【書籍化決定】死にまくり女子高生の冥様は無自覚にゲームバランスを破壊する~運営さん、ただ死にたいだけなのにシステムが私の邪魔をしてくるんですがっ!!~   作:ミポリオン

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第050話 ヘルズ・キッチン(ガチ)

「良く来たのう。ゆっくりしていくとええっ。今日は何をしようかのう」

「ううん、ニアは大人しくしてて。今日は私たちに任せて欲しい」

 

 死に戻った私はニアの隠れ家で合流し、孫を可愛がろうとするお婆ちゃんのようなニアを止めた。

 

「うむ、どういうことじゃ?」

「私が作ってきた料理を食べて欲しい」

 

 今日は私が用意した料理でもてなすつもり。

 

「ほう、それは楽しみじゃ」

「ニア、毒は?」

「なんじゃ? ワシに毒など効かぬぞ」

「安心した。毒の入った料理だから」

 

 しかも、主に研究に研究を重ねた毒料理で。

 

 最近色々試していたんだけど、毒のレベルが高ければ高いほど、より美味しい料理が多くできた。これも体に悪いモノは美味い理論の賜物なのかもしれない。 

 

 今日はその中でも自信作の数々をニアに味わってもらおうと思う。

 

「一品目。毒キノコ尽くしのピリ辛マリネ」

「ほぅっ、なかなか美味そうじゃの」

 

 この料理は、はじまりの街やその周辺でとれる毒キノコをふんだんに使っているマリネ。その上、味付けに使用している酸味、辛み、塩味すべてを毒アイテムで代用した一品。その毒レベルは8。耐性がないプレイヤーが食べたらしばらくもがき苦しんで死ぬ。

 

 私もセーラも毒耐性はレベル10。毒の影響なく食べることができる。ニアも自信があるみたいだから大丈夫だと思う。

 

「「「いただきます」」」

「これは美味いのう。鷹の爪と粒マスタードのようなピリッとした辛みとさっぱりとしたレモンの酸味が、キノコのうま味を引き出して居る。酒に合いそうじゃ!!」

 

 私とセーラはすでに食べているので美味しいことを知っている。でも、ニアも喜んでくれたみたいで何より。

 

 ニアが指をパチンと鳴らすと、ビールっぽい液体の入ったジョッキを妖精たちが運んできた。

 

「くぅ~!! 効くのじゃ!!」

 

 マリネを食べたと、まるでおっさんみたいにゴクゴクと飲んで流し込む。

 

 少女がビールっぽい飲み物を飲む絵面の犯罪臭が凄い。

 

 でも、お酒が飲めない私たちじゃビールかどうか判断できない。つまりシュレーディンガーのビール。ニアが飲んでいるのはビールかもしれないし、ビールじゃないかもしれない。だからどうにもできない。

 

 そもそも、見た目は幼げに見えてもニアは悠久の時を生きてるっぽい生物なので合法。全く問題なし。

 

「次は鯛ラントのカルパッチョ」

「彩が鮮やかできれいじゃの」

 

 鯛ラントは鯛っぽい見た目だけど、体のほぼ全てに毒が含まれているという毒魚。その毒魚と毒物で味付けし、ベビーリーフの代わりにデスグラスを添えた一品。

 

 デスグラスは毒が効かなくなると、クセがなくてどんな料理にも合う引き立て役になってくれる使い勝手のいい葉物。見た目も鮮やかになる。

 

 毒レベルは9。耐性のないプレイヤーなら一瞬の苦しみだけで逝くことができると思う。

 

「ふむぅ。デスグラスが良いアクセントになっておる。ゴクゴクゴクッ、ぷはぁっ!! これも酒が進むのう!!」

 

 これもニアは美味しそうに食べた。

 

「メインはこれ。昇天餃子」

「くんくんっ。くぅ~、この匂いは脳にガツンと来るのう」

 

 ニアは鼻を引くつかせて、匂いに酔いしれる。

 

 この餃子は今私が開発した毒料理の中でも屈指の美味さを誇る。食べ始めたら箸が止まらないこと必至。

 

 ただし、使われている材料は全て毒。毒レベルは10。耐性がないプレイヤーが食べたら、長~く苦しんだ後に確実に死ぬ。

 

「んほ~っ、これは最高じゃ!! 箸も酒も止まらん!!」

 

 毒レベル10は最大。徐々に毒レベルを上げてきたけど、これも普通に食べられるとなると、言葉通り、ニアには毒は効かないんだと思う。

 

「締めはこれ。ポイズンバニラアイス。死のコンポート添え」

「見た目は普通じゃなぁ」

 

 最後はやっぱりデザート。

 

 毒さえなければ、天国にイケる程美味しいアイスにマーダーアップルのコンポートを添えた一品。デザートに関しては今まで作ったどれもが美味しくて選べなかった。

 

 その中でも特に至福感の強いこのデザートを今回提供することに。

 

 毒レベルは10だ。

 

「おほぉ~、これもうんまいのう。おかわりっ!!」

 

 やっぱりこの毒もニアには効かなかった。

 

「これで終わり」

「うむっ。美味しかった」

 

 ニアがお腹をポンポンと満足げに叩く。

 

 でも、実はこれまでがリハーサルでここからが本番だ。

 

「ホントはまだ料理が残ってる」

「なんじゃと?」

「ただし、これは毒無効でも死ぬ可能性がある。実際私は死んだ。それでも食べる勇気がニアにはある?」

 

 そう。それは私の血が含まれている毒貫通料理。実はこの前のお仕置きにこの料理を食べさせることこそ、今回の最終目的だった。

 

 流石に勝手に装備を変えるのはやり過ぎ。それは身をもってワカラセる。

 

「ふーむ、よかろう。その挑戦、受けようではないか」

 

 私の挑発的な言葉に対して、ニアは獲物を見つけたような獰猛な笑みを浮かべた。

 

 少女だから可愛いだけだけど。

 

「これが本当に最後の料理。ブラッドゼリー」

「ほうほう。これはまさに血の色そのものといった見た目じゃな」

「まぁね」

 

 私の血と毒を多量に含むブドウっぽいフルーツの果汁から作られたゼリーだ。私もセーラも食べたら普通に死ぬ。

 

 ニアは死ぬことはないと思う。ただお仕置き程度になればいい。

 

「うむ、それではいただこう……んまいっ!!」

 

 ニアは美味しそうにゼリーを食べた。

 

 やっぱり効果はなかったみたい……まぁ、相当高位の存在っぽいから当然だよね。

 

「んがっ!? あがががががっ、んげっ」

 

 そう思っていたら、ニアが時間差で苦しみだした。そして、数秒もせずにぱたりとテーブルの上に倒れ、全く動かなくなった。

 

「え!? ニ、ニアッ!?」

 

 セーラが慌てた様子でニアに駆け寄って状態を確認する。

 

 そして、青ざめた表情で言った。

 

「し、死んでるかも……」

 

 いやいや、そんなはずはない。だって、私の装備を勝手に変えられるような力のある存在だし、セーラに加護を付けられるような神様みたいな役割だったはず。

 

 死ぬはずがない。

 

 しかし、私の罪を突きつけるように無情にも通知が鳴り響いた。

 

『シークレットボス:亜神アニマを討伐しました』

 

 

 





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