【書籍化決定】死にまくり女子高生の冥様は無自覚にゲームバランスを破壊する~運営さん、ただ死にたいだけなのにシステムが私の邪魔をしてくるんですがっ!!~   作:ミポリオン

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第022話 誰がボスを殺したか

『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』

……

……

……

 

「もう最悪……」

 

 通知が鳴り響いているけど、ボスを倒してしまったのがショックで全然頭に入って来ない。

 

 私に触れれば毒が発動する。だから、物理攻撃には当たりたくなかった。だけど、まさか毒が回る前に確率で反射するはずのカウンターが発動して、ボスが消し飛んでしまうなんて……。

 

 もしかしたら、物理攻撃がただ反射されるだけじゃなくて強化されてるのかもしれない。

 

 本当にいつもいつもシステムは私の邪魔しかしない……。

 

 私が怒りに震えていると、誰かが声を掛けてきた。

 

「あ、あの~」

「何?」

 

 振り返ると、私が助けた女の子だ。

 

 いけないいけない、ついイライラして当たってしまった。

 

 どこかに逃げたとばかり思っていたけど、近くに隠れていたみたい。

 

 少し長めに息を吐いて気持ちを落ち着ける。

 

「先ほどは助けていただいてありがとうございました」

「んーん、気にしないで」

 

 最初に丁寧な言葉を使わなかった手前、そのまま押し通す。

 

「あの、私はノラと申します。よろしくお願いします」

「メイ、よろしく」

 

 ノラは三角帽子とローブを纏った女の子。魔女っ娘スタイルという言葉がよく似合う。

 

 ただ、黒髪のロングヘアーで、整った顔立ちをしていて、佇まいからお淑やかで清楚な雰囲気が滲み出てる。

 

 そして、彼女の帽子やローブの留め具、杖などにドクロがあしらわれている。もしかしたら、好きなのかもしれない。

 

 ノラは目を輝かせながら顔を寄せてきた。

 

「とてもお強いんですね。何も装備してないのに、ボスを倒しちゃうだなんて」

「そんなことない」

「いえいえ、あれほど強そうなボスを倒してしまうなんて本当にすごいと思います」

 

 私としては不本意でしかないので、困惑するしかない。でも、相手の気持ちを無碍にするのも悪い。

 

「そう、ありがと」

「いえ、それであの……本当に不躾なお願いがあるんですが……」

 

 女の子がモジモジしながら私に尋ねる。

 

「何?」

「ボスのドロップアイテムを譲っていただけないでしょうか?」

 

 何事かと思ったけど、全く大したことじゃなかった。

 

「別にいいけど」

「そうですよね、ダメですよね……え、いいんですか!?」

 

 他のプレイヤーなら欲しいのかもしれないけど、私にとっては全然必要ない。ノラにあげても何も問題ない。

 

「うん」

「あの、それなら、ボスの骨をいただけると嬉しいんですけど……」

「いいよ」

 

 骨なんてなんの使い道もないし、売っても二束三文にしかならなそう。欲しいならいくらでもあげたい。

 

 私は落ちているドロップアイテムを拾い、骨を彼女に渡した。

 

 ただ、手渡しだと危険なので、プレイヤー同士の取引画面を呼び出して、システムを介している。

 

「ありがとうございます!! 勿論ただとは言いません!! 私は実は生産職をしてるんです。何かお役に立てることはございませんか?」

 

 防御力が上がってしまう装備なんて私には不要。でも、ダメ元で聞いてみよう。

 

「能力を下げたり、耐性や称号効果を無効化したりする呪いの装備なら欲しい」

「なんと!? 呪いの装備ですか!? まさかこんなところに同士が!!」

 

 ノラが急に眼の色を変える。

 

「どういうこと?」

「実は私、呪いのアイテムを作ってるんです。呪いのアイテムっていいですよねぇ。おどろおどろしい見た目が可愛いし、浄化しないと外せないところが征服感があって……うふふっ」

 

 清楚な見た目とは裏腹に恍惚の表情を浮かべるノラ。

 

 ノラは呪いの装備が好きみたい。ドクロが好きなのも納得。私が死が好きなのと同じなのかも。

 

 まさかこんなところでこんな逸材に出会えるとは思わなかった。絶対装備を作ってもらわないと。

 

 私はノラに詰め寄った。

 

「本当?」

「は、はい、ここに来たのも呪いのアイテムの素材を探していたからなんです」

「そうなんだ。どんなアイテムが作れるの?」

「そうですね、今はまだスキルのレベルが低いので大したものは作れませんが、状態異常を付与したり、特定の攻撃に弱くさせたりできます」

 

 それだけ聞ければ十分。

 

 私は逸る気持ちに突き動かされてノラの首根っこを掴む。

 

「じゃあ、それ作って」

「え?」

「行くよ」

「きゃああああああああああっ!!」

 

 そして、街へと走りだした。

 

 

 ◆   ◆   ◆

 

 

「皆、そろそろ目撃情報があった場所だ。ボスを探してくれ」

『了解!!』

 

 煌びやかな鎧を身に纏う青年が指示を出すと、仲間たちが一斉散っていく。

 

「初めてのフィールドボスは僕が倒してみせる」

 

 彼らは攻略組のチームの一つだ。沢山の犠牲者を出した、強いと噂のボスモンスターを倒すためにやってきた。

 

『ユニークフィールドボス:ディザスターキマイラが討伐されました』

 

 しかし、突然彼らの耳に凶報が鳴り響く。

 

「バカな……」

 

 まさに寝耳に水。

 

 青年を含め、仲間たちも困惑の表情を浮かべている。

 

 それもそのはず。

 

 彼らは正式公開前にゲームをプレイしていたテストプレイヤーで、その当時からトッププレイヤーとして君臨していた。

 

 他のプレイヤーたちも知らない沢山の情報を持っている。だから、今でもゲームを最速で攻略できていると考えていた。

 

 しかし、その彼らでさえ複数のパーティを組んで戦わなければ、倒すことが難しいはずのユニークフィールドボスが、たった今何者かに倒されてしまった。

 

 到底信じられることじゃない。

 

「きゃあああああっ!!」

 

 青年が呆然としているところに、初期装備すら着ていない女の子と魔女っ娘スタイルの女の子が通りがかった。

 

「す、すまない」

「ん? 何?」

 

 呼び止められた女の子が首を傾げる。

 

「この辺りに()()()()()()()()ボスモンスターがいたはずなんだけど、誰が殺したのか、知らないか?」

「知らない」

「そ、そうか。足止めして悪かったな」

「じゃ」

 

 端的に答えた女の子は、魔女っ娘スタイルの女の子を引きずって去っていった。

 

 青年はすぐに女の子たちを思考の外に追いやる。

 

 青年は夢にも思わなかった、目的のボスモンスターを倒したのが、何を隠そう、たった今すれ違った女の子だったなんて。

 

「いったい誰がボスを殺したんだ……」

 

 青年たちは諦めて街へと帰還した。

 

 気が動転していた彼は、彼女たちの奇行にツッコむのも完全に忘れていた。






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