ダンジョンにダイの代わりに爆死した兄弟子がいるのは間違っているだろうか(なおヒュンケルでもポップでもない)   作:規律式足

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 ゼノンなんですが、案外チョロいです。
 ダイの大冒険時代はそこまででは無かったんですが、ダイとの出会いから最後でかなり絆されました。
 そんな一面が見れる話です。



第61話

 

【戦争遊戯】ウォーゲーム。

 対戦対象の間で規則を定めて行われる、派閥同士の決闘、否戦争。眷族を駒に見立てた盤上遊戯の如く、対立する神と神が己の神意を通す為ぶつかり合う総力戦。

 言うなれば、神の『代理戦争』。

 勝利をもぎ取った神は敗北した神から全てを奪う、命令を課す生殺与奪の権利を得る。団員を含めた派閥の財産全てを奪いとることが通例である。

 尤も、団員に関しては新たな主神のお眼鏡に叶わなければ良くて追放、悪ければ処分される。ギルドの介入により無駄に高レベルな冒険者を処分することは止められてしまう場合があるが、戦争遊戯中に戦死することも多いそうだ。また神に関してはオラリオ追放が殆どで、よほど恨まれていたら送還される場合もあるそうだ。

 とりあえず、俺が知る限りの情報はこんなとこか。『遊戯』なんて名称がついているところから、派閥間戦争を娯楽に落としこんだんだろう。

 ギルドに中立機関としての戦力が無いことから、無秩序だった派閥間戦争を【戦争遊戯】にしたのは、最強として長らくオラリオに君臨していた、ゼウスとヘラ・ファミリア。

 なにかをしでかしたら力尽くで止める存在がいないと暴力的な催しは成り立たないからな。

 多分だが、本来なら派閥間戦争は全て、現在ギルド側と敵対している闇派閥残党との戦いのように手段を選ばないものだったんだろう。

 それを【戦争遊戯】にして、都市民を巻き込ませない形にしたのではないかと思う。

 まあ元から娯楽の為に下界に来た神々だから直ぐにその提案は呑んだのだろうが。

 実際、今現在にしても。

 

『アポロンがやらかしたァー!!』『すっげーイジメ』『ロリ巨乳のとこ、レベル2が一人にレベル1が二人だろ?』『アポロンのトコは団長がレベル3で眷族百人超えだっけ?』『逆に見てみたい』『なお彼は全裸のままである』『一部ガネーシャだけどね』『新たな伝説爆誕かな?』『神話だと割と普通だけどね』『むしろありふれてすらある』。

 

 と周りの神々は大盛りあがりだ。流石は娯楽好きのサボ連中、ニヤニヤと笑いだして面白いことになったと囃し立てている。共として連れてこられた眷族なんかは主神の姿に呆れたり、一緒に盛り上がったり、ドン引きしたり、と反応は様々だが。

 タケミカヅチやミアハやヘファイストスなどの付き合いのある神々は不快そうに顔を歪め、ロキとヘルメスは何やら考えこむようにじっと黙り、ヤンデフレイヤは明らかに静かにキレていた。だって付き人であるオッタルがデカい身体で忙しなくご機嫌とろうと皿に乗せたケーキを持ってオロオロしてるし。

 

「さあ、ヘスティア!!返答や如何に!?」

 

「その前にアポロン、俺から一つ良いか?」

 

 だがまあ、そんなこと申し出されて俺が黙っている訳にはいかんだろ。

 俺は頭に巻いたねじりはちまきを取りながら、溢れる怒りを込めてアポロンを睨みつける。

 そんな俺の気配を感じたのか気押されたのか、前に居た連中はアポロンまでまっすぐに道を空けた。

 

「アンタには世話になってきた。俺の手慰み程度の石像を評価して対価を払ってくれていた。食事がまかない飯の残りとジャガ丸君ばかりだった俺達がこうしてきちんと飯を食えるようになったのも、食費の半分近くをアンタからの稼ぎで出せるようになったからだ」

 

「なあドチビ、食費の半分って、そこまで出されてたらもう傘下派閥やん?」

 

「ボクも今まで知らなかったんだよ。ゼノン君は神同士の関係と付き合いを気にして仕事相手を秘密にしていたから。よりによってアポロンだったとは驚きだけど」

 

「石像なら顔を見れへん?」

 

「なんか魔法でぼやかしてたんだよ」

 

 そんな気の抜けるロキとヘスティアの会話は置いておくとして、

 

「だが、俺の身内を奪おうとするってんならいくら付き合いがあろうと、お得意様だろうと、許さねえぞ」

 

「ゼノンさんから身内って言われた(ジーン)」

 

「(私はどうなのかな?)」

 

 敵対か、否か。

 アポロンの次の言葉でそれが決まる。

 

「ゼノンよ、君が怒るのは無理もない。

 君がどれだけベルきゅんを大事にしているかは納品時の軽口、納品後のお茶会でよく聞いていたから知っているよ。君ったらベルきゅんとヘスティア、最近はリリルカたんの話ばかりするからね」

 

 リリルカまでロックオンされとる!?

 

「ゼノンさんが僕の話ばかりって(照れ)」

 

「む〜(私は?私は?)」

 

 いやだって身内ネタ以外話題ないし。

 

「私がベルきゅんに興味を持ったのも、世界最速ランクアップ記録で有名になったからではなく、君から話を聞いていたからだしね」

 

「ゼノン君が原因なのかい!?」

 

 そっかー、俺が原因かー。

 

「決定打は、ヘスティアが君に頼んだウサ耳バンドとウサギの尻尾を見たからだけど」

 

「ヘスティアのせいじゃねえか!?」

 

「ゼノン君も持ち歩かないでよ!?」

 

「醜い争いや」

 

 しょうがねえだろウチに置いといてベルに見られたらどうすんだよ。やっぱりイシュタルのトコに預けとくべきだったか。

 

「だがね、奪うというのは勘違いだ!!」

 

「いやベル目当てで戦争遊戯すんだろ?」

 

「確かにそうだが、私は君達から奪う気などはない!!たとえ勝とうとも財産の没収もヘスティアの追放も送還もしないともさ!!(ヒュアキントスの調べだとヘスティアはヘファイストスに莫大な借金持ちで下手したらこっちに移るからね☆)」

 

「それはまた寛大な」

 

「そうさ、ゼノンよ。私は君から何も奪わない。君はただ、私達アポロン・ファミリアという新たな家族が加わるだけ。それだけなんだ!!」

 

「新たな家族(トゥインク)」

 

「ねえゼノン君、君って真摯に接する相手に案外チョロいって弱点あるの自覚して?」

 

「あとガッツリとベル坊の貞操は奪われとるからな、騙されたらアカン」

 

「あ、それはそうか」

 

「僕の貞操忘れられてたっ!?」

 

「(貞操????後でリヴェリアに訊こう)」

 

 なんか随分とこちらに気を遣う感じで戦争遊戯を仕掛ける気なんだなアポロン。俺の実力を警戒して不興を買わないように立ち回ってるからではない感じだが。

 

「えっと、アポロン。ボクとしては戦争遊戯なんて同意できないんだけど」

 

 ヘスティアのオズオズとした拒否の言葉、お互いの同意が無ければ成り立たないゲームだからな。

 

『えーやれよロリ巨乳』『そーだそーだ』『臆病者め』『じゃお前やれよ』『アポロンの眷族多いからヤダ』『戦争遊戯ならルール次第でタイマンじゃね?』『安価で決めようぜ』『そこは話し合いだろ』『あの・・・・・・フレイヤ様がケーキをホールで食べてますけど』『現在4つ目』『なんか怖いから見ないで居たのに』『都市最強がケーキ給仕とかシュールだな』『そうか?アイツ菓子店でしょっちゅう見るけど』

 

 周りの神達もうるさいな、いや本当に。

 

「ヘスティアよ。君の拒絶はよくわかる、ゼノンだけではなく君もまたベルきゅんをとても大切にしているのだと知っているからね」

 

「いやまあそうだけど」

 

「居候していたヘファイストスの所を叩き出されて、日々ダラダラとバイトしながらその日暮らしだった君」

 

「余計なお世話だ」

 

「そんな君が、ゼノンと出会い、共に義理の息子であるベルきゅんの夢を応援する為に必死に働きだした。なんとも感動的な話じゃないか」

 

「ヘスティア、こんなに立派になって」

 

「主神殿、ハンカチを」

 

 ヘファイストスが感動で大泣きしとる。付き合いがあるからこその反応だよな。

 

「だからこそ、私もベルきゅんを得る為に全てを賭けよう!!

 私が君との戦争遊戯に負けたら、財産を全て渡し、オラリオから去ろうじゃないか!!」

 

「いやこちらの報酬吊り上げられても、逆にひくっていうかそこまでされるのはちょっと」

 

 別に追い出したいくらい憎んではないし、とヘスティアは続ける。

 

「ヘスティアが負けたら、1年後にベルきゅんの改宗をするだけ。

 私が負けたら、ホームを含めた全財産を全て差し出しオラリオを去ろう!!

 あ、望むならば私の身体だって好きにしても構わないよ?」

 

「最後はいらない、絶対いらない。

 けど、アポロン。

 そこまでするくらい、君は本気なんだね?」

 

「確かに破格の条件やね。

 戦力的(ゼノン除く)に考えたら、まあそれだけの対価は妥当やけど」

 

 いくらベルが欲しいからってなんでそこまでって思うよな。

 囃し立てる神々も唖然としてるぞ。

 

「そうさ、私はそこまでベルきゅんが欲しい!!ベルきゅんを私のモノにして愛でたい!!私は、私はっ!!」

 

 そこでアポロンは一度息を大きく吸い、

 

「ベルきゅんにウサ耳バンドとウサギの尻尾とウサギの手袋と長靴、フワフワのシャツと半ズボンを着てもらい。ウサギさん狩りゴッコをしたいのだっ!!」

 

 あと捕まえた後にくんずほぐれずハッスルしたい。とそう高らかに吠えたのだ。

 

「「「「「「ド変態かっ!!」」」」」」

 

「狩猟を司る神々に喧嘩売っとるな」

 

「もうアルテミスに射られたらいいのに」

 

「なんて素敵な発想、アポロン貴方ってば天才だったのね(でも◯す)」

 

「フレイヤ様、クリームがお顔に」

 

「もしかしてその装備も俺が作らされるのか?」

 

「断ったのに、僕は断ったのに(オロオロ)」

 

「似合いそうだから着てみたら?」

 

 そのままグダグダ空気は続き、ロキが話し合いの場を改めて設けると仕切ることでこの神の宴は幕を下ろした。

 戦争遊戯。

 やるかどうかはヘスティア・ファミリアでも話し合う必要があるからな。

 ただ俺はやるべきだと、勝ち目や利益を抜きにしてもそうすべきだと考えていた。

 





 アポロンからの戦争遊戯提案。
 戦争遊戯ならば普通の対価ですが、申し込む側から言い出すのは普通はありえません。
 ファミリア解散や眷族の改宗に触れないのはモノ扱いしたくなかったからです。ただヘスティアから要求あれば従います。

 ゼノンはチョロい。
 ヘルメスの提案呑んだのもこれが理由です。関わりの線引も、真摯に接したからかどうかがかなり影響します。
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