ダンジョンにダイの代わりに爆死した兄弟子がいるのは間違っているだろうか(なおヒュンケルでもポップでもない)   作:規律式足

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 今回は説明回?
 みたいな感じです。
 



第27話

 

 出会いというのは巡り合わせだという。

 でろりん達がパーティを組んだのは似たもの同士がいつの間にか集まっていたとかそんな理由らしいが(断じて酒場で金を払って斡旋してもらったんじゃないぞと念押しされた)、バランスが良いチームなのが凄い。

 だから新しい鎧を探しに行ったベルが色々と訳ありな鍛冶師であるヴェルフ・クロッゾと知り合い、直接契約を結び、ダンジョンに潜るパーティを組むのはきっと巡り合わせというものなんだろう。

 ただ、俺はなんとなくだがベルの話すヴェルフ・クロッゾとは長い付き合いになる。そんな風に思ったんだ。

 なおヴェルフ・クロッゾはベルが持つパプニカのナイフに興味をもったらしく、どこで手に入れたか、誰が打ったのか、としつこく訊かれたらしい。

 特に口止めもしてないし、俺のことを自慢げに語る悪癖のあるベルは(リリルカ情報)、ついヴェルフ・クロッゾに話してしまい、鍛冶師として是非会いたいと言ってきたらしい。

 ちなみにだが、ギルド職員のチュール嬢が俺を嫌っていたのは受付で会うたびに毎回そんな話をベルがしていたから、つまり嫉妬からだろうとリリルカは推察していた。

 チュール嬢に可愛らしいトコがあると思うべきなのか、14のベルに入れ込み過ぎだとドン引きするところなのか、悩むところだが怖いから気にするのはやめよう。

 俺個人としてはチュール嬢を嫌ってはいないで苦手なだけなのだから。

 

 

 直接契約。 

 それは鍛冶師と冒険者が結ぶ契約、より強固な『ギブアンドテイク』。普通ならギルドの買い取りカウンターで売り払う『ドロップアイテム』や採取した素材を、契約した鍛冶師に譲るか売る方式だ。

 要するに問屋を経由しない直接取引みたいなもので、鍛冶師と冒険者の双方に利点がある(やりすぎるとギルドに睨まれるから注意)。

 鍛冶師は問屋では手の出せない素材を仕入れることができて、冒険者は店売りにはないオーダーメイドの逸品を手に入れられる。

 特にこの世界では神の恩恵によるスキルもあってか、特定の誰かの為に打った武具は特別な威力を発揮するという考えがある(元の世界でも同じか?)。

 レベル2にランクアップしたベルは他の鍛冶師にも狙われていたらしいが、気に入っていた鎧の制作者から申し出られて嬉しかったそうだ。

 まあランクアップしたから声をかけようとする者達より、自分の作品を選んでくれたからと言う者では印象が違うよな。

 ベルも仲間と共に歩み、二人三脚のように頑張ることが心の琴線に触れたらしくとても喜んでいた。

 仲間と共に強くなる。

 きっとそれは俺にはないベルの強さなんだろうな。

 

 

 リリルカからヴェルフ・クロッゾのパーティ加入の件で愚痴を言われている。

 トンテンカンとマキシマム像(ニヤケた表情バージョン)を彫っていた俺に、置いてある宝箱(ミミック)に腰掛けて足をプラプラさせながらリリルカは先日の出来事について語り出す。

 まず一つがヴェルフ・クロッゾという人物そのものがヘファイストス・ファミリア内でのけ者にされている厄介者であるということ。

 のけ者にされるくらい嫌われる理由は色々あるらしいが(販売担当がいくら頼んでも名前を変えない点など)、魔剣を打てるのに打たないことが主な理由らしい。

 鍛冶師なんて芸術家と同じで自分のこだわりを貫いてなんぼだからどうこう言う気はない。

 ロン・ベルクなんてその在り方を極めた存在を知るからなおさらだ。

 ただ、組織に所属し恩恵を受けておいて、貢献も協力もしないのは問題だと思う。

 こだわりをほざくなら自活できるようになってからにしろ。

 それが俺のヴェルフ・クロッゾの過去やら魔剣やらの話を聞いた感想だった。

 ちなみに『魔剣』を創れたりしないのかとリリルカに訊かれたが、似たような『祈りの指輪』なら創れるし創っておいたからと手渡してやった。なぜか受け取ったリリルカはより深く頭を抱えだした。

 次にベルがリリルカに相談せずに、直接契約とパーティ加入を決めてしまったことだ。

 お互いに利のある取引ではあった。

 だがそれはヴェルフ・クロッゾが職人気質で切羽詰まっていたからに過ぎない。

 ランクアップしたての新米上級冒険者を言葉巧みにだまくらかして都合よく使う鍛冶師は少なくない(リリルカが言う説得力よ)、パーティ加入にしても利益をかすめ取る為にで申し出る者もまた多い(先日の酒場)。

 だからお人好しで押しの弱い世間知らずな見た目からして強く見えないベルが、契約を決めてしまうのはとても危険な行為なのだ。

 それを危惧して世間の荒波のビッグウェーブを木切れでサーフィンしてたリリルカに、ヘスティアがわざわざ身の周りのことを頼みこんでいたのだ。

 けれど本人がそれを台無しにしてどうするよ。

 危機感の無さ。

 リリルカの件を経ても、ベルは未だに改善できていないようである。

 そしてリリルカからしたらヴェルフ・クロッゾは面白くない存在らしい。

 魔剣を打てば成功できるのに、こだわりからそれをしない。切羽詰まってない余裕と余力がある生き方が、弱いからできないから生き方を選べなかったリリルカにはどうにも癪に障るのだとか。

 別に魔剣を提供しろとは言わない。

 でもそれがあれば単独でも潜れる階層が増えただろう。万が一の時に血路が開けるだろうと、魔剣のありがたさをヘスティア・ファミリアで一番知るリリルカは思うそうだ。

 

「力が欲しいか、リリルカ?」

 

 リリルカを強くする為に何かしてやりたい気持ちはある。

 その為の手段をいくつも模索した。

 アバン流殺法の伝授。

 呪文契約。

 武神流の手ほどき。

 暗黒闘気を教える。

 強い武器を与える。

 キラーマシンに乗せる。

 などいくつか思いつきはした。

 だが、そのどれもが今のリリルカの良さを殺してしまうように、今までのリリルカを否定するように感じてしまい、気が進まないのだ。

 サポーターは軽んじる理由が理解できないくらい重要な役割だ。

 リリルカのように案内や罠の発見、戦闘指示に援護までできる存在は値千金だとすら思う。

 だから俺はリリルカに誰にでもできる力を与えるのではなく、リリルカにしかできないことを伸ばして欲しいと勝手に思ってしまっていた。

 伝授や手ほどきに時間がかかることと、リリルカに才能が無いことも大きな理由だが(暗黒闘気に関しては物凄く才能あるが)。

 いっそキラーマシンの手についた自動装填弓矢だけを取り外してリリルカにやるべきか?

 この機構を開発できたハドラーはアバン先生と本当に同類だよなと俺は思う。あの勇者と魔王の戦いは万能の天才同士の決戦だったのだ。

 

「そうやって、ゼノン様がリリを評価してくれるから、リリは昔の自分を肯定できるんですよ」

 

 俺の葛藤を見てリリルカは嬉しそうに笑った。

 





 今回はヴェルフ・クロッゾ加入についてで、閑話みたいな感じです。
 サラッと流せるように書こうと思ったけど、どうしても必要かなと。
 ナァーザについてはどうするか。
 ゼノンからしたらミアハ・ファミリアの印象ってよくないんですよね。
 知らん、で切り捨てかねないです。
 ミアハのポーション配布とか作者も受け入れられませんし。

 ヴェルフ・クロッゾについて。
 ゼノンからしたらまだどうでもいい存在です。
 単なる鍛冶師に過ぎません。
 こだわりに関しても気にしてません。
 
 リリルカ強化案。
 もうキラーマシンに乗せるしか。
 作者の本音です。
 才能ない前提であの荷物背負って戦わせるのは無理があるかなと思っています。
 破壊の鉄球振り回させるかと思いましたが、ベルとヴェルフが巻き込まれて死にます。
 なるべくドラクエ縛りにしたかったけど、キラーマシンの腕から拵えたオートボウガン(FF6)でも採用するしかないかな?
 
 ハドラーは万能の天才。
 肉弾戦できて、呪文ができて、禁呪法使えて、軍勢を率いれて、キラーマシン開発できるとか、普通に天才ですよねこの人。
 というか、キラーマシンの自動装填弓を量産するだけで戦場を一変できたのでは?
 年齢的にはまだ若い魔族なので、かなり生き急いだ印象がありますね。
 ダイの大冒険での鼻水垂らしていた姿に今では違和感を感じるくらいです。
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