ダンジョンにダイの代わりに爆死した兄弟子がいるのは間違っているだろうか(なおヒュンケルでもポップでもない)   作:規律式足

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 ヘルメスの扱いに悩んでますが、皆さんかなり思う所があるみたいですね。
 どうなるかはお楽しみに。
 話はまったく進んでません。ここでソード・オラトリアのイベントとキャラにも絡めるかでまた話が増えそうです。

 原作キャラ(というか集団?)アンチ描写がありますので閲覧注意です。



第38話

 

「ゼノンさんっ!?」

 

 ティオナに声をかけられたベルはその傍にいた俺に気づき驚き叫ぶ。

 

「どうして此処に!?ダンジョンですよ!?」

 

「門限守れねえガキを迎えに来たに決まってんだろうが。・・・・・・無事で良かった。頑張ったなベル」

 

 近寄ってきたベルの頭をクシャリと撫でてやれば、嬉しそうで恥ずかしそうに顔を俯かせる。

 

「私も遠征頑張った」

 

 すると対抗するようにズイとその金髪を突き出してくるアイズ。ティオナと歩いてるだけで向けられていた敵意がより強まるのを感じたが、問題はねえな。

 

「おうよしよし、よくやった。ベルを助けてくれてありがとうな」

 

「ムフー」

 

 敵意が殺意レベルに鋭くなる。特に前に見たエルフの少女なんて「あ」の形に口を開いたまま硬直していた。

 

「なら私もー」

 

 さらにはティオナまで言い出すからきりが無い。頭を撫でると喜ぶ連中がいる、これは商売になるかもしれん。マドハンドを量産して頭撫で屋を開業したら大儲けできるやも。

 ちなみにこのネタを後日イシュタルに告げたら、癒やし系娼婦達による『頭撫で』サービスでかなりの利益を出すことになる。男性のみならず女性にもウケたとか。

 

「ところで、えっとティオナさん、アルゴノゥトってどういう意味で」

 

 自身のスキル名とかぶった呼び名にベルが焦りながら訊ねると。

 

「気にしないでちょうだい。このちゃらんぽらんが勝手に言っているだけだから」

 

 と合流してきたアマゾネス姉妹の片割れ、長髪のティオネがそう答える。

 

「ミノタウロスとの戦いから御伽噺を連想したらしいぞ」

 

「ああ、そっちですか。でもミノタウロスに勝てたのはゼノンさんからアバン流刀殺法を教えて貰ったからで」

 

 無きゃ無いで切り抜けられそうな気もするがな。なんだかんだでベルは戦闘だと機転の効くタイプだから。

 

「ゼノンさん、ベルにだけ教えてズルい」

 

 アバン流と聞いてアイズが頬を膨らませながらズルいと不満そうに言う。

 

「ズルいって言われてもなあ」

 

 アバン流は戦いの理を結集したような流派。道理を修めれば強くなるのは当然。

 だが、アバン先生が故郷カール王国で学び舎を作り広めてない以上は、伝授すべき者は選ぶべきなのではないかと思う。

 体得できる者だけを厳選した可能性はある。だが才能以外のもっと大切なことを理由に選んでいたのではないかとも、俺は思うからな。

 

「お互い忙しいし、時間があればな」

 

 と言っても、駄々っ子であるアイズ(ゼノン認識)には通じまい。

 実際つきっきりの修行なんて、一週間のみのスペシャルハードコースですら無理だろう。

 こちらを面白くなさそうに睨みつけてるロキ・ファミリアの連中から妨害されたらなおのことな。

 アイズと手を繋ぎ、ティオネとティオナに絡まれてるベルに「調子に乗るなよ」と言わんばかりな視線を向ける連中。

 どうやら冒険者にもカール王国騎士団のようにエリート意識に凝り固まってる集団はいるようだ。

 俺から見たらベルと大差ない程度なんだが。

 

「ロキ・ファミリアの団長と話はついたんだろ?だったらリリルカ達のトコに案内してくれ。ヘスティア達が先に行ってるしな」

 

「神様も来てるんですかっ!?」

 

「ホームに一柱だけ放置するわけにもいかんかったからな」

 

 ヘスティアまで来ていることに驚くベル。ポーションを渡してはあるがリリルカ達の容態も気になるので寝かされているらしい天幕へと向かった。

 ぞろぞろ。

 

「お前さんらは戻ったほうが良いだろ?案内ならアイズがいれば平気だ」

 

 さんを付けろよテメェ。という意思が周りから感じるが無視だ無視だ。

 名前呼びじゃねえと本人が拗ねるとか伝えても、またファミリアがどうとか、レベルがどうとかうるさいだけだろうしな。

 俺とベルについてくるアマゾネス姉妹に告げるが、妹は「もっと一緒にいたい」、姉は「ついてかないと絡まれるわよ」と言葉を返してきた。

 姉の言には一理あるな。

 アイズとヒリュテ姉妹と一緒だから睨まれているが、別れたら他ファミリアだからと絡まれかねん。

 都市最大ファミリアとなれば、集団として色々と面倒だな。

 

「それとフィンからゼノンについてはどんな魔法が使えるのかなるべく調べろって言われてるしねー」

 

「こら馬鹿ティオナっ!」

 

 ベートを眠らせた魔法でしょー、治癒魔法でしょー、毒妖蛆の毒を解毒した魔法でしょー、とアマゾネス妹が指折数える。

 そんな妹にバラすなと怒鳴る姉。

 

「?・・・・・・気絶したベルを起こした魔法も使ってたし、魔法ストックは埋まってるよね」

 

 アイズがソレを聞いて首を傾げる。

 あー、神の恩恵だと三つまでしか魔法を覚えられねえんだっけ?工夫やらスキル次第でやりようはあるらしいが、普通は最大でそれだけとか。

 

「・・・・・・・・・一つの魔法を応用していくつかの効果を持たせてんだよ。本来は生命を活性化させる魔法だ」

 

 ロキ・ファミリアの腹黒い団長やら幹部連中には正直に話しても良さそうだが、他の構成員はそうでもない。バレる嘘だが表向きはこの理屈で通すとしよう。

 

「そっかー」

 

「団長に報告するけど、いいわね?」

 

「なるほど」

 

 リリルカ達が居る天幕までそんな雑談をしながら歩いていった。

 

 

 うっすらと、暗くなりだした森。

 これが此処の『夜』らしい。

 普段は何も思わない夕焼けも無いとなると味気ないもんだと思いつつ、テントへと入る。

 アイズ達とはここまで、色々話はしても仲間の再会にまでは混じる気はないようだ。

 

「ベル君」

 

 まだ眠るリリルカの傍に居たヘスティアは起こさぬ程度の声量の中に安堵な気持ちを込めてベルとの再会を喜んでいた。

 

「神様」

 

 ルールとして入ってはいけないダンジョンにヘスティアが来たことに思う所はあるだろう。

 だがそれだけ心配したのだと、居ても立っても居られなかったのだと察したベルはその目に涙を滲ませながらヘスティアと抱き合う。

 こう見ると本当に親子だな。

 ヘスティアとしては恋人でありたいんだろうが、その目に宿る慈愛の眼差しがどうしてもそう思わせる。

 

「あ、あとこの人達は」

 

 暫し抱き合ったベルは、周りに正座する桜花達タケミカヅチ・ファミリアに気がついた。同時に自分達に怪物進呈したパーティだと察したようだ。

 

「詫びとして案内してくれたんだ。詳しくは二人が起きてから話す」

 

 リリルカとヴェルフの容態を確認する。

 命に別状はない。

 生傷はいくつかあるが、どうやらロキ・ファミリアで処置はしてくれた模様。

 ポーション投与もホイミも不要。

 ザメハで強制的に覚醒させる必要もない。

 スルッと俺の影に移ったリリルカに憑けたシャドーからここまでの情報を得る。

 ゴライアスはともかくとしてベル達はパーティとして中層で怪物進呈されても切り抜けられる実力はあったようだ。リリルカに渡した改良ボウガンと力の指輪は充分に役立っていた。だが矢が尽きてリリルカの援護が切れた辺りから崩れだしたわけだ。

 ヴェルフ・クロッゾも予想以上に奮闘していた。魔剣を打てるという才能以外にも魔法使い特攻の魔法にてリリルカに代わる援護になっていた。

 地力が足りなかったから途中で倒れたが、魔剣を用意していない点を除いて、できる限りのことはしたようだ。まあ魔剣に関しては雷鳴の剣をやらなかった俺が言えた立場ではないがな。

 ただヴェルフが打った魔剣を託したヘファイストスの意図から、ここにいるらしい自身のファミリアの団長の指摘から、そして今回の件から痛感することだろう。

 場合によってはベル達と組む事に口を出すつもりだったがその必要はないな。

 こだわりこそあれ、ヴェルフという人間は人格面では信用できそうだ。

 寝ている二人の傍で雑談する気にならなかった俺達は沈黙してじっと起きるまで待機する。

 天幕周りが賑やかになるほど時間が経てば、

 

「んっ・・・・・・」

 

 ついにヴェルフの意識が覚醒しだし、つられたようにリリルカの被っていた毛布が動きだす。

 

「・・・・・・どこだ、ここは」

 

「ベル様・・・・・・?」

 

 二人が起きたことに安心した様子のベル。起き出したリリルカに飛びつこうとしたヘスティアの首元を掴めば「ぐえ」と音が鳴った。

 

「リリ、ヴェルフ、大丈夫?僕のこと、わかる?」

 

「・・・・・・リリがベル様のお顔がわからないだなんてことありませんよ」

 

「あー、リリスケの減らず口が聞こえてくるようなら、俺も問題ないな」

 

 ゆっくりと微笑むリリルカと、パーティでどんな関係なのか察せらせるヴェルフの軽口。

 今はまだこの二人とは顔を合わすべきでないと判断した桜花達は外へ移動している。 

 ベルが二人が気絶してからのことを説明している姿を俺とヘスティアもじっと聞く。

 説明を聞き終えた二人は謝罪しだすが、ベルはそれを否定。役に立たなかった、足手まといだったという発言はベルには怒りだすほど納得いかなかったようだ。

 しかし羨ましくあるな。

 パーティを組んで冒険、共に苦難を乗り越える。それは俺には無縁のものだ。

 ダイ達と共に大魔王達と戦いはした。

 だが俺が加わった段階は半ば最終局面に近く、俺の役割はほぼ決まっていて、まとめ役であるレオナ姫の指示に従うだけだった。

 冒険と戦争の違い。

 ただそれだけの事とは言え、ベル達の皆が全力を尽くしたからここまで来れた。そんな時間を俺は誰かと過ごせる日が来るのだろうか?

 

 笑い合う三人を見て俺はそんな風に思ったんだ。

 

「それでどうしてゼノン様とヘスティア様が此処、ダンジョンに居られるのです?」

 

「あんたがゼノンか、はじめまして。あのナイフとどたまかなづちを作ったあんたとは話してみたかったんだ」

 

 俺とヘスティアに気付いた二人がそう言うが、

 

「・・・・・・食事の用意ができたけど、大丈夫?」

 

「あ、はい!」

 

「詳しくは後だ。先ずは飯だ飯」

 

 俺の言葉と共に、飯抜きでダンジョンを駆けずり回った三人の腹が大合唱する。

 気が緩んだことで身体も空腹を思い出したんだろ。

 

「は、ははは」

 

「乙女がなんと醜態を」

 

「飯より話を、と言いたいが無理だな」

 

 羞恥から頬を染める三人を見て、俺とヘスティアは顔を見合わせて笑った。

 空腹を感じるのは生きてる証。

 コイツラは命懸けの冒険を切り抜けて、今ここに生きているんだ。





『頭撫で屋』
 マドハンドでやったら泥まみれになるだけだが、イシュタル・ファミリアでやってみたら大ウケした。女性も誉められる、慰められるに癒やしを感じるらしい。某アスフィ・アンドロメダがどハマリするとか。

 アンチ対象→ロキ・ファミリア二軍。
 某門番(二次創作で強調された感があるが)を筆頭に、あまり良い印象がないので。自分の夢や目的ではなく、ロキ・ファミリアでいることに満足してるイメージがある。
 カール王国騎士団もまた実力主義を謳うが勇者アバンの古巣であることとホルキンスの存在により驕る者がかなり存在した(独自設定)。 

 ホルキンス。
 単身でドラゴンを討伐し純粋な剣技で竜騎将バランを圧倒した傑物。バランによる不意打ちに近い紋章閃により死亡。ゼノンとは面識があり友人だと思っていたが、再会することなく永遠の別れに。竜騎将バランとゼノンの戦いに復讐心が混じっていたかは本人もわからない。
 
 ゼノンの魔法。
 大嘘。適当に言っただけだが聞いてた者は信じた。
 
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