍惚に染まっていた。
それはヘスティアやリリルカと同じ、恋愛経験無い俺にもわかる、恋する乙女の顔だった。
「ワカリマシター、ジャアオレカエルネー」
愛か、愛かなあ。
なら仕方ないよなあ。
「良いのか?」
ポアポアとトリップする主神を置いといて、確認するようにオッタルが言う。
「ヘスティアに対する嫌がらせや、ベルを虫を嬲る子供みてえにおもちゃにしたり、自分らの都合の良い駒に仕立てようとしたわけじゃないからな。
怒る気も失せたわ(怖いし)」
「フレイヤ様はこれからもベル・クラネルに絡み続けるぞ?」
そして自分はその命令には逆らわないと言外に告げながら都市最強の戦士は問いかける。俺はそれで良いのかと。
「魂の輝きなんざより、ベルの命が大事だ。だから対処できるなら俺がその試練を叩き潰す。だが」
フレイヤがベルを語る時の幸せそうな表情を思い浮かべる。
確かに手段がアレで、言動やら反応は怖いが、
「その恋心は否定したくないからな」
一途な恋心そのものは、それだけは、いや本当にそれだけについては、尊いと思うのだ。
「・・・・・・・・・・・・スマン」
「謝るくらいなら止めろテメェ」
「・・・・・・・・・・・・本当にスマン」
最強の冒険者は、その実オラリオで一番女神に振り回されている苦労人なのかもしれない。
「純粋な助言だが、恋愛なら普通にアプローチした方が良いと伝えてくれ。あとベルはハーレム志望者だから独占は無理だと」
「無駄だと確信しているが伝えておこう」
眷属からのこの信頼よ。
なんか最悪オラリオと戦争かなと身構えていたら変な方向に疲れたな。
帰って娼館にでも行って癒やされたい。
「ゼノンと言ったな」
「あん?」
「貴様は強い、剣を交わした瞬間そう確信した」
「お前も強いぜオッタル」
都市最強は伊達ではない。
雷鳴の剣だと剣がもたないから愛剣を出す必要がある。エクセリオンブレードは加減が一切できないから殺すと決めた奴にしか使わないしな。
「機会あれば全力で手合わせ願おう」
「生憎と俺は1対多の方が得意でね。
全力見たけりゃ、ファミリア総出で来るんだな」
寧ろ苦手なんだよタイマンバトル。
広範囲攻撃に主眼置いちまったせいで、技の密度がどうにもなー。
「そうか、楽しみだ」
楽しげに頷くも、多分タイマンバトルしかけてくるよなコイツ。
こうして俺のカチコミは終わった。
ベルへの所業が愛ゆえになら周辺被害はそこまででないだろう。
いや怪物祭と先日のミノタウロスででたんじゃねえか!!
フレイヤに対してはどうこうする気は失せたが、やり過ぎたその時に対処するとしよう。
ヘスティア達にはある程度ぼかして説明し、俺はヤンデレを直視した恐怖を振り払う為に、癒やしを求め夜の街へと走り出した。
おすすめの娼館行ったら、なんか相手のアマゾネス娼婦が魔界のモンスターであるブースカみたいな容姿だったんだけど。
美醜にはあんまりこだわりないから気絶するまで満足させてやったら、なぜか主神であり経営者であるイシュタルから感謝されて、特別優待券を貰った。やったぜ。
アポロン。
悪癖無きゃ善神。
フレイヤ。
ヤンデレ。なお死んだら魂を回収して慈しむとか怖いこと言ってた。
オッタル。
女神全肯定の苦労人。
ゼノン。
カチコミに行ったらヤンデレがいた怖い。
バッファローマンの超人パワーを知ったウォーズマンみたくなった。
恋愛経験が無いので、女の情念が怖いタイプ。
ブースカ。
魔王ムドーの色違い野生モンスター、デスタムーアの城に居る。メタルキング狩りで戦う羽目に、なんか良い装備を落とした筈。
ブースカみたいな娼婦。
いったいどこのフリュネなんだろうか。
イシュタル。
定期的にフリュネの相手をしてもらえると助かるとのこと。なおフリュネ以外にも追加で相手をしてたので驚いた。
後の展開の為の布石。
娼館ネタ含め批判されそうで作者は怖いが、原作イシュタルの結末は納得できないので改変したい。