ピカピカ勇者ちゃんとドロドロパーティ   作:ブナハブ

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魔法使いちゃんは光がお好き

「……うぅぅ」

 

 森の中、ルーチェはビクビクした様子で歩き続けていた。

 リリアを連れ戻すという名目で好奇心のままに森の中へ入ったルーチェは、最初こそ新鮮な光景に楽しんでいたものの段々と恐怖が湧き始め、今や好奇心と恐怖心の比率が逆転していた。

 

「ど、どこなの? 早く出てきてよ」

 

 もうさっさと帰りたい。だけど森から出る所を大人達に見られたら叱られる。だから叱られないようリリアを連れ戻すという名目上だった目的を果たして、仕方ない事だったと言い訳する必要が彼女にはあった。

 

「〜〜〜!」

「うん?」

 

 いい加減見つかって欲しいと思ったその時、ルーチェは喧騒のような音が遠くから聞こえるのに気付いた。

 

「そこにいるの?」

 

 明らかにただ事では無さそうだが、焦りと恐怖で判断力が鈍っていたルーチェは迷わず喧騒が聞こえた方へ向かった。

 

「……ぁ」

 

 徐々に大きくなる喧騒の音、そのまま歩き続いて開けた場所に出た時、彼女は思わず声を出した。

 

「やあああ!」

 

 甲高い声で勇ましく叫んで木刀を振るうのは、ルーチェと同じ年齢ぐらいの小さな女の子……というより、リリアである。

 

 なぜ木刀なんか振って……そう疑問に思うルーチェだったが、彼女が木刀を振るう先に居る存在を見てそれどころじゃ無くなる。

 

「ギィッ!?」

 

 リリアが振り落とした木刀を喰らって苦痛の声を上げたのは、緑肌の醜悪な小鬼……ゴブリンである。

 

「モ、モンスター!」

 

 人類の敵、モンスター。その中でも弱い部類に入るのがゴブリンだ。子どもほどの背丈で力も見た目相応と、村の大人でも倒せるのがゴブリンというモンスターである。しかし脅威である事に変わりなく、集団で来られたら厄介だし、一体だけでも子どもが敵う相手かと聞かれたら違うだろう。

 

「ギギギィ……!」

「……」

 

 しかし今、初めて見るモンスターに足がすくんで動けないルーチェの目の前で、ルーチェと同い年である筈のリリアが勇敢にゴブリンと戦っていた。

 

「ギィヤッ!」

「……ッ」

 

 脳天に木刀の一撃を受けたゴブリンは、しかし何するものぞと言わんばかりにリリアへ突撃する。

 

「ふんッ!」

 

 リリアはそれをゴブリンの背後へ回り込む形で回避し、そのままゴブリンの背中へ木刀を振るう。

 

「ギギィ……イイイヤッ!」

「イッ!?」

 

 背中への一撃に若干怯むゴブリン。しかしすぐに立ち直り、振り向きざまに持っていた小石をリリアの木刀を握る手へぶつける。

 

「〜〜〜!」

「ギヒィ!」

 

 痛みに震えるリリアを見て、ゴブリンは勝ちを確信する。

 ゴブリンの狙いは、手を攻撃してリリアに木刀を手放させる事にあった。武器さえ無ければ、自分より力の劣るコイツに負ける筈が無い。そう思っての行動だが、相手は予想外の行動に出た。

 

「……ッ!」

 

 なんとリリアは、手放しかけた木刀をガッチリと握り直したのだ。それだけに飽き足らず、彼女は目の前の敵を倒さんとすぐに攻勢の構えを取っていた。

 

「ギィ!?」

「はあああ!!!」

 

 一切の怯えを持たずに立ち向かおうとするリリアの気迫にゴブリンは怯み、その怯んだ隙を突くかのように彼女は渾身の一撃を解き放った。

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 倒れ伏し、パックリと割れた頭から血を流し続けるゴブリン。それをリリアは呼吸を荒げながら見つめる。

 

(か、勝っちゃった)

 

 自分と同年代、しかも同性の子どもがモンスターを討ち倒す。そんな光景を見たルーチェは、素直にリリアの事を凄いと感じた。

 

「はぁ、はぁ……ふふ」

 

 そんなリリアは、拳から血が流れているというのにふと嬉しそうな笑みを浮かべる。

 

(え、なんで笑って……?)

 

 その様子を見てルーチェが疑問を覚えた次の瞬間、リリアは握る木刀を天高く突き上げて力いっぱいに叫んだ。

 

「パンパカパーン! リリアはレベルアップした!」

「わっ!?」

 

 唐突に叫ぶリリア。そんな彼女に注目していたルーチェは思わず驚きの声を上げていた。

 

「え!? だ、誰かいるの?」

「あっ……」

 

 その声をリリアに聞かれて不味いと思うルーチェだったが、いや別に隠れる必要も無いだろうとすぐに思い直して大人しく木の裏から姿を見せた。

 

「君は、確か村の……えーと」

「……ルーチェ」

「そうルーチェ! 村の子とはあんまし関わりが無いけど、ボクと同い年の女の子だから覚えてたんだ」

「覚えてなさそうだったけど」

「……あはは」

 

 図星だったらしく、言い返せないリリアは曖昧な笑みを浮かべた。

 

「えっと、ボクはリリアだよ」

「知ってる」

「あ、そうなの? なんだかごめんね、ボクだけ覚えれてなくて」

「……」

 

 ちょっぴり申し訳なさそうにするリリア。前から薄々思っていた事だが、やはり彼女は村人達から避けられている事に気付いてないらしい。

 

「こんな所で何してたの?」

「こっちのセリフなんだけど。私は……森に入ったあなたを連れ戻しに来た」

「あ、そっかー。ごめんね、ボクのせいでこんな危ない所に来させちゃって」

 

 本当は単なる建前でしか無かったのだが、リリアはそれを信じて再び申し訳なさそうにする。

 

(なんだか、思ってた子と違う)

 

 遠くから見ていた時は意味不明な事を言いまくる危ない奴にしか見えなかった。しかしこうしてきちんと話してみると、考えていたほど危ない人間じゃないなと思う。

 

「それで、なんでモンスターと戦ってたの?」

「ああ、えっとね、ボクは将来勇者になりたいんだ。だからその為に強くなろうと思って」

「……ねえ、勇者ってなに?」

 

 案外話が通じると分かったルーチェは、以前から気になっていた事を尋ねてみる事にした。

 

「強くてカッコいい、沢山の人達を助けれる人の事だよ!」

「それって英雄様のこと?」

 

 人類の最高戦力、英雄。国から英雄と認められた者は総じて一騎当千を可能とする真の実力者であり、彼らは常にモンスターや魔族と最前線で戦っている。

 

「うーん……ちょっと違うけどまあ、そんな所かな?」

「ふーん」

 

 ゴブリンで苦戦するんじゃ英雄なんて無理だろうなと冷たい考えを抱くルーチェは、ふともう一つ気になる事があったのを思い出して続けて質問する。

 

「さっきのセリフ、なに?」

「え?」

「ゴブリンを倒した時、何か言ってたじゃん」

「あー、あれ?」

 

 その事を聞かれたリリアは、何故だか自慢げに胸を張って答えた。

 

「レベルアップした時のメッセージを自分で表現してみたんだ」

「メッセージ? いや、そもそもレベルアップってなに?」

「レベルが上がる事! つまりは強くなったって事だよ!」

「強く……モンスターを倒すとレベルって言うのが上がるの?」

「まあ、基本的にどのRPGもそうだね」

「あーるぴー……もういい」

 

 話していくうち、段々と心が冷めているのが分かる。やはり彼女はおかしな奴だ。何を言ってるのかさっぱりだし、何より最後の質問の答えがあまりにも馬鹿げている。

 

「ねえ、本当にそんな事思ってるの?」

「……?」

 

 言っても無駄だろうと思いつつも、ルーチェは目の前の現実を知らないバカに言ってやらなきゃ気が済まなかった。

 

「モンスターを倒しただけで強くなるなんて、そんなのある訳ないじゃん」

 

 子どもなのになんて夢の無い発言をするんだと思うだろうか? いいや違う。こんな話、子供騙しにすらなっていない。

 この世界は厳しい。モンスターという脅威が蔓延り、魔族という悪意がのさばる。どこも自分が生きるのに精一杯で、夢を語る暇なんて無い。それは子どもにも当てはまる事で、村の子ども達は皆が将来村で手に職付ける為に日々頑張っている。

 

(私もお家の仕事手伝ってるのに、なんでコイツだけ好き放題してるの?)

 

 考えるほどに苛立ちが湧く。そうだ、そうだった。村人達がリリアを避けているのは、単に変人というだけでは無かった。

 

 眩しすぎるのだ。彼女はいつだって未来を楽しく語る。笑顔で勇者に……英雄になるんだって、そんな夢物語を堂々と語る。今を生きるのに精一杯な村人達にとって、その姿はあまりにも眩しすぎたのだ。

 

「レベルなんて都合の良いものは無い。モンスターと戦ってたら強くなるなんて事も無い。そもそもゴブリン相手に苦戦するんじゃ、英雄なんてなれる訳ないでしょ」

 

 眩しい。眩しすぎる。見てられない。早くその輝きを消して欲しい。その一心でルーチェは彼女の語る全てを、未来を否定していった。

 

「……」

 

 ルーチェの言葉を聞いたリリアは、先ほどから見せていた太陽の如く輝く笑顔を消す。その代わり、月明かりのような優しい微笑みをルーチェに向けた。

 

「ボクもさ、RPGをプレイしていた時に思ったんだ。なんであの世界の人達はモンスターを倒すだけでレベルが上がるんだろうって」

「なにを言って」

 

 急に何を言い出すのか、困惑するルーチェを置いてリリアは語る。

 

「それでどうしてかを考えて、こう考える事にしたんだ。彼らはレベルアップした時、自分の成長を自覚したんだって」

「……成長を、自覚?」

「うん。強い相手を倒した、前は負けた相手に勝てた。それで自分が強くなってる事に気付いて、そこから自分の眠っていた力や新しい可能性を見つけれて、更に強くなれる。……ほら、これってレベルアップした事にならない?」

「……」

 

 そう言われた時、ルーチェは思わず納得してしまった。現実味の無いと思っていたレベルという概念が、途端に近しく感じられた。

 

「ルーチェの言った通り、ボクの言うレベルは物語の中の話で、本当に存在はしていないよ。けどさ、こうして無理やりでもこじ付けでも現実的に考えたらさ、本当にあると思わない? 身近に感じれるというか何というか」

「う、うん」

「ボク、RPGが大好きでさ。こういう風にRPG要素を身近に感じれると、すっごく楽しくなるんだ! まあだから、ボクがモンスターを倒した時にレベルアップって言うのもモチベーションを上げる一貫だね」

「……」

 

 最後まで話を聞いた時、ルーチェは自分が今まで彼女の事を表面上でしか見ていなかった事に気付く。

 彼女は現実を知らない訳じゃない。世間知らずな訳じゃない。こうして彼女が明るく振る舞えるのは、彼女が人生を楽しく生きようと努力しているからだ。

 

「……いいなぁ」

 

 再びリリアから放たれる眩い光、今度は痛いほどの眩しさは感じなかったが、代わりに一つの感情が生まれ出た。

 

「うん?」

「リリアが羨ましい。私にはそうやって生きる事を楽しめれる気がしない」

「そうかな? そこまで特別な事はやってないと思うけど」

「ううん、そんな事ない。私にはリリアの……あーるぴーじー? みたいな楽しめる物を知らないし」

 

 きっと自分とリリアの差はそこだろうと、ルーチェは考える。熱中して楽しめる物事を知っているからこそ、こうして人生を楽しめるのだろう。

 なんでリリアがRPGなんて物を知っているのかは分からない。だけど、今はとにかくリリアが羨ましかった。娯楽なんて皆無なこの村では、自分はリリアのようになれないのだから。

 

「うーん……あ、だったら遊ぼうよ! ルーチェもRPGでさ!」

 

 そう悲観に暮れるルーチェだが、次にリリアが言った言葉を聞いて思わず目を見開いた。

 

「出来るの? その、あーるぴーじーっていうの」

「いや、流石にゲームもソフトも無いからRPGは無理だけど、それと似たような物でなら遊べるよ!」

「それって?」

「ふふん、その名もTRPG!」

「てぃー……あーるぴーじー?」

 

 頭に大きなハテナが浮かぶルーチェ。RPGすら良く分かっていないのに、更に良く分からない単語が出てきた。

 

「うん、遊ぶだけなら他にも色々と思い付くけど、折角ならルーチェにもボクが好きなRPGを良く知って欲しいから!」

「……っ」

 

 そう笑顔で言われた時、ルーチェは嬉しさと同時に今まで感じた事のない喜びが湧き上がり、妙に顔が熱くなるのを感じた。

 

「うん? でもあれってRPGと一緒にして良いのかな? いやロールプレイという意味では一緒なんだろうし、ボク個人としては普通に大好きなんだけど」

「……たい」

「うん?」

 

 

「私、てぃーあーるぴーじーっていのやってみたい」

「……!」

 

 TRPGとRPGの類似性について悩むリリアだったが、ルーチェのその言葉を聞いてその思考が頭から吹っ飛ぶ。

 

「うん! 待っててね、一週間後には卓が立てれるよう用意するから!」

 

 そしてみるみるうちに表情を明るくさせて、ルーチェにそう告げた。

 

▼▼▼

 

 あの子は出会った時から変わらなかった。現実を知りながら、明るく楽しく振る舞える。子どものようで、私よりずっと大人だった。

 

……この世界は厳しい。そう思っていた。しかしあの子と関わりを持って、それが少し違う事に気付いた。

 

 この世界は厳しい。だけどそれ以上に醜い。あの子のように光を持つ者は存在せず、私欲の為に闇へと身を堕とす人間がそこら中に居る。そんな人間ばかりだから、あの村の奴らもリリアの事を異端な存在として扱い、煙たがったのだろう。

 

 時が経つにつれて、世の中を知るにつれて、あの子の尊さを実感する。そしてその価値を認めない奴らを、穢そうとする奴らを、激しく憎悪するようになる。

 

「……何度も言ってる通り、Aランクになるつもりはありません」

「しかしそれでは君の為にならんぞ。あのパーティの実力に合わせ続けていれば、折角の才能が無駄になってしまう」

 

 そう言ってギルド長は私に訴えかける。

 

「君の実力は既にAランク冒険者と遜色ないレベルだ。いや、本来ならば数年前からAランクになれる力を君は持っていた」

「……」

「悪い事は言わない。今のパーティを抜けて、その才能を磨く事に専念したまえ。そうすればSランク冒険者に至る事も君なら可能なんだ」

「それで」

 

 本当に、本当に嫌になる。

 

「それで、説得してるつもりですか?」

「……ああ、そのつもりだ」

「そうですか」

 

 席から立ち上がり、談話室の扉を開ける。

 

「まだ話は終わっていない筈だが?」

「ギルド長は、無意味な事に時間を割くのがお好きなんですか?」

「……ルーチェ様、ギルド長にそのような」

 

 ああ、ダメだ。これ以上話すのはダメだ。このままだと手を出してしまう。そうしたらあの子に迷惑を掛けちゃう。

 

「失礼しました」

 

 だから私は、何を言われようとも部屋から出た。このままだと殺しかねなかったから。

 

 

 

「……行ってしまったか」

 

 ルーチェが去った談話室の中で、ギルド長である男は小さくそう呟いた。

 

「連れ戻しましょうか?」

「いや、構わん。彼女も言ったようにこれ以上の話し合いは無駄だからな」

「そうですか」

 

 そう言われた秘書の女は、ルーチェが出て行った扉を見ながら無意味に言葉を溢す。

 

「勿体ない」

「……」

 

 その呟きに、ギルド長も心の中で同意する。

 勿体ない。そう、勿体ないのだ。ギルド長がルーチェに告げた言葉は全て本音であり、同時に紛れもない事実である。

 モンスターや魔族という脅威が蔓延るこの世界で、戦いの才能を持つ者というのは実に貴重だ。そんな中、彼女の扱う氷の魔法は必ず奴らと戦う武器になる。その気になれば、英雄となる事も出来るだろう。……その気になれば、だが。

 

「やはり、あの女が成長の邪魔を」

「その考えは止めておいた方が良い」

「……っ」

 

 言葉が漏れ出ている事に気付いた秘書は、慌てて口を噤む。

 

「確か君を育てたのは、私の前の秘書だったろうか?」

「……はい、その通りです」

「なるほど」

 

 彼女の前任者である秘書の男は、才ある者を育てるのに熱心な人物だった。そんな彼から見てもルーチェの才能には目を見張る物があり、彼が秘書だった頃は事あるごとにルーチェへ話をしに行っていた。

 

「念を押すようだが、さっきのような考えは止めておいた方が良い。特に彼女の前では決して」

「……」

「不満があるようだな? 試しに言ってみてくれないか?」

「……私には理解できません。なぜ無能を相手にあそこまで親身になれるのか、あのまま無能の相手ばかりしていれば折角の才能が無駄になってしまいます」

 

 辛辣な物言い、しかしそれをギルド長は咎めようと思わない。彼女の発言は、この世界の常識において正しい寄りだったからだ。

 

「一つ、ルーチェ嬢の事でとある話をしよう」

 

 だからこそギルド長は、咎めるのではなく忠告する。

 

「四年前、まだルーチェ嬢とリリア嬢の二人だけのパーティだった頃、彼女達は依頼で街の近くにある森に行っていた。そこで盗賊の出現という不測の事態が起きた」

「盗賊、ですか?」

 

 秘書の女が街の近くにある森と聞いて思い当たるのは一箇所だけだ。しかし本当に街近くという事もあって、盗賊が棲みつかないようあそこは騎士が定期的に見回りをしていた筈だ。

 

「盗賊が現れたのも奇妙だが、もう一つ奇妙な事に盗賊の連中はリリア嬢の事を執拗に狙ってきたらしいんだ」

「……」

「その場に居たのは彼女達だけだから真相は分からないが、明らかに殺意の差が違ったらしい。まあ、その場はなんとか切り抜けたようだが……数日後、私の秘書、つまり君の前任者が失踪した」

「……!」

 

 それを聞いた時、彼女は背筋が凍り付くのを感じた。

 

「さて、さも盗賊の件と秘書の失踪が関係ありますと言うような口ぶりだったが、実際の所は分からない。盗賊が現れた原因も、秘書が失踪した原因も、どちらも未だに分かっていない。……首謀者が居るのだとしたら、どちらも相当のやり手だな」

「……ま、さか」

 

 血の気が失せる秘書を見て、少し脅かし過ぎたかとギルド長は呟く。

 

「まあ、なんだ。あまり強硬手段は取らない方が良い。どのみち失敗するだろうし、下手すれば自分の身が危ない」

 

 私もそう何度も秘書に消えられては仕事に手が付かんからな。そう言ってギルド長はこの話を終わらせるのだった。

 

 

 

 

 

 醜い。醜すぎる。あの子という光を知った今、あの子無しでこの世界を生きようとは到底思えない。

 

 だからこそ私は、私とあの子を引き剥がそうとする奴を決して許さない。あの子の価値を貶めようとする奴を許さない。

 

 あの子は、あの子は私の光だ。誰にも奪わせない。奪おうとする奴らは全て消す。それが生きとし生けるもの全てならば、その全てを凍り尽くしてやる。絶対、絶対、絶対、あの子は誰にも渡さない。

 

───あの子は私のもの()だ。




あなたは相手の事をどう思っていますか?
(リリア×ルーチェ編)


【勇者ちゃんの場合】
ルーチェはね、すごくしっかり者なんだ! 彼女とは長い事一緒に居るけど、もうちっちゃい時からお世話になりっぱなし。特に村を出て暫くは頼りっぱなしだったなぁ、お金の管理とか偉い人との交渉とか。……多分、村を出たのがボク一人だけだったらとっくの昔に野垂れ死んでたと思う。だから本当に感謝してるんだ。村を出るボクに同行してくれた事にも、ボクの最初のパーティメンバーになってくれた事にも。……うん? 好きかって? 勿論! だってこの世界で初めての友達だもん!


ありがとうございます。



【魔法使いちゃんの場合】
そうね、率直に言うならあの子は光よ。この世の何よりも尊く、最も価値のある存在、それがあの子。ああ、言っておくけどこれは私の妄想じゃないわよ? これは事実、世界が認めるべき真理なの。それをこの世界ときたら、あの子の価値を認めない存在が多すぎるのよ。才能とか実力とか、人の表面しか見ない奴ばっかり。ああ腹立たしい。……え? あの子が好きか? バ、バカそんなのじゃないわよ! い、いえ別に嫌いな訳じゃないわよ? そう、友達として好きなの。決して恋愛的な好きじゃ……え? 好きかどうか聞いただけ? …………〜〜〜!


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