【書籍化決定】死にまくり女子高生の冥様は無自覚にゲームバランスを破壊する~運営さん、ただ死にたいだけなのにシステムが私の邪魔をしてくるんですがっ!!~   作:ミポリオン

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二章開始します。


第041話 死を超越する友情

 テストの結果が返された。

 

 私はちゃんと上位をキープ。これでゲーム没収の危機は去った。心置きなくゲームができる。

 

 安堵していると、晴愛がワクワクした様子で私に声を掛けてきた。

 

「ついに明日だよ!!」

「うん」

「早くログインしたいなぁ」

 

 それもそのはず。晴愛が2回目の抽選で当選して、晴れてゲームが届くから。これでようやく一緒にプレイすることができる。

 

 私も届く前はドキドキして夜も眠れなかったなぁ。

 

 当時を思い出して懐かしい気持ちになった。

 

「晴愛はどんなキャラにするか決めた?」

「まだ悩み中。種族がいっぱいあってなかなか決めらんないんだよねぇ」

「気持ちはわかる」

「だよねぇ」

 

 ITOはキャラクターメイクの選択肢が多すぎて戸惑う。私も下級吸血鬼という種族がなければかなり悩んだと思う。

 

 新しいソフトを買わない限りキャラの作り直しはできない。次に買えるのはいつになるか分からないから実質できないのと同じ。

 

 だから、この選択はとても大事だ。しっかり考えてから決めて欲しい。

 

「無理して明日ログインしなくてもいい」

「んー、大丈夫。ある程度は絞ってるから。明日ゲームが届くまでには決めておくよ」

「分かった」

 

 晴愛の中ではある程度決まっているようなのでこれ以上何も言わない。

 

 明日を楽しみに待つことにした。

 

 

 

 

 翌日。

 

 帰宅した後、ログインしてポータルの前で晴愛が来るのを待っていた。

 

 なんだか周りから視線を感じる。もしかしたらこの前のイベントのせいかな。話しかけてくるわけじゃないから放っておこう。

 

「メイ……だよね?」

「うん。晴愛?」

 

 私に話しかけてきたのは、純白の鳥のような翼を持ち、頭の上に光輪を持つ、いわゆる天使という種族のキャラクターだった。

 

 金髪碧眼で私とは真逆な印象の見た目をしている。

 

 声は現実と同じだし、容姿もあまり変わっていないから晴愛で間違いないと思う。

 

「キャラクター名はセーラだから、ゲーム内ではセーラって呼んで」

「分かった。フレンド申請しておく」

 

 ひとまずお互いに連絡が取れる状態にしておく。

 

「了解。とりあえず、ここは人が多いから場所を変えましょ」

 

 セーラが顔を近づけてコソコソと小さく呟いた。自分たちに注目が集まっているのが気になるらしい。

 

 私も否やはない。私たちは宿屋の客室に移動した。

 

「まさか天使を選ぶとは思わなかった」

「天使は回復職。蘇生魔法を覚えれば、メイが死んでもすぐに蘇生させられるでしょ? それなら死に戻りしなくて済むじゃん」

 

 晴愛は私のために天使を選んでくれたみたい。折角だから私のことなんて気にせず遊んでほしかったんだけどな。

 

 でも、晴愛の気持ちも嬉しいので否定したりしない。

 

「ありがと」

「どういたしまして」

 

 感謝を告げると、晴愛は嬉しそうにニッコリと笑った。

 

 どうやら私の選択は間違っていなかったらしい。

 

「これからどうするの?」

 

 お互いにそれぞれのベッドに腰かける。

 

 今日の予定はセーラに合わせるつもりだったので、特に何も決めていなかった。

 

「決まってるじゃない。耐性を得るまで毒死するよ」

「でも、普通に触れるよ」

 

 万毒体は万毒血へと変更され、毒なのは血のみへと変更されている。

 

 そのため、ただ体に触れただけで死ぬようなことはなくなった。だから、別に毒死して耐性を得なくてもうっかり死んだりしない。

 

 もう無理に毒耐性を取る必要はない。

 

「それはそうだけど、約束だからね!! それに可能性は低いけど、メイが血を流している時に触れてしまわないとは限らないし。取っておくに越したことはないよ」

「そう……分かった。ちょっと待ってて」

「了解」

 

 セーラの決意は固い。それなら、もう私にできるのはできるだけ苦しまずに死んでもらうことだけ。

 

 倉庫に預けていたデスグラスを全部取り出して戻ってきた。

 

「これが毒……」

 

 デスグラスを一つ渡すと、セーラはゴクリと喉を鳴らす。セーラの手が震えている。やっぱり無理をしているみたい。

 

 セーラは他の人たちにとって死ぬのは大変だと言っていた。それはセーラも同じはず。

 

「やめとく?」

「ううん、食べる。私とメイの友情はこんな草に負けたりしないんだから!!」

 

 私が尋ねると、セーラは意を決した表情で勢いよくデスグラスを口に含んだ。

 

 そして、咀嚼せずに飲みこむ。

 

「あひぃっ!!」

 

 セーラは白目を剥いてその場に倒れたかと思えば、消えてしまった。

 

 そしてすぐにベッドの上で復活。ゆっくりと目を開く。その直後、セーラは突然体をガバリと起こすと、顔を青くして息を荒くし始めた。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 セーラの焦点が合っていない。

 

「大丈夫?」

「だ、大丈夫……うぇええっ」

 

 心配になって背中を擦っていると、セーラはその場で嘔吐してしまった。

 

 出すものがないので何も出ない。だけど、何度も何度もえずいて辛そうだ。そんな姿のセーラを見ていたくはない。

 

「もういいよ。無理しなくて」

「やだっ……諦めない……」

 

 止めさせようとしてもセーラは頑として譲らない。これ以上言っても無駄みたい。

 

 私も覚悟を決めた。

 

「はぁ……どうなっても知らないから」

「大丈夫。私は負けないから……次出して」

 

 セーラは口持ちを拭い、手を差し出す。

 

「分かった」

「あひっ!?」

 

 デスグラスを受け取ったセーラはすぐに飲みこんでまた死んだ。 

 

「あへっ!?」

「あがっ!?」

「あぐっ!?」

 セーラは苦しそうな顔をしながらもひたすらに死に続ける。

 

 その姿を見るのは心苦しい。でも、不謹慎?かもしれないけど、死ねるのがとても羨ましかった。

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……あははっ……耐性……手に入れたよ……」

 

 それから何時間も死に続けた結果、セーラは耐性を手に入れた。

 

 セーラは力のない笑みを浮かべる。

 

 私が死んでいた時よりもはるかに回数が多かった気がする。もしかしたら、種族によって回数が違ったり、修正が入ったのかもしれない。

 

 でも、まだ耐性のレベルは1。まだまだこれからだ。

 

 そして、さらに死ぬこと数時間後。

 

「はぁ……はぁ……耐性が上限に達したって……これで死なないよね?」

「多分大丈夫」

 

 無効状態なら効かないと思うけど、今は特殊な条件を満たさない限り、無効にはいけない。

 

 今まで耐性のスキルレベルが上限の状態では試したことがなかった。

 

「血を飲ませてみて……」

「ちょっと待って」

 

 セーラはちゃんと効果を確認しないと気が済まないみたい。私は自分の手に噛みついて血を出す。

 

 歯牙耐性も無効じゃなくなったし、私の力があれば皮膚を切り裂くくらいは簡単。

 

 口を開けているセーラの口の中に指から出る血を垂らした。

 

「うっ……はぁ……はぁ……」

 

 セーラは少し顔が青くなる。

 

「どう?」

「ちょっとだけ……ダメージを受けてるけど……どうにかなりそう」

「良かった」

 

 結果に納得したセーラ。私も一安心。

 

「ははっ……だから言ったでしょ……私とメイの友情は負けないって」

「うん」

 

 セーラは勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

 

 

 

 





いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。

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