【書籍化決定】死にまくり女子高生の冥様は無自覚にゲームバランスを破壊する~運営さん、ただ死にたいだけなのにシステムが私の邪魔をしてくるんですがっ!!~   作:ミポリオン

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第033話 想定外

 プレイヤーさんは固まって動かなくなってしまった。

 

 もしかしてノラの装備が奇抜すぎてびっくりしたのかな? 

 

 あっ、そうだ。言い忘れてた。

 

()()()()()()()です。魔法攻撃でお願いします」

 

 ちゃんと前もって注意しておかないと。物理攻撃を反射してしまうかもしれないからね。素手だったら毒で死んじゃうかもだし。

 

「はぁ!? なんのつもりだ? 俺を騙すつもりか!?」

 

 固まっていたプレイヤーさんが、私から距離を取って剣を構えた。

 

 なんだかすごく警戒してる。なんでだろう。全然身に覚えがない。

 

「騙すつもりなんてないんですけど……」

「そんなこと言って本当は俺を殺すつもりなんだろ?」

 

 どうやらプレイヤーさんは私がバトルロイヤルでいい成績を残すことが目的だと思ってるみたい。

 

 それは大きな勘違い。

 

「だから、そんなことしません。私はイベントの成績に興味はありません。殺されたいだけなので」

「うるせぇ、そんなわけあるか!! こうなったら先手必勝。()()()()()()()なんだろ? へへへっ、良いこと聞いたぜぇ。くらぇえええええっ!!」

 

 否定したのに、なぜかプレイヤーさんは襲い掛かってきた。しかも私の忠告を無視して剣で。

 

 ――ガキンッ

 

 当然だけど、斬撃無効によって弾かれる。

 

 予想できなかったのか、プレイヤーさんは目を大きく見開いた。

 

「なっ!?」

 

 ――バシュンッ

 

「あっ」

 

 その直後、プレイヤーさんの上半身が吹き飛び、支えを失った下半身がその場に倒れる。そして、キラキラと光を放ちながら消えていった。

 

 キマイラの時と同じように一発目で()()()を引いてしまったみたい。本当に運が悪い。幸いプレイヤーを倒しても経験値が入らない。それだけが救い。

 

「物理攻撃はダメだって言ったのに……」

 

 バトルロイヤル中に死ぬと、バトルフィールド内にランダムで復活する。生き残った人じゃなくて、死んだ数とプレイヤーを倒したポイントによって勝敗が決まる。

 

 プレイヤーさんもまた別のどこかで蘇っているはず。

 

 もし報復に来るなら、今度は魔法で攻撃してくれればいいんだけど。

 

 私は気を取り直して別のプレイヤーさんを探し始めた。

 

 廃墟の外は森。はじまりの森を思い出す。

 

 歩いているとプレイヤーさんを見つけた。今度は魔法使いっぽい。物理攻撃がもうほとんど効かない私にとって念願の相手。

 

 魔法使いさんは辺りを窺うようにキョロキョロと警戒している。

 

「すいませーん」

「え?」

「私を殺して――」

「ウィンドカッター!!」

 

 気にすることなく声を掛けると、魔法使いさんから風の刃が飛んできた。

 

 まさか最後まで言わなくても私の要望を分かってるなんて助かる。

 

 私は避けることなく、手を広げて魔法を受けた。

 

 ――ズバババババッ!!

 

 緑色をした三日月形の斬撃が私に向かって飛んできて直撃。

 

 これで私も死ねる……はずだった。

 

「あれ?」

 

 だけど、なぜか全然ダメージがない。

 

「もう一度お願いします」

「な、なんなのよ!! ライトニング!!」

 

 私に向かって稲妻のような閃光が(ほとばし)った。

 

「おかしい……」

 

 直撃したけど、やっぱりダメージがない。

 

 キマイラの時もそうだ。まだ耐性を得てない属性の魔法なのにダメージを受けなかった。

 

 これはどう考えてもおかしい。

 

 大賢者の指輪によって半減されるとしてもダメージがゼロになることはないはず。

 

 なんでダメージを受けないんだろう。でも、いくら考えても分からない。

 

 ひとまず他の魔法も試してみよう。

 

「他の魔法もお願いします」

「どうなってるのよ、なんで魔法が効かないの!? アースランス!!」

 

 魔法使いさんが喚きながら別の魔法を唱えた。

 

 ――ゴゴゴゴゴゴッ

 ――ドォオオンッ、ドォオオンッ、ドォオオンッ

 

 辺りがグラグラと揺れたかと思うと、地面から岩の槍が飛び出してきて私を狙う。でも、その全てが体に当たった瞬間、砕けて消えた。

 

 他にも色々試したけど、どの魔法も私にはダメージを与えられなかった。

 

「はぁ……はぁ……もう嫌ぁ」

「大丈夫ですか?」

 

 疲れ切ってへたり込んでしまった魔法使いさんの側に腰を下ろして尋ねる。

 

 その瞬間、魔法使いさんは懐からナイフを取り出して、私に向かって突き立てた。

 

「あはははっ、油断するのが悪いのよ!!」

 

 ――ガキンッ

 

 勝ちを確信した魔法使いさんだけど、残念ながら刺突無効が攻撃を弾いてしまう。

 

 耐性がなかったら今ので死ねたのに……。

 

 悔しくて仕方ない。

 

「な、なんで……」

 

 ――バシュンッ

 

「あっ」

 

 魔法使いさんは呆然としたまま、反射によって消し飛んでしまった。

 

 また一発……どれだけ運が悪いの……。

 

 私は自分の運の悪さを呪った。

 

「はぁ……」

 

 それにしてもどの魔法もノーダメージなのは完全に想定外。

 

 これからどうしよう……いや、まだ諦めるのは早い。もっといろんなプレイヤーさんに頼んでみよう。

 

 それから私はプレイヤーさんと会うたびに殺してもらおうとした。でも、その悉くが失敗。

 

「ぐぁあああああああっ!!」

 

 ある格闘家さんは私に触れて毒で死に、

 

「はぇ!?」

 

 ある弓使いさんは弓を反射されて死に、

 

「ふぉああああっ」

 

 ある黒魔法使いさんは私にしかけた精神攻撃を跳ね返されて死んだ。

 

 いろんな人が私に挑んできたけど、結局私は死ねなかった……。

 

「なんで……」

 

 私はその場に崩れ落ちる……。

 

 せっかくイベントなら死ねると思って期待してたのに……絶対許さない!!

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ」

 

 それもこれも訳の分からない称号やスキルを作った運営のせいだ!! 後で7部作の怨念を込めたメッセージを送ってやる!!

 

「見つけたぞっ!!」

 

 私が怒り狂っていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

 頭を上げると、私に最初に倒されたプレイヤーさんの顔が見える。それだけじゃない。十人以上のプレイヤーさんたちが徒党を組み、私を取り囲んでいた。

 

「撃てぇ!!」

 

 私に向けていくつもの魔法が放たれた。

 

 あぁ、これならきっと……!!

 

 私の視界が真っ白に染まった。

 

 





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