ダンジョンにダイの代わりに爆死した兄弟子がいるのは間違っているだろうか(なおヒュンケルでもポップでもない) 作:規律式足
ちなみに、周囲からのゼノンへの同情はベルの持つヘスティア・ナイフが理由だったりします。
多少目が利けばとんでもない額の武器だとわかってしまいますので。
だから、ベル(息子)の為に生活を切り詰めてテント暮らししていると、オッタルなんかは真剣に思っています。
また、先日の半ポーション大量注文でオッタルは毒舌エルフのヘディンさんから「脳筋も偶には団長らしいことをするんだな」と褒められました。褒めてるのかな、コレ?
「良い出来だな」
「ですよねっ!?」
現在期限付きでパーティを組んでいるベルと直接契約を結んだヘファイストス・ファミリアの鍛冶師ヴェルフ・クロッゾ。
ベルが彼に先日のミノタウロスから入手したドロップアイテムであるミノタウロスの角を渡し、作製された紅緋色の短刀。
ベルが自慢気に見せてきたその短刀を掴みその刃に触れて切れ味や光沢を確認する。
ドロップアイテムを武器に加工するとこうなるのか。特殊な効果などはついてる様子はないが、ヘファイストス・ファミリアの店舗でこれと同程度の短刀を購入するとなるとかなりの値がつくだろうなと思う。
直接契約を鍛冶師と結ぶ。
ベルの鎧も含めて利点は大きいようだ。
「大地斬にも耐えられるみたいだから、ヘスティア・ナイフとこの、なんて名前だ?短刀の二刀流でやるべきだな。ミノタウロスの角が素材なだけあって頑丈だしな」
短刀の名前、いやまあ必ず付けるもんじゃないから短刀ってだけの可能性もあるがベルに尋ねると。
「・・・・・・牛若丸です」
ベルは顔を逸らして誤魔化すように言った。
「意外とマトモな名前だな。普段からこれなら店先で隅に積まれんだろうに」
牛若丸な。この世界でいう東方の島国風の名称だな。基本的に◯◯の◯みたいな銘より良いかもしれない。
「でも牛短刀と書いてミノたん、とも名付けようとしてました」
「・・・・・・ベルの要望をきくだけマシだな」
わざわざルビをふるような名前を付ける必要あるのか?
英雄譚なんかに武器の銘を言うシーンなんかはよくあるが、その時に『ミノたん』と言ってみろ。途端にギャグになるぞ。
「ヴェルフは渋々でしたけど」
「ランクアップしても売れる鍛冶師にはならねえな」
忌み嫌ってる『魔剣』を売り出せば別だろうが。
「それで装備も揃って、連携も取れたからダンジョンの中層を目指すそうだな」
「はい。今のパーティなら行けそうですし、正直上層のモンスターなら勝てるみたいです」
先日のダンジョン探索でベルは、上層最強のモンスターである稀少種『インファント・ドラゴン』を倒せたらしい。
実力としては例のミノタウロスに劣るが『迷宮の孤王』が存在しない上層においては事実上の階層主なんだとか。
四足で地を這う竜と言えば、元の世界のドラゴンを連想するが建物サイズのアレは上層にはいないだろう。
「竜を倒したんだから約束通りにやるか『雷鳴の剣』?」
愛剣の修復はまだ終わらないので護身用の武器は必要だが、竜を倒せる実力があればとか前に言ったしな。
「う、そ、それは欲しいですけど」
しかしダンジョンってかなりモンスターが出現するようだな。剣以外に楽に殲滅できる武器を用意しておこう。
葛藤するベルを見ながら別の装備を考える。護身用といってもオッタル相手でもない限りきちんとした武器は必要ないというのが俺の見立てだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やっぱり止めておきます。神様からヘスティア・ナイフを、ヴェルフから牛若丸を、ゼノンさんからパプニカのナイフを貰ったのに、さらに貰うなんて」
「物凄く未練あるみたいだが、いいのか?」
「いいんですっ!!」
良い決断だと思う。
ナイフ二刀流で大地斬を体得したベルだが、これで剣を装備したら出来なくなる可能性が高いからな。
「ならその決断に敬意を称して、ご褒美になんか創ってやろう。お前の火力不足を補えるとっておきのやつをな」
「本当ですか!?」
「ああ、ベルにうってつけのがある。パプニカって国の武器屋の秘蔵の逸品を再現してやろう」
「そんな凄い物を!?」
「おお(色々と)凄いぞ」
前々から考えていたアレを遂に創る時がきたか、正直楽しみではある。
「あとリリルカの『リトル・バリスタ』も改良するか、滑車を付けたりと色々できるからな」
あとは『力の指輪』をやれば弓の威力を上げても引けるようになるだろう。
リリルカは目が良い。
命中に関しては心配はいらないからな。
「す、凄い」
それと、中層からはモンスターが群れででるらしいからな。万が一の保険を用意すべきだ。
オッタルから古い鎧を大量に貰えたからそれらをアレしてアレに詰めれば良いだろう。
「そういえば、インファント・ドラゴンを倒した時に『英雄願望』が発動したんだってな」
「みたいです」
「逆転の力、『英雄の一撃』、か」
似たような力や技は知っている。
まさか才能の無いただの少年がそんな力を得るなんて出会った時には思いもしなかったな。
やはり俺に才能の目利きはできない。魂を見れるらしいフレイヤの眼は確かなのだろう。
「ゼノンさん?」
「その力は見るものを惹きつける。見るものの心に焼き付く。だからこそ、使い所を誤るなよ」
手放しで称賛してやりたい。
だが俺はダイがベンガーナで経験した事を思い出していた。
ベルがインファント・ドラゴンを倒した事で連想してしまった。
俺がダイの活躍を聞き、接触しようと探し回っていた時に辿り着いたデパートのあった港町。
そこで俺はダイの活躍を知った。
手柄を奪われたという本心を隠して町民から話を聞いたのだが、勇者として名声がある俺に言われたのは、あの化け物を討伐してくれ、というものだった。
竜の紋章を発動してヒドラとドラゴンを撃退したダイに対して、助けられた人々はその圧倒的な力に感謝より恐怖を抱いたのだ。
無理もない。
ベンガーナを担当していたのは妖魔師団率いるザボエラ。アイツは戦車と軍艦を有するベンガーナに正面から攻めたりはせず、貴族達を懐柔する形で侵攻していたからな。
ベンガーナ王が独裁に近い体制をしいてなかったらとっくに内部から崩れていただろう。
つまりベンガーナの民は魔王軍による表立った侵攻とは無縁であり、平和ボケしていたんだ。
英雄を化け物と見てしまうほどに。
(たくっ、あの後にキルバーンからの勧誘がまたしつこくてうっとおしかった)
と、気分の悪い話を思い出してしまったが、俺はベルに同じ目にあって欲しくはない。
ダイにしてもポップがいなければどうなっていたことやらだ。ベルだってすでに妬みは買っているんだからな。
「わかりました、ゼノンさん」
ベルの素直さには救われる。
だからこそ、この在り方が曇らないでいて欲しいと俺は思うのだ。
「それとですね、エイナさんが中層に行く為の条件として出した『精霊の護符』の『サラマンダー・ウール』を購入しました。割引してもらってもかなりのお値段でしたけど」
「炎耐性を得られるアイテムか便利だな。『ヘルハウンド』対策だっけか?」
「はい、犬型の『放火魔』の異名を持つ火を吐くモンスターです。13、14階層におけるパーティ全滅の原因として有名らしいです」
リリルカにはシャドーじゃなくてフレイムを憑けてやるべきか?影にはならんからランタンを持たせてそこに入れとけばなんとかなるか。
「そういったのがいるから防具は創ってやれねえんだ」
防具が耐えれても肉体は耐えられん。
「ゼノンさんだったらどうします?」
「海波斬か、気合(闘気)でなんとかなるな」
「気合でなんとかなるんですかっ!?」
なるんだよ。
「中層に潜るまで海波斬の型だけは教えてやるから、余裕があるなら試してみろ」
ブレス攻撃を使うモンスターの特攻技だしな。
「いつも忙しいのにすいません」
「身内の為の苦労だ。問題ねえ」
さて、ベルが中層に行く準備が整うまで色々用意しとかねえとな。
リリルカの為に『リトル・バリスタ』の改良と『アレ』。さらにリリルカ用のシャドー。
祝福の杖は拒否されたからまたの機会だな。創るのが大変だから助かるが。
ベルには海波斬の稽古と、ベルの火力を増加させて邪魔にならない装備である、
『どたまかなづち』
を創ってやらないと。
ベルの脚力ならこの扱いに難しい武器にして兜を活かすことができるだろう。
中層に行くまでの準備話です。
牛若丸はゼノンから見ても良い武器です。
雷鳴の剣。
インファント・ドラゴンはドラクエのドラゴンに比べたらトカゲみたいなもんですがドラゴンではありますので。ただ戦闘スタイルからベルは涙をのんで諦めました。
ベンガーナのあれこれ。
当作オリジナル展開です。
デパートでドラゴンキラーを投資品扱いできるくらい平和ボケした国でした。ぶっちゃけザボエラのサボり(他の軍団から手柄を掠め取る為の暗躍)と、危機感の薄い強国気取りの国があれば人類の団結は妨げられるという計算からです。
だから人々は英雄が必要だと知らず、恐怖しました。
ゼノンはダイの討伐を懇願され、表面上は快諾しつつヒドラを一ダースおかわりと思ってました。
火炎攻撃。
気合(闘気)でなんとかなります。
どたまかなづち。
これをベル君に装備させたい一心で書いてました。槌の先からファイアボルトを発射したいです。