【書籍化決定】死にまくり女子高生の冥様は無自覚にゲームバランスを破壊する~運営さん、ただ死にたいだけなのにシステムが私の邪魔をしてくるんですがっ!!~   作:ミポリオン

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第035話 蹂躙

 私は手当たり次第に見つけたプレイヤーさんたちを倒していった。

 

 そして、近くに残ったプレイヤーさんはたった一人。私はその人に近づき、止めを刺そうと手を伸ばす。

 

 ――ガキンッ

 

 だけど、何者かに阻まれて弾き飛ばされてしまった。

 

 私と最後の一人の間に立っていたのは、剣士風のプレイヤーさん。剣士さんは気障っぽく笑って私に剣を向けた。

 

「俺が来たからにはもうお前の好きにはさせねぇよ」

 

 ただ、最初は皆大体こんな感じ。でも、私にダメージを与えられないと知ると、怯え始める。この人は違うと良いんだけど。

 

「好きに?」

「あぁ、優勝するのはこの俺だ」

「私はただ死にたいだけなんですけど……」

 

 この人は何を言ってるんだろう。私はそんなものに興味ないのに。

 

「そう言って、プレイヤーを殺して回っているじゃねぇか」

「それが死ぬのに最短だと思っただけです」

「ちっ、話が通じねぇらしいな。まぁいい、殺せば済む話だ」

「殺してくれるんですか? お願いします」

 

 この人が殺してくれるならそれがいい。大事なのは死ねるかどうかなんだから。

 

「その言葉、後悔するなよ!! おいっ、そこのやつ!!」

 

 剣士さんは私から目を逸らさずに助けたプレイヤーさんに話しかける。

 

「は、はい?」

「さっさと失せろ」

「わ、分かりました!!」

 

 プレイヤーさんは困惑しながらも走り去った。

 

 残されたのは私と剣士さんのみ。辺りに一陣の風が吹く。

 

 剣士さんが剣を構えた。

 

「俺はクラスト。お前は?」

「メイです。よろしくお願いします」

「それじゃあ、いくぞ」

「いつでもどうぞ」

 

 私は攻撃を受けるために無防備に手を広げる。

 

「舐めやがって。はっ!!」

 

 クラストさんは他のプレイヤーさんたちと同じように斬りかかってきた。ちょっと違うと思っていたのに少し残念。

 

 ――ズバッ

 

「!?」

 

 でも、クラストさんは予想を超えてきた。

 

 私は思わず目を大きく見開く。だってクラストさんの剣は斬撃に耐性がある私の体に傷をつけたから。

 

「驚いたか? この剣には防御力無視、斬撃耐性貫通の能力があるんだ。そして俺には反射を無効化する特殊な力がある。お前のことは少し観察させてもらった。どうにも攻撃を反射してるようだったからな。俺はお前の天敵ってわけだ。ははははっ、今更怖気づいたりしないよな?」

「はいっ、驚きました。殺してもらえそうで嬉しいです」

 

 まさかそんな武器があるなんて知らなかった。嬉しくなってテンションが上がる。

 

 クラストさんなら私を殺してくれるかもしれない。

 

「ちっ、どこまでもおちょくりやがって。死ね!!」

 

 ――ズバァッ

 

 クラストさんが袈裟斬りに私の体を深く斬り裂いた。私の体から血が飛び散る。

 

 あぁ、この痛みと快楽の狭間……良いっ!! でもまだ足りない。

 

 このくらいなら高速再生で治ってしまう。

 

「もっと強く」

「はぁああああっ!!」

 

 再びクラストさんは私の体を斬り裂いた。

 

「もっと斬って」

「うるせぇっ!!」

 

 クラストさんは何度も何度も私を斬り裂く。徐々に私の体の再生の方が追い付けなくなる。

 

 あぁ……やっとここで死ねるんだ……。

 

 徐々に遠くなっていく意識の中、少しずつ死の快感が近づいてくるのを感じた。

 

 早く……早く、私を殺して。

 

「ん?」

 

 でも、突然、クラストさんの攻撃が止む。どうしたのかと思ってクラストさんの方を見ると、クラストさんの顔が真っ青になっていた。

 

「くそっ……てめぇ騙しやがったな……」

 

 クラストさんは今にも倒れそうな顔色で声を絞り出す。

 

 そして、その顔には私の血がべっとりとついているのが見えた。

 

「あぁ……」

 

 そこでクラストさんが毒に侵されてしまったんだと理解する。その間に私の体は再生され、死が遠のいていく。

 

「まさか……血を流すために……斬らせてたとは思わなかったぜ……」

「いえ、そんなつもりは……」

 

 それは大きな勘違いだ。私も今回は死ねると思って何もしなかったのに。こんな落とし穴があるとは思わなかった。

 

「次は負けねぇからな……ぐふっ」

 

 クラストさんはその場に倒れて光になって消えていった。

 

「はぁ……」

 

 念願の死があとほんの少しだったのにお預けされてしまえば、ため息も出るというもの。

 

 でも、いくら嘆いたところで死は帰ってこない。

 

 クラストさんはまた来てくれるって言ってたし、次は対策してきてくれると思う。今度こそ死ねるはず。

 

 私は気持ちを切り替えて次のプレイヤーさんを探すことに。

 

「フレイムピラー!!」

 

 だけど、歩き出した瞬間、私は巨大な炎の柱の中に閉じ込められていた。

 

「まさかあのクラストがやられるとはね。でも、いいタイミングだったわ」

 

 炎に包まれているせいで見えないけど、外から女性の声が聞こえてくる。

 

 なんだか勝ちを確信しているように聞こえるけど、私には炎熱耐性があるので一切ダメージがない。

 

 私は炎の柱の中から外に出る。

 

 外に立っていたのは、南国の踊り子みたいな露出の多い格好をしたお姉さん。お色気が溢れ出していて、レーナとは気が合いそう。

 

「あの~、私に炎は効かないので他の魔法にしてもらえませんか?」

「えっ!?」

 

 魔法使いさんに声を掛けたら、ひどく驚いた顔をされてしまった。

 

「とびっきり強い魔法をお願いします」

 

 魔法使いプレイヤーさんたちの協力もあって、大半の魔法が私には効かないことが分かっている。

 

 だから、今まで使われたことのない、もっと強力な魔法じゃないと私には意味がない。

 

「くっ、まさか私のフレイムピラーが効かないなんて……仕方ない。私のとっておきを見せてあげるわ!! ビッグバンッ!!」

 

 お姉さんが私に杖を向けると、私の頭上に光が収束し始める。その力はこれまでの魔法とは比べ物にならない力を感じた。

 

 これは期待できそう。

 

 ――キーンッ

 

「うっ」

 

 突然私を耳鳴りが襲う。

 

 ――ドォオオオオオオンッ

 

 そして、次の瞬間、世界が爆発した。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

 私の体を凄まじい痛みが襲う。

 

 やっと……やっと、私にダメージを与えられる魔法に出会えた。

 

「はぁ……はぁ……これでどう……」

 

 朦朧とする意識の中、この辺り一帯に巻き上がった砂煙が晴れて魔法使いさんが姿を現す。

 

 地面に膝をついて満身創痍といった様子だ。

 

 今の爆発で手足の感覚がない。もしかしたら吹き飛んだのかもしれない。これでようやく……今度こそようやく死ねる。後一撃……後一撃ダメージを受けさえすれば、めくるめく死の世界に旅立てる。

 

 私はそう思っていた。

 

「がはっ……ごほっごほっ……なんで……」

 

 でも、私の思惑はまた外された。

 

 お姉さんは突然顔を真っ青にしてその場に倒れてしまう。そして、体が徐々に回復していくと共に私の意識も明確になっていく。

 

 そこでさっきの爆発を思い出した。

 

 私の体の一部を吹き飛ばし、粉々にした光の爆発。何もかも消し飛ばしてしまったように見えるけど、実はそうじゃない。

 

 塵のように目に見えない程細かくなった私の体や血液がこの辺りの空気に紛れ込んでしまった。

 

 多分それを吸ったお姉さんは毒にやられてしまったんだと思う。

 

 まさかまたこんな方法で死ねなくなるなんて……まさに青天の霹靂。

 

「そん……な……」

 

 お姉さんは力のない瞳で私を見つめた後、光になって消えていった。

 

「うぉおおおおおっ、今度は俺が相手だ!!」

「私が相手よ!!」

「違います。僕が相手です!!」

 

 その直後、また別のプレイヤーたちがやってくる。

 

 皆もクラストさんやお姉さんみたいに少し強い人たちなのかも。

 

「ぐはぁっ!!」

「ごほっごほっ、なんだこれは!?」

「ぐわぁああああああっ!!」

 

 でも、すぐに悲鳴が聞こえてきた。多分も風に乗った毒を吸ったらしい。

 

 彼らもすぐに死んで消えていく。

 

 私はその場に一人取り残されてしまった。





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