ダンジョンにダイの代わりに爆死した兄弟子がいるのは間違っているだろうか(なおヒュンケルでもポップでもない)   作:規律式足

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 閑話のようなものです。



第91話

 

「「「「ふぅ~」」」」

 

 オラリオ二大派閥が一つロキ・ファミリア。ダンジョン攻略の最前線を突き進む探索系ファミリアであるかれらはその実力と名声からオラリオの有事において最大戦力として動かねばならない。

 世界の中心とも称されることもあるオラリオにおいてトラブルは日常であるが、彼らが動くほどの事態と言えば邪神率いる闇派閥関連。

 かつてオラリオを暗黒期と呼ばれるほどに最悪の治安とした者達。因縁あるそれらの痕跡を見つけたならばファミリアに最も重要なダンジョン攻略を差し置いても動かねばならない。

 ダンジョンの蓋ともいえる迷宮都市オラリオあってこそダンジョン攻略は成り立つ。積み重なった怨恨とギルドからの依頼もありロキ・ファミリアは都市の憲兵であるガネーシャ・ファミリアと共に闇派閥に立ち向かうのであった。

 そんな忙しない日々の合間に、ロキ・ファミリア首脳陣である三首領と主神であるロキは休憩の為にティーブレイクをしていた。

 ロキ・ファミリア立ち上げの最古参。

 腐れ縁とも盟友とも言える者達の寛ぎの一時。

 

「たまには休まんと身体がもたんわ」

 

「調査も神経使うよね」

 

「ああ、英気を養わねば」

 

「けれど儂は茶より酒じゃな」

 

 ふぅ~。

 

「ねえ、リヴェリア」

 

 ジジババの茶会かよと口の悪いベート・ローガ辺りは呟きそうなその空間に来訪者が現れた。

 

「どうしたアイズ?」

 

 愛娘も同然な少女の登場に、百歳近いハイエルフは年相応の笑みを浮かべて一口茶を啜る。

 親子のやり取りだねえ〜、と他3名も穏やかにだらけながら眺めていると。

 

「身請けってなあに?」

 

「ブフーッ!!」

 

 アイズの質問の衝撃でリヴェリアは口に含んだ茶を吹き出し対面に座るロキにぶちまけてしまう(なお他二名は直感により即座に退避した)。

 

「ギャーッ!!痛っ!!アッツ!!リヴェリアの毒霧はご褒美やけど、アッツ!!痛っ!!目がああ!!」

 

 レベル6の毒霧攻撃(口に含んだ水分の放出)ともなればかなりの衝撃。直撃したロキは椅子ごと床に倒れ込み勢いよく頭を打ち、熱さと目に襲いかかる刺激にゴロゴロとのたうち回る。

 

「見えてるんだその目で」

 

「閉じてるかのような糸目なのにのう」

 

 ロキは主神であり本来は敬う存在だが、立ち上げメンバーである三首領からすれば悪友に近い間柄。ゆえに真面目な場面でない限りこんな扱いである。

 

「ど、ど、どうしたんだアイズ!?」

 

 ロキ・ファミリアにて純粋培養(本人の希望もあり戦闘重視)されたアイズ・ヴァレンシュタインの情緒は年齢より遥かに幼い。

 そんな彼女の言葉に母親も同然な(独身未婚)は狼狽しながらも問いただす。

 

「レフィーヤが、ベルがイシュタル・ファミリアの女の人を身請けしたって騒いでたから」

 

 先日のエルドラド・リゾートの一件。【リトル・ルーキー】ことベル・クラネルのやらかしはついにロキ・ファミリアの耳にまで入ってしまったようだ。

 その衝撃の一報に、何故かベル・クラネルに対抗意識のあるレフィーヤ・ウィリディスは荒ぶり、ロキ・ファミリア男性陣は若いのにやるなあと尊敬と羨ましさを感じていたとか。

 

「なっ!?ベル・クラネルの年齢でそんなことはまだ早いだろう!?親であるゼノンはいったいどんな教育をしているんだ!?」

 

 他派閥ではあるが何度も顔を合わせてそろそろ保護者意識が生まれつつある兎のような少年の行動にリヴェリアは激しく動揺し、そして保護者は何をしていると叫ぶ。

 

「ゼノンならむしろ推奨するんじゃないかな」

 

「似たもの父子じゃ」

 

「目がああああ!!」

 

 そんな小人族とドワーフのコメントは耳に入らず、保護者仲間と思っていた男にハイエルフは憤る。

 なおゼノンはゼノンでその日にカジノで大勝ちしてオーナーが囲っていた美姫達を奪い取った、という話が流れていた。

 

「ええい!私は今からゼノンに保護者として、親として子の教育について話し合ってくる!!」

 

「いつから保護者仲間になったんだい」 

 

「独身未婚じゃろうがお前」

 

「・・・・・・少しはウチを心配してや」

 

 ドタバタと部屋から駆け出るリヴェリア。そんな彼女の姿を見て呆気に取られたアイズだが、

 

「ねえ、だから身請けって何?」

 

 今度は質問先を残る三人に切り替えてきた。

 ガレスがさてなんと答えるかと考えていると、小人族の英雄【勇者】フィン・ディムナは、

 

「ベル・クラネル本人に訊いてごらん?」

 

 太陽のように明るい笑みを浮かべながらそう言った。

 

「? うんわかった」

 

 その答えにアイズはそれはそうかと頷き、リヴェリアを追うように部屋から出ていった。

 

「お主は【勇者】の上に【外道】を付けろ」

 

 ベル・クラネルがアイズ・ヴァレンシュタインに懸想していることなど年長者である彼らからしたら一目瞭然。

 事情はあるだろうと想い人から身請けについて訊かれるベル・クラネルはどう慌てふためくだろうか。

 悪友のそんな邪悪な所業にガレス・ランドロックはドン引きながら、その計算高さと垣間見える腹黒さからお前なんか【外道勇者】が相応しいと言う。

 

「そうかな?リリルカさんを侍らしているのに身請けなんかする彼には良い薬だと思うけど」

 

 ヘスティア・ファミリア所属の小人族の少女に目をつけているフィン・ディムナは黒い笑みを浮かべながらそい言った。

 

「なあ、ホンマ最後までスルーとか泣くでウチ」

 

 ロキ・ファミリアの休憩はもう終わる。

 先日のイシュタル・ファミリアから得た情報に調査結果をあわせ、闇派閥の拠点【クノッソス】へ攻め入る時は間近に迫っていた。

 

 





 補足・説明。

 クノッソス編前のロキ・ファミリアサイドです。後はヘスティア・ファミリアで春姫加入を書いてから、クノッソス編開始かなと。
 犠牲者は減らしたいがどこまでゼノンを絡めさせるか悩みどころです。
 

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