【書籍化決定】死にまくり女子高生の冥様は無自覚にゲームバランスを破壊する~運営さん、ただ死にたいだけなのにシステムが私の邪魔をしてくるんですがっ!!~   作:ミポリオン

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第015話 はじまりの街デス!!

「ひどい目にあった……」

 

 強制イベントが終わった後、帰り道で宝箱を回収していく。罠もあったけど、もう全て無効になったものばかり。今のところ私を殺してくれそうな罠はない。

 

 おじいさんから与えられたのは、称号が1つとアイテムが1つ。

 

 『大賢者の後継者』の説明には、

 

『大賢者グリムの後継者として選ばれた者に与えられる称号。全種類の魔法適性を獲得。魔法スキルの習得条件とレベルアップ条件が激減する。シークレットクエストの発動条件。選ばれるも選ばれないも大賢者の胸先三寸』

 

 こんな風に記載されていた。

 

 正直、魔法なんて使う機会がないから、ただの宝の持ち腐れだと思う。

 

 それから『大賢者の指輪』。

 

 こっちが問題だった。

 

 この指輪は、後継者の証なんだけど、魔法の効果を半減させて、魔力の自動回復速度を凄く上げる効果がある。

 

 魔力なんて使わないからどうでもいいんだけど、魔法の効果を半減させられるのは困る。

 

 おかげで、まだ魔法らしい魔法も受けていないのに、魔法で死ぬのがめちゃくちゃ大変になってしまった……ひどすぎる。

 

「明るい……」

 

 宝箱を回収し終えてダンジョンの外に出ると、太陽が辺りを照らしていた。

 

 あぁ、そっか。もう浄化されないんだ。

 

 手で庇を作って太陽を見上げた。

 

 私は陽の光の下でもダメージを受けずに立っていることができる。それがなんだか感慨深かった。

 

 さて、死ねなくなった以上、もうここに用はない。予定していた通り、街に行こう。

 

 慣れない日差しの中、私は歩き出した。

 

 森を抜けると、草原が広がっていた。奥に小さく街が見える。あれがはじまりの街みたい。

 

 草原にはちらほらプレイヤーの姿が見える。

 

 森では自分以外のプレイヤーと出会わなかったから、本当に自分以外のプレイヤーがゲームにログインしているのか分からなかったんだよね。ようやく実感できた。

 

 ただ、数はそんなに多くない。他のプレイヤーたちはもう別の街に行ってしまったのかもしれない。公開されてもう1週間くらい経つし。

 

 私は彼らをしり目に街へと向かった。

 

「こんにちは」

「こんにちは」

 

 NPCの門番さんに挨拶をすると、とても自然な様子で返してくる。

 

 その表情や動きは本当に生きた人間のようにしか見えない。大賢者グリム(おじいさん)といい、この兵士さんといい、信じられないくらいクオリティが高い。

 

 ひとまず万毒体の影響はなさそう。近づいただけで殺してしまったら、目も当てられない。少しホッとした。

 

 街の門は現実と変わらない程リアルでとても立派。だから、何も言わずに街に入るのをためらってしまった。

 

「どうかしましたか?」

 

 挙動不審だったのか、兵士さんが声を掛けてくる。

 

「このまま入っていいんですか?」

「勿論ですよ、異邦人さん。ようこそ、はじまりの街へ」

「ありがとうございます」

 

 確認してみると、快く迎え入れられた。

 

「この吸血鬼め!!」と兵士さんたちに追いかけ回されて殺されてしまう、という展開も少し期待したけど、そんなイベントは起こらなかった。

 

 残念。

 

 そんなイベントがあるなら、一度くらい森の復活ポイントに戻らされてもよかったんだけどな。またいつかにお預けかな。

 

「ここがはじまりの街……」

 

 門を潜ると、ヨーロッパの古い街が思い浮かぶような、異国情緒あふれる街並みが広がっていた。それに、現実では見ることができない多種多様な種族の人たちが行き交っている。

 

 私はその光景に言葉を失った。

 

 しばらく眺めていると、少し気持ちが落ち着いてくる。私はおのぼりさんみたいにキョロキョロしながら街を歩いていく。

 

 大通りには屋台が並んでいてとても賑やか。NPCやプレイヤーたちがお店を出しているみたい。

 

「ん?」

 

 周りの人たちが私を見ている気がする。一瞬、勘違いかと思ったけど、その視線が交わるのは間違いなく私だった。

 

 あぁ~、そういうことか。

 

 そこで気づく、私は今、下着姿みたいなものだったな、と。

 

 他の人たちはカッコいい服や、立派な装備を身に着けている。その中に私みたいな白Tにハーフパンツのプレイヤーがいれば、浮くのは当たり前だった。

 

 だからと言って、装備を身に付けたりはしない。防御力なんていらないので、今後もずっとこのままでいくつもり。

 

「あれは!!」

 

 他人の視線を気にするのをやめて、再び歩き始めると、にんにくを扱っている店を発見。

 

 にんにくは吸血鬼の弱点の1つ。すぐにでも食べて死んでしまいたい!!

 

 でも、私はその衝動をぐっとこらえた。

 

 だって、そんなことをすれば、ここまでやってきた過程が水の泡になるから。

 

 街に就いたら、ポータルという所謂(いわゆる)セーブポイントに当たるものを開放して登録しないと、また森の中からのスタートになってしまう。

 

 それに、森の中で起こしたミスを繰り返してはいけない。まずはアイテムを失わないように、倉庫に預けるのが先。

 

「すみません」

 

 私は近くの女性プレイヤーに話しかけた。

 

「わ、私ですか?」

「はい。つかぬ事をお聞きしますが、倉庫はどの辺りにありますか?」

「倉庫ですか? それなら――」

 

 プレイヤーは少し驚きながらも倉庫の場所を教えてくれる。

 

「ありがとうございました」

「いえいえ、気にしないで」

 

 親切な人で良かった。

 

 私は倉庫に向かい、()()()()を預けた。

 

「これで後はポータルを開放するだけ」

 

 逸る気持ちに突き動かされ、早足になる。そして私はようやく、街の中心にある女神像とそれを囲む泉へとたどり着いた。

 

 女神像がポータルらしい。

 

 多数のプレイヤーがたむろしてるけど、彼らには目もくれずに女神像に近づいていく。

 

『ポータルを開放しますか?』

 

 泉の前までやってくると、ウィンドウが浮かんできた。

 

『はい』を選択すると、通知が届く。

 

『ポータルが解放されました。クエストが完了しました』

 

 ただ、身に覚えのないクエストも完了した。

 

 クエストとは、ゲーム内でNPCから依頼されるお使いや、人々から持ちかけられる依頼のこと。

 

 今回の場合は、システムから出されたゲームのチュートリアル的な依頼、というのが正しいと思う。

 

 クエスト画面を開くと、『街へ行こう』というクエストを完了したことになっていた。

 

 そういえば、私はログインした瞬間、太陽に焼かれて死んだ。それから死ぬことばかりを追い求めていた。

 

 そのせいで、生きている時に聞こえてきた通知以外なんにも見てない。だから、チュートリアルクエストを受けていたことにも気づかなかった。

 

 報酬は『干し肉』が10個。なんでこのアイテムなの? とりあえずいらないので、このまま放置。

 

 これでポータルの登録は完了。もう憂いはない。そろそろ我慢の限……界……。

 

「あははははっ!!」

 

 目の前の泉に飛び込んだ。

 

「あ゛か゛か゛か゛か゛か゛か゛か゛か゛っ!!」

 

 私は流水に晒されてすぐに死んだ。






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