【書籍化決定】死にまくり女子高生の冥様は無自覚にゲームバランスを破壊する~運営さん、ただ死にたいだけなのにシステムが私の邪魔をしてくるんですがっ!!~   作:ミポリオン

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第040話 天国から地獄へ

 翌日。

 

「くふふふふっ」

 

 私は最高の気分で朝を迎えていた。

 

 ――ドンドンドンドンッ

 

 でも、その気分は玄関の扉を激しく叩く音で霧散してしまう。

 

 ドアを開けると、晴愛が怒鳴り込んできた。

 

「めぇええええええええいっ!!」

 

 晴愛は血走った眼で私を睨みつける。

 

 なんだろう。晴愛が怒るようなことをした覚えはない。

 

「何?」

「あんた、またやらかしたね!!」

「ん? もしかしてイベント優勝のこと?」

 

 全く予想してなかったけど、私は初めてのイベントで優勝してしまった。

 

 死にたかっただけなのにおかしいよね。

 

「それもそうだけど、ちっがぁああああう!! これよこれ!!」

「なになに?」

 

 晴愛は以前やったようにまた掲示板を見せてくる。

 

 軽く読んでみると、そこには、私のイベント中の行動がどう見ても魔王にしか見えない、とか、イベント中に自死しまくるヤバいプレイヤー、という内容が書き込まれていた。

 

 後者は身に覚えがないこともないけど、前者はまったく分からない。

 

「死んでもおかしくないとは言ったけど、殺してくださいはないでしょ!!」

「ん? それが魔王と何か関係あるの?」

 

 私の中で二つが全然結びつかない。

 

「あるに決まってるでしょ!! 冥の言い方は、倒せるもんなら倒してみろって相手を挑発しているようにも聞こえるの。そして、その後プレイヤーを全員瞬殺してるから魔王にしか見えないって言われてんのよ」

「へぇ~、なるほど」

 

 私としてはただ殺して欲しかっただけなのに、他の人からはそんな風に見えるんだ。また一つ勉強になった。

 

 でも、魔王か……。

 

 魔王といえば、基本的にどの物語でも主人公サイドが倒しに行くラスボスとして有名……ということは、魔王っぽいふるまいをすれば、皆が勝手に私を殺しに来てくれるのでは?

 

 ふっふっふっ。

 

 また1つ良いことを聞いてしまった。

 

 今度は前みたいに顔に出さないようにして、内心でほくそ笑む。

 

「戦うのが前提のイベントなのに、いきなり殺してくださいって言われたら困惑するよ」

「そう?」

「そうなの!! それに普通に挑んだ方が相手も攻撃してきてくれたはずだよ。バトルロイヤルなんだから」

「あっ、確かに」

 

 そっか、晴愛に言われて気づいた。最初から普通に戦ってれば、相手から勝手に攻撃してくれたのか。次から気を付けよう。

 

「……後、人前で自滅するのは止めなさいよ」

「えぇ~」

 

 私が死んでも誰かに迷惑をかけるわけじゃないからいいと思うんだけどなぁ。

 

「えぇ~、じゃない!! あれ、他のプレイヤーも見てるんだよ!! 見てる人のリアリティ設定がデフォルトならその人からはマイルドになって見えるけど、それでも明らかにおかしな行動をしている人に見えるんだからねっ!!」

「バトルロイヤル中だよ?」

 

 バトルロイヤル中はいくら死んでもおかしくないって言ってたはずなんだけどなぁ。

 

「なおさらだよ!! 戦って死ぬならまだしも、バトルロイヤル中に自分から死ぬ人なんていないの!! 点数が減るからね」

「あっ、そういうこと」

 

 私は順位にこれっぽっちも興味がなかったけど、他の人達は上位を目指してイベントに参加していた。

 

 そういう参加者たちは、自分で自分のポイントを減らすような行為はしない。私の行為が異常に見えても仕方ないか。

 

「なんか微妙に勘違いしてる気がするけど、疲れたからもういいや……」

「大丈夫。分かったから」

 

 晴愛に説教を受けた後、私たちは家を出た。

 

「じゃあ、スキルや称号が弱体化するの?」

「うん、これでまた死ねる」

 

 通学中、今度は私の話をする。

 

 イベント後に届いた運営からのメッセージには、耐性スキルや称号を弱体化するという内容が。そして、後日改めて直接謝罪したいと記載されていた。

 

 謝罪の意味が分からない。だって、弱体化してくれるなんて最高のご褒美でしかないから。バトルロイヤルで優勝したことより嬉しい。怒りのメールが功を奏したのかもしれない。

 

 謝罪は不要なのでお断りした。 

 

 うふふふっ、もうできなくなった死に方もまたできるんだよねぇ。楽しみ。早くログインしたいなぁ。

 

「良かったね。でも分かってると思うけど、テスト終わるまでゲーム禁止だからね」

「くっ……分かった」

 

 ワクワクしている気持ちに晴愛が水を差す。

 

 でも、約束は約束。私はテストが終わるまでゲームを我慢することにした。

 

 

 

 

 長い長い禁欲生活を経て、私はテストを乗り切った。まだ結果は出ていないけど、以前と遜色のない成績を維持できていると思う。

 

「いひひひひっ……やっとこの日が来た……いひひひひっ」

 

 私は家に帰りついた瞬間、ゲームにログイン。

 

 テスト明けくらい何も考えずにゲームをしてもいいはず。

 

 私は早速死ぬことにした。

 

 私の無効系のスキルは消え、耐性のレベル10の状態で止まっている。限りなくダメージは減っているけど、死ねないことはなくなった。

 

 無効系のスキルは()()()()()()()()()()()()()習得できなくなったらしい。少なくとも死んでいるだけでは習得しないとのこと。

 

 詳しい条件は教えてもらえなかったけど、死んでるだけで習得しないのなら問題ない。

 

 だけど、やっぱり最初は何も考えずに盛大に散りたい。それにはまだ克服していない弱点で死ぬのが1番。

 

 なんだかプレイヤーさんたちがこっちを見てる気がするけど、私は気にせず今まで避けていた場所に向かう。

 

「ようこそ、迷える子羊よ。今日はどうされましたか?」

 

 そこは教会。

 

 ここで売っている聖水を買うため。神聖属性は弱点の一つ。私は凄まじい気持ち悪さを我慢しながら聖水を買えるだけ購入した。

 

「これでよし」

 

 宿屋にチェックインして、お風呂に聖水を目一杯溜める。これで準備オッケー。

 

 私はすぐに聖水風呂に飛び込んだ。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ」

 

 久しぶりに感じる死の快感……それは格別だった。

 

 復活する度に何度も何度も飛び込んで、久しぶりの死を目一杯堪能した。

 

『聖属性耐性が上限に達しました』

 

 その結果、耐性が上限に到達。スキルが弱体化したこともあり、今までよりも長い間楽しむことができた。

 

「ふぅ」

 

 欲が満たされてスッキリした私はベッドに座って一息つく。

 

 やっぱり死ぬのって最高。次は何で死のうかなぁ。やっぱり死にやすい毒死かな。

 

 死の余韻に浸っていたその時、再び通知が届いた。

 

『条件を満たしました。強制進化します』

「は? うっ!?」

 

 呆けた後、体の内側をまさぐられているかのような激痛が私を襲う。

 

 数分後、痛みが治まった。

 

 そして、さらに通知が届く。

 

終焉を齎す吸血姫(アポカリプスヴァンパイアプリンセス)へと進化しました』

 

 気づけば、以前進化しなかった真祖よりもヤバそうな雰囲気のある種族に進化していた。

 

 私は嫌な予感がしつつもステータスを開く。

 

 そこには最悪の説明が記載されていた。

 

『吸血鬼を統べる真祖さえ従える、全てを超越した吸血鬼の姫。吸血鬼が持つ弱点を克服するどころか、全てを力に変え、圧倒的な力で世界を蹂躙する』

 

 説明を読んだ私は力の限り叫ぶ。

 

「うんえぇえええええええええええいっ!!」

 

 

 

 





いつもお読みいただきありがとうございます。

これにて一章完結となります。

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