【書籍化決定】死にまくり女子高生の冥様は無自覚にゲームバランスを破壊する~運営さん、ただ死にたいだけなのにシステムが私の邪魔をしてくるんですがっ!!~   作:ミポリオン

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第042話 一般プレイヤーの楽しみ方

「あっ、称号手に入れた」

 

 体調が良くなったセーラが呟く。

 

「どんな?」

「『神修者』。自らを痛みと死の中に置くことで、神へと至る修練の道を歩み始めた天使に与えられる称号みたい。魔法の効果を高め、スキル習得速度を早めてくれるらしいよ。幸先いい。まさか死にまくって手に入れられるとは思わなかったけど」

「ふーん」

 

 自分が強くなるのは全く興味がないけど、友達が強くなっていくのはなかなか面白い。私も死にまくって色々なスキルや称号を手に入れた。種族ごとに違ったスキルや称号が手に入るのかもしれない。

 

「よっと」

 

 セーラがベッドから飛び下りて体をほぐす。

 

「これからどうするの?」

 

 元々死ぬしか目的がないので予定はセーラに任せる。

 

「やっぱり冒険者ギルドに登録してクエストやってみたいかな」

「わかった。案内する」

 

 私たちは宿を出て街にくり出した。

 

「改めて見ると、本当にリアルだよね」

「うん」

 

 セーラが目を輝かせ、おのぼりさんのように街を見回しながら呟く。

 

 あまり興味のない私でもそうだった。ITOの世界は本当にリアルでびっくりする。

 

 異世界を舞台にした作品を嗜むセーラは、私以上に感動していると思う。

 

「ここが仮想現実の世界だなんて信じらんない。視界も匂いも音も肌触りも何もかも、私の五感全てが現実だって訴えてる。はぁ~、これからの冒険が楽しみ!!」

 

 セーラは手を大きく広げて、大きく息を吸い込んだ。全身でこの世界を感じ取っている。

 

 彼女が楽しそうにしていると私も嬉しい。

 

「ここが冒険者ギルド」

 

 数分後、目的地にたどり着いた。

 

「うわぁっ、マジで想像通りの冒険者ギルドって感じ。入り口のスイングドアとかまさにそう」

「そうだね」

 

 冒険者ギルドを見てしばらく感動に浸った後、中に足を踏み入れる。

 

「うわぁ、中もイメージ通り」

「あそこが受付」

「分かった」

 

 セーラは私が指さした先にいる受付嬢さんに声を掛け、登録手続きを済ませた。

 

「これがギルドカード!! くぅ~っ、まさに異世界での一歩を踏み出したって感じ」

 

 ギルドカードを受け取り、セーラはしばらくカードを握って喜びを噛みしめる。

 

 他の人たちもこんな風に楽しんでるんだろうなぁ。

 

 私は冒険にはさほど興味がない。だから、その喜びを分かち合えないのが少しだけ寂しい気持ちになった。

 

「嬉しそうで何より。クエストは?」

「ちょっと待って」

 

 私たちはクエストが掲載されている掲示板の前に移動。

 

 掲示板に貼られているクエストは、生産者ギルドと違い、モンスター討伐系のクエストがほとんど。後は採集系やお手伝い系のクエストが細々とある感じ。

 

「決まった?」

「うーん……これとこれとこれにしようかな」

「分かった」

 

 セーラがいくつかの依頼を取った。

 

 討伐依頼一つ一つのノルマが少ない。一つだけだとすぐに終わってしまうのでまとめて受けるらしい。

 

「それじゃあ、行こう。はじまりの森へ」

「了解」

 

 私たちは街の外に向かう。

 

「いってらっしゃいませ、異邦人さん」

「いってきます」

「いってきまーす!!」

 

 門番さんに別れを告げ、平原を歩いて先に進む。

 

「何度か話してみたけど、NPCも人間と全く区別がつかないね」

「うん」

「本当に異世界にいるみたい。早くモンスター出ないかな」

 

 毒耐性を習得してからずっとセーラのワクワクが止まらない。

 

 私も疑似的とは言え、ずっと憧れていた死を体感できてワクワクした。セーラも同じような気持ちなんだと思う。

 

「確かこの辺りにはウサギさんがいたと思う」

「あっ、見つけた」

 

 私が言うや否や、前に真っ白で頭に角を生やしたウサギさんが姿を現す。デフォルメされているような可愛らしい姿ではなく、割と獰猛そうな見た目をしている。

 

 ウサギさんはホーンラビットというモンスターだ。

 

「セーラは何を使うの?」

「私は弓」

 

 セーラは弓を出現させて私に見せた。

 

 その弓はとてもシンプルな造りで、いかにも初期装備という感じ。

 

 いつもダメージを受けている私が前に立つのがいいよね。

 

「私が引き付けるから撃っていいよ」

「分かった」

 

 私はウサギさんとの距離を詰める。

 

「キュウウウウウウッ」

 

 私に気づいたウサギさんは、後ろにパッと飛んで身構え、威嚇した。

 

 近づくのを止め、ウサギさんとにらみ合う。

 

 あまり近づきすぎてウサギさんが飛び掛かってきてもよくない。できれば、動かないように今の状態を維持するのがベスト。

 

 ――トスッ

 

 そうやってウサギさんと睨み合っていると、矢がウサギさんの脳天を貫いた。

 

「ギュッ!?」

 

 ウサギさんは素っ頓狂な声を上げて倒れ、消えていく。 

 

「やったー!!」

「上手い」

「でしょー?」

 

 セーラは初めてにもかかわらず、一撃でモンスターをたおしてしまった。

 

 ITOはリアルに近い。種族や弓のスキル、それにゲームの補正があっても当てるのは大変だと聞いたことがある。

 

 もしかしたら、セーラには物凄い弓の才能があるのかもしれない。

 

「きたーっ!!」

 

 何度かウサギさんを倒すと、セーラが叫ぶ。

 

「どうしたの?」

「レベルが上がった!!」

「おめでと」

「ありがとう!!」

 

 レベルが上がっただけなのに、セーラは物凄くはしゃいでいる。

 

 よっぽど楽しいんだろうな。

 

 セーラが喜ぶ姿が見れるなら、こういうプレイも悪くない。

 

 そして、さらに進むこと10分、私たちは森にたどり着いた。

 

「懐かしい」

「そういえば、ここから始まったんだっけ?」

「うん」

 

 現実とゲーム内で流れる時間が違うせいか、ゲームを始めたのが物凄く前に感じる。

 

「それじゃあ、入るよ」

「分かった」

 

 私たちは森へと足を踏み入れる。

 

 ――ガサガサッ

 

 しばらく進むと、葉が揺れる音が聞こえた。

 

「何かいる」

「任せて」

 

 セーラはすぐに弓を構えて臨戦態勢。

 

「ゴブゥッ!!」

 

 飛び出してきたのはゴブリンさんだった。

 

 ――キンッ

 

 セーラが放った矢をゴブリンさんは容易く弾く。

 

「ゴブゴブッ!!」

「ゴッブッ!!」

「ゴブーンッ!!」

 

 そして、その隙に次々とゴブリンさんたちが姿を現し、私たちは取り囲まれてしまった。

 

 





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