ダンジョンにダイの代わりに爆死した兄弟子がいるのは間違っているだろうか(なおヒュンケルでもポップでもない) 作:規律式足
改めて読み比べると、同じ場面で原作とソードオラトリアの情報量がとんでもないですね。
でもロキ・ファミリアで助けたいと思うキャラもいっぱいいるから絡めないと。
あと一応今話でヘルメスが制裁されます。まだやらかしますけど。
ベルが覗きを実行したらしい。
俺がその事を知ったのはリヴィラの街から帰還して、貸し出された天幕内で桜花と共に行きの道中で得た魔石とドロップアイテムを整理していた時だった。
女性陣が水浴びをしにいったのは知っていた。一緒に行こうよとティオナに誘われたからだ。
連日の歓楽街通いでアマゾネスがその手のことに大らかであることは知った。だが純真というか天真爛漫というか幼いというか、女になっていないティオナがそちら方面で誘ったわけではない、単に一緒に水浴びしたら楽しいから誘っただけだと察した俺は当然のように断った。
その水浴びが二人だけならば気にしなかったが、この野営地の女性陣が集団で行くとなると、一時の性衝動よりも後の人間関係の方が勝る。
同じように、いや俺より遥かに情熱的にヒリュテ姉妹の姉であるティオネに誘われていたというか強引に引っ張られていたロキ・ファミリア団長の姿が視界に入ったが、おそらく彼も俺と同じ理由なのだろう。
主神であるロキの趣味により、女冒険者比率が多いロキ・ファミリアを取り仕切るのは大変なんだろうなと俺は同情した。
それに水浴びにはヘスティアにリリルカとアイズ、そしてタケミカヅチ・ファミリアの二人まで参加する。身内の裸など見る気にならない。
だからギルドで換金する時に手間がかからぬように整理をしていたのだが、
〈ヘルメスを抹殺する許可を〉
?
ベルに取り憑けたシャドーからそんな思念が飛ばされてきた。
『白髪野郎がアイズさんの水浴びを覗きやがっただとおおおおおおおおお!?』
『あ・の・クソガキィィイイイッ!!』
と同時に天幕の外から怒号が聞こえてきたわけだ。
「まさかアイツ、ウチの連中まで覗いたんじゃねえのか?」
ベルの(ヘタレた)性格とシャドーからの連絡を合わせるとヘルメスに唆されたからだろうなと察することができる。
だがまだそこまでわからない桜花は身内を覗かれた事実に愛用の戦斧を取り、外に居る羨ましさから怒り狂う連中と合流し、兎狩りに参加しようとしていた。
(後で千草に教えてやろう)
千草、タケミカヅチ・ファミリアの目隠れ内気少女が、この巨漢の団長に懸想していることは俺も知っている。だから千草が覗かれたことで桜花が怒り狂ったと知れば照れながらも喜ぶだろう。
「『大切断』の裸体を拝むとは羨ましい」
今の言葉は伝えないでやろう。
桜花の好みを知れたのは良いことだが、いらんショックを受けてしまうだろうからな。
「ゼノンも父親ならきちんと息子を教育してくれ」
「父親じゃねえよ俺はまだ19だ。俺はそんなに5つかそこらでガキを拵えた様に見えるのか」
生物的に無理があるだろ。
5つの時ではマドハンドすら創り出せねえよ。
『『『『兎狩りじゃああああ!!』』』』
「うるせえな本当に」
あまりの騒音に作業してらんねえよと外に出れば、【ロキ・ファミリア】の団員達は男女問わず武器を取り、その双眼から血の如き真っ赤な眼光を迸らせていた。
「裸一つで大げさな、そんなに飢えてんならイシュタルに頼んでやろうかね」
「マジですかっ!!」
アイズ達が人気あるとは聞いていたがあんまりにも過剰な反応である。きっと溜まってんだろうなと思った俺の呟きにすぐさま反応する一人の青年。
「えっと、お前さんは」
「あ、すいませんす。自分はロキ・ファミリアのラウル・ノールドっす」
平凡。
そんな印象を第一に思わせた人の良さそうな青年だ。そんな生真面目そうな人物が、誰よりも早く娼館に反応したことに、少々驚いた。
「俺はゼノン。イシュタルのトコの娼館にはよく行くんだが何故かいつもサービスして貰えてな。ロキ・ファミリアの男どもなら大歓迎だろう」
「いやいや、ウチとイシュタル・ファミリアは不仲寄りなんすよ。そしてサービスなんて、何をやらかしたらそうなるんすか」
不仲。
そういえば、イシュタルはフレイヤとロキをずいぶんと嫌っていたか。フレイヤは美の神としてだかららしいが、ロキは性格が合わんらしい。
「フリュネ(とその他大勢)の相手を毎回してるだけなんだがなあ」
「それが理由だと思うっす」
『超凡夫』と呼ばれるロキ・ファミリアの二軍の中心人物の一人はそう言って、俺に恐れ慄いていた。
「ウチの子を唆すなボケがあああ!!」
「ギャアアアアアア、ゴプッ(ガクリ)」
そんなやり取りをしていたら主犯というか元凶であるヘルメスが己の眷属であるアスフィ・アンドロメダにより発見され事情聴取の為に逆さ吊りにされ、自供後にブチギレたヘスティアから制裁された。
騒ぎを聞きつけて駆け寄ってきた者達、その中に『どたまかなづち』を修復していたヘファイストス・ファミリア団長の椿・コルランドがおり、ヘスティアは彼女の持つ修復中の『どたまかなづち』を奪い取ると頭に装備し逆さ吊りのヘルメスの股間に叩きこんだのだ。
「あそこは外部に出された内臓だからクソ痛いんだがなあ」
位置的にちょうどよかったからなのか、それとも狙ったのか。キーンッ☆という冗談で済む音ではなく、グシャリとナニカが潰れるような音が狂騒の坩堝と化していた場にもなぜかよく響き、男達はその衝撃をリアルに想像してしまい自らのアレを守るように両手で覆って後退った。
「む、洗浄せねばな」
ヘスティアから『どたまかなづち』を受け取った椿は槌の先に滴る液体を見ながらそう呟いた。
「フー、フー」
自身の眷属にして想い人である少年に覗き野郎のレッテルを張りやがったアンチクショウを制裁したヘスティアは荒く息を吐く。そんなヘスティアを労うようにリリルカがそっと寄り添い。
「リリもやります」
次は自分の番だと名乗りを上げた。
「「「「「やめたげてよおおお!!」」」」」
それにはさすがに男達もストップをかけた。危うく一柱の神が天に還るところであった。
「結局、いつもの神のお騒がせ、ってやつね」
「なーんだ、アルゴノゥト君、遊びにきたんじゃなかったんだ〜」
「・・・・・・レフィーヤに追いかけられて何処までいったのかな?」
どうやらベルは熱狂的なアイズの後輩と追っかけっこの真っ最中らしい。
安全階層とはいえダンジョンの中、夜の時間となって暗くなり出したから心配ではあるが、あの逃げ足の速いベルを追いかけた少女が逸れてないかが心配である。レベル差があっても魔導士なら身体能力はそこまでではないだろうしな。
「うるせえな・・・・・・何の騒ぎだっての」
「あ、ベート」
煩さに顔を顰めながら現れた一人の狼人。ロキ・ファミリア最速の男ベート・ローガである。その右肩に大量の試験管が入ったバックパックを担ぎ、毒に苦しむ仲間を助けるために最高速度で往復してきたのである。
すでに一人残らず解毒されてるとは知らずに。
「あー、・・・・・・・・・お疲れ様ベート」
「? 大したことじゃねえよ」
ティオナの普段とは違う反応に違和感を感じたベート・ローガ。
それまでの野営地の狂騒もベートの登場により静まりだす。
「ご苦労だったな、ベート」
「随分と服が汚れているが、なんじゃ、休憩も碌に取らずに来たのか」
「うるせえババア、ジジイ。つーかなんだこの空気は」
周囲から向けられる同情の眼差しに気付いた狼人は確認しようとフィンをむこうとして、
「あっ?」
天幕から顔を出していた俺に気がついた。
「くろかみぃぃぃっ!!テメェなんで此処にいやがるっ!!」
いつだかの酒場の件を覚えていたのか、飛びかかるように寄ってくるベート・ローガ。
「色々あったんだ、色々」
「はあっ!?まあいい、あの時の屈辱晴らしてやらあっ!!」
あれはこいつにとって負けた認識になるのか?それとも尻がスプラッシュしたことを知ったのか。はたまた徹夜ハイテンションのせいで短気になっているのか。
「止めろベート!!」
「うらあ!!」
「催眠呪文ラリホー」
「あっ!?(ガクン)」
ベートが団長であるフィンの制止の声より早く俺へと蹴りかかるが、以前と同じように回避してラリホーで眠らせる。催眠対策のマジックアイテムとか付けておくべきだったな。
「すまないゼノン」
「気にしてねえよ」
遠巻きにされてアレコレ言われるよりわかりやすくて対応しやすいからな。コイツのこの誰にでも噛みつく態度は嫌いではないし。
「ベートさんが眠っちゃった」
「「ん?」」
申し訳なさそうに頭を下げるフィン。それを俺が許したところで、一人のヒューマンの少女が眼鏡を輝かせながらユラリとベートへにじり寄っていた。
「起こさないと、貫かないと」
その手に一本の槍を握りしめて。
「アイズさんじゃなく、今度こそ私の手で」
リーネ・アルシェ。
『道化の侍者(ロコライト)』の二つ名を持つ長髪をおさげにしている髪型のメガネをかけた風貌に似あった大人しい少女は、正気を失った目でベート・ローガの尻をロック・オンしていた。
「痛い目みればいい、と思って呟いた一言を俺は少しばかり後悔している」
「というかそれは僕の槍」
恋する乙女の暴走に、その場の誰もが恐怖したという。
ベル君覗き回のゼノンサイドです。
ベル君は、レフィーヤさんと追いかけっこして闇派閥と一戦して、リューさんとアレコレします。
桜花。
ベルの覗きに漢だなと原作では呟いてました。今作では一応怒って武器を握ってしまいました(誤解だと知ってひっこめましたが)。好みタイプがティオナとかどこかで見たので羨ましがってます。千草さんが知ったら泣きそう。
ラウル。
ヒリュテ姉妹不在時のゼノン担当。
フィンからは監視ではなくトラブル回避の為の護衛というより壁になってくれと頼まれた。
才能ある存在を妬まない稀有な人柄。
傍に控えていたらとんでもない漢だと知って恐れ慄くことに。
ヘルメス制裁。
逆さ吊りからの股間にどたまかなづち(修復途中)です。ギリギリ送還しませんでしたが、まだやらかします。
ベート。
雑魚を見下す態度なのに、必死に解毒薬を掻き集め駆け抜けてきた狼人。
ゼノンに対しては自身が悪いとは認めつつ、負けた事、恥をかかされた事(詳細は知らない)、また強者だと察したので躊躇わず噛みつきにいった。
二回目のスプラッシュが迫っていることを疲労とラリホーで眠る彼はまだ知らない。
リーネ・アルシェ。
ロキ・ファミリアの治癒士の少女。ベートに恋する乙女であり、ロキと三首領を除き、ベートの真意に気づいている数少ない存在。
前回酔ったアイズのやらかしを見て、ナニカを奪われたと強く魂に焼き付いてしまい、今度は自分がやると現在暴走中。
ベートさんの明日はどっちだ、