ダンジョンにダイの代わりに爆死した兄弟子がいるのは間違っているだろうか(なおヒュンケルでもポップでもない)   作:規律式足

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「そんでドチビ、ゼノンのヤツの素性やけど」

「異世界から迷い込んだ英雄だね」

「ずいぶんあっさり暴露するやん」

「だってゼノン君、ヘルメスにもバラしたって言ってたから」

「よりによってアイツかい。そら世界中に暴露したのと大差ないやん」

「なんだよねー」


 というやり取りがロキとヘスティアの間にはあった感じです。



第60話

 

 神の宴の主催者、太陽の神アポロンにより全裸告白が会場に痛すぎる沈黙を作る中、その状況を打破せんと動き出した一柱の神がいた。

 

「俺がガネーシャだっ!!」

 

 その神の名はガネーシャ。

 オラリオ二大巨頭に次ぐ大ファミリアの主神にして民衆の守護神と謳われる神格者である。

 

「これもガネーシャだっ!!」

 

 彼はアポロンと肩を組むとある部位を指差しながら叫ぶ。

 

「皆、ガネーシャさっ!!」

 

 そして周囲に向けて手を広げ、痛い沈黙を無くそうと、空気を盛り上げようと高らかに叫ぶ。

 

「オーイエー!!」

 

「フンッ」

 

 そんな主神にツカツカと近寄り当身をかます眷族。都市有数の苦労人にしてガネーシャ・ファミリア団長である彼女は自らが敬愛する主神の意識を落とすと米俵のように肩に担いだ。

 

「すまん邪魔した。

 ウチの主神は痛い沈黙に耐えられんタチでな。そんな空気になると叫びだすタイプなんだ。アポロンのポロンがガネーシャなのは気にしないからこのまま続けてくれ。

 ただ、」

 

 すると彼女は一旦言葉を切り、

 

「コレをネタに我が主神を馬鹿にする者がいた場合、一柱一人問わず『ガネーシャの刑』に処すから覚悟しておけ」

 

 そう宣言してから主神を回収して彼女は去っていった。都市の憲兵、大衆の味方である彼女達にとって笑い者にされることは恥ではない。時に娯楽を提供し笑顔を生み出すことだって彼女達はやってみせるのだから。

 だけど馬鹿にされることは許さない。

 確かに奇行目立つ、会話が通じぬことがある神ではあるが、彼女やガネーシャ・ファミリアの眷族にとって如何なる神々より尊敬する存在なのだから。

 一柱と一人が去ってから、ベル・クラネルの返答を待つ全裸のアポロン。

 だがガネーシャの絡み以外にも語る神がいた。

 

「人の子は意中の相手に告白する際に厳選した『花束』や『宝石』を手渡す」

 

「通りすがりの解説神!?」

 

「それは何故か?花束と宝石が高いから、希少価値があるから?いいやそうじゃない」

 

「何を言い出してんのお前?」

 

「『美しい』からだ。

 人の子は『美しい』モノが相手を喜ばせることを知っているのだ」

 

「そらそうだろ」

 

「そして我ら神々、とりわけ容姿に自信のある神は己こそがこの世で一番『美しい』と確信している」

 

「ナルシスト多いよな?つうか元ネタはアポロンの同郷じゃね?」

 

「ゆえに全裸告白。アポロンは渡されて嬉しいモノ、『美しい』モノをリトル・ルーキーことベル・クラネルに渡そうと全裸になったのだ」

 

「いやその考えはおかしい」

 

「なんと凄まじい告白なのだ、これはオラリオ中に流行るな」

 

「ガネーシャ(お巡り)さんこっちです」

 

 アポロンによる全裸告白の意図は一柱の神により見事に解説された。

 なおアポロン自身はありのままの自分を見て欲しかっただけでそんな意図はなかったとか。

 

 

 

 さて、そんなアレコレがあった中。

 さらに某美しき銀髪の女神が心から溢れるお気に入りのウサギにとんでもないモノ(全裸とガネーシャ)を見せられたことによる怒りで額に青筋を浮かびだしたところ、

 ついに告白されたベル・クラネルは口を開いた。

 

「ごめんなさい」

 

 きちんと角度をつけて頭を下げた綺麗な礼。

 アポロンの奇行による反射的な拒絶ではなく、真剣に考えたうえで、ベル・クラネルはその告白を拒絶した。

 

「僕は男性を恋愛対象に見れませんので、その想いには応えられません」

 

 さすがに想い人が居るとは言えなかった。

 周りに観衆が居すぎる上、当の本人がこの場に居るからだ。

 ランクアップしたとはいえまだ彼女の横に居るには足りない。いつか彼女の横に立ちたい。

 ダンスを一緒に踊り、素顔の彼女に触れ合えたと感じたからよりその想いは強くなった。

 この場では性別を理由にしたけど、後で想い人が居ることをアポロン様にきちんと伝えようと決心し、ベル・クラネルは断ったのだ。

 

「・・・・・・そんな」

 

 ガクリとショックから膝をつくアポロン。

 同時に会場内に同じような衝撃を受けた人物がいた。

 

「馬鹿な、アポロン様の告白を拒絶しただと」

 

 その者の名はヒュアキントス。

 アポロン・ファミリア団長にして『太陽の光寵童』の二つ名を持つレベル3の第二級冒険者である。

 

「そら仕方ないんじゃね?」

 

「なるほどアポロン様を拒絶するほどの精神力。それこそが世界最速ランクアップの秘密というわけだな」

 

 隣の同輩の小人族の言葉を意に介さずにヒュアキントスは納得していた。

 

「いやそれならオラリオにレベル2が溢れてるだろ」

 

「そんなことはあるまい。私が同じことをして頂けたら、躊躇わずその場で服を脱ぎ、アポロン様に愛を誓っていただろう」

 

「あのさ、お前レベルでアポロン様に忠誠を誓ってるのファミリア全体でも1割程度だからな?普通にドン引きしてるヤツばかりだって認識しろよな?」

 

「何を戯けたことを、アポロン・ファミリアたるもの全員が私と同じことをするに決まっている」

 

「・・・・・・小人族のオイラを見出してくれた事には感謝してるけど、他の団員との温度差に改宗したくなるよな」

 

 そんなやり取りを挟みつつ状況は動く。

 

「ふ、そうか。断られたのか。私はまた振られてしまったのだな」

 

「「「「さすが【悲愛】!!」」」」

 

「だが!!それでその程度で諦めたらアポロンではない!!そうだろう、皆の衆っ?!!」

 

「「「「しらんがなっ!!」」」」

 

 膝をついたアポロンはガバりと立ち上がりそう叫んだ。私は諦めないと、高らかに。

 

「ヘスティアよ」

 

「な、なんだい?服を着てガネーシャしまいなよ」

 

 グリンとベル・クラネルの主神であるヘスティアを向いたアポロンは、

 

「君に、ベルきゅんを賭けた『戦争遊戯』を申し込むっ!!」

 

 彼女に宣戦布告を告げる。

 

「今振られたばかりなのにっ!!」

 

「振られた程度で諦めるアポロンではないのだよ。私のこの愛を受け入れて貰えないのならば、眷族としてベルきゅんを手元に置いて愛でるまで、愛でて愛でて愛で倒すまでよっ!!」

 

「悪癖がまたでたなあっ!?」

 

 ヘスティアの悲鳴が会場に響き渡ったそうな。

 

「君も大変やなベル坊」

 

 そしてそう宣言され『戦争遊戯』のきっかけとなりショックを受けるベル・クラネルを、彼とさほど付き合いのなかったロキがそっと慰めるように背を撫でるのであった。

 





 アポロン告白からの周りの反応?反応です。

 ガネーシャは沈黙に耐えられないのでボケても場を盛り上げようとします。
 ガネーシャ・ファミリア団長のシャクティは、そんな主神を慕っていますがツッコミ(物理)はします。
『ガネーシャの刑』、どんな刑罰なのやら。

 全裸告白の理由。
 作者はこんな適当理屈を考えるのが好きだったりします。解説神は適当なモブです。

 ナルシストの元ネタ。
 ギリシャ神話のナルキッソスだとか、彼は水仙になったらしいです。そう考えると水仙を愛でることに抵抗がでますね。

 戦争遊戯理由。
 強引ですがアポロンですし。
 告白をベルが受けいれてたら普通に、普通に?恋愛していたとか。
 ゼノンについては次回に、視点を変えたいので短いですが切ります。
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