ダンジョンにダイの代わりに爆死した兄弟子がいるのは間違っているだろうか(なおヒュンケルでもポップでもない)   作:規律式足

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 ちなみに主人公にとって冒険者は「でろりん」みたいだなと思っています。
 彼より立派な者も、彼より下衆な者も沢山いますが、平和な世界で暴力を用いてその日暮らしをしている存在認識なので。
 なお、でろりん達と主人公の関係は悪くなく、飲み友達、悪党仲間のようで、主人公はでろりん達の素直な生き方を羨ましく思っていました。尽きない欲望に支配されてた主人公にはできない自由な生き方だったのです。
 そして、でろりん達は毎年必ず悪友の墓前で酒盛りをしてるそうです。
 


第6話

 

 あの酒場の騒動から数日。

 ヘスティアにベルのステイタスについてどうしたら良いかと相談を受けた。

 どうやらベルはスキル【憧憬一途】の効果でとんでもない速度で成長してるらしい。

 具体的な数字でわかるのは便利なのだが、そこまで違うのかと疑問に思う。

 

「それのなにが問題なんだ?」

  

「神って勝手なものだからさ。目立っちゃうとその子供を欲しがったり勧誘したりするんだよ」

 

「確かベルって、ファミリア入団を門前払いされまくったんだが」

 

 それを珍しいスキルを目覚めたから欲しがるとか勝手すぎるだろ。

 

「そうなんだけど、それが神なんだよ」  

 

「本当に、遊びに来てるだけなんだなお前ら」

 

 世界に害をなす存在の対処を竜の騎士に丸投げだった元の世界の神と果たしてどちらがマシなのか。

 

「んでベルに話さないのは、成長促進スキルがあるから無茶な探索をするんじゃないかと心配してだよな?」

 

「そうなんだよ。ゼノン君が武器を渡さない理由と近いけど、この間みたいなことはして欲しくないんだ」

 

 まあ理解はできるが。

 でも、

 

「成長なんて個人差だから別に気にしなくても良くないか?」

 

「いやいやいや、親交のある神に聞いたけど、ぽんぽん熟練度が上がるのは最初だけですぐに頭打ちになるんだって」

 

「いやいやいや、俺の仲間の十二歳の勇者なんて一週間の修行で大魔王を倒したから」

 

「いやいやいや、どれだけ才能に溢れてる子なのさ。ありえないでしょ。というかベル君よりも年下の子じゃないか!!」

 

「いやいやいや、信じがたいことに本当なんだよ。故郷から飛び出して一月足らずで魔王軍の団長を討ち取ってたから」

 

「いやいやいや、ありえないでしょ」

 

「まあ、正確には違うけどな」

 

「だよねえ、流石に一週間じゃ」

 

 盛りすぎだよもー、とヘスティアが言うが現実はさらにとんでもない。

 

「修行途中で魔王軍幹部が襲撃してきたから実際には3日だ(2日ちょっとかもしれない)」

 

「なんで減るんだい!?」

 

 なんでだろう。  

 

「だからベルの成長が多少早くても気にする必要なんてないだろ」

 

 ダイとポップに比べたら亀の歩みよ。

 

「そう言われたらそんな気がしなくもないけど。比較対象がおかしいような?」

 

 うんまあ、それはそう。

 

「しかし飛び抜けた才能を持ってると目立つなんて、冒険者は英雄になりたいんじゃないのか?」

 

 英雄なんてものは飛び抜けた存在だろうに。なんで他の連中と違う成長ぶりだとおかしいってなるんだよ。

 

「あー、言われてみれば確かに」

 

 俺の言葉に思うところがあるのかヘスティアは頬をかきながらそう言った。

 

「ちなみにゼノン君から見たらベル君は才能があるのかい?」

 

「ノーコメントで」

 

 人の才能を見抜くにも才能がいる。ポップの才能を見抜けなかった俺の目は当てにならない。

 

「うーん、傲慢は油断を引き寄せ油断は死を呼ぶ。けどありのまま告げないというのはベル君を騙すことになるし。しかしボクの乙女心の問題も」

 

「(乙女という年ではなかろうて)」

 

「何か言ったかい?」

 

「いや何も」

 

「となるとできることは無茶しないで、ボクを一人にしないでってお願いするくらいかな」

 

「いつの間にか俺がいなくなってるぞ」

 

「もののたとえだよ。あと恋人的なアレ」

 

「そういうのは告白してから言えよ」

 

 メルルとポップとエイミを見習え。

 

「そうなんだけど、ベル君からして欲しいかなーって思ってるんだ」

 

「ベルにはスキルにも出るくらい惚れてる女が」

 

「お黙り」

 

「ウス」

 

 それにしてもベルは幸せものだな。これだけ気にかけてくれる女がいるんだからよ。

 

「あ、そうだ。聞きたいんだけど、ゼノン君はベル君に武器を作る気はないんだよね」

 

「そもそも鍛冶場が無いと打てないんだが、しばらくはねえな」

 

 俺が打つ武器を充分に扱える冒険者ってのは何レベルからなのかね?

 

「でもベル君は自分に合う武器があればもっと前に進めるんだよね」

 

「ここの相場と武器の質はまだ知らねえが、懐具合で選んだ武器が最適とは限らねえからな」

 

 それが装備を購入する際に一番面倒な点なのだ。武器や防具は使い手の実力から強すぎても弱すぎてもいけない。だが、仮にちょうど良い程度の装備があったとしても買えなければ意味がない。

 そこで妥協するのはごく当たり前のことだが、それでも成長を阻害している要因なのは事実だ。

 とはいえこの問題の解決は仲間に鍛冶師でもいなければ解消されないだろう。

 

「そっか、ならやっぱり」

 

 俺の言葉にヘスティアはなにやら真剣に考えだす。何かしらのアテがあるのかもしれない。

 

「ねえ、ゼノン君」

 

「なんだ?」

 

「ボクはベル君と話した後に、何日か部屋を留守にするよっ」

 

「用事か?」

 

「うん、行く気のなかったパーティーに参加して神友に少し頼み事をしようと思ってね」

 

「(ベルの為のナニカか)、おう気を付けて」

 

「それでさ、ゼノン君はボクにナニカして欲しいことはないかな?」

 

「(ベルの為だけ何かするってのは差別してるみたいで嫌なのか。しかしなあ)じゃあ帰りに卵買ってきてくれ」

 

 ヘスティアの気遣いは察せるが、現時点の生活に俺は満足している。ダンジョンに行く気もないから装備もいらんしな。

 

「おつかいっ!?

 もっと大変なことでも良いんだよっ」

 

「なら黄身が大きいヤツを選んできてくれ」

 

 卵を魔石灯にあてて透かせば黄身が見える。一つ一つを選別するのは手間だからやってもらうとありがたい。

 

「やっぱりおつかいじゃないか」

 

 ガックリと落ち込むヘスティアの姿がなんだかおかしくて笑ってしまう。

 良い装備品なんてくれなくて良い。

 ベルに対してに比べたら何もしてやれないと気にしなくてもいい。

 仲間としてファミリアとして気にかけてくれてる事実だけで、俺は充分満たされるのだから。

 

「ねえゼノン君、ボクは君も大切な家族だと思っていることは忘れないでね」

 

「よーくわかってるよ」

 

 救いを与える存在ってのは自分がどれだけ救っているのか無自覚で困るよ。





 ベル・クラネルの成長速度。
 確かに早いには早いし、ぶっちゃけ主人公より早いけどダイとポップに比べたらまだマシ。

 ダイ(12歳)
 血筋がとんでもなくて、デルムリン島にてブラスさんによる呪文契約と魔法使い教育をされ、島をモンスター達と遊び回っていたとはいえ、2日と少しの教育で後は実戦で成長した。
 下手したら魔王軍六軍団長獣王クロコダインには島を出て10日足らずで勝利している(竜の紋章の覚醒と神の涙の助力もあったが)。

 ポップ(15歳)
 ダイより1年ほど長く修行している魔法使い見習いの少年。ダイと出会うまで自分から弟子入りしたのにやる気がなかったらしい(これだけ天才ならある意味仕方ない)。つまり鍛冶屋(恐らく店番はしても鍛冶修行はしていない)の息子が、1年の旅と2日の本気、あとは魔王軍との激闘の日々で、人類最高の魔法使い・大魔道士となり大魔王バーンすら驚愕させてみせた。

 ダイの大冒険
 調べたらダイがデルムリン島から旅立って86日間の出来事らしい。
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